電子化を進めたのに営業活動が効率化しないのはなぜなのか?――弁護士ドットコムに学ぶSalesTech成功のヒント

今、“SalesTech”の中でも特に注目されているのが「電子契約」サービスだ。これまでのハンコ文化を置き換え、契約をスピード化。これにより経営のスピード化まで期待できる。サービスを提供しているのは弁護士ドットコム。同社の実践事例から、SalesTechを成功に導く“本命サービス”の魅力を探る。

» 2019年02月04日 10時00分 公開
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3年で3万社超が採用した弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」

 営業に関わる業務の効率化や営業活動のスピード化を実現できると注目を集めている「SalesTech(セールステック)」。営業(Sales)と技術(Technology)を掛け合わせた造語だが、その中にはこれまでの業務を一変させる可能性を秘めた技術もある。

 その一つが「電子契約」だ。電子契約は、紙の契約書にハンコを押すのと同じことを電子的に行う仕組み。電子文書に施す電子署名をハンコと見なすことで、契約を紙ではなく電子文書で全て完了できる。2001年に施行された「電子署名法」が根拠だが、ビジネス取引の電子化が急速に進み、使い勝手の良い電子契約サービスが登場する中で、一気に普及し始めた。

 そんなブルーオーシャン市場をこれまでにない勢いで切り開いているのが「クラウドサイン(CLOUDSIGN)」だ。文字通り、クラウドで電子契約サービスを提供し、2015年10月のリリースから3年余りで3万社以上に採用された実績を誇る。提供しているのは「弁護士ドットコム」や「税理士ドットコム」などの専門サイトを運営する弁護士ドットコムだ。

ALT ▲「クラウドサイン」は契約締結から契約書管理まで可能なクラウド型の電子契約サービス
ALT ▲「クラウドサイン」の利用イメージ

 電子契約サービスによって、営業における業務プロセスはどう変わるのか――。弁護士ドットコムでは自社製品を自社で試すドッグフーディングを実践しているが、同社のクラウドサイン事業部でセールスマネージャーを務める平皓瑛氏は自社実践の効果について次のように話す。

 「クラウドサインを利用することで、契約締結がスピード化され、さまざまな情報が“見える化”されます。当社では、クラウドサインはもちろん、他社のさまざまなSalesTechサービスを利用しています。これらをうまく組み合わせた営業環境を整備したことで、経営のスピードが格段に速くなりました」

 弁護士ドットコムの実践事例から、SalesTech活用のヒントとビジネスに与える影響を探っていこう。

急成長中のベンチャーが抱えた3つの課題とは?

 クラウドサインは立ち上げ当初(2015年10月)から、弁護士ドットコムの中では注力事業として位置付けられ、組織化には十分投資をしてきたという。画期的なサービスだったこともあり、リリース直後からユーザー数が急増した。

 導入社数が5000社を突破するあたりまでは、意思決定スピードと柔軟性を最大限に確保するために「メンバー全員が事業部長直下」の少数精鋭チームとして運営。リリースから1年3カ月後の2017年1月には導入社数が5000社を突破し、このころから徐々に市場での電子契約の認知度が高まり始めたことで、クラウドサインはさらなる急速拡大に向けた人員拡張を始めた。平氏が入社した2017年10月には、導入者数が1万件の大台を超えていた。

 少数精鋭の時代は、メンバー全員がマーケターであり、セールスであり、カスタマーサクセスだった。ビジネスの拡大とスタッフの増員に伴い、メンバーをそれぞれの役割ごとに切り分け、チーム化することで、それぞれの効果効率を高める方向に舵を切り始めた。その結果、既存メンバーは「パートナーセールス」の専任者、「カスタマーサクセス」の専任者、というふうに各役割の専任者になっていく。

 平氏の入社により発足した新設の「セールス」チームのメンバーは、平氏を含めて2人体制で開始。当時の状況を、平氏は次のように話す。

 「当初は、とにかく増え続けるリードをいかにこなすかに忙殺されていました。業績が右肩上がりでお客さまも増える一方だっただけに、仕組みや組織の面が後手に回っていました」(平氏)

