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» 2020年10月29日 10時00分 公開

コロナ禍をCIO/CTOはどう受け止めたか:コロナ禍対応、IT施策の陣頭指揮を執った各社トップが見る組織の未来予想図

技術志向で知られる米国のITベンダーが日本のCIO/CTOらとパネルディスカッションを行った。OSS開発で培った知識や経験の共有、公平な議論の場を日本企業のトップが体験すると、どんな議論が巻き起こるのだろうか。イベントの模様を紹介する。

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技術集団が始めたニューノーマル時代のオンライン評議会

 Elasticという企業をご存じだろうか。欧州発のITソリューションベンダーで、データドリブンかつ技術志向の強い企業に強く支持されてきた。

 いま、この技術志向の企業がコロナ禍、ニューノーマルへの対応を急ぐ企業同士のナレッジハブとして機能し始めている。著名な企業のトップ同士が率直に自社の課題と対策を議論するフォーラムが形成されつつあるのだ。Elasticの日本法人Elasticsearchが運営するオンラインイベント「CIO/CTO Roundtable Japan」がそれだ。物理的に人が集まることが難しい状況で「相談をする場を持ちにくい」という企業経営層同士の対話の場をいちITベンダーが提供する形だ。ITベンダー主催のイベントというと製品のPRが主かと思いきや、組織運営の方法論などを含む、製品によらない活発な議論が交わされる場となっていた。

分散型で成長した企業が重視するのは、対話と体験

 Elasticは世界中の技術者がオンラインで協働するオープンソースソフトウェア(OSS)開発コミュニティーの文化から生まれた企業だ。創業メンバーもイスラエル、ドイツ、オランダと国境を越えて分散して仕事に当たる。

 同社は「検索」技術を軸に、オフィス内や各種SaaSを横断して情報を検索できる「Search」、システムを横断して多様なデータを一元的に掌握して管理する「オブザーバビリティー」、SIEMやマルウェア対策を提供する「セキュリティ」という3分野で製品を提供する。

Elasticsearch 川崎友和氏

 Elasticsearchのカントリーマネージャー川崎友和氏は「分散型で組織を運営するElasticは、いまの全世界的なニューノーマルへのシフトを先取りしてきた。オンラインだからこそインタラクティブなコミュニケーションが重要」と企画意図を語る。

 イベントではこの発言の通り、参加者同士の知識や親交を深めるためのグループディスカッションや質疑応答の時間が用意された。

 面白いのはこうした議論以外の「体験」も演出したところだ。参加者に事前に同じ「弁当」を配り、イベント中に同じものを食べるという体験の共有を演出する。こうした一体感の醸成から、「テレワークをきっかけに自身の課題を議論する場が減った経営者やIT部門のトップの方々に場を提供したい」(川崎氏)のだという。

経営トップの赤裸々ディスカッション「うちは準備できていなかった」

 このイベントの参加者は業種業界こそ異なるものの、皆CIO、CTO、CISOなど、企業のデジタル変革をけん引したり支えたりする立場にある。ディスカッションは、組織で指揮を執る立場にある参加者が自組織の中では語りにくい「課題」や「悩み」、現在の取り組みを赤裸々に明かす場面もあった。ディスカッションは参加者を2グループに分け、それぞれが別のテーマで議論する形で進められた。

 最初のグループは「テレワークで浮き彫りになった自社の経営、運営上の課題」をテーマに、各社が課題を語り合った。モデレーターは川崎氏だ。

 DX推進に積極的な企業のITトップを経験した経歴を持ちながら、デジタル化が遅れる企業でDX推進の指揮を執る立場にある参加者からは「当初はテレワークさえ難しいと思えた」(参加者のコメント、以下同様)といった率直な意見が寄せられた。いまではテレワークが浸透したものの、「もともとは従業員の大半が営業職で、人の力を重視する社風。実はこの企業は『理念を一にするチーム』なので、テレワーク以前に従業員エンゲージメントが出来上がっていた。これをリモートでどう実現するかが課題だ」といった意見が出た。

 この企業の場合、完全なテレワークよりも「テレワークと対面によるハイブリッド型の活動の方が生産性が上がる」という結果が出ているという。移動時間のないオンライン商談は単位時間当たりの「ドアノック」数を増やせる。一方、ドアノック後はオンラインではなく対面商談で詳細な対話を進める。こうすることで接触機会を最大化し、見込み客との質の良いコミュニケーションを両立させることができ、生産性を上げられるのだという。この組み合わせのベストバランスを発見できれば「生産性を高められるチャンスがある」と期待を寄せた。

配信の様子。意見を交えられるように、参加者自身も配信される映像に加わる(一部にプライバシー保護の加工を施した)

IT投資が危機対応に生きた、リモート監視の制約

 テレワーク環境整備の技術的な課題についての議論では、参加者が互いに施策の詳細や対策をざっくばらんに示し合う情報交換の場となった。

 議論で目立ったのは「SaaSの導入、ネットワーク環境の見直しと、折に触れて必要なIT投資をしてきた結果、緊急事態でもいまある環境の設定を変える、追加する、といった軽い負荷で対処できた」と、都度の適切なIT投資がリスク対策に役立ったとする意見だ。

