「RPA、簡単に作れる」は神話ではない――導入初期でつまずかないための3つの対策RPAの業務選定や開発の高過ぎる壁を越える

「RPAの業務選定が難しい」「現場でのヒアリングに労力が割かれる」「誰でも簡単に開発できるわけではないらしい」――。プロジェクトの初期で、多くの企業の出はなをくじく課題を一掃する製品が登場した。従業員の、従業員による、従業員のためのRPAを夢物語から現実に。

» 2019年12月17日 10時00分 公開
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 働き方改革や生産性向上の切り札として、RPA(Robotic Process Automation)を導入したいという機運が高まっている。2016年ごろから一部の金融機関での成功事例が話題となり、2017年から2018年にかけてあらゆる業界業種の企業で導入が進んだ。

UiPath 原田英典氏

 だが、取り組みに着手した企業からは、プロジェクトのごく初期の段階でつまずき、効果を得るまでに至らないという声も挙がっている。成功企業が存在する一方で、こうした企業が存在する要因は、「テクノロジーの一人歩き」だとUiPathの原田英典氏(マーケティング本部プロダクトマーケティング部 Head of Product Marketing)は説明する。

 「2000年以降、進化し続けるITにユーザーの技術の習得が追い付かず、テクノロジーを使いこなして恩恵を得る人と、そうではない人の格差は広がるばかりです。ITが必ずしも生産性向上に寄与しないケースが生じています」(原田氏)

 同氏によれば、RPAについても例外ではなく、「これまでのRPAは“技術主導”の色が強かったことがボトルネックの一つ」となって、成果を出すどころか導入にさえ踏み出せない企業も少なくなかった。

 どうすればあらゆる企業がRPAによる業務自動化の恩恵を享受し、個々のユーザーの働き方を変えられるのか。原田氏は「企画や計画段階から現場のユーザーを巻き込める仕組みによって、組織全体で業務自動化を進められるようにすることが重要」と話す。UiPathはこの課題に正面から向き合い、2019年10月に次世代版の「UiPath」に新たな機能と製品群を追加すると発表した。「Explorer Expert」と「Connect Enterprise」「StudioX」という製品を盛り込んだことで、従来と比較してRPAを現場主体で広く活用できるようになるという。

現場の業務自動化のニーズを形にする「Explorer Expert」

 RPAを導入する企業はIT部門や経営企画部門など中心としたセントラルキッチン方式でロボットを開発することが多い。その際一つの難所となるのが、これらプロの部門が自動化の対象業務を選定するフェーズだ。「Explorer Expert」は、これをサポートする製品として生まれた。

 「RPA開発者は、自動化の候補となる業務の内容について現場にヒアリングをし、本当にRPAを適用できるのかどうかを見極め、要件を定義する必要があります。この際、現場とのコミュニケーションに多くの時間がかかります」(原田氏)

 現場から「この業務を自動化したい」という要望が挙がると、開発者はまず業務の内容や前提知識を把握することから始めなければならない。一方、現場は、業務について開発者が理解しやすい語彙(ごい)で表現したり、自動化に適した粒度で整理して提示したりすることが困難だ。「現場を知らない開発者とITを知らない現場の意思疎通のつまずきによって、目の前にある業務自動化のニーズを形にできない場合もあります」と原田氏は話す。

 こうした課題へのアプローチとして追加されたExplorer Expertは、業務の内容をワークフロー形式で出力する。2019年にUiPathが買収したStepShotの技術を応用している。

 具体的には、現場のユーザーが自動化したい業務をExplorer Expertで再現すると、その手順が自動的に録画され、ワークフローの形式で出力される。それだけでなく、Word形式のプロセス定義ドキュメントとしてエクスポートすることも可能だ。文書には各手順のスクリーンショットや注釈、さらに操作の所要時間、クリックやウィンドウの数なども盛り込まれ、ユーザーの作業内容が、RPA開発を検討する際に参考になるような情報とともに詳述されている。

