問い合わせに追われるIT部門に「業務標準化」と「DX」はできないのか「理想のITサポートデスク」の作り方

多様な働き方を支えるICTが高度化、複雑化する中でIT部門がシステムの管理とユーザーからの問い合わせに追われるケースは多い。企業はDXを進めるために、サポート業務の負荷を落とさなければならない。

» 2021年08月24日 10時00分 公開
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ITサポート業務が「理想形」を取れない理由、現実の課題とは

 コロナ禍を経て働き方が大きく変化する中、ITサポート業務の負荷増大が深刻化している。場所や時間を問わずに業務ができるようになり、ユーザーからの問い合わせやインシデント対応、サポートの要請が遠隔地から届くようになった。IT部門の担当者が増大した問い合わせ対応に追われる現場は珍しくない。

 ITサポート業務は「サポートデスクによる一元的な対応」が理想形だ。専門チームが情報を収集して問い合わせごとにチケットを発行し、しかるべき部署がスピーディーに対応する。それによって業務がスムーズに回れば、業務の生産性や従業員満足度の向上なども期待できる。

 このような形態が「理想形」とされるのは、多くの企業がそうした仕組みを実現できずにいるためだ。サポートデスクの運営が難しい理由は、大きく分けて3つある。

 1つ目の理由が「人材不足」だ。専任のサポートデスクを置く人的リソースがない企業では、IT部門がサポート業務を兼務するケースが多い。

 2つ目の理由は「情報や業務の整理の難しさ」だ。コロナ禍で急速にテレワークが普及し、ユーザーが利用するデバイスやアプリケーション、サービスは一気に多様化、複雑化した。IT部門はこれらの管理業務に加え、多種多様な問い合わせを受けるようになった。問い合わせや対応の履歴が集約しきれず、どの情報がどこにあるかを整理できないまま、場当たり的に対応している現場もある。

 3つ目の理由は「業務や情報の属人化」だ。少人数で多くの問い合わせに対応していく中で、担当者に蓄積されたノウハウが共有されないまま属人化してしまう。担当者が異動や退職をする際、引き継ぎに時間がかかるケースや、過去のナレッジを生かしきれないまま運用ルールを再構築することになって、一時的にサービスレベルが低下してしまうようなケースは珍しくない。

 これらの課題にどのように対応すべきか。理想的なITサポートの仕組みを構築し、運用する方法を探った。

「マニュアル対応に頼った運用」のリスク

 富士通パートナーの富士電機ITソリューションでソリューション推進事業本部 パッケージソリューション統括部 CSStream営業部に所属する大宮 翔氏は、サポートデスクの設置について「今後の事業運営にも大きな影響がある」と指摘する。

富士電機ITソリューション 大宮 翔氏

 「DX(デジタルトランスフォーメーション)成功のカギはIT部門にあります。しかしIT部門はシステムの運用管理やユーザーからの問い合わせ対応に追われており、新規施策の検討や立案に取り組む時間はほとんどありません。経済産業省は『DXレポート』において、DXを阻む要因に“既存のシステムの維持と管理にかかるコスト”を指摘しています。IT部門によるDX推進には、それに加えて慢性的なIT人材不足や業務効率の改善が不可欠です」

 クラウドやモバイルが普及する中でITシステムの多様化や複雑化は続く。それに伴って運用管理の工数も増加し、IT部門の業務負担は増え続けている。前述した3つの課題がそのままでは、IT部門はDXに取り組めない。

 大宮氏はこれらの課題は「業務の標準化」によって解消できると語る。

 「サポートデスクに関するさまざまな業務を標準化し、対応の属人化を防ぎながら誰でも簡単に情報を共有できる体制を整えます。それによってサポート提供までの工数を削減し、IT部門が本来すべき企画や設計、構築、運用といった業務に集中できるようにします」(大宮氏)

 そのための支援ツールとして富士電機ITソリューションが2021年7月から提供を開始したのが、ITサービスマネジメントツール「CSStream CloudWorks」だ。

ITサービスマネジメントツールが解決する課題、具体的な効果とは

 では、CSStream CloudWorksによってどのように人材不足や情報管理、属人化を解消するのか。大宮氏は以下のように説明する。

 「例えば案件の管理を『Microsoft Excel』などの表計算ソフトでしていると、増加する問い合わせ情報をナレッジ化するのに手作業による手間がかかります。履歴を管理していなければ、過去から続く問い合わせに対して対応の経緯が不明になるリスクもあり、その都度確認する必要が出てしまいます。これらの業務はCSStream CloudWorksで可視化できます」(大宮氏)

 大宮氏によると、CSStream CloudWorksのメリットは大きく分けて4つに整理できる。

 1つ目は「スモールスタート」だ。従来、企業はITサポートデスクを構築する際、従業員数や問い合わせ数などを見積もってから一定の規模でシステムを導入していた。導入後もビジネス環境の変化によって規模を見直す必要があり、投資対効果の検討が難しかった。これに対してCSStream CloudWorksはSaaS(Software as a Service)で提供するため、企業の規模や対象領域に合わせて柔軟に規模を選択できる。

