Special
» 2021年11月05日 10時00分 公開

スマート物流のデータ基盤 先行企業2社はどう取り組むか複雑な制約条件をコントロールする

物流業界は人材不足を背景にリソースの効率化や平準化、デジタルを生かした業務改革が求められている。関係者が多く、複雑な制約条件で臨機応変な対応が求められるこの業界において実績を積むデータ基盤がある。なぜ選ばれるのだろうか。

[PR/ITmedia]
PR

スマート物流に必要な「サプライチェーン・コントロールタワー」の役割

インターシステムズジャパン ロジスティクス営業部 部長の佐藤 比呂志氏

 インターシステムズは2021年10月、オンラインイベント「Intersystem Supply Chain Innovation Forum 2021 〜 SCM 4.0とサプライチェーン全体最適─物流クライシスからの脱却」を開催した。関係者が多く複雑な処理が必要となるサプライチェーンのコントロールに同社独自の高速なデータベース技術やアプリケーション開発基盤を生かすと、物流業界はどう変わるのだろうか。本稿は国を挙げて取り組む「スマート物流」の最先端事例などからその可能性を見ていく。

 インターシステムズジャパンの佐藤 比呂志氏(ロジスティクス営業部 部長)は、イベント冒頭「サプライチェーン4.0実現への近道」と題した講演で物流業界の課題とその解決策を示した。

 物流の高度化や付加価値の向上ではドイツを中心に進められている「SCM 4.0」がよく知られているが、同様の取り組みは日本でも進められている。内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期テーマの一つ「スマート物流サービス」もSCM 4.0と同様に「省力化、自動化の推進」と、それを支える「商流データ基盤の整備」を目指すものだ。

 佐藤氏は、SCM 4.0やスマート物流サービスが目指す世界を実現するためには、「サプライチェーン・コントロールタワー」が必要だと説く。物流に関するあらゆる情報を集めて管理者や作業者に分かりやすく可視化して示したり、自動化を図ったりして円滑な物流を実現する。

 このサプライチェーン・コントロールタワーの実現に最適なデータ活用基盤としてインターシステムズが提供するのが「InterSystems IRISデータプラットフォーム」(以降、IRIS)だ。

 IRISは多様なデータ型に対応したマルチデータモデル技術をベースに、高速な処理性能を生かしてデータの蓄積と分析を同時に実行できるマルチワークロードを実現したデータ基盤だ。物流の分野では既に国内外で複数の実績を持っており、本イベントではその一例が紹介された。いずれも物流業界の改革をけん引する事例だ。

「InterSystems IRIS Data Platform」の機能概要(出典:佐藤氏の講演資料)

日用品/化粧品卸売りの最大手が進める「スマート物流」の挑戦

PALTAC 専務執行役員 情報システム本部長の前田政士氏

 日用品、化粧品卸売り大手のPALTACは現在、約1000社の取引先メーカーと全国約400社、5万店の小売店の間を橋渡しする中間物流業者として、せっけんやシャンプーなどの日用品や化粧品、一般医薬品などを年間約35億個配送している。

 PALTACの前田政士氏(専務執行役員 情報システム本部長)は、「日本の生活必需品は多品種少量、低価格を特徴とするため、卸売業がメーカーと小売りの中間に介在して流通を効率化、ローコスト化することが不可欠だ」と同社の中間流通業としての役割を説明する。

 「生活必需品をお届けする当社にとって、安定した供給網の維持とコスト平準化の挑戦は重要な課題です。メーカーや小売り各社と共同で持続可能な流通網の構築を進めたいと考えています」(前田氏)

トラック待機時間を削減する入荷予約システムの基盤にIRISを採用

 こうした状況の中で始まったのがSIPのスマート物流サービスに関するプロジェクトだ。プロジェクトはPALTACを含む複数の企業と「製・配・販連携協議会」が連携して次の実証実験を進めている。

(1)小売業のデータ連携(主にドラッグストアやコンビニエンスストアの共同配送の検証)

(2)メーカーと卸売業のデータ連携に基づく物流効率化と共同化の検証

 PALTACはこのうち「(2)メーカーと卸売業のデータ連携に基づく物流効率化と共同化の検証」において、大手消費財メーカーらと協力して、ASN(事前出荷案内)データと受領データを活用した納品伝票の電子化、検品レスによる作業時間の削減効果を検証する

 この取り組みはプラネットが提供する日用品雑貨業界向けのEDI(電子データ交換)「ロジスティクスEDI」を利用する。PALTACがロジスティックEDIを介して商品の発注データを送信すると、メーカーが出庫指示データを運輸業者に送信する。すると出荷処理が進みPALTACに商品が配送される。この連携フローにASNデータ(出荷データ)を加えることで荷受先が入荷内容を事前に把握できる。

 検証では、この一連のデータ連携によって「入荷作業時間の短縮」「検品レス」「伝票レス」「パレット受け払いの自動化」などの実現性を検証するものだ。

従来と同じ作業人員で2倍の業務生産性を実現

 入荷予約システムとロジスティクEDIの活用によって目指すスマート物流のフローは下図の通りだ。

「メーカーと卸売業のデータ連携に基づく物流効率化と共同化の検証」の実施内容(出典:PALTAC 前田氏の講演資料)

