クラウド・大規模ホスティングなどのサービス・プロバイダに最適化した高集積サーバの特徴を知るデルがマイクロサーバに本格参入

クラウドの普及と節電対策により、データセンターのエッジサーバとして最適な高密度・高集積サーバに注目が集まっている。そうした中、デルもこの市場をターゲットにしたマイクロサーバの新製品を投入した。

» 2011年08月25日 10時00分 公開
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高密度・低消費電力の新しいフォームファクタ

 ホスティングサービスや各種クラウドサービスを提供するデータセンター事業者の多くは、Webサーバなどに使われるエッジサーバとして、1U・1〜2ソケットのエントリーサーバを採用することが多い。省電力・コスト性能に優れることに加え、容易にスケールアウトでき、障害が発生した場合にはサーバ自体をそっくり交換しまえばよいなど、メンテナンス性に優れているからだ。

 しかし、いくらサービスの拡張・強化に必要といっても、もちろんサーバを無限に追加することはできない。物理的なスペースや供給可能な電源の容量の制約、そして、サービスコストのプランニングにも影響する。

 一方で、スケールアウト型で拡張していくエッジサーバの場合、必要になる電源容量も台数増加に比例して増えていくことになる。主に東北電力・東京電力管内の企業に対する供給電力制限によって、節電対策の取り組みが求められていても、現行機種における今まで通りの運用方法では節電を実践することは困難になる。

 そこで今、これまで運用してきた1Uサーバのリプレース時期を機に、より省スペースで省電力のサーバに置き換えようという動きが始まっている。そのプラットフォームとして注目されているのが、いわゆる「マイクロサーバ」と呼ばれるものだ。

 実はマイクロサーバというのは、一般的に認知されたデファクトスタンダードな定義は存在していない。サーバベンダーによって形状も仕様も大きく異なっている。ただし、サーバ仕様を策定するために1998年に設立された業界団体の「SSI(Server System Infrastructure)」では、マイクロサーバについて「スケールアウト、1ソケットで低消費電力向けにデザインされたエントリモデル。リソースを共有化することによって密度および効率性の向上を図ったもの」と定義している。世間一般に広く認知されているわけではなく、例えば一部のサーバベンダーは、高密度なスタンドアローンタイプの小型サーバをマイクロサーバと呼んでいるものの、SSIの定義によるマイクロサーバが今後は主流になっていきそうだ。

サーバアクセスは前面に集中させてメンテナンス性を重視

 そうしたマイクロサーバの新製品がデルから登場した。「PowerEdge C5000シリーズ」である。

PowerEdge C5000シリーズ(8スレッドモデル)

 デルがマイクロサーバ分野向けに本格的な製品を投入するのは今回からだが、新製品の開発にあたってはバックグラウンドがある。デルは2007年より、「Dell Data Center Solutions(DCS)」というデータセンター専門チームによるサービスの一環として、大口顧客ごとにDTO(Designed-to-Order:カスタム設計・生産)のサーバを提供してきた。その中の1つのモデルで、DCSがデザインした「Fortuna(開発コード名)」が、PowerEdge C5000シリーズのベース(第1世代)となっている。

 この第1世代のサーバ「Fortuna」は、ノートPCなどに使われる超省電力プロセッサーを用いたシングルソケットサーバを複数台搭載したもので、DCSのチームがカスタムで制作。1サーバ当たりわずか20〜29Wしか消費しないという仕様だった。「Fortuna」は、ヨーロッパの大手ISPにおける、Dedicated(専用)ホスティング・サービス向けに開発・大量導入されることとなった。

 一方DCSは、別のプロジェクトで、高密度性と省電力性を維持しながらも、より性能の高いモデルを開発した。「Viking(開発コード名)」という製品で、インテルとの協業によってインテル® Xeon® プロセッサーをベースにしたものだった。この「Viking」によって、より大容量のメモリアクセスと信頼性の高いプロセッサー環境を実現し、マイクロサーバとしてのポートフォリオを確立した(第2世代)。そして、次世代型(第3世代)のマイクロサーバとして、新たにインテル® Xeon® プロセッサー E3-1200製品ファミリーを採用した「C5220」が開発されたのだ。つまり、新製品とはいえ、すでに過去の稼働実績があるサーバなのだ。

 C5000シリーズは、電源装置や管理機能を内蔵した専用シャーシと、ブレード型のサーバスレッドによって構成される。専用シャーシは高さ3Uサイズであり、最大12スレッド、または最大8スレッドのサーバを装着する。ラックの背面、ホットアイル側のコンポーネントは基本的に排気するためのファンと電源ケーブルだけで、サーバの着脱やインタフェースは全て前面に集約されている。つまりコールドアイル側で全てメンテナンスできるサーバなのだ。

