テレワーク環境は「表示が遅い」? せっかく導入したVDI環境、苦情をはねのけて生産性を上げる秘策とは

職種や分野を問わず、さまざまな企業にテレワークをはじめとする多様な働き方が求められる中、VDIの導入が広がりをみせている。しかし、せっかくVDIを導入したにもかかわらず「遅い」「動かない」といった問題を抱え、従業員の生産性が上がらないケースも目立つ。こうした事態を防ぎ、スムーズな業務を実現するコツとは。

» 2020年05月18日 10時00分 公開
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 働き方改革の取り組みが進む中、VDI(仮想デスクトップ基盤)の導入が加速している。仮想化したPCをサーバに集約してユーザーにデスクトップ画面だけを提供するVDIは、ユーザーにとっては「いつどこからでも好きなタイミングで自分のPCを利用でき、高いセキュリティを確保できる」というメリットがある。また、Windowsやソフトウェアのアップデート作業を一元的に実施できるため、運用管理の効率を上げたい情報システム部門にも適している。

 かつては導入コストの高さや運用管理ノウハウの不足といった課題から、VDIの導入をためらう企業も多かった。しかし最近は、企業の間でサーバ仮想化の採用が一般化したことや、仮想化ベンダーから使い勝手の良いソリューションが提供されるようになったことにより、コストや使い勝手が大きく改善した。近年は働き方改革をはじめ、災害や感染症などへの対策としてテレワークが推奨され、その基盤としてVDIが脚光を浴びている。

テレワークで脚光を浴びるVDI 押さえるべきポイントとは

 VDIは、将来が予測できない中で従業員の多様な働き方をサポートし、ビジネスを継続させるのに適したITインフラといえる。ただし、VDIを導入する場合に気を付けなければならない点もある。それは「快適さ」と「安定性」をどう確保するかだ。テレワークが本格化する今、その環境は「遅くて毎日の作業には使えない環境」「育児休暇や介護などの通勤困難者のみにフォーカスされた環境」であってはならないのだ。

 「快適さ」とは、普段の作業を物理PCと同じようにストレスなく実施できることだ。例えば、Webブラウザを利用中に描画が遅くなったり、「Microsoft Excel」の処理がもたついて時々固まったりすると、ユーザーはVDIを使いたくないと感じてしまう。

 「安定性」とは、仮想デスクトップ全体の動作が遅くなるような事態を防ぎ、常に一定の動作性能を確保することだ。「特定の時間帯やアプリケーションの利用時に特に操作が遅くなる」「自分の仮想デスクトップがなぜ遅くなっているのか分からず、悩まされている」といった事態が常に起こるようでは、業務に支障が出てしまう。

 こうした「快適さ」と「安定性」はユーザー体験に直結し、従業員の生産性を大きく左右するという点で非常に重要だ。この2つが確保できなければ、ストレスを与えてしまうという主客転倒な結果を招きかねない。逆に、この2つのポイントさえ押さえられればVDIで良いユーザー体験を提供し、生産性が向上することで企業全体の価値を底上げできるだろう。

VDIが重くなる原因の一つは「グラフィックスリソース不足」にあり

 VDIで高いユーザー体験を提供し生産性を高めるポイントは何か。多くの企業は、「快適さ」や「安定性」を確保するためにサーバ仮想化や仮想デスクトップのチューニング、高速なストレージの導入、広帯域ネットワークの整備、CPUやメモリの増強など既に取り組んでいるはずだ。しかし、それでもスピードが遅くなったり、レスポンスが悪くなったりといったトラブルに見舞われるケースがある。

 「現在、多くの企業でデジタル画像やPDFのやりとりが一般化し、動画やWeb会議、ビジネスチャットの利用などデジタル化が進む中、グラフィカルでリアルタイム性の高いアプリケーションやコンテンツが広く使われています。

 WindowsやWebブラウザ、Excelや『Microsoft PowerPoint』といった『Microsoft 365』の各種アプリケーションも品質や機能強化のアップデートが続いています。それに伴いOSやアプリケーションが利用するグラフィックスリソースがさらに必要となり、VDI環境でユーザーが体感するパフォーマンスが急激に悪くなる現象が発生しています。グラフィックスを意識しないままVDI基盤を構築してしまうと、パフォーマンスが落ちてしまうことにつながります」

エヌビディアの後藤 祐一郎氏(GRIDビジネス開発マネジャー)(出典:エヌビディア)

 そう話すのは、GPUベンダーのエヌビディアでGRIDビジネス開発マネジャーを務める後藤 祐一郎氏だ。後藤氏によると、こうしたグラフィックスリソースの不足が顕著に目立ち始めたのは「Windows 10」への移行が本格化した2年ほど前からだという。

 Windows 10はこれまでのWindowsと違い、コンピュータのハードウェアを活用する「ハードウェアアクセラレーション」を考慮して開発されている。多くのグラフィックスリソースを標準で要求し、それを完全には無効にできない仕様になっているのだ。また、デフォルトでGPUを使用して高速化されているため、GPUなしではWindows 10の能力を最大限に引き出せない。GPUが利用できない場合、グラフィックス処理をCPUが実施するため、CPUの負荷が高くなってしまう。Windows 7を動かしていた既存のVDIでWindows 10にアップグレードすると動作が重くなったり、Webブラウザをバージョンアップしただけでページの読み込みが遅くなったりするのはGPUのパワー不足が一つの要因なのだ。

 「グラフィックスというと、動画やゲーム、3D CADなど特殊な用途にのみ必要になると思いがちですが、実際にはWindows やさまざまなアプリケーションがグラフィックスリソースを利用しています。企業の多くの業務アプリケーションもWebブラウザを経由して利用しているので、グラフィックスリソースが不足すると快適さや安定性に支障が出ます。逆にGPUを採用すれば、CPUの負荷を削減してVDIのパフォーマンスを大きく改善、安定させることが可能なのです」(後藤氏)

