コロナ禍や自然災害から、確実に事業を守る方法とは?自治体システムを支えるバックアップの仕組み

コロナ禍においてITシステムは事業インフラそのものとなり、確実な継続性確保と維持は一層重要な課題となった。地域社会を支える自治体システムには、自然災害を含むいかなる事業継続阻害要因にも対処できる体制が求められる。複数のミッションクリティカルシステムを持つ組織が、どのようにして確実なバックアップ体制を手に入れたか、事例を探る。

» 2020年10月12日 10時00分 公開
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50年以上、自治体・教育機関向けソリューションを展開

 事業を支えるシステムやデータのバックアップの重要性が一段と増した。その背景には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によるリモート勤務の広がりや、相次ぐ自然災害の発生がある。

 だが、バックアップ体制を構築していても、いざというときに機能しなければ意味はない。ITシステムが事業インフラそのものとなった今、既存体制が正しく、確実に機能するのか否か、確認し続けることは必須だ。

 地域社会の行政サービスを支える行政や自治体システムの事例は、企業にとっても良いヒントとなるだろう。行政サービスは、どのような事態においても止めることが許されないため、それを支えるバックアップの仕組みは多数のミッションクリティカルシステムを持つ企業にとって参考になる。

 福井システムズは、福井県を地盤に行政・自治体・教育機関向けソリューションを提供する地域密着型のITサービス企業だ。堅牢なファシリティと高度なリスク対策を施したデータセンター「Infoaxis DC」を運営し、住民情報システムなど自治体の各種システムを支える自治体向けプライベートクラウドサービスを提供する。他にも授業支援システムなど、県内の各種教育機関のニーズに合わせたシステムの開発も手掛け、実に50年以上にわたる実績は顧客から厚い信頼を獲得している。

兼定直樹氏 福井システムズ アウトソーシングサービス部プロジェクト部長 兼定直樹氏

 同社においてはCOVID-19の影響が出る前から、自然災害の頻発などを踏まえた「より信頼性の高いデータ保護」の在り方を見直す機運が高まっていた。アウトソーシングサービス部プロジェクト部長の兼定直樹氏は次のように話す。

 「行政や教育機関においては有事の際も安定的にITを活用できることが必須です。その基盤を提供する当社としても、データ保護の在り方を根本から見直し、課題を早急に解消すべきだと考えたのです」(兼定氏)

自治体向けクラウド基盤が抱えていた「バックアップ、3つの課題」

 従前の環境にあった課題は大きく3つに分けられた。1つ目はバックアップに時間がかかっていたことだ。同社は自社データセンター「Infoaxis DC」で稼働するクラウド基盤の仮想マシンに対し、イメージバックアップツールを使ってきた。だが仮想マシンの数やデータ量の増大とともに夜間バックアップも長くなっていった。

稲崎恵一氏 福井システムズ アウトソーシングサービス部基盤グループ 稲崎恵一氏

 プライベートクラウドサービスという性格上、クラウド基盤は提供先やシステムごとに5つ存在した。バックアップ時間が長引いていたことで、ある基盤においては、バックアップ終了が顧客である自治体の開庁時間ぎりぎりになるという事態も起こり始めていた。同社の稲崎恵一氏(アウトソーシングサービス部基盤グループ)は次のように振り返る。

 「バックアップの各種ジョブが進む中で、数多くの処理待ちが発生していました。全体に時間がかかるために、正しくバックアップできない事態も発生していました。そのようなときには、担当がひたすら状況を見守り、エラーが出るたびにリトライしたり、全体の様子を見ながらバックアップの開始時間や設定を調整しながら進めるといった工夫をしたりすることで対応していましたが、そのための管理負担は相当に増大していました」(稲崎氏)

青池侯文氏 福井システムズ ソリューション営業部担当課長 青池侯文氏

 2つ目の課題は、迅速な事業復旧が難しかったことだ。従前の体制では、リストア/リカバリにバックアップと同等の時間がかかるようになっていた。青池侯文氏(ソリューション営業部担当課長)は顧客が抱くニーズの変化に言及する。

 「近年、顧客側の認識も変わり、最終的に回復させるだけのバックアップではなく、いざというとき事業を即座に復旧、継続できなければ意味がないと考えられるようになってきたのです。これには確実に応えなければなりません」(青池氏)

