一度導入すると、なかなか乗り換えられない――。長年、そういわれてきたグループウェアの世界に今、変化が起きている。クラウド化に伴ってコストや機能を見直す機運が高まる中、“選ばれ続けるグループウェア”はどんな進化を遂げているのか。
一度導入すると、なかなか乗り換えられない――。長年、そういわれてきたグループウェアの世界に今、変化が起こっている。企業を取り巻く環境が激変する中、以前に比べて乗り換えを検討する企業が増えているというのだ。
その理由として挙げられるのは、クラウド化の進展だ。これまでオンプレミスで運用してきた企業がグループウェアのクラウド化を進めており、切り替えのタイミングで機能やコストの見直しを図るようになってきている。安価なクラウド型グループウェアをWeb企業が提供し始めていることも、その動きに拍車を掛けている。
しかし、こうした環境の変化にもかかわらず、長期にわたってユーザーに愛され続け、乗り換え先の候補に上がり続けているグループウェアもある。ネオジャパンが開発を手掛ける国産グループウェア「desknet's NEO」だ。
desknet's NEOはなぜ、オンプレミス時代からクラウド時代に至るまで企業に選ばれ続けているのか。製品開発のコンセプトや他社製品との違い、今後の開発の方向性について、ネオジャパン代表取締役社長の齋藤晶議氏とマーケティング統括部の稲見璃々子氏に話を聞いた。
同社のグループウェア開発の歴史は長い。1999年にリリースした「iOffice2000」、その後継製品として2002年に登場した「desknet's」、そして2012年より提供されている最新版の「desknet's NEO」と、その時代に求められる機能や仕様を取り入れながら進化を続けてきた。
desknet's NEOは「現場を支え、現場の課題を解決し、現場に応えるグループウェア」というコンセプトのもと、現在も多くのユーザーが利用している。同社によれば、2015年9月時点の利用者は累計323万ユーザーに達したという。
「メール」「カレンダー(スケジュール)」「共有ストレージ」といった、いわゆる“基本機能”は、近年、グローバル展開で知られるWeb企業が極めて安価に、場合によっては「無料」で提供することも当たり前になりつつある。
そうしたサービス提供が広がりを見せる中、「desknet's NEOから安価なネットサービス系ツールへと移行したものの、また戻ってくるユーザーも少なくない」と稲見氏は言う。
「実際にグローバル企業が提供するツールを使ってみることで、日本企業独自の組織構造や業務の進め方にツールが合わなかったり、必要な機能が不足していたりといったことが分かり、再検討するケースもあるようです」(稲見氏)
この場合、基本機能に次いで“業務現場で頻繁に使われるアプリ”の使い勝手が問題視されることが多いという。日本企業に欠かせない「会議室予約」や、組織構造に基づく稟議(りんぎ)や決裁のルールに合わせた「ワークフロー」はそのいい例だ。
安価な製品には、そもそもこれらのアプリが用意されていなかったり、ユーザーインタフェースが企業の求めるクオリティに達していなかったりすることがあり、desknet's NEOに慣れたユーザーは「不便に感じる」という。こうした小さな不満の蓄積が、“移行前の状態への回帰”を促す大きな要因になり得るというわけだ。
昨今のグループウェア市場は成熟が進んでおり、ベンダーが“他社にはない独自性”を打ち出すのが難しくなっている。
こうした中、ネオジャパンでは「ITリテラシーに依存しない基本機能の使いやすさ」「業務の効率化を後押しする豊富な機能」「グループウェアの枠にとらわれない先進性」という3つのポイントを重視して、他社製品との差別化を図っているという。
「基本機能の使いやすさ」は、現場のユーザーひとりひとりが、各機能を使うときにストレスを感じないようにするための仕掛けであり、主にユーザーインタフェースの「分かりやすさ」に由来する。
「現在、多くの企業で、“グループウェアを使うことが当たり前の状況”になっています。そこから最大の効果を得るためには、全ての社員が使いこなせるツールであることが大前提です。desknet's NEOは、ユーザーの年齢やITリテラシーのレベルに関わらず、ストレスなく使えることを重視した開発を行っています」(稲見氏)
“使いやすさ”につながる工夫は、随所に盛り込まれている。例えば、ユーザーがログイン後に最初に目にする「ポータル画面」には、画面上部に最新情報をティッカー表示する機能や、対応が必要な未読メッセージ数を通知するアイコンを配置するなど、自然と新たな情報に気付かせる工夫が見て取れる。また近年、業務で一般的に使われるようになったタブレットからの閲覧を考慮した画面構成なども、その1つという。
「業務をサポートする機能」は、周辺アプリケーションの拡充という形で提供している。
現在、desknet's NEOでは「25」のアプリケーションを標準で提供している。基本機能に加えて「ToDo」「設備予約」「回覧・レポート」「アンケート」「プロジェクト管理」、さらには「備品管理」「購買予約」「仮払精算」「タイムカード」「安否確認」など、一般的な企業の業務で必要となる機能が一通り用意されている。