VDIのパフォーマンスを劇的に改善させる「GRID vPC」

 エヌビディアがVDIのグラフィックスリソースを強化するために提供するソリューションが「GRID vPC」だ。

 GRID vPCは仮想GPU技術を活用し、VDIで動作する仮想デスクトップにグラフィックスリソースを割り当てるソリューションだ。物理環境では、GPU 1個を1台のPCに対してしか割当てられない。サーバ仮想化環境でも基本的には同様で、100台の仮想マシンがあったらそれに割り当てるGPUも100個必要だった。そもそも100個ものGPUを搭載できるようなサーバ筐体はないという問題もある。

 こうしたGPU利用の課題を解決したのが仮想GPU技術だ。NVIDIAの「vGPU」という仮想GPUソリューションを使えば、1個のGPUを仮想的に分割し、仮想GPUとして複数台の仮想デスクトップに割り当て、効率的に利用できる。

 「vGPUは、グラフィックスリソースが特に必要になるCADやBIMなどのワークステーションVDIをはじめ、CAEやディープラーニングなどのコンピューティング処理で活用されてきました。この仕組みをビジネスユーザー向けのVDIでも活用し、仮想デスクトップのスムーズな利用を実現できるソリューションがGRID vPCです。GRID vPCを使うことで、Windows 10をはじめ、Webブラウザ、Microsoft Office、PDFや『Google マップ』などさまざまなアプリケーションが快適に安定して動作するようになります」(後藤氏)

エヌビディアが提供するGPUを活用した仮想化技術の概要(出典:エヌビディア)

 この点は、企業で利用されている業務アプリケーションや、近年利用が急増しているテレワーク向けアプリケーションについても大きな効果が期待できる。SAP製品やSalesforce.com製品、BIツールなどの業務アプリケーションはWebアプリケーション化やHTML5対応が進み、Webブラウザでの表示にグラフィックスリソースを活用するようになった。このため、グラフィックスを強化することでパフォーマンスが劇的に改善するケースが多いのだ。

 テレワーク向けアプリケーションとしては、動画視聴や配信のためのYouTubeやWeb会議ツールの「Microsoft Teams」「Zoom」「Cisco Webex」などがある。テレワーク中に映像や音声が不安定になるケースは少なくないが、GPUで強化したVDIを構築することでユーザーにストレスを与えないテレワーク環境を提供できるようになる。

GPUで強化されたVDIがユーザーの働き方を変える

 GRID vPCは既に実績のあるソリューションであり、多くの企業ユーザーがその効果を確認している。ここでは2社の事例を紹介しよう。

 1社目は、5年間使い続いたVDIが遅くなり、業務に支障が出るようになったハーゲンダッツ ジャパンだ。同社は、業務に使うアプリケーションの画面が固まったり、「Microsoft Office」のパフォーマンスが劣化したりする現象に悩まされていた。さらに、自社Webサイトのコンテンツが増えるにつれてスムーズな表示が困難になり、営業活動にも支障が出ていた。そこで、新たなVDI導入のタイミングでGRID vPCを採用。Webブラウザの表示速度を大幅に改善し、Officeアプリケーションの処理時間や操作感も飛躍的に向上させた。

 「エンドユーザーに安定して快適なVDIを提供できるようになりました。これにより、情報システム部の作業やユーザーからヘルプデスクへの問い合わせの負荷も激減し、働き方改革の推進にも効果があったとのことです」(後藤氏)

 2社目は、働き方改革が騒がれる以前からVDIを全社に導入していたが、仮想デスクトップの動作が鈍くなりがちで、操作がワンテンポ遅れるなどの課題を抱えていた、東急リバブルだ。同社はこの課題に対処するためにWindows 7からWindows 10 VDIへの移行を見据えてGRID vPCを備えたDaaS(Desktop as a Service:仮想デスクトップサービス)ソリューションを採用。この結果、SAP製品や「Salesforce」といったアプリケーションに加え、BIツールやGoogle マップ、Webブラウザなどの動作が大幅に改善した。

 「スペックが最低限の小型シンクライアントPCから接続し、社内、社外、自宅など、どこにいても社内と同じ体感で仮想デスクトップを利用できるようになりました。これにより、現場で仕事をする皆さんに『働きがいを向上』してもらうための基盤を整備できたと話していらっしゃいます」(後藤氏)

「Windows 10」移行やテレワークをきっかけにVDI導入に踏み切る企業が多い中、以前のWindowsとのグラフィックスリソースの違いは見落とされがちだという(出典:エヌビディア)

 後藤氏によると、こうした事例とは逆に、GPUなしの環境でWindows 10のVDIをいち早く構築してしまった企業から「全体的に遅い、重い、特定のアプリケーションが使えないというクレームを従業員から受けているが、どうすればいいか」「Web会議ツールはVDI上では遅くて使えないため、VDIへ接続する手元のPCやタブレット、スマートフォン側で使うようにしているが、Web会議中に資料を共有する際に使い勝手が悪いため、VDI上で使えるようにすることはできないか」といった相談を受けるケースも急増しているという。「テレワーク環境を整備するためにVDIを導入したい」という声が増える中、GPUの重要性に気付いていない企業も少なくないという。

 「GPUを強化することでVDIのパフォーマンスは大幅に改善します。既存のVDIで悩まれている方、これからVDIを新たに構築したいという方は、GPUをご採用頂きユーザー体験を高め、従業員の生産性向上や働き方改革につなげてほしいと思います」(後藤氏)

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提供:エヌビディア合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2020年6月17日