「ただデータを集めるだけ」では使えない――リアルタイムで経営から現場まで役立つデータ分析へ、企業が今すぐ解決すべき2つの課題

データ量が増加し、クラウドやIoTにデータが分散する時代、分析に必要なデータを集約するだけで現場が息切れしていないだろうか。せっかくデータを分析しても経営陣に知見が伝わらずに終わってしまうケースもある。集めたデータを無駄にせず、リアルタイムに経営戦略に生かすには何が必要なのか。第一線で日本企業のデータ活用を見てきた専門家に聞いた。

» 2020年07月14日 10時00分 公開
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デジタル時代に改めて脚光を浴びるデータ分析

 ビジネスのデジタル化が進む中、経営資産としての企業データをどう活用するかに関心が集まっている。データ活用は、業務の電算化やIT化に伴って企業が多種多様な取り組みを進めてきた分野だ。実際、その取り組みによって業務が効率化され、ガバナンスが大きく向上し、経営に大きく貢献するケースもある。

 しかし、近年関心を集めているのはビジネスを後方から支援する「守り」のデータ活用ではなく、データを使って直接的に売り上げを拡大させる「攻め」のデータ活用だ。2010年代前半には基幹システムだけでなく、顧客データやSNS、画像や映像などさまざまなビッグデータを分析して新しい価値を生み出す取り組みが進んだ。2010年後半は、IoT(モノのインターネット)などから収集したセンサーデータをAIで分析し、これまでにない知見を得たり新たなサービス開発につなげたりする取り組みが活発化した。

 最近では、データを経営の中心に据えるデータドリブン経営や、デジタル技術を使って業務や組織を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)において必須の要素となっている。こうした企業のデータ活用の取り組みを約20年にわたって支援してきたベンダーがウイングアーク1stだ。

 2001年に販売を開始したデータ基盤ソリューション「Dr. Sum」は現在、国内外に6400社のユーザーを抱える。2011年から販売しているBIダッシュボード「MotionBoard」のユーザーは2000社を超えた。いずれの製品も、国産のデータ活用基盤として高い知名度と実績を持つ。

 同社から見て、現在の市場はどのような局面を迎えているのか。同社のエバンジェリストである大畠幸男氏(Cloud事業部ビジネス戦略室 副室長)はこう話す。

 「データ活用の課題は、企業の取り組み状況やタイミング、ビジネス環境などによって大きく変わります。当社は顧客のニーズをくみながら、必要な機能やサービスを柔軟に追加してきました。今までのデジタル化の取り組みでは十分に対応できなかった面もあります。1つは『データに対する向き合い方』、もう1つは『環境の整え方』です」(大畠氏)

 同氏は「近年、この2つは大きく変化してデジタル時代におけるデータ活用の課題にもなっている」と指摘する。

「データに対する向き合い方」と「環境の整え方」に大きな課題

ウイングアーク1stの大畠幸男氏(Cloud事業部ビジネス戦略室 副室長兼エバンジェリスト)(出典:ウイングアーク1st)

 大畠氏によれば、このうちデータに対する向き合い方の課題は、企業が抱きがちな思い込みにあるという。それは「必要なデータさえあれば解決すべき課題はおのずと明らかになる」というものだ。ある企業の店舗で売り上げが想定を下回ったとする。そのような場合に「販売データや顧客データなど、さまざまなデータを収集して分析しさえすれば、その原因は突き止められる」と考える企業は多い。しかし、専門家の目から見ればこの考え方には問題が多い。

 「もしも導きたい課題が最初からある程度決まっているなら、“データを集めてから課題を探す”アプローチも有効かもしれません。しかし現実には、売り上げから予算、営業活動、棚割り、店舗スタッフの状況、顧客の状況、天候データ、SNSデータなど、分析の対象となるデータの種類は数え切れないほどあります。それらをただ分析しても引き出される課題が多過ぎて、結果としてうまくいかないケースが多いのです。ここで大事なのは、データから課題を引き出すのではなく、明確な目的の下で必要なデータを収集して加工するということです」(大畠氏)

 「とにかくデータさえ収集しておけば何かに使えるはず」「データを集めれば集めるほど精度の高い分析ができるようになるはず」といった考えでデータ分析に挑む企業も、同じような問題を抱えてしまう。「何の問題に対する答えを見つけたいのか」「想定できる課題にはどのようなものがあるか」といった点をはっきりさせなければ、適切な分析はできないということだ。

 もう一つの課題である環境の整え方についての課題は「ビジネスで活用できそうな知見を得るまでの時間と環境をどう整備するか」というものだ。従来のデータ活用では、収集したデータをBIツールなどで分析して知見を得ることが重要だった。以前はこうした作業に時間が必要だった。しかしテクノロジーの発展によって瞬時に分析を完了させたり、リアルタイムにデータを可視化したりできるようになった。しかし大畠氏によれば、だからといってビジネスに役立つ情報が素早く得られるようになったわけではないという。

 「最近は、いわゆるセルフサービスBIのように使いやすい優秀な分析ツールが登場しています。データサイエンティストのような専門職を採用する企業も増えています。しかし、ツールの導入や人の採用だけではデータ活用は進みません。分析自体は速くなっても現場に知見を生かせなかったり、経営判断に役立てられなかったりするケースがほとんどです。分析業務を高速化しても、現場や経営陣など本当に伝えなければならない相手になぜその知見が重要なのか、どのように活用すべきか『伝えられる環境』がなければ、せっかくの知見も生かせません。大切なのは、そのような環境を整備することです」と大畠氏は強調する。