Explorer Expertで出力したワークフロー

 「Explorer Expertが作成するワークフローやプロセス定義ドキュメントが現場のユーザーと開発者の橋渡しとなることで、双方の円滑なコミュニケーションが可能になります。開発者は現場からアイデアを吸い上げやすくなり、現場は『この業務を効率化したいのに、うまく伝わらない』というジレンマもなく要望を出せるようになるので、全社規模で自動化のアイデアを収集できるでしょう」(原田氏)

業務自動化のライフサイクルを一元的に管理する「Connect Enterprise」

 Explorer Expertは、ITリテラシーの高くないメンバーを自動化のプロジェクトに引き入れることを可能にしたが、実際のコラボレーションの場となるのがクラウドサービスのConnect Enterpriseだ。社内のRPAに関する情報を集約し、さまざまな立場の人をつなげて業務を改善することを目的にした、社内ポータルサイトのようなイメージで利用できる。

 例えば、Enterprise Connectには、各部門のユーザーが「この業務を自動化したい」というアイデアを投稿できる機能がある。投稿の際は、「定型業務か、非定型業務か」「入力するのは構造化データか、非構造化データか」といった幾つかの質問に答えると、どの程度自動化しやすいかのスコアが算出される。Explorer Expertで作成したワークフローを添付して送信することも可能だ。

Connect Enterpriseでアイデアを投稿

 従来、自動化プロジェクトのリーダーや開発側がアイデアを手作業で収集し、Excelで管理していた企業はその工程を省き、ロボット開発に至る工程を大幅にスピードアップさせられる。さらに重要なのは、Connect Enterpriseに集約した自動化のアイデアを一元的に俯瞰(ふかん)できることで、会社や組織全体を見通して自動化に進める業務を選定しやすくなる点だ。

 「各業務の自動化の難易度や自動化した際に期待されるROI(投資対効果)などを自動化指標として算出し、リストやダッシュボードで確認できます。より巨視的な視点で、RPAのプロジェクトの進捗(しんちょく)を追ったり、社内のどこに自動化しやすい業務があるのか、自動化のアイデアを見つけ出すセンスがあるのは誰かを把握したりすることも可能です。こうした客観的なデータが、自動化の候補となる業務のフィルタリングや優先順位付けなどを行う際に役に立つのです」(原田氏)

 Connect EnterpriseはRPAに関するノウハウを継続的に蓄積するという役割も担っている。自動化のアイデアだけでなく、その実現までの対応記録、さらに社内で活用できる自動化ワークフローの共通部品を格納する機能もある。

 その他、現場のRPAに対するモチベーションを上げる手段として、アイデアを投稿したユーザーなどがポイントを取得するような仕組みも画期的だ。ゲーミフィケーションを取り入れ、現場が楽しくRPAを推進できる環境を整えられる。このようにConnect Enterpriseには幾つもの機能があるが、いずれもあらゆる立場の人がRPAのプロジェクトに関われるように作用し、RPAを内製化するための土壌を作り出す助けとなる。

 「RPAプロジェクトにおけるアイデア出しからその評価、実稼働までの行程とその成果を可視化し、改善し続ける“パイプライン管理”ができるとも言えます」(原田氏)

ユーザー自身がロボット開発に踏み出すハードルを下げる「StudioX」

 StudioXは、業務自動化のアイデア抽出からさらに一歩踏み込み、各部門のユーザー自身がロボットを開発するハードルを下げ、開発者の幅を広げる製品だ。

 これまでもUiPathは「UiPath Studio」(以下、Studio)というロボット開発のツールを提供してきたが、「プログラミングの専門知識を持たないユーザーにとっては操作が少し難しく、使いこなすには一定時間の訓練が必要だった」という。最もボトルネックとなっていたのがプロパティパネルだ。

 プロパティパネルとは「アクティベート」「ウィンドウメッセージを送信」「キー入力間の待機時間」「フィールド内を削除」といった自動化の動作(アクティビティー)を設定するもの。業務の手順ごとにこのアクティビティーと操作の対象などを指定して、自動化のプロセスを作り上げる。これがいわゆる「ロボット開発」といわれる作業だ。

