大量のデータを安全に管理、活用したい――最新技術で挑むストレージ最前線

音声や映像、配信コンテンツといった、24時間生成される大量のデータを安全に保管し、必要に応じて迅速に活用するニーズが高まっている。そこで課題になりがちなのがコストや可用性だ。データの容量や安全性を確保しつつ、増大するデータを確実に活用できる環境の“要”となるストレージでこの課題をどう解決できるのか。

» 2021年07月09日 10時00分 公開
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 企業や組織が保有するデータは指数関数的に増加している。IDCが公開した調査結果「Data Age 2025」によれば、世界の年間データ生産総量は2025年までに175ZB(ゼタバイト)に達する見込みだ。

 5G(第5世代移動通信システム)の普及により、IoT(モノのインターネット)デバイスやセンサーから収集したデータをエッジでリアルタイムに処理し、ビジネスに活用するニーズが増加している。激しい変化の中で、収集したデータをいち早く分析して有用な知見を得て新たな戦略に生かす「データドリブン」なアプローチは必須だ。

生成データの90%以上は保存できていない現実

 ただし、現実にはほとんどの企業がデータを十分に活用できていない。IDCは「2020〜22年までの2年間で、企業が保有するデータは年率42.2%で増加するものの、活用されているデータはわずか32%しかない」と分析している。

作成されるデータ量と保存されるデータ量の差が広がっている(画像提供:日本シーゲイト)

 さらに興味深いのは、生成されるデータ量と保存されるデータ量の“格差”だ。ストレージ製品を手掛ける日本シーゲイトの安河内 智氏(営業本部 本部長)は「2025年には、保存されるデータ量は生成されたデータ量の10%に満たないとの予測があります」と指摘する。

日本シーゲイトの安河内 智氏

 AI(人工知能)の性能は、学習データの量と質に大きく左右される。今、企業に求められるのは、大量のデータを適正かつ安全に管理し、必要なデータを素早く活用できる環境を構築することだ。そこには幾つもの課題が立ちはだかる。中でも大きなものが「コスト」と「データ管理の複雑さ」だ。

 「IT管理者は、データの有用性を判断して取捨選択できる立場にありません。その結果、『取りあえずためておく』管理になりがちです。一方、エンドユーザーはデータの保存場所を気にせず、必要なときに適切なデータに迅速にアクセスできる環境を求めていますが、現在のようなデータ管理手法では限界があります」(安河内氏)

「コストが読めない」ことがオンプレ回帰の原因に

 データ管理を複雑にしてしまう最大の原因は、データの散在だ。近年、CAPEX(設備投資)の抑制やスケールのしやすさ、システムの冗長化の容易さといった理由からクラウドを利用する企業が増えている。事業規模や負荷の状況に応じて柔軟にリソースを増減できるクラウドは、ビジネスの俊敏性を重要視する企業にとってメリットが大きい。しかし、企業が所有するデータの量と質の変化に伴い、クラウドのOPEX(運用維持費)が急騰してしまうケースもある点に注意が必要だ。

日本シーゲイトの岩田太郎氏(画像提供:日本シーゲイト)

 日本シーゲイトの岩田太郎氏(営業本部営業技術部 主幹技師)は「CAPEXを抑えようとクラウドに移行したものの、異なるクラウド間でデータを移動させたり頻繁にアクセスしたりすれば、結果としてランニングコストは跳ね上がってしまいます。通信量やリソースの利用に応じた従量課金制モデルには、実はコストの予測が難しい面があるのです。最近はデータをクラウドからオンプレミスに戻す動きもあります」と指摘する。

 IDC Japanが2020年10月に公開した「2020年 国内ハイブリッドクラウドインフラストラクチャ利用動向調査」からも、オンプレミス回帰が顕著になっていることがうかがえる。「パブリッククラウドサービスからオンプレミスやプライベートクラウドに移行した実績がある」「2年以内にクラウドからオンプレミスに移行を予定している」と回答した比率は、それぞれ85%を超えた。

高密度、低コスト、シンプルを同時に実現する「Exos X 5U84」

 日本シーゲイトの米国本社であるSeagate Technologyは長年ストレージ技術の開発を続け、2021年時点で創業から40年以上がたつ。

 現在、同社には多くの企業からオンプレミス回帰の相談が寄せられているという。オンプレミスの場合、CAPEXは上がるがデータの読み書きで課金される懸念はない。安河内氏によれば、ストレージコストの半分以上はHDDやデバイスが占める。そのため、コストと性能の観点からSeagateのソリューションを検討する企業もある。

 岩田氏は「今、企業が求めているのは低いTCO(総保有コスト)でデータを適切に保管でき、かつ信頼性が高くて迅速な災害復旧を実現するソリューションです」と力説する。Seagateは公式WebサイトでクラウドTCOカリキュレーターを公開しており、その試算によると600TBを超えるストレージ容量になった場合、パブリッククラウドよりプライベートクラウドの方がTCOは安くなる傾向にあるという。

