日本国内でも導入企業が増えているIFRS(国際財務報告基準)。その最新基準IFRS16号が、2019年1月から適用される。今回の変更は国内企業にどのような影響を及ぼすのか。市場に先駆けてIFRS16に対応した固定資産管理ソリューションを提供するプロシップに聞いた。
従来、各国ごとに異なっていた会計基準を、世界的に標準化するために考案されたのが、国際財務報告基準、通称「IFRS(イファース)」である。日本では、2010年から任意適用が認められ、2016年12月現在で、IFRSの適用済み企業は101社、IFRS適用決定企業は27社に及んでいる。プロシップ システム営業本部 巽俊介氏は、「合計128社という企業数は、国内上場企業数のわずか3〜4%に過ぎません。ただし、その多くが大企業で、128社の時価総額を合計すると、上場企業全体の時価総額の約30%を占めています」と説明する。
東京証券取引所の公表データによると、128社以外にも「IFRS適用を検討中の企業」は213社とされている。巽氏は、「これからの2〜3年年でIFRS適用企業更に増加し300〜400社にも達するでしょう」(巽氏)と今後の展望を語る。
今後、多くの企業への導入・適用が見込まれるIFRSでは、2019年1月に新基準のIFRS16号(以下、IFRS16)の運用がスタートする。企業はどのような影響を受けるのだろうか。
IFRS16は、簡潔に述べると借手におけるリース契約は原則すべてオンバランスを要求している。つまり、サーバや複合機のようなオフィス機器、自動車などをリースで借りている多くの企業において、実務上大きな影響が出てくると考えられている。
例えば、全国に支店や営業所がある企業が、各支店・営業所の営業車をリース契約していた場合を想定してみる。1台300万円以上もする営業車をファイナンスリースで保有している企業は、ほとんどないだろう。つまり、従来ほとんどの企業では「営業車のリース契約をバランスシートに記載する必要はなし」だったのだ。
ところがIFRS16では、オペレーティングリースを含め、ほぼ全てのリース契約をバランスシートに記載することが求められる。そのため、営業車のリース契約について「財務諸表への記載は必要なし」だったのが、一転して「詳細を把握して記載すべし」となってしまう。
上述の通り、多くの上場企業では300万円以上のファイナンスリースのみ財務諸表にオンバランス化しており、それ以外はオフバランスとしているため、現場の請求書払いで業務が完結しており、本社経理では情報を把握していない。そのため、「経理担当者の業務負荷の増大は計り知れない」と巽氏は指摘する。
さらにIFRS16は、主な定量的開示として下の図1のような開示項目を要求しており、現在と比べ開示項目が増える事は確実であるといえる。
従来と異なる点として、まずファイナンスリースとオペレーティングリースの区分が廃止され、全ての借手リース契約に対して開示が必要になる。さらに開示対象として、建物賃借契約などの、不動産に関するリース取引も含めた開示が必要となる。また(2)と(3)の認識の免除規定を採用している短期と少額資産リースは、これまで開示情報として必要がない項目であったが、今後は開示対象に含まれるため、本社経理は免除規定を採用したリース契約についても情報管理が必要となる点に留意したい。
「動産リースの場合はリース会社より同種の情報提供がなされるケースが想定されるが、リース会社とのやり取り以外のリース契約がある場合は、いかにそれら契約の開示情報を集めるかが検討のポイントとなる」と巽氏は指摘する。
これまで不動産リース契約の多くは、オフバランス処理を実施しており、リース取引として識別していなかった会社も多いため、本社経理では情報を把握していないケースが見受けられる。ただし、今後はこれらの契約もオンバランスの対象となり、他のリース契約と同様に残高管理が必要となるため、統制上の観点からも現行の管理方法の延長で対応可能か慎重に検討する必要がある。
特に大きな影響を受けるのは、「小売業や金融業、物流業など、多店舗・多拠点に展開している企業」(巽氏)だという。それらの企業は、不動産リースもオンバランス化されるという事を念頭に、業務プロセスの見直しが必要になる。また重要性があれば、現行システムに追加登録することや、新規のシステム導入も視野に入れた検討が必要になるだろう。
IFRS16への移行にともない、新たな業務プロセスやシステムの構築を考えていかなくてはならない。IFRS16の運用開始は2019年1月だが、「まだ先のこと」と先送りしていると、間に合わなくなる恐れがある。というのも、IFRS16への対応には準備期間を含め「1年半〜2年ほどかかる」(巽氏)からだ。