2015年6月にリリースされた最新バージョンでは、ユーザーの“かゆいところに手が届く”と注目を集めた機能が実装された。経費精算の手間を軽減する「乗換案内Biz」との連携機能だ。スケジュール登録時にこの機能を使って出発地と到着地を入力すると、移動に最適な経路と交通費の計算を、ユーザーがその場で行え、月次の締め日には、経費精算と移動交通費の申請を合わせて行い、承認のワークフローに乗せることができる。CSV形式でのエクスポートや一覧印刷なども可能となっており、自社の運用形式に適した活用が可能だ。
「これまで交通費精算は、申請する社員、処理をする経理担当者のいずれにとっても、大きな負担になっていました。近年では交通ICカードと現金とで運賃が異なることもあり、負担がさらに増えています。この機能には、少しでも現場の負担を減らしたいという狙いがあります」(稲見氏)
他にも最新版では、desknet's NEO上の各画面(ポータル、インフォメーションなど)への動画張り付け機能、画像アップローダーへの画像編集ツールの実装など、さまざまな機能強化が図られている。これらの機能も、業務に必要な作業を行う際に、いちいち外部サイトやほかのアプリを立ち上げるという煩雑な作業を避け、効率よく業務を進めるために搭載したサポート機能の一例だ。
「グループウェアの枠にとらわれない先進性」というポイントは、同社の社長である齋藤氏自身がエンジニアであり、製品開発に深く関わっていることに由来する、desknet's NEOの大きな差別化要因だ。
例えば、今では多くのWebアプリケーションに使われている「Ajax(Asynchronous JavaScript+XML)」を、2006年当時、国産Webグループウェアとしていち早く取り入れたのがdesknet'sだった。
近年では「Facebook」や「LINE」で一般的になった、ショートメッセージによるリアルタイムのやりとりを、グループウェア上で実現する「ネオツイ」を標準機能として実装している。グループウェアとしての標準機能や使い勝手を洗練させながら、世の中で広く使われると予想される先進技術や機能を積極的に実装する取り組みが、desknet's NEOの独自性を際立たせているのだ。
現在、desknet's NEOは、メジャーバージョンアップを年1回、細かい仕様変更やバグフィックスなどを行うマイナーバージョンアップを半年に1回というペースで行っている。開発における主に技術面でのコンセプトは「全てのサーバ環境、クライアント(ブラウザ環境)で正しく動作するものを作ること」であると、齋藤氏は強調する。
「例えば、ブラウザ環境への対応については、ネオジャパンのエンジニアがW3Cの仕様に目を通し、それにのっとって開発しています。もし、何らかのブラウザで不具合が出るようなら原因を特定し、ブラウザ側の実装に問題があれば、“エンジンを開発しているコミュニティーに知らせて自ら手を入れる”ところまでを手掛けるケースもあります」(齋藤氏)
こうした作業を行うことで、リリース時にはブラウザ環境の違いによる不具合の可能性を最小化する。ひいてはそれが、導入するユーザー側での管理コスト、サポートコストを削減することにつながるというわけだ。こうしたスタンスはサーバ側の開発についても同様だ。現在、desknet's NEOは、多様なOS、データベースに対応し、AWSを含む多様なクラウド環境でも動作する。
「desknet's NEOは、その時々に広く使われている、あらゆるサーバOS、DBといったプラットフォーム、あらゆるクライアント環境で動く製品であることが、多くのパートナーやユーザーに、今後も使い続けてもらうために重要なことだと考えています」(齋藤氏)
齋藤氏は今後、業界特有の使われ方を取り入れ、製品開発に生かしていきたいと話す。
例えば、500以上の自治体で採用され、約16年間自治体からの改善要望を反映させてきた「desknet's NEO」には、ほとんどの自治体ですぐに使える25種類のアプリケーションが標準で搭載され、職員間での情報共有に役立てられているという。
「自治体に向けた取り組みを通じて、いろいろと新たな気付きがありました。同様に他の業界についても特有のニーズをつかみ、軽いフットワークで製品開発に取り込むことで、一般企業向けのdesknet's NEOも成熟させていきたいと考えています」(齋藤氏)
日本企業にグループウェアが根付いて20年近くがたった。長らく同じ製品を使い続けてきた企業であっても、変化の激しい今の時代においては、何らかのタイミングで刷新や移行を検討するのが当然のことになってきた。
その中で、desknet's NEOが選択肢に挙がり続ける理由は、常に最新のユーザーニーズと技術要素を盛り込みながら「グループウェア」の固定概念を打ち破る改善を続けているからにほかならない。
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提供:株式会社ネオジャパン
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2015年12月8日