ビジネスの変化が早い昨今、その変化に素早く追随できる、営業部門の体制を整えることは企業にとって喫緊の課題だ。属人化しがちな営業のスキルやノウハウを効率よく共有するためにはどうすればいいのか。その答えは「自動+自然」なツール連携にある。
刻一刻と変化するビジネスに追随し、素早く対応する――。何が起こっても柔軟に対応できるよう営業体制を整えることは企業にとって喫緊の課題だ。そんな課題を解決し、属人化しがちな営業のスキルやノウハウを効率よく共有するためのツールとして注目を集めているのがCRM(Customer Relationship Management)。しかし、せっかく導入したのに効果が見えてこないと悩む企業が多いのも事実だ。
CRMのよさは、会社の財産ともいえる“社員の営業スキル”を掘り起こして可視化し、共有できる点にある。
もともと営業の仕事は、スキルやノウハウが属人化する傾向がある。ある人は後輩に“一子相伝”のように売れるノウハウを伝え、ある人は社内のカリスマ営業マンの仕事ぶりを「盗んで」仕事を覚えていく――。多くの日本企業で、いまだにこうした“昔ながらのノウハウの伝達方法”が重んじられている。
こうした方法が悪いわけではないが、スピードが重視される昨今のビジネス環境を考えると、効率の面で限界が生じ始めているのも事実だ。優秀な営業マンが隠し持っている特定顧客の攻略法、ベテラン営業マンが周囲のごく一部の人間にしか明かしていない営業スキルといった、社内に眠る貴重なノウハウを掘り起こし、より広く共有できる仕組みが求められており、それを可能にする「ナレッジマネジメント」「グループウェア」「SFA」といったITソリューションを導入する企業が増えているのだ。
こうしたITソリューションは、社内の知見を共有して営業活動を活性化させるものだが、せっかく導入したにもかかわらず、想定通りの効果が挙がるのは一握りにすぎないといわれている。それはなぜか?
もちろん、企業ごとの事情にもよるところもあるが、最も多く聞かれるのは“情報の入力が煩雑”という現場ユーザーの声だ。
営業支援システムの多くは、日々の活動内容を“その都度”システムに入力することを求める。経営陣やマネージャー層は、現場活動状況や進ちょくを日々把握することで、いち早く適切な打ち手を講じようとしているわけで、そのためには当然、なるべく詳細で正確な情報をリアルタイムで現場スタッフに入力してもらわなければならない。
しかし、情報を入力する現場の人間からすると、報告書や日報を作成する手間そのものが煩雑と感じてしまいがちだ。その時間を顧客訪問にあてれば、当然ながら成約数も上がるだろう。営業のためになるはずのシステムが、逆に営業活動の足を引っ張ってしまう状態に陥ってしまうのだ。
ましてや、複数のシステムに情報を登録するとなればなおさらだ。顧客情報を基幹システムに登録し、スケジュールはグループウェアに登録し、見積もりは商談管理システムに登録し、ちょっとした知見は別途ナレッジマネジメントシステムに登録する……このように、情報の種類ごとに別のシステムに登録するのが、多くの企業で当たり前のように行われているのが実情だ。
しかも、複数のシステムに同じような情報が散財することで、入力が二度手間になるだけでなく、情報の鮮度や精度を保つのも難しくなってしまう。そんな状況で、システムに登録された営業情報を調べても「どのシステムにどんな情報があるか分からない」「どの情報がより新しく正確なのか分からない」となるのがオチだ。
それでもシステム化されていればまだマシな方かもしれない。日報のExcelファイルを単に社内のファイルサーバに放り込んでいるだけでは、眠っている知見やノウハウを掘り起こす術はもはやないに等しい。
こうした従来の営業支援システムの限界を克服し、企業の営業活動を真に支えるソリューションの提供を目指しているのがマイクロソフトだ。同社の営業支援システムといえば、CRM/SFAアプリケーションの「Dynamics CRM」が代表的だが、そのほかにもグループウェアのExchange/Outlook、ナレッジマネジメントツールのSharePoint、コミュニケーションツールのLyncなど、さまざまなアプリケーションを提供している。
だがここまで述べてきたように、アプリケーションの数が多くても、それらが社内でバラバラに運用されている状態では、結局は現場に根付かずに終わってしまう。
そこでマイクロソフトが出した答えが「クラウド」だ。先ほど挙げたさまざまな業務アプリケーションを、クラウド上で連携させるのだ。さらに各アプリのデータを、「営業の案件管理」という切り口でシームレスに連携させることで、“日々の業務を遂行していれば自然と”営業情報が蓄積される仕組みを実現している。
