RPAに“管理の負担”はいらない――クラウド提供型RPA「WinActor Cast on Call」と最新版「WinActor Ver.7」とは

RPAの運用や開発の常識を、クラウドから打ち破りたい――そんなコンセプトを体現するNTT-ATの新サービス「WinActor Cast on Call」と最新版「WinActor Ver.7」の目指す将来像とは。その機能や特徴を解説する。

» 2020年01月30日 10時00分 公開
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 RPA(Robotic Process Automation)という言葉が登場し、多くの企業で使われるようになって数年。手作業で実施していた業務を自動化し、現場の負担を減らせるという便利さが広く認知される一方で「ワークフローをどう組むか」「自動化された無数のフローをどう管理するか」「止まってしまったロボットを誰が修理するのか」といった問題や、それらに取り組む人員の確保といった課題も浮かび上がってきた。

 もともと人手不足を理由にRPA導入を検討する組織が多い中、開発や保守運用にかかる負担をどうすれば最適化して抑えられるのか。クラウドやSaaSが多くの組織に普及した今、ますます加速する技術の更新サイクルに合わせてワークフローをどう対応させるのか。また、大企業よりもさらに過酷な人手不足に悩む中小企業は、どうすれば業務を効率化しつつ本来の業務に専念できる環境を構築するのか。

 ――そんな数々の課題に大胆な答えを提示するのがNTTアドバンステクノロジ(以下、NTT-AT)だ。RPA「WinActor」シリーズを手掛け、長年企業の自動化ニーズに向き合ってきた同社は、2019年9月に従量課金制のクラウド型RPA「WinActor Cast on Call」を発表した。

 従来のRPAでは不可能だった領域に踏み込むというそのコンセプトとは一体どんなものか。そして、そのコンセプトの根幹になるという2020年1月に新たに登場する最新版「WinActor Ver.7」の担う新たな役割とは何なのか。

RPAの常識を打ち破る「WinActor Cast on Call」のコンセプトとは

 WinActor Cast on Callは、毎月のライセンス料に同社が「シナリオ」と呼ぶ各種自動化ワークフローの利用料を加えた従量課金制で、クラウド経由でRPA機能を提供する。ユーザーは、自動化したい業務のニーズに応じて同サービスが提供するシナリオを選択し、必要であれば複数のシナリオを組み合わせてワークフローを構築する。

 通常のRPAは「今ユーザーが実際に抱える業務を基にワークフローを構築し、ロボットを動作させる」という概念で動くものが多い。しかし、WinActor Cast on Callの場合は違う。単純な動作のシナリオを部品集として提供し、組み合わせて利用するようユーザーを促すことで、既存のワークフローを“より分かりやすく、自動化しやすい”ワークフローに変えて使ってもらう仕組みだ。これにより、大規模な業務を単一のワークフローで自動化してしまった場合に起こりがちな、環境変化からの動作停止などの業務停止リスクを最小に抑え、メンテナンスをしやすくするメリットがある。

WinActor Cast on Call WinActor Cast on Call(出典:NTT-AT)《クリックで拡大》
山本顕範氏 NTT-AT 山本顕範氏

 NTT-ATで同サービスの開発を率いる山本顕範氏(AIロボティクス事業本部ディスラプティブイノベーションビジネスユニット ビジネスユニット長)は、同サービスの機能について「経費削減手段としての自動化よりも、むしろ『現場の業務負担を減らす』『人を定型作業から解放し、よりクリエイティブな作業に集中できるようにする』といったメリットを提供する点にフォーカスした」と語る。とりわけ、導入や運用保守に費用を割けない中小企業のニーズに注目したという。

 「RPAの場合、いったん止まれば、業務を止めないために結局は人がやらないとなりません。その際、再度動作させるためにいちいち外部の業者に修理を頼んでいると、結果的に導入コストを上回るほどメンテナンスコストが上がってしまいます。RPAの認知が進んだ結果、その点に多くの企業が気付き始めたのではないでしょうか」(山本氏)

 自動化したい業務の内容や現場でロボットを扱う人の技術レベルは組織によってさまざまだ。同サービスは、現場のニーズに合ったワークフローを作りやすい環境を整え、かつメンテナンスの負担を内製化できるレベルまで抑えることで、多くの組織が気軽に使えるRPAを実現するという。

 また、同サービスは、いつどのロボットがどの処理をし、成功あるいは失敗したかを全てログとしてクラウドに記録する。そのため「ロボットが止まった」「動作が失敗した」といったトラブルが発生した場合はすぐに問題を特定できる。また、システムに不正な動きがあった場合も、その動作がロボットによるエラーなのか、あるいは人による操作なのかを識別できる。

 山本氏によれば、ログ機能には運用やセキュリティ以外にも、コスト最適化のメリットがあるという。

 「経営者にとって、いつどこでどのリソースが何の目的に使われてコストにつながっているのか可視化できる点は非常に重要です。WinActor Cast on Callの場合、そうした記録が請求金額と一緒に毎月ユーザーに届く仕組みです」(山本氏)

未来の業務ニーズを見据えて WinActor Cast on Callが実装を進める新機能

 現在のWinActor Cast on Callが持つこうした機能は、同サービスが本来予定する機能のうちのほんの一部だという。新たな機能の開発は次々と進んでいるといい、その1つがユーザーのニーズに合わせたシナリオのレコメンド機能だ。現在、同サービスはユーザーの要望をくんで組み上げたシナリオを数十件のリストとして提供しているが、いずれはユーザーが自動化したい業務などのキーワードを入力して最適なシナリオをレコメンドする仕組みを実装するという。