 大量のデータを安全に管理し、かつ迅速に活用するための製品としてSeagateが提供するのが、大容量ストレージである「Seagate Exos X 5U84」(以下、Exos X 5U84)だ。

 Exos X 5U84は奥行1メートル未満の5Uのラックマウントシャシーに84個のSAS(Serial Attached SCSI)HDDを搭載可能なRAIDストレージだ。容量は1シャシー当たり最大1.5PBで、7GBpsのシーケンシャルリードと5.5GBpsのシーケンシャルライトを実現する。SSDを使用したキャッシュやティアリング機能の他、大企業向けに複数システム間の同期(遠隔レプリケーション)にも対応する。

Exos X 5U84の外観(画像提供:日本シーゲイト)

 岩田氏は「限られた空間にどれだけのストレージ容量を積み込めるかが問題で、高密度であればあるほどコストメリットは大きくなります。1メートル未満(980ミリ)という奥行きは日本の多くのデータセンターの標準に合い、配線のレイアウトもしやすくなります」と説明する。

 技術サポートの手厚さや効率性もExos X 5U84の強みだ。エンクロージャーやコントローラー、ファームウェア、ドライブといったシステムコンポーネントは全てSeagateが開発したものだ。そのため機能同士の連携やコンポーネント同士の互換性が確保されており、アップグレードや障害発生時のサポートも迅速に進められるという。

 岩田氏は「顧客が抱えがちな課題の一つが、障害発生時にサポートをそれぞれの部品の担当ベンダーでたらい回しにされてしまうことです。Exos X 5U84にはそういった心配がありません」と語る。

 最近はソフトウェアでハードウェアを抽象化し、柔軟にスケールするSDS(Software-Defined Storage)も注目されている。この傾向について岩田氏は「『データに素早くアクセスできる』といった点でSDSは優れています。しかし、コストの観点から見れば、RAIDストレージに軍配が上がります」と指摘する。

 「当社には、監視カメラのデータやコンテンツ配信用の多様なフォーマットのデータなどを大量にためておきたいという相談が来ることもあります。(データをためるための)必要最小限の製品を適切な価格で用意したいと考えるお客さまにとって、Exos X 5U84は最適なソリューションになります」(岩田氏)

 国内の企業や組織がExos X 5U84を導入した例もある。ある国立の研究機関は、保存するデータ量の多さとコストの観点からExos X 5U84を導入した。ストレージの選定条件は、「自分たちで運用でき、1PB程度の規模を持ち、(国の予算で購入する関係から)コスト効率が高いこと」だったという。岩田氏は「短期間で導入作業が完了したことと、運用管理が(従来のシステムよりも)シンプルであることを評価いただいている」と話す。

 ある保険会社は、コールセンターの音声録音データを保存する目的でExos X 5U84とオールフラッシュアレイの「Nytro X 2U24」を導入した。音声データを一度Nytro X 2U24で保存した上でExos X 5U84に自動的に移行し、NAS(Network Attached Storage)ファイルシステムとして運用する。以前はデータを手動で移動していたため、業務効率が大幅に向上したという。

コールセンターの録音とファイルストレージ(画像提供:日本シーゲイト)

「HAMR」と「MACH.2」でイノベーションをけん引し、日本市場へのコミットを強化

 Seagateは、ストレージ容量やパフォーマンス向上に向けた新技術の開発にも力を入れている。その一つが、記録密度を大幅に高める次世代技術「HAMR」(Heat-Assisted Magnetic Recording:熱補助型磁気記録技術)だ。HAMRは磁気と熱の安定性を維持しながらデータを高密度に集約する技術だ。HDDの記録ヘッドに取り付けた小型のレーザーダイオードが、記録時に磁性膜を局所的に加熱して記録を助ける。

 もう一つはHDDの性能を約2倍に高める「MACH(Multi Actuator Hard disk).2」だ。1台のHDDに2つの独立したアクチュエーターとデータパスを備え、ホストとの間の同時I/Oストリームを可能にする技術だ。データセンターのホストコンピュータがドライブの異なる2つの領域からのデータのリクエストと受信を同時に処理することで、各HDDのIOPS性能を倍増させている。

 MACH.2を備えた製品は2017年にリリースされており、HAMRを備えた製品も2021年をめどにリリース予定とのことだ。

 今後、日本シーゲイトはストレージシステム全体のソリューションを提案するベンダーとして、日本市場でビジネスを展開する方針だ。安河内氏は「SeagateのブランドはHDD市場では認知されていますが、今後は技術とコストの面からストレージシステム市場を支えてきたベンダーとして、包括的なストレージソリューションを幅広く提案していきます」と語る。

 すでに日本シーゲイトは顧客支援担当部門やサービスチームを強化し、日本企業のニーズに迅速に対応できる体制を組んでいるという。安河内氏は「お客さまの声を直接伺い、データ活用の課題解決に寄り添うベンダーとして日本市場にコミットしたいと考えています」と、その意気込みを語った。

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提供:シーゲイトクラウドシステムズジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2021年7月30日