 プロセッサーにはエントリーサーバ向けのインテル® Xeon® プロセッサー E3-1200製品ファミリー(インテル® CoreTM i3プロセッサー 2100番台からも選択できる)、チップセットにはインテル® C204チップセットを採用。メモリソケットは4基用意されており、UDIMM ECC DDR3 1333メモリモジュールを最大32ギガバイトまで拡張できる。ハードディスクは、3.5インチを2基または2.5インチを4基搭載することが可能。SATA/SASのハードディスクドライブに加え、SSDも搭載することが可能だ。

 ネットワークインタフェースは、1ギガビットイーサネットを2基備える。管理用のLANポートはC5000シャーシ側に共有型で1ポート用意されているため、管理用LANは1本で最大12スレッドのサーバをリモートから管理することが可能だ。

PowerEdge C5220の内部構造

電力管理機能にはインテル® インテリジェント・パワー・ノード・マネージャーを採用

 2種類のシャーシに搭載するサーバは、12スレッドと8スレッドでは以下のような違いがある。まず、12スレッドのシングル幅サーバは、ハードディスクはSATAのみのサポートになり、RAIDも用意されていない。プロセッサーは最大熱設計電力(TDP=Thermal Design Power)65Wまでに対応し、メモリはロープロファイルのVLP(Very Low Profile)UDIMMのみのサポートになる。PCIeスロットもなく、拡張性よりも低消費電力と高密度を優先することに最適化されている。

 8スレッドのダブル幅サーバは、一般的なサーバとほぼ同等のスペック。プロセッサーは、最大95Wまで対応可能で、ハードディスクはSASにも対応。メモリは、レギュラーサイズのUDIMMを使うことができる。PCIeスロットが用意されたメザニンカードをオプションで内蔵することが可能だ。

 消費電力については、前述のようにTDPの異なるプロセッサーを用途に合わせ、例えばTDP 20Wという超低消費電力のXeon E3-1220Lを搭載することも可能になっている。さらに、インテルが提供する電力管理ポリシーエンジン「インテル® インテリジェント・パワー・ノード・マネージャー」も内蔵されており、チップセットのセンサーから使用電力量を“見える化”して、サーバ1台1台がそれぞれどれだけ電力を消費しているかを把握できる。

 この情報は、業界標準の管理インタフェースであるIPMI(Intelligent Platform Management Interface)を使ってコマンドが送られるので、IPMI対応の運用管理ソフトウェアを使ってプロセッサーが使用する電力量のしきい値を決め、それを超えたらクロック周波数を低下させるという使い方もできる。ちなみに、デル独自の電力管理機能はサーバに搭載されておらず、PowerEdgeサーバ専用の管理ツールであるOpenManageの利用は想定していない。

 また、ファンや電源モジュールを共有化することにより、従来のサーバと比較して高いエネルギー効率が得られる。発熱量も抑制されるので、データセンターの空調設備への負担も軽減される。

消費電力および設置スペースを大きく削減できるという

データセンター事業者を中心に高い注目を集める

 デルの試算によると、C5220を採用した場合、従来の1Uサーバと比較すると4倍の密度と75%の効率性の向上を実現するとのことだ。例えば、2本のラックに搭載された1Uサーバ 60台と同等のスペックは、C5220 12スレッドモデル 5台で済んでしまう。ラックスペースを削減できれば、必然的にラックの契約台数を削減できる。

 サーバへのアクセスは、全て前面のコールドアイル側からになるため、運用効率・保守効率が大幅に向上するほか、昨今の節電対策から空調設備の設定温度を上げた運用にも柔軟に対応できる。また、こういった設計コンセプトにより、最近注目度が増しているモジュラ型データセンターなどコンテナタイプの高密度データセンターにも適していると言えるだろう。障害発生時に迅速に対応するために、当日オンサイトのサポートメニューが用意されているのも、事業者ニーズを配慮した施策と言えるだろう。

 デルでは、通常のデータベースや仮想化などのワークロードの高いアプリケーション向けには、従来製品のC1100/C2100/C6100シリーズを推奨し、今回の新製品「C5220」マイクロサーバはフロントエンド・サーバ向けと位置付けている。もちろん既に実績がある通り、セキュリティを重視した専用ホスティングサーバなど、高い性能を必要とせず、性能・スペース・エネルギーを効率よく使うという用途にも最適なサーバだということだ。

 製品は日本国内では2011年8月24日から出荷が開始されている。ホスティングサービスなどを提供するデータセンター事業者や通信事業者、オンラインゲームやクラウドサービスを提供するコンテンツプロバイダなどにとっては、注目に値するサーバ製品だと言えよう。

PowerEdge Cシリーズ(2ソケット モデル)はインテル® Xeon® プロセッサー 5600番台に対応

インテル® Xeon® プロセッサー 5600 番台は、アプリケーションの要求に応じて自動的に消費電力を調整し、スマートにサーバーのパフォーマンスを制御するため、電力効率と性能がいずれも最大限に向上します。



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