 入荷予約システムでは、RDCにトラックが到着するまでの作業効率の向上を目指す。到着時刻の指定や接車バースの番号を通知する「バース予約の自動化」などを想定する。また、ロジスティクスEDIを活用した検品レス化や電子帳票化による受領書のペーパーレス化も進める。ドライバーは荷下ろし作業後すぐに出発が可能になるため、大幅な時間削減効果を見込める。

 PALTACの倉庫内作業では、パレット単位のデータ連携を基にスキャンレスでの運用への移行を進める。現状は商品の格納先を識別するためにJANコードなどのバーコードスキャンが必須だが、将来的にはRFIDや画像認識技術の導入によるスキャンレス化も想定する。

 「自動で認識できれば、その後は自動搬送装置(AGV)を使った自動格納も可能になるでしょう。入庫作業の手間と時間を削減できると期待しています」(前田氏)

 現時点のASNデータは車両単位で扱っているが、今後はパレット単位での商品のひも付けを想定している。入庫時の検品作業が従来の発注番号単位から車両やパレット単位になれば、より精細な入出庫管理が可能になる。いずれ運用での納品精度が確認できた段階で検品レスの運用に移行する計画もある。

 また、PALTACは全国21カ所に設置する大型流通センター(RDC)に、納品時間や接車バースの事前予約を目的とした「入荷予約システム」を導入した。システムは「Amazon Web Services」(AWS)を基盤にIRISを使って内製している。

 同社は2019年11月に上記の入荷予約システムを備えた倉庫拠点の一つとして「RDC埼玉」(埼玉県北葛飾郡杉戸町)を開設した。同センターでは、バラピッキング作業において従来と同じ作業人員で2倍の業務生産性を実現しており、自動化、ロボット化の推進によって危険な作業や人への負担が大きい作業の軽減を実現している。

空間インデックスを活用した車両運行管理でルート最適化を高度に

ビズベース 代表取締役の安井 穂氏

 システム受託開発やコンサルティング、GIS(地理情報システム)の開発、販売などを手掛けるビズベースの強みの一つは「IRISに通じた技術者を多数擁していること」と、同社代表取締役の安井 穂氏は話す。この強みを生かして現在、開発、提供に力を入れているのが車両運行管理サービス「ACO(アコ)」だ。

 ACOは輸送車両の情報やGPSを使った位置情報を収集し、複数の車両の状況を管理するサービスだ。車両データ収集用のODB2アダプターの他、GPSと通信機能を搭載したハンディーターミナルやタブレットでも利用できる。

ACOの機能イメージ(出典:ビズベース 安井氏の講演資料)

IoT基盤では満たせなかった要件を多次元DBで解消「空間インデックス」を活用

 このACOにおいて、データの蓄積、分析基盤に採用されたのがIRISだ。採用理由は「パフォーマンス」だと安井氏は説明する。

 「当初はあるIoT専用の基盤を使ってACOを開発しようと考えましたが、想定していた3000台規模の車両管理には多数のデータベースサーバが必要だと分かりました。1台のサーバで実現したいと考えていた当社は、独自のデータ管理構造を持ち、RDBやNoSQLでは実現できない処理性能を持つ『Caché』(キャシエ)(IRISの前身であるデータベース製品)をACOのデータ基盤とすることを決定しました」(安井氏)

 もともとCachéを使った開発を得意とするエンジニアが多数在籍していたこともあり、技術特性を生かした実装アイデアもあった。「多次元データを直接扱える」というCachéの特性を生かし、空間上の任意の地点を検索する仕組みとしてACOに「空間インデックス」を導入している。アプリケーションに負荷をかけずに空間演算を高速に実行でき、多数の車両の位置情報をリアルタイムに検索、表示が可能だ。

 ビズベースは2016年よりACOを提供しており、すでに複数の運用実績を持つ。

 ムラタシステムとの実証実験を経て実現したトラックの「発着自動通知サービス」では、倉庫管理システム(WMS)と連携させて車両の位置を把握して到着時刻を倉庫側に通知する。

 「トラックの到着時間を自動的に通知することで、『倉庫内でのピッキング作業の開始』『空きバースの予約』をトラックの到着前に開始してトラックの待機時間を削減します」(安井氏)

 もう一つの活用例は「配送ルート作成サービス」だ。人手不足が深刻化する物流業界では、新人ドライバーの育成や急な欠員が大きな課題となっている。同サービスは、土地勘のない新人ドライバーや急な欠員による代理ドライバーが担当する際にも、適切なルート作成と配送のモニタリングで配送効率の低下を防止する。

 配送会社が配送ルート情報をACOのクラウドにアップロードすると、ドライバーごとの配送ルートが作られ、各ドライバーが所持するスマートフォンのACOアプリに配信される。ACOアプリは、配達順が指定された「順番ルート」と最も効率的な配送順である「TSP(巡回セールスマン問題)ルート」を表示してドライバーをナビゲートする他、自己位置や渋滞情報、配送先情報も確認できる。

ACO配送ルート作成サービスの機能イメージ(出典:安井氏の講演資料)

 今日の物流業界は人手不足の解消だけでなく、いかに周辺企業と協力して有機的に最適解を見つけるかも重要な課題となっている。問題解決には高速なデータ処理が可能なデータ基盤が必須だ。IoT基盤などさまざまなIT活用の提案はあるが、独自のデータベース技術を基に複雑なデータを高速に処理でき、かつシンプルにアプリケーションの実装が可能なIRISは、今後のスマート物流を支える基盤技術として注目しておくとよいだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:インターシステムズジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2021年11月20日