各領域で実践段階に入るクラウド――“システムの仕分け”は進むか

日本IBMが7月30日に開催した「IBM クラウド・コンピューティング コンファレンス 2010」では、大企業先行で実践段階に入ったクラウドの現状と、そこにIBMはどのようなアプローチで臨むのかが示された。

» 2010年08月30日 10時00分 公開
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 日本IBMが7月30日に開催した「IBM クラウド・コンピューティング コンファレンス 2010」。コンシューマー向けのクラウドではなく、企業向けのクラウド、つまりエンタープライズクラウドに注力している日本IBM。基調講演の壇上に立った日本IBMクラウド・コンピューティング事業クラウド・ソリューション理事の小池裕幸氏は、クラウドという流行の技術の解説でとどめるのではなく、企業向けクラウドの現状について示唆に富む講演を行った。

クラウドの活用は適用領域の見極めが肝要

 「単にIT業界だけの話題ではなく、経営者の関心が高くなってきている」とクラウドに対する市場の期待を説明する小池氏。IBMでは、クラウドをサービスであると定義しており、「仮想化」「標準化」「自動化」が技術的な構成要素だと紹介。コスト削減やサービス向上、リスク管理といった企業の経営課題は、IT部門が直面している課題でもあり、上述した構成要素がこうした課題の解決につながっているからこそ、その総体であるクラウドが注目されるのだと説明する。

 しかし、クラウドは万能ではなく、デスクトップや開発・テストといったクラウドの適用が進んでいる領域もあれば、機密データを扱う場合や高度にカスタマイズされたものなど、現時点では適用が難しい領域も存在していることを明かす。

クラウドの適用領域は冷静に見極める必要がある

 「今の技術で評価すると、クラウドには課題も多いと感じている企業は多いはず」と小池氏は話し、“システムの仕分け”によって適用領域の見極めが必要であることを強調する。加えて、クラウドによってもたらされるものの本質は「(ITの)調達の多様化」であり、プライベートからパブリックまで、多様な提供形態が用意されている中で、IBMのアプローチは、まずクラウドの適用分野を検討し、ユーザー企業に応じて提供形態を選択するものであると説明。既存システムのうち、どのシステムがクラウドに適合するかをコンサルティングする「クラウド適合度簡易分析セッション」を紹介した。

 また、クラウドの導入を検討するに当たって考慮すべきポイントとして同氏が挙げたのは、セキュリティ、ガバナンス、ネットワーク、導入効果、カスタマイズの容易性など。そのうちセキュリティやネットワークについて、IBMがどのようなソリューションを持っているのかを幾つか紹介した。

 IBMでは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの面で企業向けクラウドを継続的に強化していく姿勢を明確にしており、先日発表された最新メインフレーム「zEnterprise」や、サーバ監視サービスをSaaSとして提供する「Tivoli Live - モニタリング」などが紹介されるとともに、計画から構築、運用・保守までをカバーする「IBM Services」と併せた包括的なソリューションによって、クラウドの利用を促進していきたい考えを示した。

それぞれの適用領域で実践段階に入ったクラウド、事例に注目集まる

 こうしたクラウド提供側の動向だけでなく、ユーザーがクラウドを活用する流れが加速していることを、2010年に入って日本IBMが発表した事例から幾つか紹介した小池氏。主なところでは、災害対策にデスクトップクラウドを活用した食品卸国内最大手の国文、北海道電子自治体プラットフォームをクラウドで実現するHARP、開発・テスト環境にクラウドを取り入れた日本生命など、適用領域が異なるクラウド活用が大企業先行で実践段階にあることがうかがえる。同イベントではこれらの事例が個別セッションとして紹介され、それぞれの適用領域で実践段階に入っているクラウド活用事例を知ることができた。

 なお、本記事で紹介したIBM小池氏の講演内容や、ユーザー企業による事例セッションの模様を、「IBMクラウド・コンピューティング バーチャル・コンファレンス 2010」にてWeb上で聴講することが可能だ。動画のほかにも、講演資料やホワイト・ペーパーをダウンロードすることができ、クラウド活用を実践する企業にとって有益な情報収集の場になるだろう。

バーチャル・イベントとは?
バーチャル・イベントは、インターネット上の特設サイトにおいてセミナーや展示会に参加できるイベントです。 登録いただくだけで、実際のイベントと同様に講演を聴講でき、動画を含めた豊富な関連資料をご覧いただけます。
注目セッション
クラウド・コンピューティングの具体的な活用方法を、ユーザー企業による事例セッションを中心に紹介します。さまざまな領域で実践段階に入っているクラウドを、最新の事例でご確認ください。
【ユーザー事例 1】
不測時にも基幹業務を止めないための選択
―食品卸国内最大手が選んだデスクトップ・クラウド―

狭帯域の衛星回線を最大限に活用したデスクトップ・クラウド環境構築による災害対策事例とはどのようなものか

【ユーザー事例 2】
北海道における自治体クラウドの取り組みについて

クラウド上に開発・テスト環境を構築。「IBM Power Systems」と「Tivoli Service Automation Manager」が選択されたのはなぜなのか

【ユーザー事例 3】
日本生命へのクラウド・コンピューティング技術の適用
―大規模プロジェクトにおける開発・テスト向け IT環境の迅速な提供―

自治体クラウドで採用されたIBM製品。行政情報システムがクラウドに求めた要件にIBMはどういったソリューションで応えたのか

【特別講演】
クラウド時代の本格的到来に備えるIT戦略

本格的なクラウド・コンピューティング時代の到来に備え、その価値と懸念事項に触れながら、次世代の企業ITの目指す方向性を探る

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年9月16日