 「CSStream CloudWorksの最小構成は3ユーザー、月額3万円です。そのあとは10ユーザーか25ユーザー単位で追加が可能で、問い合わせ数の増減に合わせて柔軟にプランを変更できます」(大宮氏)

 2つ目は「開発レス」だ。ITサポートデスクサービスの中には、自社のシステムに合わせた固有のカスタマイズが難しかったり、専門知識を持つエンジニアによる開発業務が必要だったりする場合がある。CSStream CloudWorksのUIは、IT部門だけでノーコード/ローコードでのセルフカスタマイズを可能にする。独自の作り込みによって「制作者しか中身を把握できていないプログラム」ができてしまったり、それによってシステムがブラックボックス化してしまったりといった状況を予防しやすくなる。

 3つ目は「問い合わせ内容の可視化」だ。CSStream CloudWorksは、問い合わせ情報などをナレッジとして蓄積し、他の担当者と共有することで、過去の対応履歴の確認を迅速化できる。問い合わせの度に過去の担当者に詳細を確認したり、一から要望を聞き直したりする手間を削減してきめ細やかなサポートを提供できるようになる。

CSStream CloudWorksのサービス画面、問い合わせ情報などを可視化する(出典:富士電機ITソリューションの提供資料)

 4つ目は「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)に準拠したテンプレートの提供」だ。ITILはIT運用管理のベストプラクティスとされる。「設定に必要な管理項目やワークフローなどをまとめたテンプレートを提供するため、代表的な業務プロセスをすぐITIL準拠の体制で運用できます。新規の管理項目などを作成する必要はなく、ベストプラクティスに沿った運用によって業務の効率化や標準化を推進できます」(大宮氏)

ITILテンプレート、セルフカスタマイズでワークフローの高度化も

 4つのメリットのうち、CSStream CloudWorksの最大の特長がITIL準拠のテンプレートだ。

 テンプレートは5つの業務プロセスに適用できる。具体的には、不具合に対応する「インシデント管理」、再発を防ぐための「問題管理」、ハードウェアや交換作業にかかる「変更管理」、最終的なITサービス立ち上げ、移行にかかる「リリース管理」、システムの構成情報を管理する「構成管理(現在、実装中)」だ。

ITILに準拠したテンプレートを用意する(出典:富士電機ITソリューションのWebサイト)

 「インシデント管理は、インシデントの受け付けや回避策の提案を容易にします。また、表計算シートなどで作業していた案件管理をクラウドで一元化します。問題管理は、原因調査や解決策の提示です。対応状況をナレッジとして蓄積して共有します。変更管理は、変更内容を可視化してメンバーで審議できるようにします。リリース管理は、システムへの実装をどう進めるかを管理します。これら4つのプロセスは相互に連携しており、構成管理でまとめて管理できるようにします」(大宮氏)

 テンプレートにある機能を全て使う必要はなく、例えばインシデント管理テンプレートだけを採用したり、一部の機能をピックアップしてタスク管理ツールとして使ったりするといった方法も可能だ。これもSaaSの特長であるスモールスタートのメリットと言える。

 さらなるCSStream CloudWorksの強みとして大宮氏が強調するのが、さまざまな業務領域に対応できるセルフカスタマイズ機能だ。

 「管理項目を自由に設定して利用できます。組織固有の業務プロセスを盛り込んだり、ユーザーの要望に合わせて画面をデザインしたりといったカスタマイズが可能です。カスタマイズによって企業のITサポートデスクとしてだけでなく、教育機関や自治体など、業界特有の業務プロセスを持つ団体向けのITサポートデスクとしても活用できます。タスク管理やデータストレージとしても利用できるため、ナレッジの蓄積や情報共有ツールとしても活用できます」(大宮氏)

 さらに、メーリングリストと連携してサポート業務を効率化する機能も搭載する。CSStream CloudWorksで取り込んだメールは自動で案件として管理される。システム上から送受信し、一連のやり取りを案件にひも付けて管理できる。

 CSStream CloudWorksのサービス基盤には、富士通のクラウドプラットフォーム「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V」を採用している。大宮氏は「国内データセンターを活用した安心で安全なサービスとして利用できます」と、国内サービスの安心感を強調する。

 大宮氏によれば、ITサポートデスク業務をより効率化するため、CSStream CloudWorksには、チャットbotと連携したFAQソリューションの実装も予定されるという。DXの取り組みやニューノーマルに対応した働き方改革は今後も進むだろう。ITサポート業務の課題はますます深刻化する。いわゆる「2025年の崖」から転落しないためには、ITサポートデスクの標準化と効率化が不可欠だ。CSStream CloudWorks は、ITサポート業務の現場が問い合わせ対応に追われ、業務のデジタル化が停滞している企業の救世主となるかもしれない。

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提供:富士電機ITソリューション株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2021年9月3日

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