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» 2019年09月17日 10時00分 公開

文教向けPCベンダーが集結:次世代の教育現場とは? 「柴山プラン」「未来の教室ビジョン」が目指すもの

2019年8月21日、「日本の教育はICT活用でどう変わっていくのか 〜目指すべき次世代の教育現場を考える〜」と題したセミナーが名古屋コンベンションホールで開催された。本稿は当日の模様をレポートする。

[PR/ITmedia]
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 これからの教育現場には基礎的な学力の向上だけでなく、「飛躍的な知の発見や創造」などの新たな社会をけん引する能力の育成が求められる。しかし教育現場はICT環境の整備が不十分で、それを活用する教員も「どのような場面で、どのような機器を活用することが効果的なのか」という課題に直面している。

 2019年8月21日、「日本の教育はICT活用でどう変わっていくのか 〜目指すべき次世代の教育現場を考える〜」と題したセミナーが名古屋コンベンションホールで開催された。本稿は当日の模様をレポートする。

先端技術活用で日本の教育はどう変わるのか

教育ITライター 神谷加代氏

 基調講演は「『先端技術』活用で教育はどう変わる? 280校の取材で分かった現場のリアル」と題して教育ITライターの神谷加代氏が登壇した。

 2019年6月25日、文部科学省が「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」(柴山プラン)の最終まとめを、経済産業省が「『未来の教室』ビジョン」(「未来の教室」とEdTech研究会 第2次提言)を発表した。

 背景に少子高齢化と人口減少がある。「日本の将来推計人口(平成29年度推計)」によれば日本の総人口は2050年に1億人を割り、65歳以上の高齢者の割合が38.8%に達する。だが視線を世界に転じると世界人口は人類史上、経験したことがない100億人規模を迎える。

 日本の未来を担う子どもたちは自国の人口減少の課題を解決しつつ、グローバルには人口増の課題に取り組む視点を持たなければならない。2つの提言はSociety 5.0時代に向けた教育の在り方だ。

 神谷氏は「Society 5.0は、既に身近な生活で起こり始めている」と指摘する。米国の空港における出国審査は対面から顔認証システムに変わり、街を行けばフードデリバリーロボットが宅配を担い、個人間決済はキャッシュレスになった。「1人1台、モバイル端末を持つことが前提となった社会。もはや『持っていない』という選択肢はない」と指摘する。

 では、柴山プランがいう「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」とは何か。1つ目は「子どもたちの特性や多様化に対応した学び」だ。インクルーシブ教育のように支援が必要な子どもも同じ教室の中で学べるような環境を整備することだ。また学習手段が選べることも大切だ。

 2つ目は「子どもたちの学習理解度や到達度に応じた学び」だ。神谷氏は、デジタル化した学習ドリルを使って「その子に合った」個別学習をする先生が非常に増えたという。

 3つ目は「場所や時間などの制約を超える学び」だ。遠隔会議システムを使って海外の人にインタビューする授業が分かりやすい。また「複式学級」(2つ以上の学年を1つにした学級)でICTを活用した自主学習を導入して先生の負担が削減された。神谷氏は「大事なのは教育格差を生まないICT活用だ」と語る。

 柴山プランは、先端技術と教育ビッグデータが使える環境整備に向けたロードマップを提示した。神谷氏は、学習者用端末の要件を明記した上で「教育市場に安価な端末を大量に供給すべく協力を要請する」とまとめたことを高く評価する。

パネルディスカッション:ICTが文房具になるために、何が必要なのか

日本マイクロソフト コンシューマー&デバイス事業本部デバイスパートナー営業統括本部Windowsコマーシャルカテゴリー部 部長 仲西和彦氏

 続いて「ICT環境が“文房具”と同様の不可欠なツールになるための視座」と題したパネルディスカッションに、パネリストとしてレノボ・ジャパンの土居憲太郎氏、マウスコンピューターの林田奈美氏、日本マイクロソフトの仲西和彦氏が登場した。モデレーターは神谷氏だ。

 1つ目のトピックは「なぜ日本の教育現場に高度なICT導入が求められるのか」だ。まず神谷氏が柴山プランが提示した教育ビッグデータの活用について触れると、仲西氏がオーストラリアの事例を紹介した。