ALT 弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン事業部
セールスマネージャー 平皓瑛氏

 当時の課題は大きく3つあったという。1つ目は、データがあちこちに分散していたこと。顧客管理や営業支援、マーケティングなどのツールは活用していたが、ツール間での連携がとれていなかったのだ。データはツールごとに保存されるため、1つのデータに関連するデータを見たいといったときにすぐに確認できないことが多かったという。

 2つ目は、営業活動を可視化できていなかったこと。契約締結はクラウドサインを用いており、営業をクロージングして契約が行われたかどうかは把握できていた。しかし、それがどのような顧客にどのようなアプローチをした結果、クロージングに至ったかなどまでは把握できていなかった。最終的に担当者に聞いて確認することで時間もかかっていた。

 3つ目は、将来的な営業活動に対する分析ができていなかったこと。分析のためのデータや状況の可視化ができていなかったため、何が原因で営業が良くなったのか、あるいは悪くなったのかを分析できなかった。

 「リード数が伸びているうちは良いのですが、もし伸びが止まった場合、何が原因で止まったのかを知ることができません。当時はこのことに相当の危機感を持っていました」と平氏は振り返る。

CRMデータに契約情報を加えて分析できるように

 こうした営業活動に関する課題を解決するために取り組んだのが、SalesTechツールを活用した仕組みづくりだ。まず、社内でバラバラに使われていたCRMやマーケティングツールをクラウドサインと連携させることで、クラウドサインとCRMツールのデータを統合的に扱えるようにしたのだ。

 また、営業活動を可視化するためにクラウドサインの機能もフルに活用。クラウドサインでは、相手に送信した書類の状況を開封したか、誰が書類を確認中かなど、画面上でリアルタイムに知ることができる。メールや電話で相手に確認しなくても、どこまで進んでいるかをクラウド上で確認、把握できるのだ。

 その上で、取引先情報や契約状況を検索する機能や、更新時期を知られる自動アラート機能、同時に複数の書類を作成しまとめて送信する一括送信機能などを活用して、営業業務の効率化を進めた。

 これにより、例えば、クロージングまでどのくらい時間がかかりそうなのか、クロージングが必要な案件を忘れたりしていないか、更新が必要な契約の時期が迫っていないかなどを、CRMツールの中でスピーディーに把握し、対応できるようになった。

 また、将来的な営業活動の分析については、SalesTechツールを連携させながら、さまざまなデータや指標を業務に組み込んで活用できるようにした。

 「ファンクションごとにツールを最適化し、このツールのデータをこういうふうに使って分析しようということを業務に落とし込んでいきました。例えば、自然に問い合わせがきたリードと展示会で得たリードを見て商談化率や受注率がどう違うのかとか、リードが来てから受注までの日数を見ながら、契約交渉や契約締結までの時間が長い顧客にはどんな特徴があるかなどです。営業するにあたって一番効果的なアプローチをクロージング後の契約情報を含めて分析できる点が大きなメリットです」(平氏)

チーム化とツール活用で飛躍的なスピード経営を実現

 SalesTechツールの整備とともに、組織体制も拡充していった。現在、クラウドサイン事業部は、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスという3つの部隊で構成されている。マーケティングはリードの獲得を、セールスは獲得したリードからの受注を、カスタマーサクセスは提供するサービスの活用サポートをそれぞれ分担し、それぞれに最適化されたツールを活用している。

 営業活動という側面からも、セールス部隊をインサイドセールスとフィールドセールスに機能を分け、顧客の規模やステータスに応じて役割を変える。インサイドセールスは、マーケティングが獲得したリードを効率的に商談化、アポ取りし、小規模な場合は受注までやりきる。規模が大きかったり、関係する部署が多岐にわたったりする場合はフィールドセールスが顧客を訪問し、詳細な資料などを使って受注までを担当する。商談にはオンライン会議サービスの「bellFace(ベルフェイス)」を活用しているという。

 「リード数は公開できませんが、月2000社以上が導入するサービスのリードを数名のインサイドセールスがさばいています。SalesTechツールを整備した背景には、ツールを使わなければ業務を回すことができなかったという事情もありました。実際、1年ほどかけてツールや組織を整えたことで、ユーザー数の伸びをさらに加速させることができました」(平氏)