 レコメンド機能とは別の形で既に実装されているのが「テナント機能」だ。これは、金融業や士業といった業界別のユーザーに向けて、専門業務のニーズに合わせたシナリオを提供するもの。2020年に政府が予定する電子申請などに合わせたシナリオなど、先のニーズを見据えた機能をそろえる。

 また、多くの企業がクラウドで基幹系システムや情報系システムを活用し、グループウェアやワークフローツールを使って業務連携を進めている。WinActor Cast on Callは、これらのツールに対応したAPIを活用し、自動化機能そのものも連携させようとしている。API連携機能に全てのログを監査証跡として保存できる機能の開発も進んでいるという。

 「例えば、異なる業務アプリケーションや連携ツールを使う企業同士が受発注などの情報をやりとりする業務は多くあります。APIを駆使してそうした仕組みを“外側から囲む”ように連携させ、企業間同士で業務の自動化を可能にすれば、業務ネットワーク自体は見た目的には複雑になりますが、多くの企業にとってより自動化が気軽に実行可能になると考えています」(山本氏)

 また、同サービスは2020年3月をめどに英語版のリリースを予定している。日本語版で組み上げたシナリオを将来的には英語版で使えるようになる他、欧米や東南アジアの顧客のニーズに応え、ドイツ語版やマレー語版のWindows OSでも活用可能になる予定だという。

 このように各機能をユーザーが自由に連携させられる環境を作ることが、NTT-ATが目指す自動化の新たな世界だ。

 「最終的にWinActor Cast on Callを通じて一番変化に敏感な現場自身が迅速な判断で業務を自動化し、効率化を促進することで、組織全体が市場の変化に柔軟に即応できるようにしたいと考えています」(山本氏)

従来版を完全に刷新 新たなRPAニーズへの対応を目指すWinActor Ver.7とは

 一方で、こうした新機能を下支えするのが、2020年1月末から順次リリースされるRPAの最新版、WinActor Ver.7だ。WinActorは2006年に開発が始まって以来、さまざまな機能拡張を進めた一方でプログラム自体が巨大化し複雑なものになっていた。WinActor Ver.7は、WinActor Cast on Callの新機能を含むニーズに柔軟に対応するため、従来使っていたJavaから完全に脱却し、C#で開発し直すことで文字通り全機能を「刷新」。動作スピードは従来のものから大幅に高速化しているという。

WinActor Ver.7 WinActor Ver.7(出典:NTT-AT)《クリックで拡大》

 同製品は「つまずかない、つまずいても転ばない」を合言葉に、あらゆる技術レベルにまたがるユーザーのニーズに応えるべく、初心者にはやさしく、上級者には高レベルの機能を提供するという。また、UIやシナリオ作成機能が大幅にアップデートされる。

 具体的には、視認性と操作性を重視したUIは初心者にも分かりやすい「メインモード」の他「クラシックモード」「ダークモード」の3種類を用意。ドッキングウィンドウにより好みの画面レイアウトへのカスタマイズも可能となった。また、初心者向けのハンズオントレーニング機能を充実させ、マニュアルもユーザーが“やりたいこと”を軸に検索できる仕組みにする。

 また、シナリオを作成する「シナリオエディタ」は、従来、一度に1件のシナリオのみを編集できたが、Ver.7から複数のシナリオを同時に編集可能にしたことで、シナリオ間のコピー&ペーストや、参照・比較しながらのシナリオ作成が可能となり、シナリオ作成時やメンテナンス時の生産性を格段に向上させた。また、デバッグ関連ボタンの追加や、エラー時のエラー発生箇所の表示方法を改善することで、デバッグの効率性も向上させた。さらにプログラミング的要素を極力排除した初心者にやさしいシナリオエディタや、上級プログラマー向けには普段慣れ親しんでいるテキストエディタで開発したものをシナリオに変換する機能も提供する。

 ユーザーのニーズを見直し、シナリオを実行する際に監査証跡になるログを残す機能を実装する他、グローバルでの利用を実現する多言語対応、「Microsoft Azure」や「Amazon Web Services」に構築した仮想化環境でも使えるよう対応を進めている。また、外部クラウドサービスや各種業務アプリケーションとの業務連携を容易に構築できるライブラリやサンプルシナリオの充実を進めているという。

NTT-ATの考えるRPAの将来像とは?

 WinActor Ver.7やWinActor Cast on Callを通して、NTT-ATが見据えるRPAの将来像とはどのようなものなのか。

 「今までワークフローは一組織の中で複数の業務をつなぐ、いわば“2次元”のイメージで捉えられてきました。WinActor Cast on Callは、いずれそれらを異なるアプリケーションや企業、組織にまたがった“3次元”のレベルでつなぎ、業務のつながり全体をフェルトのような一個のかたまりにするイメージです。その中でユーザーが最適な機能を組み合わせる意思決定を迅速にできる状態を実現したいと考えています」(山本氏)

 NTT-ATは、WinActor Ver.7とWinActor Cast on Callの相互補完によるシームレスな環境を目指しているという。大企業や中小企業を含めたあらゆるユーザーが、最適な機能を活用し、かつ自動化した業務の内容や記録を組織全体で共有しながら、開発、運用、管理を進められる――。そんな未来を、果たして数年の間に実現してくれるのか。進化するその機能に注目だ。

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