「ライブ配信」をビジネスや業務に活用したい 企業がすぐに仕組みを立ち上げるには用途に合わせた速度と画像品質で配信の価値を最大化

ライブ配信と聞いて「コンシューマー向けエンターテインメントサービス」を連想する人は多いが、実はその活用の場は幅広いビジネスに広がっている。しかし、自社でライブ配信の仕組みをイチから構築するのは容易ではない。対面を避けた働き方や遠隔サービス、バーチャルイベントなど、自社のニーズに合ったライブ配信の仕組みを構築するにはどのような技術が役立つのか。

» 2021年11月01日 10時00分 公開
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 コロナ禍をきっかけに、コンシューマー市場はもちろんビジネス向けの市場においても「ライブ配信サービス」の普及が進んでいる。個人ユーザーは「YouTube」や「Instagram」など個人向けSNSプラットフォームで気軽に情報を得たり配信したりすることに慣れている。特にコロナ禍以降は大規模なオフラインイベントの開催が難しくなったことから、アーティストやクリエイターをはじめとするさまざまな事業者がライブ配信を使って活動している。

 個人が小規模な配信を通して身近な仲間とつながったり、独自にファンを獲得して双方向のコミュニケーションを楽しんだりできる環境の浸透を背景に、同様のモデルをビジネスで活用する動きが出ている。

広がるライブ映像配信市場

 さくらインターネットでライブ配信システム構築プラットフォームを手掛ける大谷剛史氏(ビジネスデベロップメント部 部長)は次のように考察する。

 「かつて、消費行動は『モノ消費からコト消費へ変わった』といわれていましたが、現代は同じ時間を他の人と共有する『トキ消費』へとさらに移り変わりつつあります。ライブ配信は『そのとき限りのコンテンツを多くの人と共有する』という、まさにトキ消費のニーズにマッチした現代的なサービスだと言えます」

さくらインターネットの大谷剛史氏

 ライブ配信はコンシューマー市場だけではなく、B2B市場や職場でも広く使われている。コロナ禍以降は企業が主催するイベントもオンライン開催が主流となり、さまざまな情報発信や交流がライブ配信で実現している。従来の対面イベントでは直接情報を届けられなかった潜在顧客にリーチでき、PR活動の効果が上がったという声もあるという。もちろん、テレワークにおいて必須のツールとなったWeb会議サービスも、双方向のライブ配信サービスの一種と言える。

 ライブ配信はリアルイベントの代替手段としてだけではなく、これまでにない新たなビジネスモデルも生み出しつつある。低遅延の動画配信の仕組みを活用した遠隔医療や遠隔監視、遠隔メンテナンスといったサービスが注目を集め、実用化が進んでいる。

ライブ配信機能をPaaSとして提供する「ImageFlux Live Streaming」

 ビジネスの世界で急速に普及するライブ配信だが、企業が事業活動に取り組むに当たってはコンシューマー向けサービスとは異なる課題を解決する必要がある。配信コンテンツの品質や安定性の確保と、効率的な導入や運用の実現だ。

 コンシューマー向けライブ配信サービスは、不特定多数のユーザーが気軽に利用できることを目的に開発されている。そのため企業が自社のビジネスコンテンツを安全かつ高品質に配信するには、どうしても自社専用のライブ配信プラットフォームを用意する必要性が出てくる。

 大谷氏によれば、コンシューマー向けサービスの課題に気付いてビジネス用配信プラットフォームの必要性を認識した企業は、次に「用途に適した仕組みの構築」という課題に悩まされるという。

 「ライブ配信をビジネスに活用したいというニーズがあっても、配信システムの構築ノウハウを持つ企業はまれです。そのため外部の開発会社を頼るケースが散見されますが開発のコストは大きく、ハードルは低くありません」(大谷氏)

 システムを構築した後も、運用や保守にコストがかかる。ライブ配信は視聴をするハードルがオフラインよりも低く、気軽に視聴を始めたり止めたりできるため利用者の増減幅が大きく、アクセスが集中する可能性を見越してシステムの規模や運用リソースを多めに確保しがちになり、適切な費用対効果を見極めるのが難しい。

 これらの課題を抱える企業に向けてさくらインターネットが提供するのが、高品質なライブ配信環境を手軽に構築できるサービス「ImageFlux Live Streaming」だ。企業向けライブ配信のシステム環境一式をさくらインターネットが自社データセンターで構築・運用し、これをPaaS(Platform as a Service)型のクラウドサービスとしてユーザーに提供する。

 ImageFlux Live Streamingを利用することで、自社のビジネス用途に合わせたライブ配信を迅速に立ち上げられる。APIを通して配信環境を利用できるため、独自にシステムを構築する必要がない。

