日本企業の開発現場を変革する切り札とは?「Innovate 2011」が切り拓くソフトウェア開発の未来

日本IBMはソフトウェア開発担当者などに向けたRational Softwareの年次イベント「Innovate 2011」を開催する。同社が今後のシステム開発において必要性を訴えるのがアジャイル開発に代表される開発スタイルの“変革”だ。本稿ではイベントの開催に先立ち、アジャイル開発のメリットを改めて確認するとともに、その見所について紹介する。

» 2011年09月26日 10時00分 公開
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理想とされるソフトウェア開発の“在り方”とは

 企業、そして社会にとって、もはやITが不可欠な存在であることは改めて説明するまでもあるまい。競争力の強化などを目的に、多くの企業でソフトウェアがさまざまな業務に取り入れられ、ソフトウェアと業務が不可分の存在となっていることからも明らかだ。また、ソフトウェアは今では社会を変える原動力と位置付けられており、それを抜きに成立しない社会的な仕組みも少なくない。

 一方で、そうした状況にある現在、ソフトウェアの不具合が社会的な問題にまで発展する可能性も高まっており、その発生を防止すべく、ソフトウェア開発を手掛ける企業は、 “品質”と“納期”、“コスト”という3つの側面から、開発環境の改善に長らく取り組んできた。だが、「残念ながら、その成果は年々、表れにくくなっているのが実情だ」と打ち明けるのは日本IBMのソフトウェア事業 ラショナル事業部で理事 事業部長を務める渡辺公成氏である。その理由として渡辺氏が指摘するのは、「ソフトウェア開発にまつわるさまざまな“変化”」である。

日本IBM ソフトウェア事業 ラショナル事業部 理事 事業部長の渡辺公成氏 日本IBM ソフトウェア事業 ラショナル事業部 理事 事業部長の渡辺公成氏

 実際に、Javaや.NET、Androidなど、近年になりアプリケーションの多様化が進み、システム構成も複雑さを増すことで、ソフトウェア開発において、より多くの知識や知見が求められるようになっている。また、オフショア開発の進展に伴う開発拠点のグローバル化により、メンバー間の密なコラボレーションも困難になりつつある。さらに、ソフトウェアへの要求が高度化したことで、ユーザーの意図を正確にくみ取ることも一筋縄ではいかなくなっている。

「これらの問題に代表されるように、技術革新によるソフトウェアのさまざまな変化によって、従来型の改善手法では対応困難な問題がいくつも顕在化しつつある。そうした中で今後もソフトウェアを経営の“武器”として活用し続けるためには、開発手法を抜本的に見直すことが急務となっているのだ」(渡辺氏)

 では、これからの理想とされる開発の“在り方”とは果たしてどのようなものなのか――。その“解”を提示すべく、IBM Rational Softwareが10月19日に東京ドームホテルで開催するソフトウェア開発/デリバリー担当者向けの年次イベントが「Innovate 2011」である。「ソフトウェア開発が変わる。Rationalが変える」との副題が冠された今回のテーマは、一言でいえば“Rationalの手法とツールによる開発スタイルの変革”だ。

大規模なアジャイル開発の“効果”と“課題”

 Innovate 2011は午前中に開催される2つの講演と、午後に用意された「マネージメント」、「エンタープライズ」、「CLM」、「モノづくり」の各テーマに沿った合計21のセッションにより構成される。そのいずれにも共通する話題が、「ウォーターフォール型開発からアジャイル開発への変革」。つまり、同イベントはエンタープライズ・ソフトウェア技術者やマネジャー、組み込みソフト開発者、ユーザー企業の導入推進担当者など、ソフトウェア開発に携わるさまざまな立場の方々に、多様な角度からアジャイル開発に利用する各種ツールや、その実践手法に関する情報を提供する“場”と位置付けられる。

 アジャイル開発というキーワードは開発現場で話題に上って久しい。そのメリットを知る技術者も多いはずだ。システム開発の規模を限られた範囲に設定し、ユーザーと開発者が一体となり、要件定義からリリースまでを短期間に繰り返してソフトウェア全体の完成度を高めるこの手法であれば、これまで挙げてきた課題に対して柔軟に対策を講じることが可能。その結果、ウォーターフォール型開発に起因する各種問題の抜本的な解決も見込むことができる。

 だが、渡辺氏によると、こと国内においては依然としてウォーターフォール型開発からの脱却にまで至らない企業が大半を占めるのが実情なのだという。

「確かに現場レベルではアジャイル開発に関心を示す技術者も数多い。しかしながら、基幹システムでは安定性が重視されるあまり、開発が“保守的”になりがちだ。特にマネジャー層でそうした意識が強く、そのことがアジャイル開発へ移行する“壁”となっているのだ」(渡辺氏)

社員のコラボレーションまで支援する「CLM」

 こうした状況から脱却するには、アジャイル開発に用いるツールそのものと、ツールの適切な使用法や社内における展開方法をまとめた方法論が欠かせない。そこで、日本IBMがその両者を解説するために今回のイベントを通じて取り上げるのが、IBM Rationalのテクノロジー・プラットフォーム「Jazz」をベースに開発されたCLM(Collaborative Lifecycle Management)製品群である。

