“グローバル・エコ”に込められたカシオ「SPEEDIA GE5000」のメッセージ使いやすくなければエコにならない

カシオのカラーページプリンタ「SPEEDIA GE5000」は、“グローバル・エコ”という新たなコンセプトのもとに開発された初の製品だ。これまでのSPEEDIAシリーズが持つエコ機能をさらに際立たせ、かつ使いやすくしているのが大きなポイントとなっている。開発に携わった営業と技術者に、GE5000に託した思いを聞いた。

» 2010年10月18日 10時00分 公開
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SPEEDIA GE5000

 多くの企業では、オフィスワークにプリンタでの印刷が欠かせない。しかし、手軽に印刷できるからといって、何の配慮もせずにプリントをしていては用紙やトナー、そして電力のムダになってしまう。不要なページの印刷をなくしたり、両面印刷やマルチページ印刷などで用紙を節約したり、またはトナーセーブ印刷でトナーを節約するなど、ちょっとした工夫でエコロジー&エコノミーな印刷が可能になる。

 とはいえ、こうしたエコ印刷を行うには、プリンタのプロパティ画面で細かな設定をする必要などがあり、面倒なものだ。そもそもプロパティ画面の使い方が分からないユーザーだって少なくない。

 こうした課題に対するカシオ計算機の回答が、2010年8月に発売したカラーページプリンタ「SPEEDIA GE5000」(以下、GE5000)にあるという。その製品コンセプトは“グローバル・エコ”(GLOBAL ECO)。カシオが新たな製品コンセプトとして打ち出したもので、GE5000は、その最初の製品に相当するという。

 GE5000は、“グローバル・エコ”を具現化するための数々の機能が盛り込まれている。その実現には、営業部門と開発部門との間で、さまざまなやり取りがあったという。営業部門からはカシオ計算機 営業本部 戦略統括部 システム戦略部 PPR企画室 リーダーの西田公浩氏、開発部門からはカシオ電子工業 企画室の平林宏行氏とカシオ電子工業 第一開発部 11開発室の斎藤浩氏、以上3人に話を聞いた。

誰にでも使ってもらえるエコロジー&エコノミー機能

――まずは、“グローバル・エコ”のコンセプトについてお聞かせください。

カシオ電子工業 企画室 平林宏行氏

平林 “グローバル・エコ”は、包括的すなわちグローバルなエコノミー&エコロジーを促進するという考え方で、カシオ計算機(以下、カシオ)の今後のプリンタのコンセプトとなります。「人に優しい」「企業に優しい」「未来に優しい」、3つの「優しい」が、その柱です。

西田 GE5000の名称も“グローバル・エコ”に由来するものです。カシオは以前からエコ、すなわちエコロジーの方に力を入れてきました。プリンタでいえば、例えば印刷にかかる電力相当のCO2排出を相殺するカーボンオフセット付きトナーなどにも以前のモデル「SPEEDIA N3600」から取り組んでいます。しかし、その「SPEEDIA N3600」が立ち上がった後、2008年にリーマンショックが生じて、エコと言えばエコノミーも大切だという風潮になってきました。

平林 開発サイドとしても、同じような思いがありました。そこで営業と開発とが一緒になって考えたのが、“グローバル・エコ”というコンセプトと「人に優しい」「企業に優しい」「未来に優しい」の3本柱だったのです。

――「未来に優しい」は環境性能すなわちエコロジー、「企業に優しい」はコスト軽減すなわちエコノミー、ですよね。では「人に優しい」とは、どのような内容でしょうか。

平林 どれだけエコロジー、エコノミーを追求しても、操作性が良くなければ使ってもらえないでしょう。例えば「プリンタのプロパティってどこにあるの?」というユーザーも少なくありません。それどころか、複数のプリンタの切り替えもままならないユーザーだっています。そこで用意したのが「簡単エコ印刷ナビ」というソフトウェア。誰でも両面印刷やマルチページ、トナーセーブといったエコ機能を使いこなせるように工夫しています。

カシオ計算機 営業本部 戦略統括部 システム戦略部 PPR企画室 リーダーの西田公浩氏

西田 社内でアンケートを実施したところ、各個人のエコに対する意識は比較的高いことが分かりました。しかし、「エコ印刷を使いたいけど、そのプリンタがどのような機能を持っているか分からない」といった回答も多かったのです。簡単なエコを実現するには、ハードウェア的に追求するのももちろん重要ですが、それを実現するには相当な開発期間が必要となりますし、うまく作れないとなかなか使ってもらえない場合もあります。

 そこで、ハードウェアだけでなくソフトウェアでもユーザビリティを向上させていこうという案が出てきたのです。カシオは、プリンタに関してはトナーからドライバソフト、ファームウェアまですべて自社で開発していますから、柔軟なソフトウェアとの組み合わせが重要だと考えたのです。