運用負荷ゼロでライブ配信プラットフォームが利用可能に

 ライブ配信で一般的に使われる音声/映像伝送プロトコルには幾つかの種類がある。ImageFlux Live Streamingは「WebRTC SFU」と「HLS」(HTTP Live Streaming)を使った片方向/双方向リアルタイム配信と片方向のストリーミング配信を提供する。

 具体的には、時雨堂のWebRTC SFUサーバ製品「WebRTC SFU Sora」(以下、Sora)をさくらインターネットのデータセンターでホストし、PaaSとして利用可能にしている。WebRTCはもともとWebブラウザに低遅延で映像を配信するために開発された技術だ。Soraはネイティブアプリケーション用の独自SDKも提供しており、監視カメラやIoT機器などWebブラウザがない環境でも利用できる。

 少人数低遅延のリアルタイム配信は、WebRTC SFUの機能のみで実現できる。大人数向けにコンテンツを一斉配信したい場合はHLSが有効だ。ImageFlux Live Streamingはこれらを柔軟に組み合わせ、例えば「配信元ユーザーからWebRTC SFUのインタフェースを通じて受け取った配信データを内部でHLSに変換して大人数のユーザーに一斉配信する」といった使い方もできる。

ImageFlux Live Streaming概要 2タイプの配信形式の併用も可能(画像提供:さくらインターネット)

 「こうした仕組みを独自で構築・運用するには高度なノウハウが必要です。ImageFlux Live Streamingはシステムの構築や運用を全てさくらインターネットが代行するマネージドサービスとして提供するため、お客さまの運用負荷はほぼゼロです。当社はデータセンター運営やクラウド事業を通じて運用ノウハウを蓄積してきました。安心して運用全般を任せていただけると自負しています」(大谷氏)

 利用料金は使った分だけを支払う従量課金制なので、アクセス数の増減にも柔軟に対応できる。あらかじめ余計な運用コストを負担する必要はなく、スモールスタートが可能だ。大谷氏によれば「最小規模では月額3万円で利用を始められる」という。

 さらに、Soraが提供する独自SDK「WebRTC Native Client Momo」によって、Webブラウザを介さずにアプリケーションから直接Soraの機能を呼び出して利用することも可能だ。このように「自社でSoraの環境を構築することなく、Soraの機能が全て使える点」を高く評価し、ImageFlux Live Streamingの導入に至った企業も多いという。

ライブ配信の活用で新たなビジネスモデルの創出に成功した事例

 大谷氏によれば、既に複数の企業が ImageFlux Live Streamingによるライブ配信を使った新たなビジネスを実現している。先進技術を使った建設業向けソリューションを提供するARAVは、建設や工事の現場で利用する重機の遠隔操作にImageFlux Live Streamingを導入した。重機に取り付けたカメラの映像をWebRTC SFUによる低遅延片方向配信で遠隔地にいるオペレーターの端末にリアルタイムで共有し、スムーズな遠隔操作を可能にしている。

 動画コンテンツの制作会社IVS41は、映像編集作業の効率向上を目的にImageFlux Live Streamingを導入した。従来、番組映像の編集作業は複数のスタッフや関係者が集まって対面で実施していたが、導入後は離れた場所にいる関係者が同じ映像を低遅延かつ高品質で共有できるようになり、作業効率が向上したという。

遠隔での建設機械の制御やコンテンツ同時編集など、多岐にわたる活用が可能(画像提供:さくらインターネット)

 これらはWebRTC SFUの機能のみを使った片方向の低遅延配信の事例だが、WebRTC SFUとHLSを組み合わせた大人数向け一斉配信の事例も多いという。例えば、ある情報通信業の企業はImageFlux Live Streamingを使った「バーチャル株主総会」のサービスを企業に提供している。同社は、さまざまな映像関連サービスにImageFlux Live Streamingを活用している。配信を商用利用できるのもImageFlux Live Streamingの強みだ。

 さくらインターネットは今後もより多くの企業にImageFlux Live Streamingのメリットを提供すべく、その機能強化に努めていくとしている。

 「ImageFlux Live Streamingを活用するに当たって、細かい作り込みにはどうしてもアプリケーションの開発技術が必要になります。そうしたスキルを持たない企業には、ヒアリングしたご要望を基にシステム構築を支援するオプションプランを提供しています。今後も当社のサービスコンセプト『開発サイクルを促進する』に基づき、お客さまがサービス開発に集中できるようアップデートを続けます。具体的には、ユーザー認証や課金といった周辺機能の提供を計画しています。RTMPやSRTといったプロトコルへの対応も検討しており、より多くのお客さまがライブ配信を身近に利用できる環境を提供していきたいと考えています」(大谷氏)

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提供:さくらインターネット株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2021年11月19日