 3つ目の課題は復旧訓練だ。万一の際、事業継続を確実に保証するためには平時の訓練がカギになる。バックアップデータを確実、迅速に戻せる技術が整っていたとしても、実際に戻せるかどうか、いつでも容易にシミュレーションできる仕組みを構築したいと考えていた。

システム復旧の確実性と速さを考慮 「NetBackup」を選定

 これらの課題解消に向けて、同社が採用したのがアプライアンス製品「Veritas NetBackup Appliance」(以下、NetBackup)だ。

 「NetBackupは自治体向けクラウドサービスを開始する前にも検討しました。バックアップ取得の確実性、処理速度などの他、バックアップイメージから仮想マシンを直接起動し、“すぐに使える状態”へと復旧できるインスタトリカバリ機能や、復旧シミュレーション機能に注目していたのです。当時はクラウド基盤の構築自体に予算を割かねばならず見送りましたが、今回は真っ先に候補に挙がりました」(青池氏)

 導入に当たってバックアップ処理の確実性、バックアップ速度、リストア時間、重複排除などの項目で検証を実施したところ、いずれも高いスコアを達成した。

 「バックアップ取得時間は、従来機のおよそ半分かそれ以下で完了することが分かりました。明朝の開庁時間ぎりぎりまでかかっていた仮想マシンのバックアップ時間も同様です。エラーは一切なく、全処理を短時間で確実に実行できました」(稲崎氏)

 複数台のNetBackupを使った遠隔地へのレプリケーションや、仮想マシンの迅速な復旧、復旧シミュレーションなどの機能も検証し、やはり高い効果が期待できることを確認した。現在、クラウド基盤の1つにおいてバックアップツールを従来機からNetBackupに切り替えて詳細なテストを実施中だ。

Veritas NetBackup Appliance 「Veritas NetBackup Appliance」の特長(出典:ベリタステクノロジーズ)《クリックで拡大》

NetBackupの適用を拡大 「今後も地元の安心を支え続ける」

 テスト対象は、福井県内の5市町を対象にした住民情報システム、税情報システム、福祉・保険システムが稼働するクラウド基盤だ。具体的には仮想化ソフトウェア「VMware ESXi」を使って物理サーバ5台の上で約80台の仮想マシンを運用し、仮想マシンデータはファイバーチャネル接続の共有ストレージで管理している。NetBackupはストレージを対象にバックアップをするとともに、別のデータセンターに配置したNetBackupへの遠隔地レプリケーションも実行している。

システム構成図 福井システムズのシステム構成図(出典:福井システムズ)《クリックで拡大》

 「この構成でバックアップ取得時間は約3時間に収まりました。重複排除機能により、バックアップのデータサイズは最大50倍、帯域幅利用率を最大99%節約できるため、従来機より高い運用効率を達成できる見込みです。遠隔地への転送も以前は日中に実行していましたが、現在は夜間だけで終了します。管理画面が見やすく操作のレスポンスも速く、ストレスなく業務できることもメリットです」(稲崎氏)

 本番運用に入ればバックアップの確実性向上はもちろん、バックアップ時間とデータ/システムの復旧時間を大幅に短縮できる。さらに運用負荷低減も見込めるなど、大きな成果が期待される。

 「万一の際、迅速に復旧できることは顧客にとって大きな安心材料になります。加えて、復旧シミュレーションにより随時訓練ができることは、当社内でも信頼と安心を強化することにもつながります」(青池氏)

 順調に進みつつあるテストの成果を見て、残り4つのクラウド基盤も順次NetBackupへと切り替える予定だ。バックアップ運用は約10人のインフラエンジニアが担当するが、運用の効率化によって顧客向けサービスの充実にもリソースを振り向けられるようになった。本来的な業務に集中できるようになることにも期待を寄せる。

 「2020年7月には最新バージョン『NetBackup 8.3』がリリースされ、パフォーマンスやセキュリティ面での機能強化やクラウド対応の新機能も追加されました。NetBackupを活用しながらサービス品質をより一層高めることで、今後も地元への貢献に注力していきたいと考えています」(兼定氏)

福井システムズ

福井システムズ株式会社

設立 1966年11月

従業員数 171人

所在地 〒910-0347 福井県坂井市丸岡町熊堂第3号2番地22-5

URL https://www.fukui-systems.co.jp/

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提供:富士通株式会社、ベリタステクノロジーズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2020年10月25日