 ある州は教師や職員にユニークなIDを付与して、ほぼ全ての業務のアウトプットをデジタル化した。これをクラウドに構築した共通基盤に保存して、解析することで、生徒や学校の状況がリアルタイムに必要な粒度で分かるようになった。仲西氏は「無意味に見えるデータから何か新しい『意味』を見いだせる可能性があるのもビッグデータの価値だ。その価値を得るには兎にも角にも1人1台化により、途切れなくデジタルデータが記録される環境の実現が重要だ。同時にそういったデータの乱用や『一人歩き』を防ぐための配慮も欠かせない」とコメントする。

レノボ・ジャパン コマーシャル事業企画部ソリューション企画部 部長 土居憲太郎氏

 2つ目のトピックは「日本の学校のICT化において、どのような課題があるのか」だ。土居氏は「ICTに対する教員のスキル不足、過剰なスペックや不要なシステムの導入、予算の不足、導入効果の分かりにくさなどが挙げられる。何よりも『普段』の生活と『学校』の差異が非常に大きい。自宅ではタブレットを使った英会話学習、攻略サイトを見ながらゲームを楽しむ、家族とLINEで会話をしているのに、学校にはツールがない。『1人1台』を早急に実現する必要がある」と語る。

 林田氏は「インターネットで情報を提供することが多いが、学校からインターネットに接続する環境がないこともある。先生がPCを活用できるようになるまでのハードルも高めで、初期設定などの負荷が高い。授業でデジタルドリルを使うにしても、使い方を教えるだけで時間が終わってしまうこともある」と課題を整理した。

マウスコンピューター マーケティング本部製品部 プロダクトマネージャー 林田奈美氏

 最後のトピックは「ICT教育の高度化に向けて、これから取り組むべきアクションは何か」だ。まず土居氏は「1人1台に向けて、LTEに対応した端末とアプリ、保守サポート、導入構築も含めたパッケージを月額料金で利用できる『ICT Goodstart』を提案していく」と語った。林田氏は「現場の声を反映したハードウェアや『モダンスタンバイ』などを取り入れたPCを開発していく」と述べた。仲西氏は「何よりも1人1台の環境を実現すること、そのためには価格を下げることが重要だ。教育機関向け割引プログラム『Shape the Future』を活用してほしい」とまとめた。

教育向けWindowsとOfficeは何がすごいのか

日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部製品マーケティング部 プロダクトマネージャー兼文教担当 東郷晴美氏

 続いて日本マイクロソフトの東郷晴美氏が「Microsoft 365で変わる、学び方、教え方、働き方」と題して、デモンストレーションを交えながら文教市場向けパッケージ「Microsoft 365 Education」が教育現場にどのような変化をもたらすのかを紹介した。

 同社の文教チームは「子どもたちの学び方改革、先生の教え方改革、そして教職員の学校での働き方改革といった3つの改革のお手伝いをすること」をゴールに据えている。それを実現するMicrosoft 365 Educationには、「Microsoft Office 365」「Windows 10 Education」に加えて、煩雑なアカウントやパスワードの管理をスムーズにする「Enterprise Mobility + Security」(EMS)、小学生に大人気のゲーム「Minecraft: Education Edition」が含まれている。サブスクリプションモデルで提供し、教員1人のアカウントで児童40人まで無料で使える。

 同氏はWindows 10 Educationの特長の一つとして、学習指導要領に準拠したフォント「UDデジタル教科書体」の標準搭載を強調する。一般的なフォントは教科書で習う文字の形と違うことが多い(例えば「さ」)。Windows 10 Educationを導入すると追加費用なく「正しいフォント」を活用できる。この他Office 365の「3Dモデル」や「デザインアイデア」、アドオン機能「サブタイトル」などを紹介した。