 特に、2015年ごろという早い段階で既に「ロケーションにとらわれない働き他を目指してSD-WANを導入した」というある参加企業は、コロナ禍においても「テレワーク体制にスムーズに移行できた。新たにかかった費用はWi-Fiルーターの数十万円だけだった」という。リモートでも柔軟なネットワーク構成を実現するSD-WANはコロナ禍をきっかけに注目されている。SD-WANについては他の企業からの参加者からの関心が高く、参加者間で具体的な課題についての議論が見られる場面もあった。

 海外拠点のシステム投資のスピードを落とさないために、日本からリモートで新設備の受け入れ検査をしたという企業からは「日本から情報が見えにくい特定の地域ではシステム監視が困難だった」といった生々しい情報も寄せられた。リモートで場所を選ばない働き方が可能になる一方で、情報取得における地理的リスクが顕在化したとして、今後の課題が共有された。

 この他、業務上出社が必要な従業員とそうではない従業員との間の不公平感をどう解消するか、協力会社の従業員にテレワークで業務に参加してもらう方法をどう整備するか、完全テレワーク中の従業員の健康管理をどうするか、といった組織運営上の課題も挙げられた。

技術面がそろっても「使わない」組織の圧力を変える方法

Elasticsearch 鈴木 章太郎氏

 2つ目のグループは「テレワークの課題に対する解決策」をテーマにディスカッションを進めた。モデレーターを務めたのは、Elasticsearchのエバンジェリストでテクニカルプロダクトマーケティングマネージャの鈴木 章太郎氏だ。実は鈴木氏は政府CIO補佐官、法務省CIO補佐官を兼務する立場にある。

 「法務省にはテレワークという概念はあまり浸透していなかった。一方で法務省が管轄する組織は全国に多数ある。しかもアルバイトなど、正規職員以外の従業員も多かった。いざ緊急事態宣言が発令される事態になったとき、SaaS型のオフィススイートも持っていなければSD-WANのようなインフラもない状況からの環境整備が必要だった」(鈴木氏)

 この発言を受けて参加者からは、技術的な問題よりも前に意識変革の問題があるとの指摘もあった。

 「オフィス勤務の従業員全員がテレワークできる環境を整備したにもかかわらず、当初は半数の従業員が出社していた。上長ではなく組織のトップが号令をかけたことでようやく状況が動き、95%が在宅になった」(参加者の一人)

 マインドセットの変革は、テレワークへの抵抗感をなくすだけでなく、変化への対応を柔軟にできるようにすると捉えるべきとの指摘もあった。

 その上で意識変化に合わせ、企業の制度や仕組みも変化しなければならない。従業員の健康管理や業務管理、評価方法の確立なども含まれる。従業員に新たな働き方の選択肢を与えることであり、働き方を企業が決め付けられなくなくなることでもある、との議論もあった。

 これらディスカッションを受けて川崎氏は「マインドセットの改革など技術面だけでは解決できない課題や対処方法について改めて気付かされた。ニューノーマル時代の働き方でElasticやElasticsearchは先行していると自負していたが、このディスカッションから学ぶことが多かった。知識のアップデートとして、今後もこういった場を設けて議論を続けていきたい」とディスカッションを総括した。Elasticsearchは「分散型の運営に慣れた組織だからこそ、体験や場所、公平な知識の共有が重要」とする自社の経験を日本のCTO/CIOにも広く提供することでニューノーマル時代の組織運営に役立ててもらうためにも今後も同様のイベントを定期的に開催する計画だ。

ディスカッションの内容はグラフィックレコーディングで描き起こされた(出典:Elasticsearch)

コラム:次世代金融サービス企業への転換を急ぐみずほFGが掲げる3つの新しい軸

 イベントの基調講演では、みずほフィナンシャルグループの大久保 光伸氏が「ニューリアリティ時代のデジタル戦略」をテーマにみずほフィナンシャルグループにおける事業構造改革の取り組みを紹介した。大久保氏はみずほフィナンシャルグループのアドバイザリーボードを務める傍ら、グループ内でFinTechを専門に取り扱う組織Blue LabのCTOも務める。講演冒頭では「ディスカッションの内容はわれわれの取り組みと通じる内容。答え合わせをするような気持ちで視聴していた」と共感を表明する場面もあった。

みずほフィナンシャルグループ 大久保 光伸氏

 みずほフィナンシャルグループは、直近ではソフトバンクなどと共同でスコアリングとレンディングのサービスである「J.Score」を発表。中小企業向けには「Freee」の財務情報と提携した融資サービスやデジタル化を含む業務改革支援サービスなどに次々と取り組み、新しい事業基盤の開発を進めるさなかにある。

 従来の金融事業の核であった預金や融資、為替に加え、新たにeKYC認証、スコアリング、ダイナミックプライシングなどのサービス基盤を新たな事業の核に据える考えだ。大久保氏は、これらの活動を「総合金融コンサルティング企業」として次世代金融への転換を目指すみずほフィナンシャルグループにおける新しい事業の軸づくりの一環だと説明した。

 コロナ禍をきっかけに社会が大きく変わる中で、金融サービスもマインドを変え、新たなチャレンジに乗り出している。Elasticsearchは今後も「バーチャルでも、よりリアルイベントに近い体感型/体験型の討論会」を続ける意向だ。同フォーラムのこれからの発展が期待される。

第二弾の開催が期待される(出典:Elasticsearch)

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提供:Elasticsearch株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2020年11月28日

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