Dr.SumとMotionBoardの新バージョンを提供開始

 ここまで挙げた課題に対応しようと、ウイングアーク1stは製品の機能強化を図る。

 「BIツールをただ導入しただけでは『データの可視化』にとどまってしまい、データを生きた情報としてビジネスに役立てるのは難しいと考えています。そこで当社が提案しているのが、Dr.Sumを全社データ共有基盤として活用しながら、ユーザーが直接データに触れる部分はMotionBoardで活用を支援するという体制です。これにより、ユーザーは明確な目的を持った分析を簡単に実施できるようになり、現場や経営層といった本当に伝えなければならない相手に迅速に情報を届けられるようになります」(大畠氏)

 近年では、クラウドやIoTが普及したことで企業のデータがさまざまな場所に散在し、分析以前にデータを集約する作業の負担が大きくなっている。

 そこで同社は、2020年6月1日にリリースした新バージョン「Dr.Sum Ver.5.5」でデータの統合管理機能を強化した。「社内にデータが散在、混在してせっかく社内にあるデータを活用しきれていない」「IoTのデータをリアルタイムに可視化したい」といったニーズを意識したという。

 注目は、「Microsoft Excel」(以下、Excel)と連携するインタフェース「Dr.Sum Datalizer」を強化し、Excelの操作でデータベースを一括更新できるようになった点だ。データ活用の現場で “脱Excel”を目指すベンダーもある中、同社はユーザーの利便性を意識した結果、あえてその逆を行ったという。

 「新バージョンは、データベースのテーブル新規作成、データの追加、編集、削除をExcelインタフェースで実行可能にしました。現場ではExcelを使って入力や編集作業をしているのに集計には別のツールを使わなければならず、負担が増すケースが多くありました。Excelで直接データベースを更新できればその手間を削減できます。また、日々の業務の中で自然にデータを活用できるようになります」(大畠氏)

Dr.Sum Ver.5.5は、Excelでデータベースの一括操作を可能にした(出典:ウイングアーク1st)

 例えば、クロス集計の結果からターゲット指定したデータを抽出した後にExcelで直接データを更新し、集計結果を取得できる。手元にあるCSVやExcelのデータも簡単にテーブルに追加できるので、即時の分析も可能だ。

 この他、データの加工やSQL実行を記述し、高速処理できるスクリプト言語「DS Script」や、クラウドでのデータ活用を実現する「Dr. Sum Cloud Hub」も追加された。Cloud Hubを利用すると、オンプレミスで運用しているデータをクラウドに簡単に取り込める。Webベースの管理クライアントでファイルアップロードやダウンロード、タスクのスケジューリングなどが可能になるという。

企業全体での戦略や課題解決をサポート

 BIダッシュボードであるMotion Boardも、2020年6月1日に新バージョンの「MotionBoard Ver.6.1」の販売を開始した。新バージョンはデータ入力機能を拡充し、運用面の機能も強化した。他にも特徴的な新機能として、IoTデータのリアルタイム可視化が挙げられる。

 MotionBoardはこれまでも、流通や小売り向けに地図と連携した商圏分析を実施する機能や、製造業向けにIoTセンサーデータを相関分析する機能などを提供してきた。

 今回の新機能は、3Dマップによる空間の可視化を可能にした。これにより、工場内で異常値が発生した際にどこにアラートが出ているかを立体映像として表示するといったことが実現する。

 「3Dマップは遠近感覚を捉えやすく、視覚的な把握が容易です。空間の整合性も保てるので、倉庫の中にあるどの列のどの棚でアラートが発生したかなどを認識しやすくする効果があります。Dr. SumとMotionBoardを組み合わせて使えば、データの可視化にとどまらず、部門規模や全社規模でのデータ活用を進め、企業全体での戦略や課題解決をサポートできます」と大畠氏は話す。

MotionBoard Ver.6.1に加わった3Dマップは、工場や倉庫などで起こっている事態の視覚的な把握に役立つという(出典:ウイングアーク1st)

 データ分析を「今、目の前にあるデータからどう知見を引き出すか」といった狭い視点で捉えてしまうと、活用の範囲も狭くなりがちだ。だが大畠氏が指摘するように、データに対する向き合い方や環境を変えていけば、データ活用によって全社のビジネス戦略をサポートすることも可能だ。

 そうした攻めのデータ活用を実現するには、企業システムの内外に蓄積されているさまざまなデータを統合し、蓄積し、高速な集計を実現する基盤が重要になる。データから知見を引き出し、意思決定や行動の変化を促すサイクルをスピーディーに回す仕組みも必要だ。大畠氏は、企業自体がデータ活用に必要な姿勢や環境を柔軟に見直していくことが、激しい変化にさらされるビジネスを支える助けになるとも指摘する。

 「新型コロナウイルス感染症の影響で、半ば強制的なテレワークが広まりました。その過程で、申請書や契約書の処理などの多くのアナログ作業がデジタル化されています。データ活用もまた、デジタル化の流れの中で進化し続けます。今すべきことは『デジタル化の道を作ること』です。そのために新しいDr.SumとMotionBoardを活用してほしいと思います」(大畠氏)

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提供:ウイングアーク1st株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2020年8月11日

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