「簡単エコ」「見えるエコ」実現のため社内で使いながら洗練したユーザーインタフェース

――「簡単エコ印刷ナビ」とは、どのようなソフトなのでしょうか。

斉藤 アプリケーションでの印刷操作後に、その印刷結果をプレビューし、画面上で印刷イメージを見ながらマルチページの割付や不要ページの削除などを行うソフトです。

――事前にプリンタのプロパティを操作するのではなく、印刷処理を行ってスプールしたデータを操作するというわけですね。

平林 アプリケーションによっては、印刷してみないと確実なページ数が分かりにくいものもありますよね。それを確実にプレビューできるようになっているのです。しかも、プレビューを見ながら、「タイトルページや扉は1ページ1枚で」「ここからここまでは4ページを1枚に割り付ける」といった、今までにない柔軟な割付が可能になっていますし、メールやWeb画面を印刷するときのフッタなど不要ページを削除することもできます。プリンタのプロパティ画面が分からない方でも、これなら使えるのではないでしょうか。

「簡単エコ印刷ナビ」画面 (画像をクリックすると拡大表示)

西田 とはいえ、印刷過程の途中でいったんプレビュー画面を出すためにワンクッション入ることになり、これが逆に使い勝手を悪くしてしまうのではないか、という心配はありました。そこで、よりユーザーの利用環境に近い形ということで、β版の段階から自分たちの通常業務の中で試用しました。最初の頃には開発側に対し、かなりのボツを出して作り直してもらったという経緯もあります。

カシオ電子工業 第一開発部 11開発室 斎藤浩氏

斉藤 当初は、もっと機能を前面に出したスタイルだったのです。しかし「タッチする部分を少なく」という要望で、ずいぶん変えました。見て分かるようにしておかないと、ボタンがあっても押してもらえないのですね。機能を詰め込みたいのは山々ですが、その気持ちを抑えて、現在の形としました。直感的に触れるような画面構成にこだわっています。

平林 操作に対する反応も工夫しました。例えば割り付けボタンを押せば、その場でプレビュー画面の内容が変わっていくようになっています。

斉藤 レスポンスが遅いようだとストレスを感じさせてしまいます。それではアウトなのです。そのチューニングも大変でしたね。

西田 そういった考えから、プレビューも全ページが揃ってからもたもた出てくるのではなく、順次スパッと出てくるようになりました。処理の途中からでも、ユーザーに状況を見せてくれるのが良いのです。こういった工夫をしてくれたおかげで、試していたわれわれも、「印刷にワンクッション入るというデメリットがあるものの、はるかに利便性や意識付けのメリットの方が勝る」という感触を得られました。

平林 例えば「プリンタの使い方がよく分からない」という上司などにも使ってもらい、やはり好感触を得て、自信が持てました。

――社内のさまざまなユーザーに試してもらって、使い勝手を向上させていったのですね。ちなみに、この「簡単エコ印刷ナビ」、旧機種でも使えるのでしょうか。

西田 営業の立場としては、既存モデルのユーザーにも使ってほしいと考えていました。そこで、現在販売している製品に製品同梱のソフトとして添付されるようにするだけでなく、旧機種でも、カシオのプリンタであればダウンロードして使えるようにしています。もちろん機種ごとの機能の違いもありますので、例えばトナーセーブ設定などは、GE5000だと細かく段階的に設定できますが、旧機種ではON/OFFのみになるなどといった違いが出てきます。それでも、マルチページなどの重要な機能は対応するようにしました。

平林 それから、「見えるエコ」にも力を入れました。「エコログWebアナライザー」という機能です。プリンタの稼働状況を月単位で記録する「エコログ」という機能は以前の機種にもありましたが、これを改良してユーザーごとにグラフィカルに表示するようにしたのです。「簡単エコ印刷ナビ」を使ったら、自分がどれだけエコ印刷をしたのか知りたいと思うことでしょう。また、ほかの人と自分とを比較したいとも思うのではないでしょうか。そういった利用状況を、手軽に確認できるようになっています。

西田 「エコログ」を利用していたユーザーからも、「ビジュアルな画面で見やすくしてほしい」という要望があった部分です。各人のエコへの意識が高いことはアンケートからも分かっていますが、しかしエコへの取り組みには、ちょっと不便があったりするという印象もあります。そこで、実際の結果を簡単に見られるようにして、楽しくエコに取り組めるようにすれば、より多くのユーザーがエコ印刷を使ってくれるだろうと考えたのです。

