IBMのコンテナ型データセンター 〜災害対策からクラウド対応までさまざまな用途に〜IBMのデータセンター戦略

日本IBMはどちらかというとITベンダーとしてのイメージが強い。しかし、実は20年以上にわたり、国内でITファシリティー事業を手掛けてきた実績を持つ。そんなIBMが必要なリソースをタイムリーに提供し、バックアップからクラウド対応まで、さまざまな課題を解決するソリューションとして提案するのがモジュラー型のデータセンターである。

» 2011年04月25日 10時00分 公開
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ビジネスとITの変化のスピードに耐えられる柔軟な構築を 〜IBMが考えるデータセンター戦略とは〜

 近年、企業の取り扱うデータ量は加速度的に増大し続けており、これにともないデータセンター内のサーバーやストレージなどIT機器への要件はますます高度化している。一方で、高度化するデータセンターにおいては、設備投資および運用コストに占めるエネルギー関連コストの肥大化に頭を悩ませており、エネルギー問題の解決が急務の課題となっているのが実状だ。

 現在、データセンターの20年間の運用コストは初期投資の3〜5倍に達し、その多くをエネルギー関連コストが占めているという。エネルギー関連のコストとしては、サーバーなどIT機器の消費電力以上に、発電機や無停電電源、機器の冷却にかかるコストがあり、これらのコストは設備投資の約60%、20年間の累積運用コストの約70〜80%にも上るといわれている。

 ITの高度化とエネルギーコスト削減――この大きな課題に対して、日本IBMでは、お客様のビジネス環境に最適化したデータセンターのITファシリティー・サービスを提供している。日本IBMは、どちらかというとITベンダーとしてのイメージが強いが、実は20年以上にわたりITファシリティー事業を手掛けてきた実績をもち、ITのスペシャリストはもとより、一級建築士を始めとした建築のスペシャリストを延べ約200人も擁している。

 また、全世界で約72万平米の自社データセンターを構築、運用してきた経験とノウハウも同社の大きな強みとなっている。IBMのLexingtonデータセンター(米国、マサチューセッツ州)では、設備拡張にあたって、新しいデータセンター施設を建てるのではなく、従来施設のITとデータセンターのインフラ分析を行い、サーバー集約と統合・仮想化を実施することで、当初5000万ドルと想定した投資を先送りするとともに、8倍以上のITキャパシティーの確保に成功した実績もあるという。さらに、全世界的に行われたデータセンター改革では、1997年から2007年にかけて、235か所のデータセンターを12か所に統合。これにより、約41億ドルの節減効果を実現している。

 2007年には、他社に先駆けて“Project Big Green”という取組みを発表し、データセンターにおけるエネルギー効率化をリード。現在は、Blue Print for a Smarter Data Centerとして“Smarter Data Center”をコンセプトに掲げ、データセンター全体のさらなる最適化を目指し、さまざまなソリューション、サービス、製品を展開している。

kohira.jpg 日本IBM GTS事業 オファリング・マネージメント データセンター・サービス企画 サイト&ファシリティサービス部長の小平重和氏

 「データ量の増大にともない、データセンターに収容されるサーバーやストレージ台数は増加の一途を辿っている。ただ、面積的にはこれらの機器を設置できるにもかかわらず、電力容量が足りないという問題も発生している。しかも、当初から拡張性を検討していなかったために電力容量を拡張できなかったり、電力容量を拡張するためには、データセンターの稼働を休止する必要があったりと、ビジネスへの影響を考えると簡単にはITの高度化に対応できなくなっているのが実状」と言うのは、日本IBM GTS事業 オファリング・マネージメント データセンター・サービス企画 サイト&ファシリティサービス部長の小平重和氏。

 「これは、将来的な企業のビジネス成長とITの進歩を熟慮せず、データセンターを設計してしまった結果だ。特に、ITのノウハウの少ない業者が手掛けたデータセンターに起こりやすい。これに対して、当社では、“Smarter Data Center”をコンセプトに、延命化、合理化、柔軟性、統合管理という4つのアプローチによって、ビジネスとITの変化のスピードに耐えられる柔軟なデータセンターの構築を目指している」(小平氏)と、ITと設備の双方の視点から最適なデータセンターを構築できる日本IBMならではの付加価値を訴える。

 “Smarter Data Center”を実現するための具体的な取り組みとしては、各種ツールを使用した客観的な分析により、データセンター構築にあたって、「キャパシティー」、「コスト/ROI」、「可用性」のバランスを維持する複雑な意志決定をサポートする。

modular_001.jpg IBMのデータセンター戦略では、各種ツールを使用し、客観的な分析により、複数のビジネス要件のバランスを維持する複雑な意思決定をサポートする

 「当社では、独自のツールによってデータセンター戦略分析を事前に行い、その成果をモデル化することで、支出の妥当性を検証する。例えば、UPSのキャパシティー分析では、現在の使用電力容量とお客様のビジネス成長度、トランザクションの増加率やIT機器の進歩を踏まえて、電力容量を予測。そして、初期投資の段階で、どれだけの電力容量を確保し、いつ増設するのが経済的かを提案している。また、可用性の分析では、お客様のビジネス要件を考慮し、機能停止に対する耐障害性確保に必要な年額コストを分析する。単一サイトでよいのか、地域内に2つのサイトを設置したほうがよいのかなど、最も合理的なデータセンター戦略を検討する」(小平氏)という。

modular_01.jpg IBMのデータセンター戦略分析では、成果をモデル化し、支出の妥当性を証明することにより、運用コストを最大50%削減している

 このほかに注目されるのが、データセンターのサーバー移転を支援する分析ツール「Analytics for Logical Dependency Mapping」だ。このツールは、IBMワトソン研究所で開発された先進の分析ツールで、データセンターに設置されている各サーバーの依存性・関連性を分析するもの。各サーバーのアプリケーションやネットワークがそれぞれどうリンクしているのかを分析し、マッピングして出力する。これによって、複数のサーバーのグループ分けを簡易かつ正確に把握することができ、特に大規模環境におけるサーバー移転・統合をより安全かつ効率的に行うことが可能となる。データセンターの構築・運用だけでなく、移転まで含めてトータルサポートが可能な点も日本IBMの大きなアドバンテージであるといえよう。

modular_003.jpg ALDM(論理依存性マップ分析Analytics for logical dependency mapping)は、数学的手法を用いて移転のためのアプリケーションとサーバー間の依存性を明確にする