Windows 10デバイスの初期セットアップを効率化する「Windows Autopilot」とは何か

ダイワボウ情報システム 戦略商品推進部プロモーショングループ 係長 吉道誉史氏

 セミナーの最後は、ダイワボウ情報システムの吉道誉史氏が「Windows Autopilotのすべて - 教育現場のデバイスライフサイクル改革 -」と題する講演で締めた。「Windows Autopilot」は、Windows 10の初期設定の幾つかを自動化し、ユーザーの負荷を大きく下げる可能性がある。同様の機能はApple製品で提供されていたが、Windows 10でもバージョン1703から「ゼロタッチ」のキッティングが可能になったのだ。

Apple DEPがあった場合となかった場合(ダイワボウ情報システム)
Windows Autopilot(ダイワボウ情報システム)

 吉道氏は「今後、ICT環境のクラウドシフトが重要になる。そうなれば先生が自宅でテレワークをしたり、オンライン研修を受けたり、海外との交流など授業の可能性も広げられる」と語る。またゼロタッチを導入することで端末の新規導入や故障対応に関わる工数も削減できるという。

いつでもどこでも、どんなデバイスでも利活用できるICT環境へ(ダイワボウ情報システム)
会場の様子

PCベンダー9社が集結、「1人1台」を実現する教育向け端末とは

 セミナー会場の一角には、文教向けPCを販売するPCベンダー9社の実機と、ICT教材の展示もあった。それぞれ簡単に紹介しよう。

ダイワボウ情報システム

プログラミング教育で活用できるICT教材

 ダイワボウ情報システムは、プログラミング教育で活用できるICT教材を展示した。プログラミング教育とは2020年度から小学校で必修化となる、今最も注目されているカテゴリーの一つだ。今回展示していたのは、ロボット型「レゴRマインドストームEV3」、マイコンボード型「micro:bit」、ソフトウェア型「Minecraft : Education Edition」の3製品である。

 「それぞれ難しいプログラミング言語を覚える必要はなく、小学生でも分かりやすいインタフェースで、プログラミング教育が目指す能力を養えます」(ダイワボウ情報システム 戦略商品推進部 文教グループ 小谷健二氏)

日本マイクロソフト

Surface Go

 日本マイクロソフトは、「Surface Go」を展示した。このPCは、10インチの高精細な「PixelSenseディスプレイ」が採用されている。このディスプレイはタッチスクリーンとなっている。ボディーにはマグネシウム合金、ディスプレイにはGorilla Glassを使っていて、高い堅牢性を持つ。

 「Surface Goは、Surfaceペンやタッチスクリーン、トラックパッドなど、やりたい作業を好みの方法で実現できます。Windows 10やOffice製品はタッチ動作に特化した機能も多く、親和性が高いです」(日本マイクロソフト Surfaceビジネス本部 石川武史氏)

レノボ・ジャパン

Lenovo IdeaPad D330

 レノボ・ジャパンは、「Lenovo IdeaPad D330」を展示した。このPCは、Intel Celeron N4000 Processorが搭載されており、優れたパフォーマンスを発揮する。またUSB Type-CやmicroSDメディアカードリーダーなど幅広いインタフェースに対応している。

 「Lenovo IdeaPad D330は脱着式になっており、キーボードと10.1型HD IPSディスプレイを切り離せます。PCとしてもタブレットとしても使えるため、さまざまなシーンで活用でき、テントモードにすることで自立型のビュワーとしても使えます」(レノボ・ジャパン コマーシャル事業企画部 ソリューション企画部部長 土居憲太郎氏)

マウスコンピューター

MousePro-P116Bシリーズ

 マウスコンピューターは、「MousePro-P116Bシリーズ」を展示した。このPCは、1024段階筆圧感知スタイラスペン、通常のカメラとしてもインカメラとしても使える約180度回転カメラが付いている。また持ち運びやすいようにハンドルも付いている。

 「MousePro-P116Bシリーズは、硬化ガラス液晶が採用され、防じん、防滴、耐衝撃性を持つため、机から落としても壊れない頑丈さを持ちます。またLTEモデルがあるため、SIMがあればWi-Fiがなくても屋外でネットワーク接続できます」(マウスコンピューター 法人営業本部ビジネスパートナー第一営業部 アカウントマネージャー 千葉ゆき江氏)

