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» 2019年03月27日 10時00分 公開

“働き方改革”失敗に悩む企業へ 3社が伝えたい「ピンチをチャンスに変える一手」

働き方改革が思うように進まず、悩む組織は少なくない。成功した企業は一体何が違ったのか、ITmedia エンタープライズ編集部主催のセミナー「『ワークスタイル変革の失敗』を成功に変える──“社員を巻き込み、その気にさせる”方法、教えます」で行われた講演の模様をお届けする。

[PR/ITmedia]
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 働き方改革が思うように進まず、悩む組織は少なくない。成功する企業は何をしてきたのか。本気で働き方改革に挑む経営者は、現場担当者は何をすべきなのか。

 ITmedia エンタープライズ主催のセミナー『「ワークスタイル変革の失敗」を成功に変える── “社員を巻き込み、その気にさせる”方法、教えます』では、さまざまな試行錯誤の末に変革を成功させた企業が、「本質的なワークスタイル変革」の実践方法を紹介した。全国で行われた同セミナーのうち、3月6日に開催された東京会場の様子をお届けする。

離職率50%から0%へ――トークノートの覚悟

photo トークノートの和田郁未取締役

 基調講演『従業員エンゲージメント向上に取り組んだ トークノートのBefore / After』では、同社の取締役である和田郁未氏が、離職率50%を経験した“どん底”から3年でV字回復を成し遂げた同社の具体的な施策について紹介した。

 トークノートは、2011年にリリースされた社内向けSNSサービス「Talknote」の開発・運営を手掛ける。社内SNSは、業務を円滑に進めるためのツールとして企業からの人気が高い。Talknoteは、2014年には社内SNS利用企業数No.1(シード・プランニング調査)を獲得し、2017年に開催されたHRテクノロジー大賞では「業務変革サービス部門優秀賞」を獲得。人気と実力の双方を備えたサービスといえる。

 トークノート自身も、2019年2月に日本経済新聞の「働きがいのある会社ランキング」で、小規模企業部門の20位にランクインし、同年3月にはホワイト企業アワードの「理念共有部門 」で受賞したほどの“ホワイト企業”である。しかし、2016年ごろまでは、そうではなかった。

 「ひどい状態でした。社員同士の仲が悪く、陰口や悪口が行き交い、誰かの発言も無視。Talknoteについての会議でも非難ばかり。2015年秋に実施した従業員満足度調査の偏差値は47.8でした」(和田氏)

 他にも、社長以外の取締役や開発リーダーが辞職し、和田氏を含めた古参の社員が病に倒れるという事態が起こった。そんな中、離職率は50%に達しており、埋め合わせのための採用コストも肥大化していた。社員たちが精神的に安定するには程遠い状況で、不慣れな新人ばかりの環境で生産性は激減。まさに“どん底”だった。

 「トークノートは当初から“全ての人をハッピーに”という理念を掲げていましたが、当時の状態はその理念に全く沿っていませんでした。まずこの理念を浸透させ、離職率0%を目指そうと考えました」(和田氏)

 和田氏によれば、その重要なポイントは、「経営陣が社員へ理念を押し付けるだけで具体的な策を講じなければ、たいていの施策は失敗してしまうということだ。

 そこで和田氏らは、「あらゆることはやる、時間も金も惜しまず使う」「いい人間関係を網の目のように張り巡らせる」「あらゆる情報をオープンに共有する」という方針を打ち立てた。

 経営者は、営業活動や開発、経営戦略などの“緊急性が高く重要なこと”ばかりに目が行きがちだ。しかしトークノートでは、“緊急ではないが重要なこと”──理念やビジョンの再考・浸透、人間関係構築の仕組みづくり、働きやすい環境づくりなどに注力しようと考えたのである。

「理念浸透」「制度改革」「情報開示」をバランス良く実施した方法

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 トークノートの取り組みは多岐にわたる。その一つが、理念の浸透や人間関係構築のための研修や会議だ。“互いを知る”ことを基軸に、「他人には知られていない自己」「自分で気づいていない自己」を、「両者が知っている自己」へと近づけることで、社員同士の信頼性を高めていった。

 また「承認」のワークにも注力した。社員同士で互いの仕事を結果から評価しただけでなく、日々の小さな取り組みに対してポイントを付けたり、手紙をやりとりしあったりして、互いを認め合うこと重視したという。また、Talknoteの「サンクス機能」を活用し、社員同士が日々の業務で協力してくれた相手などに称賛を送る習慣を作ったことも、こうした文化の定着に役立った。

