身近になる生体認証は利用者の安心・便利・満足を育むか?防犯用途だけじゃない

パスワードなどに比べてセキュリティレベルが高いとされる生体認証が注目を集めている。これまで導入の複雑さを心配する向きもあったが、最近では構築や設定まで“お任せ”で導入しやすい環境が整ってきた。これからはどんな利用シーンが期待されるのだろうか。

» 2016年07月11日 10時00分 公開
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 オフィスや店舗などのセキュリティでは、監視カメラやIDカードの入退室管理システムなどが利用されている。重要な場所には生体認証装置も加えて安全性を高めているところもあるが、従来の生体認証システムは構築や運用が難しいことから、導入に二の足を踏んでしまう企業が少なくなかった。こうした課題が解決された使いやすいシステムなら、従来の防犯に加えて利用シーンのさらなる広がりが期待される。具体的にどのような効果が想定されるのか、ここでは介護福祉施設に導入したケースを記事上でシミュレーションしてみたい。

福祉施設に潜むセキュリティリスクの解決に

 とある介護福祉施設「まほろばの杜(もり)」の職員として着任した鈴木太郎。彼は事務方の責任者を務めるだけでなく、元々ITについての知識もあったことから(とはいえPCをいじるのが好きだという程度だが)、施設内のPCや複合機などの維持管理も期待されていた。

 さて、ITに詳しいとされた鈴木が着任したことには、もう一つの理由がある。

顔認証

 まほろばの杜は多数の入居者(ご老人)がいるとともに、彼らへの面会者も訪れる。入居者は部屋にいるだけでなく、思い思いに施設内や庭などで日中を過ごす。

 彼らが過ごす施設は、その性質上バリアフリーが徹底され、フロアや部屋を仕切るドアも大きく開けやすいものだ。自動ドアになっている場所も多い。当然施設内には、診療情報をはじめとする入居者の個人情報が保管されているし、個室には私物や金品がある。

 単独で行動している入居者を見つけたら、怪我のないよう保護しなければならない。漏えいしたり盗まれたりするわけにはいかない情報や物が多い割には人の出入りが盛んという難しい環境だが、こういった課題をITで解決できないか――と、鈴木は期待されているのだ。

万一の時に備えて

 当然ながらまほろばの杜では、要所に監視カメラを設置している。しかし「撮影した映像を一定期間保管するだけ」という運用であり、何か問題が起こった後にその状況を確認することはできるが、それを未然に防ぐまでには至っていなかった。

 監視カメラは機器が老朽化するし、撮影データも定期的に整理しないといけない。外部の協力会社に維持管理を委託していたが、ある日、鈴木は彼が考えている課題を協力会社に相談してみた。すると、「カメラの撮影データをもとに、入居者や面会者を判別して施設への入退管理ができる」ということであった。なんでも、「顔認証システム導入セット」という製品があるという。

 その仕組みはこうだ。まほろばの杜のエントランスを例に説明すると、あらかじめ入居者やその家族の「顔写真」を個人情報の許諾を得た上でデータとして登録しておき、カメラが人物の顔を認識したら、登録されている顔データと照合する。登録された顔データと一致すれば、エントランスのドアが開くが、そうでなければ職員が声を掛ければいい。これだけでも、部外者の侵入を防げるだろう。

 それに、利用者を追加登録できるため、例えば、何度も訪れる友人に同意を得て顔写真を登録すれば、受付での確認が不要になる。来訪時に認証装置に体を触れるような操作も不要だ。また、不審者の侵入を防ぐ防犯の役目だけでなく、入居者の入退場管理にも活用できる。履歴が残ることから、もし入居者が予定時間になっても戻らないというようなケースにも即座に対応できる。IDカードの盗難や紛失といった心配もない。

さらなる信頼を育む

 他にも、登録した顔データを使った新たな活用も考えられる。例えば、施設内で行われる薬剤の支給や運動能力の計測について、カメラの情報と連動させることで、誰がいつ薬を渡したのか、どのスタッフが運動能力を計測したのかなど、確実に記録を残せる。記入漏れや間違いが減るだけでなく、施設にとっては、従来のように紙で記録して保管する手間が省けるようになるし、入居者やその家族にとっては記録の透明性が担保されることで安心できるだろう。ひいては、まほろばの杜への信頼にもつながる。

 まほろばの杜の運営事業者は、他にも全国各地で複数の介護施設を展開している。実際にカメラと連動した顔認証システムの有効性を実感した鈴木は、他の施設でも導入を検討しようと考えるのであった――。



便利な生体認証が身近に

 さて、顔や指(指紋や静脈)、音声といった身体的な特徴から個人を識別する生体認証は、暗証番号やパスワードのように人間の記憶に依存することがなく、IDカードのように盗難や紛失の心配も少ないことから、利用者の利便性を確保しながら高いセキュリティレベルを実現できる技術であることを読み取っていただけただろうか。これまでは空港などの出入国管理や政府機関などの重要施設での採用が中心だったものの、技術の普及に伴って民間でも利用が広がりつつある状況だ。

顔認証 顔認証の特徴

 NECは、実は40年以上にわたって指紋認証や顔認証などの生体認証を研究開発しているこの分野のパイオニア企業である。同社は、生体認証システムを世界70カ国以上で700システム以上導入した実績を持ち、特に世界ナンバー1のスピードと精度を誇る顔認証技術は、40カ国以上の出入国管理システムなどに採用されている。

