中小企業のテレワークや個人事業主を支援 「低コストで使えるリモートデスクトップ」が生まれた背景は

中小企業のDXが必要とされる一方、IT環境の刷新や構築に必要なコストや人手といったリソース不足も課題として挙がっている。そんな中、最小規模の場合1430円で構築できるWindowsリモートデスクトップサービスを発表した国内ベンダーがある。同社が語る工夫とサービスの背景とは。

» 2021年03月18日 10時00分 公開
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 エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ(以下、NTTPC)は2020年11月から、VPS(Virtual Private Server:仮想専用サーバ)サービス「WebARENA Indigo」で同社が“国内最安値”と称するWindowsリモートデスクトップを提供する。さまざまな工夫を重ねることで「手が届きやすく、使いやすい」リモートデスクトップサービスを目指した背景とは何か。担当者に話を聞いた。

 WebARENA Indigoは、WindowsタイプVPSの最小規模(メモリ1GB、2vCPUコア、SSD 50GB)の場合、月額上限料金である825円(以下、全て税込み価格)に、RDS(リモートデスクトップサービス) SALの費用として月額605円(1ユーザー当たり)を合算した月額1430円で利用できる。

NTTPCの冨永嘉之氏

 同社の冨永嘉之氏(同社サービスクリエーション本部 第二サービスクリエーション部 担当部長)はこの価格について「当社が調べた限りでは国内最安値だと考えている」と話す(2021年2月時点)。

 同社はMicrosoft 365のうち「Office 365 E3」「Office 365 E5」のサブスクリプションライセンスをクラウド基盤で利用できるMicrosoftのQMTH(Qualified Multitenant Hoster)プログラム認定を取得している。そのためRDS SALを契約した企業のOffice 365 E3/E5のサブスクリプションライセンスをそのまま利用可能で、コスト増を最小限に抑えられる。なお、国内でQMTH認定を受けているのは同社を含めて11社だという。

 ただしMicrosoft 365利用時はメモリ4GBが推奨されるため、前述した最小規模からは外れる。VPSの費用3190円にRDS SALの605円を加えて、月額利用料は3795円だ。

 冨永氏は、安価なVPSサービスを提供する背景として「国内のVPSサービスは、国外サービスと比べて高額だ。海外では月額3ドルでLinuxによるVPSを提供するホスティング事業者もある。しかし、国内は大手ホスティング事業者による寡占状態にあり、価格が下がりにくい。そうした環境を打破するために低価格化を図った」と話す。

 サービスを使い始めやすいことも意識し、開発の際は「3分以内のサインアップ完了を目標にした」(冨永氏)という。ユーザーは申し込みの際に最低限の項目を入力し、クレジットカードで決済すればサービスの利用を始められる。

WebARENA Indigoは、最小規模でWindowsリモートデスクトップ環境を月額1430円で構築できる(出典:NTTPC)

中小企業や個人にも「テレワークを低価格で実現したい」という需要に応える

 WebARENA Indigoは2019年10月にVPSサービスとしてLinux版の提供を開始した。2020年10月に「Windows Server 2019 Datacenter Edition」を利用できるWindows版VPSサービスと「Windows Server リモートデスクトップサービス サブスクライバーアクセス ライセンス」(RDS SAL)を追加したことで、Windowsリモートデスクトップも使えるサービスになった。

 なぜWindows版を追加したのか。冨永氏は「中堅・中小企業や個人事業主のニーズに応えたい。IIS(Internet Information Services)によるWebサーバ運用に限らず、オンプレミス環境専用のWindows用アプリケーション実行環境やファイルサーバといった用途を想定した」と説明する。

 「コロナ禍による外出自粛でテレワークの需要も大きいが、中堅・中小企業がフルテレワーク環境を構築するのはコスト面で難しい。そこをWebARENA Indigoで支援したい。業務に必要なデータをクラウドに格納すれば、自宅や外出先でも業務を遂行できる」(冨永氏)

 テレワーク需要に関して、同社は中小企業独特の課題も認識している。

 「中小企業の会計ソフトや建設現場における工事管理台帳などはWeb化されていないことが多い。Windowsリモートデスクトップ環境を構築して、これらをWebARENA Indigo上に移行させれば、オフィスで進めていた業務を自宅でもできるようになる。Office 365も低価格で導入可能だ」(冨永氏)