 従来のStudioは新規プロセスを作成する際に、「シーケンスを作るかフローチャートを作るか」を選択した上で、アクティビティーをドラッグ&ドロップしたり、ツールバーからレコーディングや画面スクレイピングなどの機能を呼び出した後に、プロパティパネルを使って適切な設定を行う必要があった。変数やループ処理の概念も必要になり、プログラミングの知識や開発経験を持たないユーザーには荷が重かった。

 一方、StudioXはStudioの機能を絞って簡略化し、プロパティパネルの操作をしなくてもワークフローを作成できるようにしている。ユーザーは、耳慣れない設定を調べながら手を動かす必要はなく、直感的に操作できる。プロセスを作成する際は、Excelを操作するための「Excelカード」やOutlookを操作する「Outlookアカウントカード」など、「カード」と呼ばれる特定のアプリケーションを対象にした自動化のテンプレートを指定する。これに、「Excelの繰り返し作業」や「Outlookでメールを送信」といった具体的な「アクション」を付与すればよい。Excelからコピーを繰り返し行うようなプロセスの場合は、データを引き出すテーブルを指定する必要があるが、これもStudioXに配置した「カード」や「アクション」の内部で一緒に設定できる。

 「カードとアクションを積み重ねていくことで、ユーザーは日常業務と変わらない言葉で理解しながら、無理なくワークフローを開発できます」(原田氏)

機能を絞り、分かりやすくなったStudioXの開発画面

 同氏によれば、初めてRPAに触れるユーザーが研修でExcelの交通費精算書からデータをコピーし、ERPの精算システムに入力するロボットを作る場合、Studioを使うと全体で約1時間半程度を要するが、StudioXなら30分程度で完了できる。初心者でも迷わず短時間でワークフローを作れるとなれば、多くのユーザーの間で「ぜひ自分でもやってみたい」というモチベーションが高まるだろう。

 「現場にはExcelを使いこなすような『RPAの勘所がある人』がいます。彼らは自分たちの手で業務を効率化するポテンシャルを持っており、また潜在的に『そうしたい』と感じているはずです。StudioXはRPAのワークフローを開発するハードルを下げます。現場の課題を解決するシチズンデベロッパーになる機会を作り出すことで、RPA開発の裾野を広げます」(原田氏)

 シチズンデベロッパーが率先して現場のちょっとした困りごとをRPAで解決し、周囲にその成果が広まるサイクルが出来上がれば、RPAにフォーカスした開発体制が整っていない企業でも、ボトムアップでRPAを推進できるようになる。StudioXで作成したワークフローはStudioで開くことも可能なので、現場でたたき台を作り、RPA開発のプロがブラッシュアップすることで工数を最適化させるという使い方もあるだろう。

 ちなみに、UiPathがイベントやセミナーで実施したアンケート調査によれば、次世代版UiPathに盛り込まれた製品の中で日本企業のユーザーが最も関心を寄せているのがStudioXだという。2020年第1四半期以降に日本語版がリリースされる予定だ。

全ての企業の従業員がRPAの恩恵を享受できる“みんなの業務自動化”へ

 Explorer EnterpriseとConnect Enterprise、そしてStudioXは、RPAの業務選定を含む開発の段階で、開発者や現場のユーザー、経営者などが本当に必要としているものを提供する。そしてITに長けているかどうかにかかわらず、業務改善を目的にそれぞれの立場でRPAのプロジェクトに携わり、推進できる環境を整える。これが組織全体でRPAの効果を押し上げ、ひいては個人の働き方をより良いものに変える。

 「誰もがルーティンワークを排して、本来やるべき仕事に専念したいと考えています。その思いに応えることがRPAに課せられた使命です。UiPathは誰もがロボットが働くことのメリットを受け取れる『みんなの業務自動化(ロボット・フォー・エブリワン)』をキーワードに、全ての企業のあらゆるユーザーを自動化の世界に招き入れたいと考えています。今回はワークフローを開発するという切り口でお話ししましたが、これは次世代版UiPath製品の一つの側面にすぎません。UiPathは、RPAプロジェクトの各フェーズに必要な製品や機能を提供し、エンドツーエンドで自動化をサポートします」(原田氏)

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提供:UiPath株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2019年12月23日