なぜ、そこまで時間がかかるのだろうか。IFRS16に対応するには「従来、把握していなかったリース契約について」「その内容を明らかにして詳細を把握し」「財務諸表に記載する」ことが求められる。企業の経理担当者にとっては、子会社まで含めた膨大なリース記載を洗い出し、その1つ1つについて契約内容、期間、金額などを把握しなおさなくてはならない。
まずは、現状を把握し、IFRS16適用に伴う影響額を試算する。その後に会計・業務システム方針の検討、業務プロセス手順の見直し、システム改修といったフェーズに移るためには、多大な時間と労力が不可欠なのだ。巽氏は、「システム改修以上に時間がかかるのが、その前段階となる業務の検討や見直しであり、適用開始日に間に合わせるには、十分な準備期間が必要になる」と指摘する。
ここまで見てきたように、IFRS16の適用は、経理部門の業務が増大する可能性が高い。しかし、これを効率化するソリューションが用意されている。プロシップの「ProPlus」だ。ProPlusは、2017年2月現在、IFRS16の適用に対応している唯一の固定資産管理ソリューションである。また、市場シェアも大きく、全上場企業の約25%がProPlusを導入済みであり、ノウハウも豊富だ。
ProPlusの特徴的な機能としては、「複数帳簿対応」と「自動判定」の2点が挙げられる。複数帳簿対応とは、1契約に対して、日本とIFRSなどの基準毎の管理が可能であり、帳簿毎に残高管理やリース期間の保持が可能だ。この複数帳簿対応を利用すれば、例えば、営業車に関するリースの際も、日本基準はオフバランス、IFRS基準はオンバランスにする処理もできる。
またリース取引判定も基準毎の差異(図2参照)があるため、効率化、正確性の担保の観点からも、人手を介さずシステムによって判定するのが最も効果的であると考えられる。ProPlusは登録と同時に各基準に従った判定を自動的に行える仕組みになっている。
また長期的なリースでは、途中で契約内容が変更されることも珍しくない。その際にIFRS16では、リース契約の条件変更時にはリース債務の再測定を要求している。つまり、変更後の契約条件に合わせた帳簿価格の修正と、変更日から残りの契約期間で償却計算、利息計算を実施する事が必要となる。
「不動産リースの家賃交渉や再リース契約の更新など、1契約に対して複数回の変更がある場合など、実務上管理が相当煩雑になる事が想定されるため、システム上の必要機能となると考えられます」(巽氏)
巽氏は「日本基準では再測定のような規定は存在せず、IFRS16になって初めて求められた機能。そのためこうした機能は、従来の固定資産システムには存在しなません。IFRS16にいち早く対応したProPlusであれば、契約条件に応じて再測定を行うことが可能です」と、他社に先駆けてIFRS16に対応した特徴を強調する。
また、プロシップでは、IFRS16に移行するために企業が取り組むべき「リース契約の洗い出し」を含む、影響分析から新業務策定をサポートする準備があるという。あわせてIFRS16適用に伴う影響額を試算するツールも提供できる。これは経理担当が経営層に対して、IFRS16の適用によってどのくらいの財務的インパクトがあるのかを説明するための数値を導き出すツールだ。リース物件の契約期間と1回当たりの賃料を入力することで、ProPlusと同様に、複雑な計算をすべて行ったうえで、10年先までバランスシートなどへの影響を出すことができる。
「現在、多くの企業が、IFRS16への対応へ向けて、試算に取り組もうとしています。経営にどれくらいの影響があるかを見定めたいからでしょう。しかしExcelの計算式で試算するのは、大きな負担です。当社では手間を少なく、正確に試算するためのExcel用のツールを用意しています。ProPlusの顧客でなくても提供できますので、ぜひ声をかけてください」(巽氏)
2019年に大きな変化を迎えるIFRS。プロシップでは、将来的に、IFRSの変化に応じて日本の会計基準の改正も行われると予測しており、その変化も見越したうえで、さまざまな機能の開発・対策を行っている。IFRS対応を検討しているなら、2年後を見据えてプロシップのProPlusの導入を検討してみてはいかがだろうか。
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提供:株式会社プロシップ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2017年3月26日