データをビジネスに生かそうと、多くの企業でBIツールの導入が進んでいる。数多くのBIツールがしのぎを削っているが、それが結果に結び付かないケースも多いのが現実だ。データ分析への取り組みが失敗してしまう理由は、一体どこにあるのだろうか。
ビッグデータ時代を迎えた今、データは業務の副産物ではなく、ビジネスを進化させる主役となりつつある。データ活用の観点からデータ分析ツールを検討したり、既に導入しているという企業は多い。しかし、いざツールを導入しても「思ったような成果が上がらない」と悩むケースもあるのではないだろうか。
データ分析にこうした“カベ”が生まれるのは、多くの企業で使われるBIツールに課題があるためだ。問題はどこにあるのか、そしてビジネスに活用できる知見を得るためにはどのようなツールを導入し、どう活用すればいいのか。BI分野のエキスパートである、SAS Institute Japanの畝見真氏に話を聞いた。
――多くの企業でBI(Business Intelligence)ツールの導入が進んでいますが、効果を上げている企業はほんの一握りで、多くの企業はBIツールを使いこなせていないとよくいわれています。その理由はどこにあるのでしょうか。
畝見氏: 従来のBIツールはもともと「簡単に使える」ことがメリットだとして、企業に導入されていきました。ところが、実際に導入した企業からは「とてもビジネスユーザー自身が使いこなせるものではない」という声を耳にします。結果、ユーザー部門は新たな情報が必要になるたびに、IT部門にレポートの作成を依頼しなければならなかったのです。
結局、ユーザー部門がタイムリーに情報を活用、分析することは困難であり、BIツールは定型帳票の閲覧、あるいはデータ抽出ツールにしか使われないのが実情でした。これは、どの業種、業態の企業にも共通する悩みになっています。
こうした従来型BIツールの課題に対し、市場は変化しつつあります。米Gartnerは“機能性”よりも“使いやすさ”がBIツールにおける最大の購買基準になっているとしていますし、米Forrester Researchは、BIによって成果を出したいユーザー企業は“セルフサービス型BIツール”を導入すべきだと指摘しています。その背景には、ユーザー部門が求めるデータの要件が目まぐるしく変化し、IT部門の対応が追い付かなくなっていることが挙げられます。
――ユーザー部門にとっては、変化に即応する情報を素早く入手できず、IT部門にとってはユーザー要求への対応やDM(データマート)の維持・管理の負担が大きいという課題があるわけですね。
畝見氏: そうです。そしてデータをビジネスに生かすという観点では、現在普及している多くのBIツールは、データの“見える化”までは行えますが、成果に結び付く“分析”はできないと言わざるを得ません。
――“見える化”とはどういうことでしょうか。
畝見氏: “見える化”とは、定型のレポートなどに代表される、過去に起きた事象を可視化することを指します。もちろんこの“見える化”も企業の情報活用にとって重要な要件の一つですが、これだけでは、次にどうすべきかという判断を「勘」と「経験」に頼らざるを得なくなります。これでは、BIツールの導入前と何も変わりません。
データをビジネスに生かそうとするならば、この“次の打ち手”こそデータに基づいた判断で行う必要があるのです。この“見える化”の次のステップをSASでは“予見力”と呼んでいます。可視化した過去の事象に基づき、高度な分析を施すことで今後の傾向を予測、最適な対処法までを明らかにすること。すなわち“見る”“知る”“予測する”の全てを包含しているのが“予見力”なのです。
――この“予見力”を得るためには、どのようなソリューションが必要になるのでしょうか?
畝見氏: 課題を解決するには、“分析”が必要ですが、そのための事前データ整備や、分析結果を分かりやすく示すレポーティングも必要です。SASでは、データの統合から分析、レポーティングまで全てに対応する統合分析基盤「SAS Business Analytics Platform」を提供しています。
このSAS Business Analytics Platformの中で、BI機能の中核を成すのが「SAS Visual Analytics」です。“見える化”はもちろん、一切の専門知識なしに、初級レベルの統計解析・予測・データマイニングまでが可能であり、導入企業のデータ分析を“見える化”から“予見力”を発揮するレベルまで引き上げます。これはSASだけが提供できる価値だと自負しています。
――SAS Visual Analyticsについて、もう少し詳しく教えてください。
畝見氏: この製品はインメモリテクノロジーを活用してビッグデータの分析を、見やすいグラフィカルな形で容易に、そして超高速で実行し、その結果をモバイル環境で共有できる新世代のBIツールであり、従来型BIツールの課題を解決するソリューションです。
ビジネスユーザーにとっては、データの視覚化が大きな武器となります。SAS Visual Analyticsには、データの自動チャート化機能が搭載されており、見たい項目を選択するだけで最適なチャートを自動的にビジュアライズできます。ビジネスユーザー自身がその場で階層順を指定して、即座にドリルダウンすることも可能で、バブルチャートをアニメーションで動かせることで、問題箇所の特定や比較分析も直感的に行えます。
レポートやダッシュボードもビジネスユーザー自身で簡単に、素早く作成でき、そのレポートは即座にモバイル環境での共有が可能です。出先でも場所を問わずに分析結果を確認できるようになれば、判断までの時間が飛躍的に短くなるでしょう。
――SAS Visual Analyticsは、競合製品に比べてどのような優位性がありますか?