 具体的な制度や仕組みも変えた。オフィスの近隣に住むことを奨励する「近隣手当」や、社員が入社に興味を持つ人と会食しながら話し合う機会を促進する「採用会食手当」、リファラル(社員による紹介)採用ボーナスなど、人間関係の向上につながる取り組みには、しっかりと投資、支援した。実際、飲み会やスポーツ活動などが活発化し、社員同士が仲良くなっていった。リファラル採用は、採用コストの低下にも人間関係の向上にも大きく寄与したという。

 他にも「相手の目を見て話を聞く」「ちゃんと拍手する」「整理整頓を徹底する」など、凡事を徹底したこともポイントだ。和田氏は、「小さなことができなければ、大きなことはできない」と指摘する。

 さらに同社では、Talknoteを活用し、“3つの情報”の見える化に注力した。それは、幹部ミーティングの議事録やチームの進捗度、IR情報、社長の考えなどの「会社の未来」、チームやメンバーの日報、商談やサポート業務の議事録、アイデアや意見といった「社員の頭の中」、顧客からのクレームや称賛といった「顧客の頭の中」である。

 こうした取り組みが功を奏し、従業員の満足度は急激に向上していった。

 2016年夏から2017年春まで50%だった平均離職率は、2017年11月に0%を達成した。リファラル採用は月あたり1.2人までに上昇し、離職率を踏まえた従業員1人あたりの純増コストは10分の1以下になったという。その結果、上述したように働きがいのある会社ランキングで小規模企業部門 20位に入賞している。

 和田氏は、経営者は働き方改革に一定の時間とお金をかけるべきだと指摘する。研修だけでなく、仕組みや習慣化をバランスよく組み込まなければ長続きしない。また、情報をオープンにすることも非常に重要だという。

 「当時の私は、改善事項の一つ一つに効果があるとは思えませんでした。しかしあとになって、“自分の居場所ができた”と実感しています。もちろん個々の施策が失敗することもあります。しかし、それを恐れずに、覚悟を決めて取り組んでください」(和田氏)

性善説の成果主義思想で、テレワークを推進すべし――日本HPの姿勢

photo 日本HP クライアントソリューション本部 ソリューション営業部 サービススペシャリストの三浦郁也氏

 日本HP クライアントソリューション本部 ソリューション営業部 サービススペシャリストの三浦郁也氏は、ワークスタイル変革の中でも注目度の高いテレワークについて、同社の戦略を紹介した。

 2018年6月に成立した働き方改革関連法案は、2019年から2020年にかけて施行される。関連する政府目標の中では、2022年のテレワーク導入企業を2017年時点の13.9%から35%超まで引き上げたいとしている。また総務省などが実施している「テレワーク・デイズ」では、2017年に5割以上が業務効率向上を、約8割がワークライフバランス向上を実感したという。

 「総務省の調査によれば、若い世代ほどテレワークの利用意向が強くなる傾向にあるそうです。つまり、優秀な人材を獲得するための武器として意味があるといえます。また“導入しない理由”には、勤怠管理や情報漏えい、コミュニケーションやコストなどの不安要素が挙げられますが、これらは全てITで解決できることです」(三浦氏)

 日本HPは、50年以上も前から日本で活動する“日本企業”であり、古くから日本の法や習慣に則した“働き方改革”を実践している。1977年にはフレックスタイム制、2001年にはフリーアドレス制を導入。2007年には独自の「フレックスワークプレイス制」を実践した。

 例えば、一般的な在宅勤務制度は、やむを得ない事情を持つ一部の社員しか活用できず、申請・期間・時間・場所などの制約があり、管理・監視を強制されているケースが多い。一方、日本HPのフレックスワークプレイス制度は、非正規雇用者を含む全従業員が対象で、申請も簡易、週4日(正社員)まで無制限、勤務時間もフレックス、場所も自由、管理も簡易と、ほとんど負担がない。これは、「時間拘束や身体的・精神的負荷を軽減させながら生産性向上を実現し、優秀な人材を確保するために施行された制度」だという。

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 「就業規定にのっとって行使可能とする“権利”は、社員の心理的な負担になりがちです。フレックスワークプレイスは、あくまで上司の判断で適用される制度で、権利ではありません。通勤等の負担が減り、業務効率が向上した、自分の時間が増えたなどの効果が上がっています」(三浦氏)

 同社ではフリーアドレス制も重要な施策であり、三浦氏も、上司であるソリューション営業部長や役員すら、自席を持っていないという。フリーアドレスやフリースペースを強化することで、部署という閉鎖的なコミュニティーを超えたつながりが活性化し、イノベーションが起きやすくなるというのだ。