例えば、ある営業案件に関するメールをOutlookから送ったとしよう。そのメールの内容を共有しようとする場合、関係者をCcやBccに入れるのが一般的だ。しかしこれでは、後になって営業の案件情報として参照したり、あるいはメールを受け取った人以外がその内容を確認するのは難しい。
マイクロソフトが提供する営業支援ソリューションは、Outlookのメール機能とDynamics CRM Onlineの営業案件管理がクラウド上で自動連携しており、特定の案件に関するメールは自動的にDynamics CRM Onlineにコピーされ、案件情報の一部として管理される。改めてシステムにメールの内容を入力しなくても、いつも通りにメールを送るだけで、自動で案件にひも付くのだ。
同じように、Outlookの予定表からDynamics CRM Onlineの案件管理ページに直接飛ぶこともできる。ある案件に関する打ち合わせや訪問の予定が予定表に入っていれば、そこからクリック1つで案件に関する情報が網羅されているDynamics CRM Onlineの画面にアクセスできる。メールと同様に通常業務の延長線上で、自然と情報共有が促進されるわけだ。
Dynamics CRM Onlineと連携できるのはOutlookだけではない。マイクロソフトが提供する業務アプリケーションの総合クラウドサービス「Office 365」に含まれる、あらゆるアプリケーションの機能がDynamics CRM Onlineとの連携機能を備えている。
例えばコミュニケーションツールのLync Onlineを使えば、営業マンが顧客訪問中に社内の担当者をチャットやビデオ会議で呼び出し、商品やサービスに関する詳しい情報を聞いたり、自身に代わってプレゼンしてもらうようなことも可能だ。その場で問い合わせや課題を解決することで、“宿題”となる案件を減らし、スピーディーな商談が可能になる。当然、成約率も上がるだろう。
あるいは、文書・情報共有アプリケーションのSharePoint OnlineとDynamics CRM Onlineを連携させれば、案件に関連する資料をチーム内で素早く共有できる。ユーザーは、いつも通りSharePointのフォルダに作成した営業資料を保存すればいい。あとはシステムが自動的にそのドキュメントを対象の案件とひも付けてくれるため、Dynamics CRM Onlineの案件管理ページ上からも参照可能となる。
作成した資料を後から編集する場合も、SharePoint Onlineの機能を使えば離れた場所にいる担当者同士で同じドキュメントを共同編集できる。こうした機能を使えば、情報共有が促進されるのはもちろん、資料の作成や管理が効率化され、本来の営業活動により注力できるようになるはずだ。
さらに、Dynamics CRM Onlineには営業活動全体のプロセスをフローで管理し、次に取るべきアクションを自動的に提示してくれる機能も備えている。
各アクションを完了したというチェックをして、初めて次のステップへ進める仕様になっているため、重要なタスクの抜けや漏れによる営業機会の損失を最小限に抑えられる。それぞれのプロセスとフローは各企業のニーズに合わせたカスタマイズが可能で、適切な段階で顧客に提案すべきセルアップ製品や代替製品をシステム側が自動的に判断し、提示する機能まで実装している。
現場のユーザーに情報入力の手間をほとんど意識させず、「普段の業務を遂行しているうちに、いつの間にか営業情報が蓄積される」――。これがマイクロソフトが目指す営業支援ソリューションの姿だ。そしてDynamics CRM OnlineとOffice 365を中心に、クラウド上でさまざまなアプリケーションが自動連携することで、それを実現しようとしているわけだ。
マイクロソフトは今やアプリケーションベンダーであると同時に、世界屈指のクラウドベンダーでもある。クラウドで各アプリケーションの情報を共有することで、働き方を変える連携ソリューションが実現できることを同社は示している。今後はさらに広範なアプリケーション連携を実現し、より効率的かつユーザーフレンドリーな営業支援ソリューションを目指すそうだ。
「現場に根付きやすい」「本当に使える」営業支援ソリューションを模索している企業にとって、マイクロソフトのクラウドソリューションの動向は今後も注視すべきものであるだろう。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日