畝見氏: 技術的な面で言えば、SAS Visual Analyticsの大量データ高速分析は、インメモリ分析エンジン「SAS LASR Analytic Server」によって支えられています。複数サーバ構成で並列負荷分散処理を実行できるため、データ容量や利用ユーザー数が増えても、サーバノードをスケールアウト型で追加するだけで、柔軟かつ継続的に拡張できます。一般的にありがちなスケールアップ型のインメモリ型BIツールと異なり、われわれの製品に限界はありません。
機能面では「統計解析」機能の有無でしょう。従来型BIツールでは、帳票やレポートを作成して公開、共有するための「プロダクション レポーティング」と呼ばれる分野の製品が主流でした。
しかし今、企業が求めるのは帳票やレポートではなく、「データディスカバリBI」「データビジュアライゼーションBI」あるいは「セルフサービス型BI」と呼ばれる、ビジネスユーザー自身でデータから新たな知見を得ることです。この分野にも競合製品はありますが、そのほとんどは過去の実績を“見える化”するだけで、統計解析や予測機能は備えていません。
そして、もう一つの差別化ポイントにライセンス形態の違いがあります。多くのBIツールは利用ユーザー数に応じて課金する形態を採用しています。これはスモールスタートには向きますが、全部門や全社のユーザーに展開しようとすると、コストが高額になるという欠点があります。それに対して、SAS Visual Analyticsはサーバのコア課金になっており、利用ユーザー数は問わない。仮にBIツールを全社に展開したとしてもコストを抑えやすいのです。
――なるほど。それではSAS Visual Analyticsを導入し、ビジネスで成功している事例を教えていただけますか?
畝見氏: 国内ではインターネット通信販売会社の事例があります。同社では顧客の行動や取引実績などの膨大な情報をOracle Databaseで管理し、必要に応じてデータベースからデータを取り出してMicrosoft ExcelやAccessで加工・集計を行っていました。しかしその作業負担が大きく、問題になっていたと聞きます。
こうした課題を解決するため、同社はSAS Visual Analyticsを導入しました。コストや性能、実績、拡張性に優れ、自由な切り口で柔軟にデータ分析が行えることから、反復して実施するデータ加工・集計作業の効率を高め、作業負担を従来比でわずか10%にまで減らすことに成功したのです。
海外では、ビッグデータから洞察を引き出し、役員が最適なタイミングで最良の情報に基づく意思決定を下すことに成功した金融機関の事例、そして新規顧客獲得と1000万会員の離反防止、クロス・アップセルに貢献した流通・小売業の事例などがあります。さらに国内外の鉄道会社、通信会社、ヘルスケア企業など業種業界を問わずにSAS Visual Analyticsが活用されています。
――最後に、SAS Visual Analyticsに代表されるBIツールを導入するにあたり、企業にとって重視すべきポイントを教えてください。
畝見氏: 企業にとって最も重要なのは、情報を活用することの目的やゴールを明確にすることです。変化の激しい時代において、企業がデータを活用するのは、やはりビジネスに直結する成果を出したいという目的があるはず。例えば「売上を10%増やしたい」「在庫を8%削減したい」といったものです。しかし、これをゴールとするならば、過去の実績を“見える化”しただけでは成果は望めません。成果を出すためにはその手段として先を見通すことができる“統計解析・予測・データマイニング”がどうしても必要になってくるのです。
ゴールを立てて、そこに到達するためのロードマップを描くことも重要です。まずは“見える化”から始め、徐々にステップアップし、手段や分析内容を高度化していくことが大切です。ロードマップを描けば、今、何をすべきか自ずと見えてくるでしょう。
BIツールを導入する日本企業の中には、「まずは過去の実績を集計して素早く表現する“見える化”が必要」というケースも少なくありません。SAS Visual Analyticsはデータを分かりやすく可視化してデータ活用するための機能が充実しています。そういった企業が“見える化”から、先を見通す高度な分析への第一歩を踏み出すのに、自信を持ってお勧めできるBIツールです。
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提供:SAS Institute Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2015年9月23日