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» 2020年11月25日 10時00分 公開

自治体向けビジネス拡大を目指すアプリベンダーが乗り越えるべき「LGWAN対応の壁」とは

国が掲げる「クラウド・バイ・デフォルト」の原則をきっかけに、地方公共団体でもクラウド化の波が一層強まりつつある。ただし、彼らにクラウドサービスやアプリケーションを提供する事業者にとって頭の痛い課題が、自治体専用ネットワーク「LGWAN」への対応だ。しかしこの課題をいち早くクリアすることで他社より優位に動けるだろう。素早く、効率的にこの課題を乗り越える方法を聞いた。

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変革期を迎える自治体システム、クラウド化がさまざまなチャンスを生み始めている

 はんこや紙に代表される旧来の商慣習の見直しが急速に進んでいる。日本政府は2018年6月に「クラウド・バイ・デフォルト原則」を掲げ、行政システムの構築には原則としてクラウドサービスを利用する方針を定めた。2019年には行政手続きの電子化を進めるデジタルファースト法を成立させ、2020年にはデジタル庁の新設を決めるなど、官民が一体となってデジタル化を推進できるようにするための法整備を加速させている。

 政府のこうした取り組みの背景には、民間企業に比べて国や地方公共団体(以下、自治体)におけるデジタル化の取り組みが遅れている現状がある。例えば、自治体では人事給与や財務会計といった職員向けの基幹システムからメールや文書管理、住民向けWebサイト管理システムといった業務アプリケーションまで、旧態依然としたシステムが使われているケースが想像以上に多い。住民情報をはじめとするセンシティブな情報を扱うシステムは、庁舎内の決まった端末からしか操作できないこともある。

 こうした状況は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言が出されたことでより深刻化した。環境整備が間に合わず、職員はリモートで業務をこなすことがほとんどできず登庁し続けるしかなかった上、行政サービスの多くも対面の部分を残さざるを得なかった。職員の働き方改革や行政サービスの電子化の観点からも、時代に合った新しいスタイルに変革することが急務になってきたのだ。

 しかし、これは多くの自治体や彼らにシステムを使ってもらいたいベンダーにとってチャンスでもある。自治体にとっては、これまでなかなか手を付けにくかった行政システムを見直すことで職員の働き方改革を推進し、行政サービスの質の向上にもつなげられる。クラウドのノウハウを持つアプリケーションベンダーにとっては自治体向けビジネスに新規参入できる余地が高まっているのだ。

自治体向けサービスを提供する場合、LGWAN接続系の知見やノウハウが不可欠

 自治体向けにサービスの提供を目指すアプリケーションベンダーに対し、LGWAN接続サービスを提供しているのがさくらインターネットだ。同社LGWAN担当営業の深井雄輝氏は、近年の自治体向けサービスの動向についてこう説明する。

さくらインターネットの深井雄輝氏

 「2018年のクラウド・バイ・デフォルト原則と、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた新常態のワークスタイルが広がっていることも相まって、自治体におけるクラウド活用が加速しています。職員の方が利用する業務アプリケーションについても、今後はクラウドベースでの利用が増えることが見込まれ、民間企業にサービスを提供してきたアプリケーションベンダーが持つ知見やノウハウの活用にも期待が集まっています」(深井氏)

 行政システムというと、民間の一般企業が利用するシステムとは異なる性質や機能が求められると考えがちだ。確かに「住民票等証明書の自動交付システム」「電子入札/調達システム」などと聞くと、国内の大手ベンダーがウオーターフォール方式でフルスクラッチ開発するシステムを連想する。

 だが近年は、民間企業が利用するSaaSベースのメールサービスや情報共有システム、CRMなどを採用する自治体が出始めている。クラウドに親しんだアプリケーション開発ベンダーが活躍するケースも少しずつ増えてきているという。同社LGWAN担当の服部和樹氏(テクニカルソリューション部)はこう話す。

 「クラウドのプラットフォームサービスを活用して、住民向けの情報提供サイトを作成したり公共施設の予約サービスを提供したりする事例が出てきました。ふるさと納税のためのサービスやCOVID-19対策についての情報提供サービスを提供した事例もあります。自治体においても、従来のように時間をかけて一からシステムを作るのではなく、既に世にあるサービスを利用するアプローチに変わってきています」(服部氏)

 ただし課題もある。住民情報をはじめとする重要情報を扱う自治体では、民間企業向けサービスとは異なる対応が必要になることだ。その一つに、ネットワークの安全性の確保がある。同社のLGWAN担当である清水美里氏(テクニカルソリューション部)はこう話す。

さくらインターネットの清水美里氏

 「自治体のネットワークは、マイナンバー関連のシステムが接続する『マイナンバー接続系』、自治体の基幹システムが接続する『LGWAN(Local Government Wide Area Network:総合行政ネットワーク)接続系』、自治体のWebなどインターネットに接続する『インターネット接続系』の3つに分離することでセキュリティが確保されています(3層分離)。自治体向けの業務アプリケーションを開発する場合、LGWAN接続系の知見やノウハウが不可欠になります」(清水氏)

自治体向けサービス提供の課題を解消するLGWAN接続サービス「LGWANコネクト」

 LGWANとは、自治体を相互に接続する行政専用のネットワークのことだ。自治体間のコミュニケーションの円滑化、情報の共有による情報の高度利用を目的に、2001年から都道府県、2003年から全市区町村による運用が開始された。インターネットから切り離された閉域ネットワークとすることで高度なセキュリティを保つ仕組みで、運用は地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が担っている。