米国政府機関主催のコンテストでトップ評価を獲得 

 上述のエピソードで触れたように顔認証は、カメラで撮影した映像から人物の顔を検出し、事前に登録されているデータと照合することで本人を特定する仕組みだ。指紋やIDカードなどを専用の読み取り装置にかざすといった動作を利用者にさせる手間がなく、認証された人ならハンズフリーで通過できることから、利便性が高い。また、顔画像付きで認証履歴を保存できることから、いつ、誰が、どこで入退室をしたのかといったことも容易に確認できる。

 NECの顔認証エンジン「NeoFace」は、出入国管理システムや、最近ではマイナンバー制度における本人確認など幅広く利用されている。「NeoFace」では目や口、鼻といった多くの部位の位置情報を正確に検出して利用する「多点部位検出法」や、顔表面の濃淡情報を利用する「多元特徴識別法」、1枚の画像から顔の向きなどが異なるさまざまな画像を生成して活用する「摂動空間法」の3種類の方法を用い、表情や加齢、姿勢、明るさといった認証条件の変化に柔軟に対応しながら、高い精度で本人を特定可能だという。

 このような特徴を持つ顔認証技術だが、従来は国家レベルの大規模なシステムや特殊な施設向けのシステムなどで個別に構築するケースが一般的だった。しかし、民間での利用拡大には容易に導入、構築できることが求められるため、NECでは新たに顔認証システム導入セットを開発したとのことだ。

 顔認証システム導入セットは、顔認証ソフトウェアを事前にインストールしたNECの「Express5800シリーズ」スリム型サーバをベースに、対応カメラが4台までの「スタンダードモデル」と同2台までの「エントリモデル」の2つをラインアップする(別途IPカメラが必要)。これに、システムの構築とカメラのパラメータやアラートの仕方などの設定を同社グループのNECフィールディングが実施してくれる「導入展開支援サービス」や「保守サービスパック」がセットで提供される。導入環境に応じてPoEのL2スイッチやディスプレイ、電子錠と連動するためのLANIOモジュールもオプションで組み合わせられる。

 同セットを利用すれば、中堅・中小規模のオフィスや店舗、施設などにも顔認証システムを手間なく容易に導入することができる。監視カメラ1台あたり5人まで同時に認証できることから、既設の入退室管理システムをリプレースして防犯レベルを高めたり、利用者にメリットある新サービスの実現につなげたりしていけるだろう。

顔認証 顔認証システム導入セットのシステム構成イメージ

生体認証で実現する「より安心」「もっと便利」な社会

 冒頭で紹介した介護施設における顔認証システム導入セットの利用シーンでは、入居者やその家族が安心して施設を利用できるようになり、施設側も利用者から信頼に応えられるメリットを享受できる。顔認証システム導入セットは、こうしたケース以外にもさまざまな利用シーンでメリットを提供してくれるだろう。

 想定される利用ケースの一つが、万引き被害に悩むスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアをはじめとする小売店だ。直接的な被害はもとより、店内を常時監視しなければならないスタッフや警備員の人件費も大きなコストになっている。小売店側としては、捕まえるという対処方法ではなく、できるだけ未然に防ぐ「抑止効果」をもたらすことで、地域の安心・安全に貢献したいと考えているところも多い。

 顔認証システム導入セットを活用すれば、店舗入口に設置した監視カメラ映像から顔検出し、リアルタイムに防犯リストと照合を行い、不審者がいた場合スタッフに通知される。スタッフは、彼らの行動を気にかけることで、効果的な「抑止」につなげることができるだろう。それ以外の時は、スタッフも接客や商品の管理といった本来の業務へ専念できるようになる。

 もう一つのユースケースで期待されるのは、ゴルフ場やスポーツジムなど会員制サービスを提供している場所での“おもてなし”の実現だ。

 こうした場所では、会員の顔や人柄、好みを熟知しているベテランスタッフの存在が顧客の満足度に直結する。しかし、会員の来店時にたまたまベテランスタッフがいなかったり、退職によって他のスタッフが対応せざるを得ない場合、行き届いた顧客サービスの提供が難しくなってしまう。

 そこで会員には、事前に“お客様情報”として顔認証システムに顔画像を登録してもらい、顧客データとともに管理することで、次に来場・来店した際にはVIPとして迅速に対応できるようになる。また、特定のスタッフに依存せず、従業員全体でサービスの質を維持できる。

 会員にとっても、常に質の高いサービスを提供してくれることに安心するし、例えば、受付でわざわざ名乗らなくてもスタッフが対応してくれるような新しい体験をすれば、より満足することだろう。こうした顔認証システム導入セットの活用は、サービスを提供する側にも利用する側にも多くのメリットをもたらす新しいスタイルである。


 このように生体認証は、もはや身近な存在であり、従来のセキュリティシステムでは難しかった「便利・安全・満足」を兼ね備える新しいサービスや使い方を実現できる。NECの顔認証システム導入セットのような製品なら、生体認証を手軽に導入し、いち早くメリットを享受することができるだろう。生体認証は今後ますます活躍の場が広がると期待されるだけに、その利用を検討してはいかがだろうか。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2016年8月10日