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» 2021年01月25日 10時00分 公開

DX実現に向けて頭一つ飛び抜けた1割の企業は「フツウの会社」と何が違うか「2021年度版 DX動向調査」結果速報(2)

日本企業を対象とした大規模調査で明らかになったのは、DXを企業戦略として捉えられている企業が全体の10%未満だったという現実です。デキる企業とそれ以外の企業、どこに違いがあるかを調査で見ていきます。

[PR/ITmedia]
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 サーバ製品「PowerEdge」を担当するデル・テクノロジーズ インフラストラクチャ・ソリューションズ統括本部は2020年に続き、国内ユーザー企業の情報システム部員関連者を対象に「第2回 デジタルトランスフォーメーション(DX)動向調査」を実施しました。対象となった661社は従業員1000人以上の大手企業で、国内企業全体の15%に当たります。質問項目は、自社のDXの概要や推進組織、予算状況、インフラ方針、テクノロジー採用の状況など71項目にわたりました。

 その結果は、前回の記事「調査で判明『DX推進が停滞した企業』の特徴6つと解決策」で紹介した通り、ニューノーマルへの環境の変化を経て多くの企業がDXの実現に向けてもがき苦しむ実態が浮き彫りになりました。

デジタル推進企業になっても安泰ではない

 調査によると、DXが企業の戦略の一つになっている「デジタル推進企業」は、全体の1割未満という結果でした(注)。DX推進が進まず、足踏みをしている状況と思われる「デジタル評価企業」には日本を代表するそうそうたる企業が名前を連ねていることも分かっています。

 このことからも、DX実現は軽々と取り組めるようなテーマではないことがうかがえます。

1 DX進捗ポジショニング

※注:調査は、企業のDX進展度合いが高い方から順に「デジタルリーダー」「デジタル導入企業」「デジタル評価企業」「デジタル フォロワー」「デジタル後進企業」として評価しています。分類の詳細は「44.1%の企業がDXのPoCフェーズ、日本企業は『DX夜明け前』なのか?」を参照ください。


 もう一つの特筆すべきことは、1年前に「デジタル推進企業」だった企業の中には、その座を降り、足踏み状態に戻ってしまった企業があることです。一般的にデジタル化実現を計画するとなると、現状を調査してグランドデザインを作り、小さなプロジェクトで検証しながら進めていく方法もあれば、トップダウンの計画立案で一気に企業のデジタル戦略の領域に突進していく方法もあるかと思います。

 ただし、デジタル化を実現したとしても、推進のアクセルを弱めたり、高い目標を見失ったりすると、すぐにデジタルの優位性を他社に奪われてしまうことがあると今回の調査から分かりました。

 アナログの世界の競争は、大きな工場や設備投資などを建設するとしばらく優位性を維持できます。デジタルな世界の場合は、常に見えない敵が虎視眈々と逆転を狙っており、いつ競争上の優位が奪われるか分からないと言えるでしょう。

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デジタル推進企業に共通する特徴

 デジタル化の領域に移行するには、従来のレガシーな企業文化から脱却し、変化に迅速に適応していかなければいけないというのが現在の論調です。そこで今回の調査は、デジタル化に成功した企業とデジタル化に苦しむ企業とで文化や習慣がどのように違うのかを調べました。

2 デジタル推進企業の特徴

(1)失敗を許容する文化

 今回の調査で、どちらの企業でもIT投資に関するROI(投資利益率)の分析が予想以上に厳しく管理されていることが判明しました。従来はいったん獲得した予算であれば、よほどのことがなければ効果測定などは実施しないことが多かったと思います。しかし現在は「投資した金額がいくらのビジネスを生むか」と多くの企業がシビアに見るようです。

 失敗は金銭的な負債のような意味になりますから、ROIをシビアに見られる環境の場合、失敗を許容する文化があるとは考えにくいものです。しかしながら、DX実現するには、結果が読みにくい可能性に「賭け投資」をしながら試行錯誤をしていく必要があるので、従来のIT投資とは異なる尺度で評価しなければなりません。

 今回の調査からは「失敗の許容度」についてデジタル推進企業とそれ以外の企業(「デジタル未推進企業」)とで大きな違いが見えました。

 「失敗を恐れない文化がある」と答えたデジタル未推進企業は、わずか4%ほどでした。一方で、きちんとしたデジタル化の計画があり、実行しているデジタル推進企業は、約25%が失敗することにも好意的でした。この点の違いがDX実現への大きな分水嶺なのかもしれません。