「エコログWebアナライザー」画面。各種の視点から、エコ印刷の指標を確認できる

ハードウェアもエコ性能の強化や使い勝手を向上する数々の工夫

――ソフトウェアだけでなく、ハードウェア面でも環境性能や使い勝手が向上しましたね。

平林 そうです。例えばTEC値(Typical Electricity Consumption:概念的1週間の消費電力量)は従来機種の約半分となる2.71kWhとなりました。実は、GE5000では、モノクロでもカラーでも毎分32枚(A4片面・普通紙)と高速化した上に耐久性も100万枚へと向上させており、このエンジン強化で出力時の消費電力は若干上がってしまいました。そのため、待機時の電力を極限まで下げるように工夫したのです。そして実現したのが、クラスNo.1(※2010年6月現在。日本市場向けA3カラーページプリンタ、カラー30枚/分(A4横)以上のクラスとして。カシオ調べ)のスリープ時約0.7Wという低消費電力。エレキやソフトの担当者が、ずいぶん苦労していました。スリープ時にはCPUのクロックを下げたり、ネットワーク通信速度を100Mbpsから10Mbpsに下げたりするなど、とことん切り詰めています。

 さらに、旧機種でも搭載していたスリープスケジュール機能を強化しています。業務時間外になればスリープするようにスケジュールする機能ですが、スリープだけでなく指定された時刻に電源を完全にOFFできる切り忘れ防止機能も追加しました。指定時刻も営業からの要望で1回でなく3回に増やしました。

――電源OFFというと、側面のスイッチを自動的に遮断するような……。

西田 まさに「バチン」と切れます。もちろん、完全に電源を切って消費電力をゼロにしますので、自動ONはできません(笑)。

 待機時消費電力がいくら小さくても、使わないときは切っておきたいものです。複数台のプリンタを置いているようなオフィスでは、最後の人が全部の電源を切って帰ることになるわけですが、面倒で切らずに帰ってしまったりすることもあるでしょう。あるいは終電ギリギリだったら、切ることをうっかり忘れるということもあるでしょう。だからこその自動OFFなのです。

 3回にしたのは、例えば昼休みの12時、定時の17時、残業後の20時といった設定を求める声が多かったからです。なお、設定した時刻になっても、印刷中の場合はデータがなくなった段階でOFFになりますから、印刷中にいきなり切れることはありません。また、そのプリンタに接続するユーザーがいなくなった段階で電源OFFする設定も可能です。

――人間の動きを見ているのですね。

平林 人間の動きに合わせた機能といえば、「簡単エコ印刷ナビ」ではプリンタのICカード認証印刷機能と連携して、複数あるプリンタの中の「タッチしたプリンタから出力する」という使い方も可能になりました。「タッチdeプリント」機能です。印刷の混み具合だとか、紙やトナーの残量などを考慮して、出力したいプリンタを自由に選ぶことができます。また、印刷後もデータを残す設定も可能としており、例えば会議資料など後から追加が必要になった場合でも部数分だけタッチすれば迅速に追加資料が出力できるようになっています。

西田 ICカード認証印刷は、主にセキュリティを目的として導入されています。しかし、実際の導入事例をみていると、「カードをかざすという、ちょっとした手間がエコに役立つ」として導入するユーザーもいるのですね。そこで、セキュリティだけでなく利便性の面からもICカードを利用しやすくして、エコに役立てようと考えたのです。

――細かいところですが、GE5000から、ICカードリーダーも内蔵できるようになったのですね。

平林 これも以前から要望があったところです。今回、オペレーションパネルを大型高精細のものにしたため、その後ろにカードリーダーを収納するスペースが作れるようになりました。消耗品の残量をグラフィカルに表示したり、操作ボタンと連動したヘルプガイド機能を搭載したりするなど、大画面化によって使い勝手も大きく向上しています。例えばトナー残量は、残り少なくなるとカートリッジの絵柄の底の方にうっすらと残っているようなイメージで表示し、完全に使えなくなればカートリッジに斜線が入るイメージです。

――トナーが切れそうになったら強制的にトナーセーブモードで出力する、という設定にすれば、もっと分かりやすくなるかもしれませんよ。

平林 そのアイデア、今度検討します(笑)

西田 トナー切れといえば、カラー用トナーが切れたとき、応急的にモノクロで出力することも可能です。以前の機種では、いったん印刷をキャンセルしてモノクロで改めて印刷しなければならなかったのですが、GE5000では印刷の途中でもプリンタ側でモノクロに変換して出力できるのです。急いでいるのにトナー切れになってしまった、といったときに重宝しますよ。

――なるほど。このあたりも、ハードウェアとソフトウェアの両面から使い勝手を強化した部分といえそうですね。

西田 ハードウェアだけでなく、ソフトウェアも合わせて柔軟に作れるのがカシオの強みだと思います。GE5000は、革新的な新製品というよりは、これまでにユーザーから寄せられた要望を、まとめあげたような製品です。今までのユーザーの声を大切にしつつ、次のステップにつなげていく、という思いを込めて作っています。

平林 われわれとしても、他社とは少し違うカシオらしいアプローチを意識しています。今までにもエコには取り組んできましたが、改めて今回のGE5000以降、“グローバル・エコ”すなわち使いやすく人に優しいエコを追求していきますので、評価してもらえたらいいなと考えています。

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提供:カシオ計算機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年10月31日