CLMのコンセプト図 CLMのコンセプト図

 具体的には、エンドユーザーと開発者とのコラボレーションを支援し要件を円滑にまとめ上げることを支援する「Rational Requirements Composer」と、プロジェクトの進ちょくや各メンバーの役割に関する情報を管理するための「Rational Team Concert」、ソフトウェアのテスト結果や、改修方法についてまとめた「Rational Quality Manager」の3製品がある。それらで収集されるあらゆる情報はシングルリポジトリで一元管理され、開発スタッフは全員がそれらに自由にアクセスし、必要な情報を得ることができる。

 もっとも、それらは一見しただけでは、ソフトウェア開発の各段階における要件や工程、成果物、承認履歴といった要素のすべてを一元管理し、ソフトウェア開発力の強化につなげるための「ALM(Application Lifecycle Management)」製品と混同されがちだ。だが、両者はその目的において一線を画す。前者は一連のライフサイクルにおける成果物管理を主眼に用いられるケースがほとんどであるのに対し、後者は、SNS機能やチャット機能、各種のデータ連携機能などにより、プロジェクトメンバー間でのリアルタイムなコミュニケーションを支援し、情報連携のみならずプロジェクトメンバー同士を結び付けることに重きが置かれているのだ。

 ドキュメントが存在していても、下流工程では上流工程における各種判断の理由を推し量ることは難しい。だが、CLMであればドキュメントにひもづけられて管理されている担当者の情報を基に、たとえ地理的に離れていても実際に接触を取り、その理由を気軽かつ迅速に問い合わせることができるという。

 加えて、「過去のコミュニケーション履歴などもドキュメントに添付されているため、修正が発生した場合には誰がどういう意図で変更したのかまで掘り下げて把握できる。その結果、判断の意図をくんで作業にあたり、工程間のコミュニケーション・ロスに起因する納期遅延やコスト超過の防止が可能になるわけだ」と渡辺氏は強調する。

ETL機能でリアルタイムな状況判断を支援

 加えて、日本IBMではCLMで収集された情報を経営情報に変換する「Rational Insight」も用意。同ツールのETL機能を利用して異なるデータソースからプロジェクトとソフトウェアの情報をデータウェアハウス(DWH)に蓄積し、例えば、障害の原因について、障害発生件数やソースコードの変更率、ユーザーごとの更新率などを、分析ツールを用いてさまざまな角度から検証することも可能となっているのだ。

 一般的に大規模開発プロジェクトでは毎週、進ちょく確認などを目的にしたミーティングが開かれるが、そこで共有される情報というのは最悪の場合、1週間も前のものである可能性がある。

「Insightで分析したリアルタイムの情報をダッシュボードに提示し、プロジェクトマネジャーに確認してもらうプロセスを経れば、無駄な作業の発生も防止できる」(渡辺氏)

 しかも、オープン性を極めて重視して設計されており、既存のALM製品とも容易に連携を図ることが可能だ。過去の膨大な情報やIT資産を引き継ぎつつ、段階的な開発環境の高度化も実現されるのである。

東京海上日動の事例セッションも用意

 では、最後に各セッションを概観してみよう。午前中は、ポルシェやフェラーリのデザインを手掛けた奥山清行氏による、「グローバル競争力」や「デザイン力」をテーマとした特別講演のほか、日本IBMの渡辺氏がCLMのデモンストレーションをまじえ、ビジネスに直結したソフトウェア開発力を実現するための道しるべとなる講演を行う。

 午後は、テーマ別のブレークアウトセッションを実施する。アジャイル開発に設計のかじを切るには社内の合意を取り付けることも必要となることを踏まえ、「マネージメント」ではビジネス視点でのアジャイル開発の有効性を解説するセッションを中心に用意。また、「エンタープライズ」で注目されるのが、東京海上日動システムズが自社のアジャイル開発への取り組みを紹介するセッションだ。

 「CLM」では、製品そのものについて詳しく解説した後に、アジャイル開発の実施方法を具体的に解説する。とりわけ方法論について深く知りたい方には格好のセッションと言える。「モノ作り」は、組み込み型ソフトウェアの開発がテーマである。事例セッションも豊富に用意され、組み込み型ソフトウェアの開発の“今”を垣間見ることができるはずだ。

 統合された情報により社員のコラボレーションを支援し、ソフトウェア開発の最適化を実現する――。アジャイル開発におけるこれらのメリットを享受し、ひいては不透明さを増すビジネス環境の下で競争力を高めるためにも、Innovate 2011を見逃すことはできない。

「Innovate 2011」セミナー情報
日時 2011年10月19日(水)
10:00〜18:00
会場 東京ドームホテル
プログラム プログラム一覧を見る
入場料 無料
お申し込みの際は以下コードをご記入下さい。
(92346)

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年10月19日

「Innovate 2011」セミナー情報

日時 2011年10月19日(水)
10:00〜18:00
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