ビッグデータ時代にもRDBMSが欠かせないワケとは?企業の情報活用を再点検

ビッグデータに対する企業の関心は急速な盛り上がりを見せている。だが、技術的なハードルや導入コストなどの課題もある。こうした中、企業の情報活用におけるRDBMSの価値が改めて注目を集めている。RDBMSは従来から多くの企業が導入する“枯れた”技術であり、SQLで開発を行うことで、データ分析環境を迅速に整備できるのだ。マルチベンダーとして豊富な経験と実績を持つ伊藤忠テクノソリューションズに取り組みを聞いた。

» 2012年09月26日 10時00分 公開
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まずは既存のデータベース環境を見直そう

 情報活用の重要性の高まりを受け、“ビッグデータ”に対する企業の関心は盛り上る一方である。背景には、世の中に生み出されるデータがソーシャルメディアをはじめとする非構造化データを中心に爆発的に増え続ける中で、それらの分析を通じて他社と差別化する糸口をつかみたいという企業の明確な狙いがある。

 しかし、である。企業は以前からデータベースの利用を通じて業務データの収集に積極的に取り組み、活用してきている。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のITエンジニアリング室で室長補佐を務め、ミドルウェア技術部長でもある中川裕路氏は、「企業は業務に応じていくつものデータベースを導入し、以前から活用を進めている。その結果、企業内にはすでに膨大な情報資産が蓄積されている」と情報活用における企業の現状を説明する。

伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室 室長補佐兼ミドルウェア技術部長の中川裕路氏 伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室 室長補佐兼ミドルウェア技術部長の中川裕路氏

 ビッグデータが秘める可能性の大きさについて、疑念を挟む向きはもはやあるまい。ただし、「その活用までの道のりは決して平坦なものではない」と中川氏。事実、テラバイト級以上のデータを効率的に処理するには、「Hadoop」といった分散処理技術などが求められるが、その利用のためのスキルやノウハウの習得にはある程度の時間が必要だろう。新技術に対応したシステムを導入する際のコストも決して小さくない。情報活用で先を行く米国でも、ビッグデータ活用で成果を上げた企業はまだわずかに過ぎないというのが実情だ。

 そうした中、改めて注目を集めているのがRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)である。RDBMSは企業が長らく慣れ親しんだ、いわゆる“枯れた”技術。加えて、こなれたSQLで開発を行うことで、データ分析環境を柔軟かつ迅速に整備できるというわけだ。しかも、RDBMSは業務に必須の存在であることから、今後もデータが日々蓄積され続けるだろう。

 「現状でデータベース内の情報を十分に活用しきれている日本企業はまだそれほど多くないと思われる。しかし、それは情報活用を高度化できる余地がまだ残されているということだといえよう。ビッグデータに向け、手始めに既存のデータベース環境を見直し、分析に取り組むことが、成果をより早く上げるための現実的な“解”と考える」(中川氏)

マルチベンダーを武器に数多くの企業へシステム導入

 ではRDBMSに存在するデータを活用するにあたり、どういった点が課題となるのだろうか。企業では業務現場の要望を踏まえ、段階的にシステムを整備し、拡張が図られてきた。その結果、各業務システムでデータベースが個々に存在し、それらの間でデータの整合性が十分にとれていないことが、全社規模での情報活用を阻む原因となっている。必要な情報を入手するために、手作業でデータを抽出するケースも少なくないという。

 この問題の抜本的な解決策が、散在したデータベースを統合するためのデータ管理基盤の整備である。これにより、社内データが一元化されることで可視化が進み、データベースの運用コストも大幅に削減される。加えて、これまで人手頼りだった情報集約の作業も軽減され、一元的なセキュリティ対策なども可能になる。

 ただし、データ管理基盤の整備を進めるにあたっては考慮すべきことも少なくないという。

 「例えば、サーバの統合手法は物理統合や論理統合など複数存在するため、自社のシステム環境を的確に把握し、最適な手法を選択する必要がある。また、長年の運用されてきた基幹システムのRDBMSなどには複雑なカスタマイズがなされていることが多く、その場合には、OSやミドルウェアのバージョン選定などで事前に検討を重ねることも、移行を確実に成功させる上で欠くことができない」(中川氏)

 こうした中、CTCでは長年の実績に裏打ちされた高い技術力とノウハウを武器に、企業のデータベース統合の支援に取り組んでいる。同社がデータベース事業に参入したのは1992年。以来、20年にわたって金融やテレコム、製造、流通など、幅広い企業のデータベース導入支援をマルチベンダー環境で手掛けている。特にデータベースの統合については、ネットワークを含めたシステム全体の設計から構築、運用、サポートまでを一貫して手掛け、企業が統合を進めやすいようソリューションとして提供している。

 「あらゆるニーズに対するマルチベンダーとしての最適環境と、データ管理基盤に求められる高信頼性、柔軟性の提供が我々の大きな強みとなっている。もちろん、お客さまごとに管理すべきデータの種類や可用性、処理能力など、システム要件に違いがあるので、CTCでは専任のエンジニアを配置し、要件に応じたデータ管理基盤を整備できる体制を用意している」(中川氏)

検証環境で新旧技術の効果を見極め、適切に使い分け

 CTCにはコスト削減、システム運用の効率化、といった観点からデータベース統合の依頼が寄せられ始めているのだという。CTCではそれらの企業に対して、将来的なデータ増を見据え、パフォーマンスの向上策やコスト削減策の一環として、データ管理基盤の提案を推進している。