 今後はFXや株取引に関する需要を見込み、個人ユーザーに「自動化したマシンを24時間365日稼働させる」といった用途の提案も進めていくという。

低価格かつサービスの「質」も確保へ 鍵を握る3つのポイントは

 同社がWebARENA Indigoの低価格を実現しつつ、サービス品質を保つための工夫が「海外調達」「海外開発」「運用プロセスの自動化」だ。

 仮想マシン(VM)を稼働させるサーバは、台湾のカスタムサーバメーカーから調達した。

 「品質保証は調達元の台湾のカスタムサーバメーカーが実施しており、データセンターグレードの高品質なSSDを調達している。これがハードウェア品質の向上につながっており、2021年2月時点でストレージ部品の故障は起きたことがない」(冨永氏)

 ダッシュボードをはじめとするソフトウェアの開発は、NTTグループのインド拠点が担う。「2018年からアジャイル開発を試行し、2019年のサービス開始に合わせてコントロールパネルやプロビショニングシステム、課金システムなどを独自に開発した。これがコストダウンにつながっている」(冨永氏)という。インドの拠点で開発したソフトウェアは申し込みや開通、課金、督促などの作業を自動化し、人を介さずに管理、運用できる。

 また、FAQやチャットbotを活用して利用者が自ら情報を手繰り寄せる仕組みを用意することで運用プロセスの自動化を実現し、人件費を抑制している。「国内運用は徹底的な省人化および自動化を進め、国内の人件費を(サービス費用に)極力乗せないようにしている」と、冨永氏は話す。

 「ユーザーが増加しても、日本側の人員を追加せずに対応できる。サービスを自動化しても顧客満足度を下げないようにしている」(冨永氏)

 同社はFAQを活用したサポートレス体制により、顧客によるDIYを徹底した。AIチャットbotの「COTOHA」を利用した問い合わせ対応の取り組みも進めている。ユーザーがいつでも自力で課題を解決できる仕組みを強化することで、コールセンターに投資した場合のコストを抑え、安価にサービスを提供できるようにしたという。

定期的なユーザー向けアンケートの情報を開示

 直接ユーザーとやりとりする機会は少ないものの、同社はほぼ年1回のペースでWebARENA Indigoユーザー向けのアンケートを実施して結果を公開し、ユーザーの声をサービス改善に生かそうとしている。

 「現在までに実施したアンケートは(Windows版VPS提供前の)Linux版についてだが、Windows版も基盤は同様で、今後アンケートを実施する予定だ」(冨永氏)

 2020年8月末〜9月上旬に実施したアンケート調査においては、約7割が品質や機能について「満足」と回答した。その理由としては「コストパフォーマンス」「信頼性」などが挙がった。一方で「インスタンスのネットワーク速度が遅い」「OSテンプレートの機能拡充が必要」といった不満の声も寄せられた。

ユーザー向けアンケートの結果は公式Webサイトで公開されている(出典:NTTPC)※本アンケートはLinux版ユーザーを対象に実施されたもの

 冨永氏は「ネットワークリソース不足や在庫不足に陥りやすい点は大きな課題の一つだ。一部のユーザーがネットワークトラフィックを一度に大量に消費する傾向があるため、動的制御の強化を計画している。VMの契約数が急増して機材が不足し、コロナ禍の影響で機材の調達が遅延している」と反省の弁を述べた。2021年2月中旬時点の契約数は1万7000VMを数える。

 アンケートを実施する背景には、ユーザーにベンダーとしての「正直さ」を見せたい思いがあるという。冨永氏は「サプライ側とユーザー側に情報の非対称が生じ、ユーザーが損をしてしまうような状況は望ましくない。情報を開示することで適切なサービスを選んでもらいたい」と語る。

個人ユーザーの開発環境を通じて国力発展を目指す

 NTTPCは今後もWebARENA Indigoの品質向上を目指し、使いやすさを意識した機能のブラッシュアップや強化に努める。

 冨永氏は「Linux版は自宅でサーバを立ち上げて開発作業をする個人ユーザーが多い印象だが、Windows版は企業による利用が増えると考えている」として「国内の中小企業から個人事業主まで、一般的な業務や開発といった作業に必要な環境を安価かつカジュアルに提供したい」と話す。

 「NTTグループとしての社会的なミッションも強く意識している。誰でもソフトウェア開発を即時かつ安価に始められる環境づくりを徹底的に進めることで、日本のソフトウェア開発者の増加やスキル向上に貢献したい。WebARENA Indigoを通して社会の発展に寄与したい」(冨永氏)

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提供:株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2021年3月31日