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(2)会議が少ない

 ニューノーマル下にあって、多くの企業がテレワークを実施しました。同時にオンライン会議も増加して、とても忙しくなったとの報告があります。会議室の大きさという制限がなくなり、関係ありそうということで招集されるため、意味のない会議が増えたという弊害もあるようです。

 デジタル推進企業と未推進企業で会議の回数を比較してみましたが、約2倍の違いがあることが分かりました。DX構想を練るなどのクリエイティブな時間を削ってしまっていることを考えると、時間の浪費となっている会議もあるかもしれません。会議を減らすには、情報をシェアするだけの定例会議を減らし、参加する人を厳選することが第一ステップです。

(3)内製力が高い

 DX実現に向けて必ず議論に上がるのが「内製力」の有無です。内製力があると、プロトタイプ作成や多くのPoC(概念実証)を実行できるなど、社内での検証能力が高まり、スピーディーな解決ができる可能性が高まります。

 デジタル推進企業の約40%には高い内製力がある一方で、デジタル未推進企業は約15%にしか内製力がありませんでした。この差が、DX実現に向けてのあらゆる検証作業のスピードの差につながっている可能性があります。ただし、調査前にはデジタル推進企業の内製力はもっと高いと想定していました。欧米の企業と比較して日本企業の内製率はまだまだ低く、根本的な構造の問題がDXへの対応力を弱めているのかもしれません。

3 内勢力の有無

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(4)活発な組織横断的な取り組み

 日本の大企業は事業部制のオペレーションを敷くことが一般的です。本来、事業部制は事業部内に全てのファンクション部門を持ち、意思決定の迅速化を計ることを目指して実施されてきました。これが日本企業の成長の一因だったとは思いますが、デジタルの時代にあっては、逆に足かせになっているようです。デジタルの時代は、さまざまな事業部に散らばる知的財産を有効に組み合わせたり、事業部の枠を超えたリソースのマネジメントを実現することで、いままでにない競争力を産み出すことがあります。

 調査では、6割以上のデジタル推進企業が「自社は縦割り組織ではない」と感じていることが分かりました。世の中に急速に広まる新しいサービスやプロダクトは、いままでの事業の延長にはないことが往々にあります。事業部制は、その専門性を追求するには適していますが、事業の壁を越えた新サービスを生みにくいという弊害も持ちます。このことから、デジタル化を積極的に進めることと、組織横断的な活動が増加することは比例していると言えるでしょう。

(5)ITベンダーへの依存度が低い

 日本のIT産業は欧米と比較して、特異な人員構造になっています。よく知られている通り、ITを提案するベンダー側が7割、エンドユーザー企業のIT部門側や情シス部門などが3割の構図です。この構図は、良い面と悪い面の両方があるのかもしれません。

 調査の中で、デジタル推進企業と未推進企業でITベンダーへの依存度を比較したところ、デジタル未推進企業の9割以上がITベンダーを「不可欠な存在だ」と答えています。ITベンダーが積極的にデジタル化を推進してくれるのを待つのも一つの方法かもしれません。しかし、DXそのものが破壊的なイノベーションであることを考えると「外に丸投げ」ではDX実現は難しいと思われます。

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(6)DXにはトップの明確な指示が不可欠

 DXは単なるITプロジェクトではなく「会社全体を作り直すプロジェクト」と捉える方が正しいのかもしれません。トップのDXへの関与について尋ねたところ、やはりデジタル推進企業は6割を超える企業でトップが明確に指示を出していることが分かりました。反対にデジタル未推進企業は、トップがDXについて明確にメッセージを出す企業は3割ほどでした。

 このことから分かるのは、かつて日本企業の強さの源泉とされてきたボトムアップのアプローチによるプロジェクト推進への評価も変わらざるを得ないということです。従来のビジネスモデルを否定して経営のプロセスを変革するなど、トップの強いコミットメントがある企業こそがDXをまい進する実態が分かりました。

詳細な調査結果をダウンロードできます

 「第2回 デジタルトランスフォーメーション(DX)動向調査」のホワイトペーパーは、詳細な図表や説明も加わっております。所属企業との比較ができるものと思います。ぜひダウンロードしてご覧ください。


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