 提案のきっかけは、ハードウェアのリプレースや処理の高速化などさまざまだ。ただし、データベースを利用し続ければ、必然的にデータ量も増加することは変わらず、可用性やパフォーマンスを維持するにはデータ管理基盤の整備が必要となる。ならば、これを機に、情報活用の仕組みも整備しようというのがCTCのアプローチだ。「業界ごとに分析にあたってのKPI(重要業績評価指標)は異なるが、業務まで深く理解した専任のエンジニアが、システム整備のみならず情報抽出まで総合的に支援できる体制を整えている」と中川氏は説明する。

 提案にあたり、同社のシステム検証環境である「BigData Processing Lab」も大きな強みになる。ここで採用を検討している技術の有効性を事前に確認でき、そこで得られた情報やノウハウを実際の構築にフィードバックできる。

 ビッグデータへの関心が高まる中、「データベースのリプレースにあたりHadoopの採用を検討する企業も増えている」(中川氏)。そうした企業に対してCTCでは、BigData Processing Labで新旧技術の比較検討テストを求めに応じて実施している。

 「Hadoopは膨大なデータを高速に処理できることが強みであるが、処理を分散させるためのオーバーヘッドが存在するため、ある程度のデータ量がなければ強みを発揮できない。データ量自体が少なければRDBMSで処理を行う方が高速なケースもある。処理の内容やデータ量など、顧客の環境を忠実に再現することにより、最適であるかどうか判断する。こうしたことを実際に体感できる環境を整えている」(中川氏)

 一方、ハードウェアの性能向上とともに、その処理能力を生かしたRDBMSの新たな機能も注目されている。I/Oが極めて高速なフラッシュディスクも登場しており、それらを組み合わせれば、RDBMSのパフォーマンスを従来よりも大幅に向上する。BigData Processing Labで比較検証することでそのメリット、デメリットを見極め、「RDBMSの活用を見込めるケースでは、その採用を提案する」(中川氏)のがCTCのデータベース導入/統合におけるアプローチなのである。

データから価値を生むための人材育成にも注力

 CTCでは将来を見据え、ビッグデータへの対応にも余念がない。企業の情報分析における課題として長らく指摘されてきたのが、ITの知識のみならず、マーケティングや統計/解析の知識まで兼ね備えた分析スタッフの育成である。分析対象となるデータが急増する中にあって、こうした人材の必要性がさらに高まることが推測される。

 同社は顧客業務に明るいSEを選抜し、セミナーや研修を通じて分析スキルを養成することで「データサイエンティスト」の育成に注力する。

 また、ビッグデータ関連スキルを持つ人材を集めた全社横断型の「ビッグデータビジネスタスクフォース」も設置。RDBMSとビッグデータの両輪で企業のデータベース活用を支援する考えだ。

 一方で、取り扱うデータベース製品が増えるほど、それらの使い分けを通じて顧客のニーズに柔軟に対応することが可能となる。そこで同社では、今年に入りIBM製品のサービス提供を強化するなど、マルチベンダーとしての強みをさらに発揮している。

専門アナリストたちがデータベースの未来を語る!

 こうした取り組みをユーザー企業のIT担当者などにより詳しく紹介するべく、「企業のビッグデータ活用を支えるRDBMS」と題したセミナーイベントがCTCと日本IBMの協賛により10月25日に開催される。

 本セミナーでは、既に多くの企業で導入されているRDBMSの価値を再定義するとともに、HadoopやNoSQL、あるいはインメモリ型データベースといったビッグデータ関連技術ではなく、慣れ親しんだRDBMSを用いて、コストやリスクを抑えたビッグデータ基盤をいかに構築するかについて議論する。

 基調講演は、IT調査会社のアイ・ティ・アールのシニア・アナリストで、リサーチ統括ディレクターを務める生熊清司氏が登場し、「ビッグデータの現実解 ―データ活用を最大し、ビジネスに貢献せよ―」をテーマに講演。停滞する経済環境から抜け出し、日本企業が新たな成長戦略を模索するためにはこれまで以上の情報活用が求められている。本セッションでは、そうした状況の中、ビッグデータに関する情報を整理し、ビッグデータを活用するための現実解を明らかにする。

 CTCのセッションでは、ビッグデータ時代を見据えたRDBMSのあり方に着目。ハードウェアの進化やデータの大容量化に伴ってRDBMSも性能向上を続けており、今後ますます企業で求められる役割は広がっていく。そこで今一度、データ基盤としてRDBMSのあり方を整理するとともに、情報活用にまつわる企業の課題を解決するための“失敗しない”RDBMSの選択を提示する。

 日本IBMは、同社のデータベース製品「IBM DB2」の新機能と事例を通じて、時代の要求に対応するためのRDBMSの可能性を紹介する。商用製品として初めてRDBMSがリリースされてから四半世紀以上も経過するが、今なお主要な技術として存在意義を持ち続けている。DB2は進化の過程において、ビッグデータへの対応や運用管理コストの削減、ダウンタイムの削減といった要求を積極的に取り込んでおり、企業に大きな価値をもたらすことが期待されている。

 以上のようなセッションの内容に耳を傾けることで、将来に向けたRDBMSの可能性をより肌で感じることができるはずだ。ビッグデータ時代を生き抜く“術”を身に付けるべく、ぜひとも足を運んでみてはいかがだろうか。

日時 2012年10月25日(木)14:00〜16:20(受付 13:30〜)
会場 アイティメディア セミナールーム(赤坂王子ビル 7F)
※東京メトロ銀座線・半蔵門線「青山一丁目駅」3番/4番出口より徒歩4分
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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2012年10月25日