Windows 10移行の“鍵”はここにあった――シーバイエスが採った秘策とは

業務用のPCを、最新のOS環境へ移行させることは不可欠だが、事前に準備をしないと、業務に支障をきたす可能性もある。とりわけWindows 10は、継続的な機能改善が進められていることから、対応が難しいとされる。シーバイエスは、とある“切り札”を使い、自社単独では困難だと見込まれたWindows 10への移行プロジェクトを遂行する計画だ。同社の移行作業を可能にしたものとはなんだったのか。

» 2017年07月31日 10時00分 公開
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Windowsの進化に追い付いていないシステム

 クレンリネス(Cleanliness:清潔)とサニテーション(Sanitation:衛生)を事業ドメインに据え、業務用洗浄剤や清掃機器、さらに各種コンサルティングサービスの提供を手掛けるシーバイエス。同社は国内の衛生管理業界において“知る人ぞ知る”存在だ。その前身は家庭用洗剤などで有名なSCジョンソン(本社米国)が母体であり、日本法人を立ち上げたのは1962年にまでさかのぼる。以来、継続的なM&Aによって国内の事業基盤を固めるとともに、業容も急速に拡大させてきた。

 大きな転機が訪れたのは2012年。それまで外資系企業という立ち位置であった同社は、MBOにより独立企業として再出発することを選択した。しかしながら、近年オフィスビルではカーペット敷きの床が多く、床用ワックスの販売機会が減少するなど、その市場環境は厳しさを増している。そうした中、同社では、食品安全を目的としたフードセーフティに代表される新規事業へのいち早い参入や、IoTによるサービス高度化計画などによって、次なる飛躍に向けた事業の再構築を推し進めている最中だ。

 そんな同社は現在、2019年度をめどにした全社的なWindows 10への移行プロジェクトに取り組んでいる。背景には、同社の基幹システムが2000年に導入されて以来、一切更新されずに運用されてきたことで、業務に欠かせないPCの進化にシステム側が対応しきれなくなったという事情がある。

シーバイエス Windows 10への移行プロジェクトに取り組むシーバイエスのISグループ

 シーバイエスのISグループでグループマネジャーを務める井上基之氏は、「当社の基幹システムは、グローバルでの情報共有に向けた同一環境の維持との米国本社の考えから、導入後、一切手つかずの状況にあります。その一方でWindowsはバージョンを重ね、技術革新が進むことで、ついにWindows 8からはWebブラウザでのアクセスに不具合が生じる状況に直面してしまったのです。以来、新規PCの調達時には、Windows 7へのダウングレードで何とかしのいできました。しかし、そのための作業は煩雑です。また、Windows 7のサポートも2年半後の2020年1月には終了します。このうち、特に後者によるセキュリティリスクは、600台以上のPCを保持する我々にとり、決して看過できるものではなかったのです」とこれまでの経緯を説明する。

Windows 10への移行に悩まされる理由とは?

シーバイエス ISグループ グループマネジャーの井上基之氏 シーバイエス ISグループ グループマネジャーの井上氏

 塩漬け状態の基幹システムは、シーバイエスにとってずっと懸案事項であった。「そのために、現状では数世代機能が遅れています」と、井上氏は説明するが、この状況を放置しては他社との競争に大きな悪影響を及ぼしかねない。MBO時に改修作業も検討されたが、時間的な制約から見送った経緯もあった。

 この状況を打開すべく、同社は対応策の検討に着手。その結果、約半年前にまとめられた方策は、(1)Windows 10対応に向け、新規導入なども含めた、Windows 10対応を絶対条件とする基幹システムの刷新、(2)Windows 10 PCへの全社的な切り替え、という2つを柱とするものである。

 ただし、こと後者に関しては、同社は大きな不安を抱えていたという。Windows 10はOSの継続的なアップグレードを目的としたWindows as a Service(WaaS)というコンセプトが新たに採用されている点で、従来のWindows OSと一線を画す。シーバイエスのISグループでインフラ担当マネージャーを務める鈴木啓太氏は、「そのメリットとして、より短期間で脆弱性への対応ができることなどが期待されますが、その半面で、自社で管理方針の決定がしにくく、かつ過去の経験やノウハウが活用しにくくなることは明白でした。これらを考慮すると、OSのリプレースによって運用が非常に厄介になるとの危惧を抱かざるを得なかったのです」と振り返る。

シーバイエス ISグループ インフラ担当マネージャーの鈴木氏 シーバイエス ISグループ インフラ担当マネージャーの鈴木氏

 もちろん、移行方針が固まって以降、ISグループはWindows 10の情報収集に奔走。ただし、「Windows 10は現状でも新機能の追加などが随時、行われている関係から、入手した情報が本当に正しいとは限らなかったのです」(鈴木氏)。万一、情報が誤っていた場合には、各種対応の積み重ねが水泡に帰すリスクも抱えていたのだ。

 このように、いわば確証もない中でのWindows 10対応の模索が強いられてきた同社が一筋の光明を見出したのは2017年3月。過去、Office 365の導入で協力を得た東芝クライアントソリューションから、Windows 10を導入展開する際の支援サービス「Windows as a Service 2Days ワークショップ」(以下、2Daysワークショップ)を紹介されたことがきっかけだ。

途方に暮れていた中での一筋の“光明”

 東芝クライアントソリューションはWindows 10の導入の計画から展開、運用、撤去・更新までの支援サービスを包括的に手掛ける。このうち、2Daysワークショップは計画段階の課題の洗い出しと、解決を通じた運用法の見極め支援に焦点を絞ったサービスだ。具体的な内容は、まず初日にWindows 10の導入メリットをかみ砕いて説明し、併せて機能と品質の維持/向上を目的とした、WaaSによるOSアップデートの目指すべき在り方を企業とともに検討する。翌日には、初日の検討結果を基に、環境構築と更新に必要な具体的な知識やノウハウを、ハンズオン形式で実機を用いつつ伝授するという2日間の集中トレーニングである。

