近年、不特定多数の消費者に商品やサービスを提供する、いわゆるB2C企業においてマーケティングや顧客サービスのデジタルシフトが進んでいる。
B2C企業が消費者とコミュニケーションを取る手段としては、これまでは電話やFAX、メールが主流だった。しかしスマートフォンの普及以降は、スマホアプリを使ったSNSやチャット、あるいはSMSといった新たなタイプのコミュニケーション手段が若い世代を中心に一気に広まった。若い世代に認知を広げたいB2C企業は当然、新たなコミュニケーション手段も積極的に活用して顧客と広くコミュニケーションを取りたいと考えるはずだ。
こうした潮流について、Vonage Japanのマネージングディレクターを務める西村哲郎氏は次のように話す。
「今、多くのB2C企業は、従来のようなマスコミュニケーション戦略からそれぞれの顧客の趣味嗜好(しこう)やライフスタイルに寄り添った『パーソナライズされた顧客体験』を提供することで顧客の獲得や囲い込みを図っています。そのためには、顧客の多様なライフスタイルやニーズに応えられるよう、より多くのコミュニケーション手段を提供する必要があります」
業務の効率化やコスト削減の観点からも、顧客接点のデジタル化や多様化が求められている。これまで企業と消費者とのコミュニケーションの多くはコールセンター経由だったが、人件費が多くかかる上になかなか人手を集めにくい。そのため、多くの企業でコールセンター業務の効率化やコスト削減が経営課題になっている。
こうした課題を解決する有効な手段の一つとして、高コストな「人手による電話対応」をメールやチャットなどの低コストなデジタルチャネルに置き換える動きが加速している。近年では、チャット経由の問い合わせに対してAIが自動応答するチャットbot技術が実用化されるなど、この分野における技術革新が急速に進んでいる。
しかし、このような顧客接点のデジタルシフトが順調に進んでいる例は、実際には少ない。多くの企業は、さまざまな課題に阻まれてなかなか旧来のコミュニケーション様式から抜け出せていないのが実情のようだ。その理由を西村氏は次のように分析する。
「新たなコミュニケーションチャネルを追加するには、一般的には多大なIT投資が必要です。技術的なハードルも高いため、潤沢な予算やITスキルを持たない企業にとっては難しい決断でしょう。ましてや、一つのチャネルだけでなく、チャットやメール、ビデオ、SMSなど複数のチャネルを実装するとなるとIT投資がかなりかさみます。これらの仕組みを実装して運用できるスキルを持った技術者の確保もかなり困難です」(西村氏)
多くの企業は顧客接点のデジタル化、多様化の必要性を痛感しつつも、なかなかその導入に踏み出せずにいる。そこでVonage Japanは、企業がコスト効率良くかつ簡単に多様なコミュニケーションチャネルを導入するためのソリューション「Vonage API」を提供している。
Vonage APIは、前述したようなさまざまなコミュニケーションチャネルの機能を「クラウドAPI」として提供する。SMSを使って企業が消費者にメッセージを送る場合、通常は既存のシステムにメッセージ送受信機能を追加する必要がある。Vonage APIを使えばメッセージ送受信用のAPIを既存システムから呼び出すだけで、極めてシンプルなプロセスでSMSメッセージ機能を付加できる。
同ソリューションは、SMSだけでなくメールやチャット、ビデオ、音声などさまざまなコミュニケーションチャネルに対応した機能を提供する。ユーザー企業は、これらのAPIを活用することで初期投資を抑えつつ、顧客接点のデジタル化や多様化を短期間で実現できる。それだけでなく、これらのAPIはWebシステム開発で今日利用されている「Ruby」「Python」「Java」「Node.js」といった開発言語に対応しているため、一般的なWebプログラミングのスキルさえあれば簡単に使える。
Vonage APIの開発と運営は、米国の本社であるVonageが手掛ける。Vonage Japanはその日本法人として2018年に本格的な事業を立ち上げた。Vonageはグローバル市場で既に80万人以上のVonage API開発者(登録ユーザー)を抱え、UberやAirbnb、Spotify、Expedia Groupといった大手グローバル企業に採用されている。最近では、オンライン決済サービスを手掛けるPaidyに採用されるなど、国内の事例も増えている。
「API」と聞くと、一般的なクラウドサービスと比べて利用のハードルが高いように思えるかもしれないが、実際には極めて手軽に利用できる。VonageのWebサイトでユーザー登録を行うと、「APIキー」が発行される。このAPIキーを使えばプログラムからAPIを自由に呼び出せる。このように、利用開始に必要な手続きは全てオンラインで済ませることができる。