 SalesTechツールを活用したスピード経営を実現したというわけだ。もっとも、平氏は、こうした営業のスピード化という効果は、契約を紙ベースで行っている企業であればさらに高いものになると指摘する。

 「リード獲得や顧客サポートなど、クロージングの前後については、電子化されていることがほとんどです。営業活動のほとんど全てが電子化されているのに、契約だけが紙で行われている。それが営業のスピードを遅くし、クローズ率や顧客の熱量の低下を招くことにつながっていると思っています。逆に言えば、商談して顧客の熱量が高いうちにクロージングまで進めたいという課題感があれば、クラウドサインによる電子契約は最もマッチしていると思います」(平氏)

 電子化によるスピード化を実現する上で足りなかった“最後のピース”が埋まるというわけだ。

クラウドサインが営業活動にもたらす3つの効果とは?

 実際、クラウドサインを導入することでどのような効果が期待できるのか。平氏によるとメリットは3つあるという。

ALT ▲クラウドサインの導入で期待できる3つのメリット

 1つ目は、契約のスピード化だ。同社のユーザー企業のケースから比較すると、紙では契約完了に2週間かかっていたものが、電子化によってわずか1分に短縮されるという。紙で必要になる印刷や製本、押印、封入郵送、先方押印といった作業が不要になるからだ。「クラウドサインで締結される契約書のうち、約7割が1日以内に締結完了しています」というほどのスピード感だ。

 2つ目は、コスト削減だ。紙の場合、人件費(印刷、郵送、回収、保管作業)、郵送費用(切手代)その他で、1件当たり700円程度かかるという。1000件の契約では、70万円のコストが発生する計算だ。クラウドサインならこの分をまるまる節約できる。また、電子契約は印紙代もかからない。ある証券会社は、印紙代だけで年間1.2億円のコストが発生していたというから、その効果は大きい。

 3つ目は、契約情報の電子化だ。デジタル情報として管理されるため、検索や管理の効率が飛躍的に向上する。紙の紛失といったセキュリティリスクも回避することができる。

 クラウドサインは従来型の電子契約サービスとは違う使い勝手を実現したことも大きなポイントとなっている。従来の電子契約サービスは、公開鍵基盤(PKI)という仕組みを使うことが一般的だった。この場合、契約書などを送受信する双方に電子証明書をインストールする必要がある。契約を結びたい相手に電子証明書のインストールを求めたり、安全に電子証明書(秘密鍵)をやりとりする手段を整備したりすることは大きな手間だ。

 対して、クラウドサインでは受信者は何の準備も必要なく、電子契約を結ぶことが可能だ。契約交渉が済んだ完成済みの契約書をアップロードし、相手方が承認するだけで契約締結が完了する。書類の受信者はクラウドサインに登録する必要すらない。

ハンコに代わる“次のインフラ”としての電子契約

 クラウドサインのユーザーはさまざまな業種に及んでいる。というのも、クラウドサインは契約書に限らず、さまざまな文書を安全にやりとりし、保管するインフラでもあるからだ。

 ユーザーの1社である野村證券では、取引先との健全な取引をして継続的にWin-Winの関係を築くための手段を探していた。ログを残したり、方針の更新を継続的に行うサイクルを構築したりするにあたって、セキュアで簡単に実現できることを評価し、クラウドサインを導入したという。

 なお、既存のCRMツールなどとの連携はAPIを使ってシームレスに行うことができる。Salesforceやkintone、Box、Slackなどと連携することができる。もちろん、基幹システムなどとのつなぎ込みも可能だ。

 平氏はクラウドサイン事業が掲げるミッションは「ハンコに代わる次のインフラとして電子契約が認められる社会を目指すこと」だと話す。ハンコは営業活動における契約だけでなく、行政文書や不動産文書などさまざまな書類で用いられる。それらを含めて「社会が当たり前のように電子契約を利用できるようにしていきたい」という。

 クラウドサインの市場シェアは約8割で、電子契約サービス市場でトップを突き進んでいる(矢野経済研究所調べ 2018年8月末現在)。SalesTechを代表する新しいツールとしてこれからさらに注目を集めることは間違いない。ぜひその効果を自社で確認していただきたい。

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提供:弁護士ドットコム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2019年3月3日

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