ASUS JAPAN

ASUS TransBook Mini T103HAF

 ASUS JAPANは、「ASUS TransBook Mini T103HAF」を展示した。このPCは、最長約14.6時間の長時間駆動を実現し、物理キーボードを採用し誤動作を防ぐ。また専用ペンも付属している。

 「ASUS TransBook Mini T103HAFは、WindowsのノートPCとしてもタブレットとしても使える小型2-in-1モバイルノートPCです。用途と場所に合わせて使うことができ、軽量かつコストパフォーマンスが高い点で教育現場に評価されています」(ASUS JAPAN パートナーセールス事業部セールス3課 金城勇秀氏)

デル

Latitude 3190 2-in-1

 デルは、「Latitude 3190 2-in-1」を展示した。このPCは、教育現場で必要十分な機能とパフォーマンスを備え、文房具のように日々の学習に安心して使えるように開発された。

 「デルでは小中学校や高校、大学、専門学校それぞれの教育現場に最適なPCと周辺機器をそろえて提供しています。中でもLatitude 3190 2-in-1は、落下や水ぬれなどの事態から故障を防ぐ堅牢(けんろう)性と使いやすさを両立させたEducationモデルです」(デル パートナー事業本部第一営業本部 パートナーアカウントマネージャー 松尾晃氏)

Dynabook

dynabook D83

 Dynabookは、2 in 1デタッチャブルPC「dynabook D83」を展示した。このPCは、「Intel Celeron」から「Intel Core i5」まで豊富な種類のCPUが用意されている。ディスプレイも13.3型の大画面で、文字や画像が見やすい。

 「dynabook D83は、教室だけでなく、校外学習、家庭学習で使われることを想定し、落下や振動などに耐えられる堅牢性に優れたPCです。また、先生や児童、生徒が授業に集中できるように、万が一のトラブル発生時でも安心のサービスを迅速に提供しています」(Dynabook 中部支社 第一営業部 西出俊浩氏、佐々木宗司氏)

NEC

VersaPro タイプVU PC-VKF11/U1-5

 NECは「VersaPro タイプVU PC-VKF11/U1-5」を展示した。同PCは、約653gのファンレス軽量ボディー。本体に収納でき、約15秒の充電で約90分使用できるデジタイザペンを標準搭載している。

 「教育現場のいろいろなニーズに応えられるよう、着脱式キーボードやUSB Type- Cドックなどのオプションを用意しています。また、翌営業日出張修理やバッテリー交換サービスなどの保守体制を整えています」(NEC パートナー・ソリューション営業本部スマートデバイスソリューション営業推進グループ マネージャー 加藤賢一郎氏)

日本HP

HP Stream 11 Pro G5

 日本HPは、教育市場向けモデル「HP Stream 11 Pro G5」を展示した。このPCは、ストレージにeMMCを採用しているため、読み書き速度がHDDより早い。ディスプレイはタッチできる仕様なので、写真や小さな文字を拡大できるという特長を持つ。180度開くヒンジのためグループワークの際も使いやすい。

 「この製品は、筐体がポリマーエッジ加工である上に衝撃にも強いので、落下時も安心です。また、実勢価格5万円以下の低価格モデルでありながら、デュアル(2×2)チャンネルのWi-Fiモジュールを搭載しています。教育ICT化には“安定した通信環境”が何より重要です。ご要望の多い5年の長期有償サポートも提供しています」(日本HP クライアントソリューション本部 松本英樹氏)

サードウェーブ

Altair VH-AD3S Pro

 サードウェーブは、「Altair VH-AD3S Pro(3年オンサイト付き法人専用モデル)」を展示した。このPCは、フルHDのノングレア液晶ディスプレイ、4GBメモリを搭載し、アプリケーションや動画が快適に動作できます。

 「Altair VH-AD3S Proは、Windows 10 Pro搭載PCで、Windows Helloに対応した指紋認証機能が付いています。教育現場で必要な機能を持ちながら、3万円台と廉価で購入できるのが売りです。また、今回展示したAltair VH-AD3S Pro以外にも、3DCGを快適に処理できるPCなども用意しています」(サードウェーブ 営業部 営業1課 眞々田いちご氏)

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提供:ダイワボウ情報システム株式会社、日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2019年10月9日