 アプリケーションベンダーが自治体向けにサービスを提供する場合、LGWANが提供する機能レイヤーごとにLGWAN-ASP事業者として資格を取得する必要がある。具体的には、「通信サービス」「ファシリティサービス」「ホスティングサービス」「アプリケーション及びコンテンツサービス」の4つとなる。

LGWANコネクトの概要(出典:さくらインターネット)

 「これら4つの資格を全て取得することは、アプリケーションベンダーにとって大きな負担になります。そこで、一部の資格を既に取得しているLGWAN接続サービスを利用することで、アプリケーションサービスやコンテンツサービスの開発にリソースを集中することが可能になります。さくらインターネットはLGWAN接続サービスとして『LGWANコネクト』を提供することで、アプリケーションベンダーの自治体向けサービス開発を支援しています」(清水氏)

 LGWANコネクトは、上に挙げた4つの資格のうち、通信サービス、ファシリティサービス、ホスティングサービスの3つをさくらインターネットが提供するものだ。アプリケーションベンダーは、資格取得のために手間や時間、コストをかけることなく、アプリケーション開発に専念できる。

さくらインターネットの服部和樹氏

 LGWAN-ASP事業者は「LGWAN-ASPホスティングサービスリスト」としてJ-LISのWebサイトで一般に公開され、資格ごとに全国にさまざまな事業者が存在することが分かる。アプリケーション及びコンテンツサービスについては、2020年11月時点で登録1111件、公開759件という状況だ。

 さくらインターネットのLGWANコネクトは、3つの特徴を持つ。服部氏はこう説明する。

 「1つ目は、さくらインターネットが提供する『さくらのクラウド』を利用できること。2つ目は、コストパフォーマンスの高い100M共用回線を利用できること。3つ目はJ-LISへのLGWAN利用申請をサポートしていることです」(服部氏)

自治体向けビジネスはアプリケーションベンダーにとって大きなチャンス

 LGWANコネクトの3つの特徴は、自治体向けにビジネスを考えているアプリケーションベンダーに新たな価値と競争力を提供するものでもある。

 まず、1つ目はさくらのクラウドを利用できることだ。さくらのクラウドの大きな特徴に「転送量課金がなく、月額利用料の上限が決まっている」という点がある。自治体の予算確保の都合上、料金が固定されているさくらのクラウドは自治体向けビジネスの面で相性がいい。アプリケーションベンダーとして明快なサービス費用を提示できるのは強みになる。

※特定の物理機器や専用線の導入が要件になっている場合は、石狩データセンターに限ってさくらインターネットのハウジングサービスを利用することも可能だ。

 「『決まった予算枠で運用したい』『必要なサーバリソースが一時的に変動する可能性がある』『物理機器を管理したくない』といったニーズに対しては、さくらのクラウドが適しています。IaaSとして利用できるため、一般的なクラウドと同じように管理でき、ラックや機材の調達も必要ありません」(服部氏)

 2つ目に挙げられたコストパフォーマンスの高い共用回線の提供は、さくらインターネットがこれまで培ってきたデータセンター事業者としての豊富な経験とノウハウを生かしたものだ。

 「お客さまごとに専用の回線を提供するのではなく、共用回線として利用いただくことでコストを抑えつつ、LGWANでサービスを提供する際に求められる高い信頼性や安全性を確保しています。石狩データセンターの運営で培ってきた経験とノウハウを生かして、コストパフォーマンスの高さを実現しています」(深井氏)

 さくらインターネットはデータセンター事業者であり、サーバ機器やネットワーク回線を販売するビジネスを手掛けているわけではなく、持っているコンピューティングリソースを有効に活用することが本業だ。その点も、純粋にコストパフォーマンスの高さを追求できる理由の一つになっている。実際、利用者からは「他のLGWAN接続サービスよりもコストを低く抑えられた」と言われることもあるという。

 3つ目のJ-LISへのLGWAN利用申請をサポートは、利用に伴って発生する申請関連の作業を軽減するものだ。

 「J-LISへのLGWAN利用申請に当たっては、初めて対応する場合、進め方や書面の書き方など分からないことも多く、負担が大きいと思います。『書類の不備が見つかった』『申請する構成がJ-LIS規定の制約に沿っていなかった』といった理由で、認可が下りないケースも耳にします。LGWANコネクトの場合、J-LISとのやりとりを代行し、申請書や構成図の書き方についてもアドバイスさせていただいてスムーズに申請が通るようにサポートしています」(清水氏)

 総務省によると、市区町村の数は2020年10月時点で1724に及ぶ。利用単位である自治体の部や課で考えれば、ユーザーの数はこの数字よりももっと増えるはずだ。クラウド活用や職員の働き方改革などに意欲を持っていても、人材やスキル、予算の問題で乗り出せずにいる自治体は想像以上に多い。

 「弊社はLGWAN接続ソリューション提供事業者の中では後発ですが、IaaS提供に特化し、アプリケーションベンダーとは競合していません。LGWANコネクトは全国NOCに対応しているので、これまで地元の自治体のみにサービスを展開していたアプリケーションベンダーにとっては全国へビジネスを拡大するチャンスです。LGWAN対応が求められつつある今対応することが、機会損失を防ぐことにもつながります」(深井氏)

 同社は今後、アプリケーションベンダーをはじめとするLGWANコネクトの利用者とイベントを共催する他、ベンダーの販促支援を一緒に進めていきたいとしている。積極的な自治体向けビジネスを考えているベンダーにとって良いパートナーになる可能性がある。変革期にある今こそ、しっかりとビジネスチャンスをつかみたいところだ。

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提供:さくらインターネット株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2020年12月24日