データセンターが抱える課題をすべて解決するモジュラー型データセンター「IBM Data Center Family®」

 ここまで見てきたように、日本IBMは、ITと建築のスペシャリストとして、他社にはない柔軟で効率的なデータセンターを構築できる技術とノウハウを蓄積している。そして、これらの技術とノウハウを結集し、現在のデータセンターが抱える課題をすべて解決するソリューションとして提供しているのが、モジュラー型データセンター「IBMデータセンター・ファミリー」である。

modular_004.jpg IBMは、この3年間で変化に対して即応性のある480を超えるモジュール式のデータセンターを設計した

 「IBMデータセンター・ファミリー」では、データセンターにおける設備のコンポーネントを標準化し、モジュラー型にすることで、グローバルな大企業から中小企業まで幅広いニーズに対応する。モジュラー型データセンターの設計にあたっては、(1)必要になった時点ですぐに拡張できるよう、キャパシティーを必要となる前から計画する、(2)将来のテクノロジーおよびコンピューティングモデルに備えて柔軟性を最大化する、(3)初期投資コストと運用コスト間のトレードオフの意志決定に役立つ洞察を提供する、(4)優れた運用管理の実現に向けて、IT、データセンターおよび建物を相互接続する――の4点を考慮するという。「全世界では、この3年間で、変化に対して即応性のあるモジュール型データセンターを480件以上設計している」と、小平氏はすでに多くの導入実績があることを強調した。

 ラインアップとしては、顧客の幅広いニーズに応えるため、大規模環境向けの「IBMエンタープライズ・モジュラー・データセンター(EMDC)」、必要に応じた構成を短期間で構築する「IBMスケーラブル・モジュラー・データセンター(SMDC)」、柔軟な構築が可能なコンテナ型の「IBMポータブル・モジュラー・データセンター(PMDC)」、効率的な冷却を実現する「IBMハイ・デンシティ・ゾーン(HDZ)」の4タイプを用意している。

 中でも、最近注目を集めているのが「EMDC」と「PMDC」だ。「EMDC」は、エンタープライズクラスのデータセンターをモジュール化したもので、標準仕様を約500平米とし、これをユニットとして設計の標準化を実現している。これにより、長期的なITニーズと設備投資および運用コストとのバランスを取りながら、拡張が必要となるまでに最大40%の設備投資と50%の運用コストの先送りが可能になるという。

 また、米国ノースカロライナ州のリサーチトライアングルパーク(RTP)内にあるラーレイ・データセンターでは、スマート・データセンター管理によって、可用性のアラートやIT・設備ダッシュボードを使ったキャパシティー計画、フロアの温度分布など、長期的な効率性を実現する優れたデータセンター運用を実施している。また、クラウド対応のデータセンターとしても注目されている。

 「RTPのデータセンターは、実際にEMDCを自社導入して構築したもので、米国グリーンビルディング協会(USGBC)から、LEED(エネルギーおよび環境設計におけるリーダーシップ)のゴールド認定を取得している」と、第三者機関からも高く評価される環境配慮型のデータセンターを実現するという。

 一方、「PMDC」は、空調、電源設備、物理インフラをすべて備えたコンテナ型のデータセンター。フリークーリングやレールシステムによるコンテナ内メンテナンス、2時間の耐火性などの特徴をもち、火災、煙、湿度、結露、温度変化などに対する保護機能を含む、従来の上げ床式データセンターが持つすべての安全運営の要素を網羅している。

 小平氏は、コンテナ型データセンターが注目を集めている背景について、「これまで日本では、建築基準法と消防法の規制を受けていたため、コンテナ型データセンターについては、諸外国に比べ導入が遅れていた。しかし、これらの法規制の緩和と併せ、東日本大震災を機にコンテナ型を含めモジュラー型データセンターの導入検討が進むと考えられる。実際、震災後、バックアップセンターとしての短納期かつ拡張性の高いモジュラー型データセンターの問い合わせも増えてきている」と説明する。

 3月25日、国土交通省より「コンテナ型データセンターに係る建築基準法の取扱いについて」で、いわゆるコンテナを建築基準法上の建築物とみなさない見解を示した。また、総務省消防庁も3月31日に「コンテナ型データセンターに係る消防法令上の取扱いについて」にて規制から除外することを発表した。小平氏は「今後、コンテナ型データセンターのニーズが一気に拡大する可能性がある」と、「PMDC」の導入拡大に大きな期待を寄せている。

 単に設備を構築するだけでなく、ITのノウハウを生かして、顧客に無駄なく必要なリソースをタイムリーに提供する日本IBMのモジュラー型データセンター。今、事業継続、災害対策やクラウド対応などデータセンターの構築・運用に課題を抱えている企業にとって、「IBMデータセンター・ファミリー」こそがベストプラクティスといえるだろう。

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