 2Daysワークショップはシーバイエスの悩みに正面から答えるものであったという。シーバイエスのISグループでレポートサービス担当の藤岡宗徳氏は、「当社単独での情報収集には限界があります。その徒労感もあり、外部業者の確認を受けつつ作業を進めることを抜きに、Windows 10への移行は到底できないとの思いが日増しに強くなっていました。そうした状況で2Daysワークショップを紹介され、その中身から、『これこそ我々が欲していたサービスだ』と容易に確信できました。いわばわらをもつかむ思いで即座に受講を決断したのです」と力を込める。

 事実、2Daysワークショップの内容の濃さは予想以上であったという。中でも同社が高く評価したのが「情報の正確性」と、「実地トレーニングの中身の濃さ」だ。まず情報の正確性に関しては、2Daysワークショップで、数日前に発表されたばかりで、まだ解説記事なども少ない情報まで扱われていたことが大きかった。そのアップデートの速さから、「受講内容と資料に一部で食い違いがあったほど(笑)。ただ、それほどの迅速な情報提供は我々にとって講習費以上に価値あるものでした」(藤岡氏)。ワークショップでは社内のシステム環境に起因する課題抽出も行われ、クライアントPCの台数の多さから、既存のWAN環境ではアップデート時での帯域不足に陥るリスクも明らかとなった。

 一方実地トレーニングの中身の濃さについては、シーバイエス側の参加者が4人と少人数であったこともあり、講師やサポート役といわばマンツーマンに近い形でWindows Server Update Services(WSUS)による環境構築や、アップデート時の作業の流れを実体験できた。「これにより、新たなリリース時における、更新管理の具体的な作業をきめ細かに習得でき、Windows 10への移行に向け大きな自信となったのです」と鈴木氏は頰を緩ませた。

知識や技術の提供を越えた手厚い支援も

 シーバイエスは現在、2Days ワークショップで獲得した知識を基に、Windows 10の運用計画の立案を精力的に進めている。ただし、まだ課題もある。社内ネットワークに接続されているPCであれば、更新プログラムや機能アップグレードをWSUSにより管理でき、更新のタイミングを制御することも可能だ。しかし、同社には日頃、社内ネットワークに接続される機会の乏しい、営業スタッフが持ち歩いているPCが全国に多数存在する。

 また、職種によって基幹系システムを利用するか否かも考慮に入れる必要がある。基幹系システムを利用するPCであれば、動作確認のために更新をできるだけ遅らせた方が望ましいことは明らかだ。

 「PCのネットワーク環境や使い方の違いなどから、どのタイミングでどうアップデートするかの方針策定に少なからず手間取っています。選択肢はいくつかあり、営業スタッフのPCなら、Windows Updateに頼り切るのも1つの手。予算が割けるなら、より厳格な管理のために、マイクロソフトのクラウド型デバイス管理基盤であるMicrosoft Intuneを導入する方法もあります。ともあれ、今後のスケジュールを考えれば、管理ルールの決定を急がなくてはなりませんが、手法別のメリットとデメリットをまとめた比較表の提供を受けるなど、東芝クライアントソリューションには今でも大いに助けられています」(井上氏)

 その上で同社では、テスト機を社内に導入し、机上の案を現場で確かめ、その結果を見た上で、リプレースに向けた部門別の優先順位付けを行って、全社移行に取り組む計画だ。実作業にあたっては、作業円滑化とISグループの負荷軽減のために、東芝クライアントソリューションが提供する、「Windows 10 移行サービス」の利用も視野に入れているという。中でも藤岡氏が目を付けているのが、「Windows 10 リプレース支援サービス」である。

シーバイエス ISグループ レポートサービス担当の藤岡氏 シーバイエス ISグループ レポートサービス担当の藤岡氏

 「今回の移行作業ではPCの刷新を予定しています。そこで必要なのが、社員がこれまで蓄積してきたデータの移行です。従来、こうした作業は我々自身が行ってきましたが、600台もPCがあるとなると片手間の作業では対応しきれません。東芝クライアントソリューションさんのサービスを利用すれば、作業のほとんどを一任でき、空いた時間をより重要な作業に充てられます。何とか予算を確保し、確実かつ楽に作業を完了させたいものですね(笑)」(藤岡氏)

 東芝クライアントソリューションに対する同社の評価は現状、非常に高く、「ここまでの対応に文句は一切ありません」と鈴木氏はほほ笑む。すでに同社ではWindows 10移行後の策として、顔認証機能の利用なども視野に入れているが、東芝クライアントソリューションはWindows 10への移行後も、シーバイエスのパートナーとして大いに力を発揮することになりそうだ。

シーバイエス

 1962年の創業以来、さまざまな空間と製造工程における、クレンリネス(Cleanliness)とサニテーション(Sanitation)分野でのプロフェッショナル向け製品およびサービスを手がけてきたシーバイエス(C × S Corporation)。

 もともとは米Johnson Companyの業務用部門日本法人、ジョンソン・プロフェッショナルを母体とするが、ティーポール、ディバーシーリーバ、大三工業と統合し、ディバーシーとして事業を行って来た。2012年11月に、親会社であった米国シールドエアーから、MBOによってグローバルビジネスパートナーとして独立を果たし、2014年7月1日に現社名に改称している。

 現在は清潔さや美観、安心、安全、環境に配慮した製品やサービスをキーワードとする分野に商品を展開する。

シーバイエス
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提供:東芝クライアントソリューション株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2017年8月30日