 三浦氏によれば、こうした施策の基礎には、HP創業者から受け継がれている理念“HP Way”という性善説──「自由はあるが責任も生じる」という考え方があるという。同氏は、「経営陣や人事部門は、性善説を原則とした成果主義思想を徹底すべき」と指摘する。そうでなければ、管理コストや工数が肥大化する一方で、従業員の活用が進まないからだ。

 「まずはフリーアドレス制から始めて、誰がどこにいてもよいという前提で進めると、自然とテレワークへつながっていくのでは」と、三浦氏はアドバイスを残した。

コラボレーションツールで時間の短縮と有効活用を推進――KDDIまとめてオフィスの提言

 「働き方改革」という言葉は、政府の活動もあって、一般的に広く通じている。しかし、企業のオフィス環境向け設備やOA機器などを幅広く扱うKDDIまとめてオフィス プロジェクト営業本部 企画部から登壇した樋口菜穂氏は、あえて「変革」ということばを使いたいと、講演「Microsoft Teamsで始めるワークスタイル変革 〜Office365最新ツールが生み出すチームワークとは?〜」の冒頭で主張した。今あるものを改めるのではなく、“変えて一からやり直そう”という意識が重要というわけだ。

photo KDDIまとめてオフィス プロジェクト営業本部 企画部の樋口菜穂氏

 日本企業の労働生産性は非常に低く、先進7か国中で20年連続最下位であるという。生産年齢人口が低下し続ける状況では、労働環境の変革が急務といえる。

 そうした日本企業にとって、「長時間労働」の是正は重要なポイントである。ところが、単に働く時間を短くしただけでは、みなし残業が増えたり、業務が滞ったりするだけだ。このような事態を防ぎ、かつ労働時間を冗長化させないためには「スキマ時間の有効活用」と「働きやすい職場の実現」が欠かせないと、樋口氏は指摘する。

photo 社員間のコミュニケーションを重視したオフィス作り(画像提供:KDDIまとめてオフィス)

 「移動時間などのスキマ時間を活用できるようにするには、コミュニケーション環境の変革が必要です。さらに子育て・介護などを両立できる働きやすい職場を実現するには、コラボレーション環境が重要です」(樋口氏)

 柔軟なコミュニケーションツールがあれば、個人の生産性を維持しながら労働時間を短縮できる。またコラボレーションツールを活用して柔軟に労働機会を提供できれば、企業としての生産性を維持したまま、全体の労働時間を短縮できる。これらは、クラウドサービスを活用すれば、いずれも容易に実現可能だ。

 例えば日本マイクロソフトは、自社の「Office 365」シリーズや「Windows 10」デバイスを活用して、テレワークを含む「フレキシブルワーク」を導入し、大きな効果を上げてきた。同社の社員満足度調査によると、2010年から5年間でワークライフバランス(+40%)、事業生産性(+26%)などの大幅な向上が見られ、旅費・交通費の削減(−20%)、女性離職率の低下(−40%)などの効果も得られたという。

 「2020年には『Windows 7』と『Office 2010』のサポートが終了します。これは変革を進めるチャンスだと考えましょう。Windows 10は安全性が高く、Office 365は導入も運用も容易で、常に最新状態が保たれます」(樋口氏)

 例えば、社内向けコミュニケーションツールである「Microsoft Teams」は、チャットやオンライン会議、ファイル共有、ドキュメントの共同編集、在籍確認などの機能を統合しているため、非常に有効なコラボレーションツールといえる。

 KDDIまとめてオフィスでは、ツールの活用に加え、働き方改革をコンセプトに据えたオフィス環境の改善、コミュニケーションを重視したワークスタイルの変革などを実践している。また、社員が積極的に事業へ参画する「ワーキングループ活動」、改革を定着化させる「社員改善活動投稿システム」などの施策にも取り組んだ。

photo 社員間の自然なコミュニケーションをコンセプトにしたKDDIまとめてオフィスの新宿ビル(画像提供:KDDIまとめてオフィス)

 「テレワークは、現代社会に必要な環境です。『Microsoft Surface』などLTEに対応した端末はテレワークに必須のデバイスといえるでしょう。そこに『Microsoft Teams』のようなコラボレーションツールを組み合わせて時間の有効活用と短縮を実現し、社員が活躍できる環境を整えましょう」(樋口氏)

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提供:KDDI株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2019年4月18日