APIの詳細な仕様や利用方法、サンプルコードなどは同じくWebサイトで参照できるため、学習コストも最小限で済む。Vonage APIは従量課金制で、SMSメッセージの送受信用APIであればメッセージ1通当たりの料金が、電話やビデオのAPIであれば通話時間の長さに応じた秒単位の料金が自動的に課金される。価格は全て同社のWebサイトで公開されている。
Vonage APIに似たサービスは幾つか存在するが「Vonage APIには他社サービスにはない強みが多く存在する」と西村氏は話す。
「SMSメッセージ機能だけ、ビデオ通話機能だけなど、個別のコミュニケーションチャネル機能を単発で提供するベンダーは存在します。しかし、Vonageのようにあらゆるチャネルの機能を単一のクラウドプラットフォームで提供しているベンダーはほとんどありません。私たちはこれを『Communication Platform as a Service』(CPaaS)と呼んでおり、Vonage独自のソリューションとして全世界の企業に展開しています」
サービスをグローバル展開している点もVonage APIの大きな特徴だという。西村氏によれば、国外の顧客と頻繁にコミュニケーションを取る必要がある旅行業界や航空業界の企業にとって、世界中にサービス網を持ち、さまざまな言語で情報をやりとりできるVonage APIは安心感が高いという。大手グローバル企業で採用されていることから、大量のトラフィック処理にも高い実績がある。こうした点においても「多くのユーザー企業に厚く信頼されている」と同氏は語る。
現在、Vonage APIが多く採用されている分野にFinTechがある。金融系のサービスは、一般的なWebサービスと比べてより厳格なユーザー認証や本人確認を必要とする。そのため近年導入が進んでいるのが、ID/パスワードの入力に別の認証方式を付加する「二要素認証」だ。その実現方法はさまざまだが、最近多く見られるのが、ID/パスワードを入力したユーザーの携帯番号宛てにSMSで認証コードを送り、これをユーザーが入力した時点で正式に認証する方法だ。
SMSを使った二要素認証を実現するには、SMSの送受信処理はもちろん、認証コードの生成や認証処理全体のワークフローなどをプログラムで実装する必要があり、通常は多くの工数を要する。
しかしVonage APIを使えば、認証コードを発行してSMSで送信するAPIと、認証コードの正当性をチェックするAPIの2つを呼び出すだけで全ての処理が実現する。Vonage APIを使った二要素認証は、金融系サービスだけでなくECサービスにおける決済処理などにも採用例が多いという。
「SMSはリアルタイムに情報を通知でき、かつメールやチャットなどと比べても中身が読まれる確率が高い傾向があります。そのため、飛行機のフライト変更などの緊急連絡を搭乗者に通知するような用途に向いています。今後はトラベル業界でもニーズが高まるのではないかと考えています。
企業と顧客との間のコミュニケーションだけでなくゲームのプレイヤー同士のコミュニケーション手段としても使えます。今後はソーシャルゲームなどC2C分野におけるVonage APIの利用価値も訴求していきたいですね」(西村氏)
近年では、働き方改革やパンデミック対策のためにVonage APIのビデオ通話機能を活用する企業も増えているという。Vonage Japanは今後、こうした用途に加えて遠隔医療や遠隔授業などにもVonage APIの利用を広げていきたいとしている。
「Vonage APIのようないわゆる『コミュニケーションプラットフォーム』の市場は、世界では年40%の高い成長率を示しています。しかし、日本ではまだ十分に認知されているとは言えません。今後はさまざまな機会を作って弊社のCPaaSのコンセプトを多くの方々に知っていただき、パートナーやユーザー企業と一緒にVonage APIの先進的なユースケースをどんどん作っていきたいと考えています」(西村氏)
日時:6月 4日(木)11:00〜12:00
講師:西村 哲郎(マネージングディレクター)
宮沢 昌幸(カスタマーソリューション)
Vonage Verify APIのシンプルな実装と費用対効果に優れた認証ソリューションをお客さまの導入事例とあわせてご紹介します。
Q&Aのお時間も設けておりますので、皆さまのご参加お待ちしております。
お申込みはこちらでご確認ください。
Vonage Japan合同会社
TEL: 03‒6670‒6930
Email: jp.marketing@vonage.com
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提供:Vonage Japan合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2020年6月27日
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