マニュアルの作成のために、なぜいちいちPCで文章を作成し、画像を貼り付けるといった工数を重ねる必要があるのか。マニュアルを探して社内のフォルダをあさる時間は無駄ではないのか。顧客の声を受けたベンダーが目指したのは、スマートフォン1台でマニュアルを作成でき、その情報をスムーズかつ安全に共有できる仕組みだった。
少子高齢化が進み、ますます労働人口が減る中、日本企業にとってこれから不可欠な戦略の一つが業務生産性の底上げだ。専門知識やスキルが必要な業務を従業員が素早く学び、効率的にこなせるための環境づくりは、業務効率化や従業員の成長を促す意味でも「待ったなし」と言える。
有効な手段として注目を集めているのがSOP(Standard Operating Procedures:標準作業手順書)だ。業務現場における作業を標準化した上で、その内容や手順を事細かにガイドする。もともとは、多様なバックグラウンドを持った従業員が集まる米国の企業で業務品質を標準化するために考案された手法だが、日本企業が導入するケースが増えている。
オフィス業務だけでなく工場や小売店、工事現場といったさまざまな場面にSOPの活用を広げようとしているのが、マニュアルソリューションを手掛けるテンダだ。同社はPCやPC向けアプリケーションの動作を記録してマニュアルを自動作成するツール「Dojo」で知られる。
同社の森本清尚氏(ビジネスプロダクト事業部 製品企画担当)は「製造業や建設業、流通業などのお客さまから、PC作業だけでなく工場の製造現場や建設業の建設現場、倉庫での入出庫といった現場作業の細かな内容や手順を簡単にマニュアル化できるツールが欲しいというご要望を頂いていました」と話す。
作成したマニュアルの共有や管理も課題だった。Dojoは紙やオンラインで閲覧可能なマニュアルを作成する機能を多数備えていたが、オンラインでマニュアルを共有するには文書管理システムやファイルサーバなどを使って別途仕組みを構築する必要があった。作成したマニュアルを従業員の間でスムーズに管理・共有しつつ、外部への情報漏えいも防げる仕組みが求められていたという。
ユーザーの要望に応えるべく、テンダは2020年に新製品「Dojoウェブマニュアル」の開発に着手した。同社が特に重視したポイントは、PCだけでなくスマートフォンやタブレットでもマニュアルを簡単に作成、参照できるようにすることだった。
スマートフォンやタブレットは、倉庫や小売店、工場や屋外作業などあらゆる現場で使われている。「Dojoウェブマニュアルは、誰でも場所を問わず気軽にスマートフォンで現場作業のマニュアルを作成でき、かつ作成済のマニュアルを即座に呼び出して参照できる仕組みを目指しました」と森本氏は話す。
ユーザーは、スマートフォンでDojoウェブマニュアルのアプリケーションを立ち上げ、マニュアルの用途を記した「表紙」を作成した後、それぞれの作業工程を説明するページを「ステップ」として作成する。各ステップには、説明のテキスト情報を打ち込める他、スマートフォンのカメラで撮影した作業の様子の写真や動画を貼り付けられる。
Dojoウェブマニュアルで作成したマニュアルは、クラウドに自動的に保管され、他のユーザーと共有できる。アプリケーションではマニュアルをキーワード検索することも可能だ。現場でマニュアルを探すニーズを考慮し、フィルター機能で簡単にマニュアルを検索できる。マニュアル作成時には音声認識を使って説明のテキストを入力することも可能になっている。
「作業現場では片手しか空いていなかったり、手袋を装着していたりしてスマートフォンへのタップ入力が困難な場合もあります。そうしたケースを考慮し、Dojoウェブマニュアルでは音声認識技術を応用した音声入力が可能になっています。社内のUI/UXチームを中心に、細かな操作性や使い勝手を高めるための工夫を続けています」(森本氏)
スマートフォンで使えるマニュアル作成ツールとしてDojoウェブマニュアルが特化したポイントは、「双方向性」の使い方を意識した機能設計だ。テンダは同製品の開発に当たり、ユーザーが「マニュアル」という成果物にこだわらず、業務効率化という目的に柔軟に役立てられるようにする点を意識したという。
「UI/UXを分かりやすくし、アプリケーションの操作に慣れていないユーザーでも直感的に操作できるようにしました。より多くの方がマニュアルの作成や編集を担当できるようになれば、特定の担当者に負荷が集中したりノウハウが属人化してしまったりする事態を防げます。マニュアルだけでなく業務の課題レポートも作成、アップロードできるので、業務改善活動のツールとしても大いに役立てられます」(森本氏)
マニュアル作成の後に役立つ機能の一つが「ストップウォッチ」だ。作成したマニュアルごとに「標準作業時間」を設定でき、実際にマニュアルを開いて作業を進めるのに要した時間をその場で計測できる。標準作業時間と実際の作業に要した時間を比較すれば、作業効率の改善につなげられる。
マニュアルの管理機能も充実させた。Dojoウェブマニュアルは、管理者がPCで専用のコンソールにアクセスし、マニュアルを一元管理できる。個々のマニュアルにユーザー単位でアクセス権限を設定できるため、医療機器や精密機器の操作方法など、セキュリティの観点から部門外の閲覧を制限したい場合にも有効だ。
「マニュアルにはその企業の貴重なノウハウや技術情報が含まれることが多いため、特に情報漏えい対策に厳しいお客さまにこの機能が高く評価されています」(森本氏)
防爆規制や情報保全の関係で作業現場にスマートフォンを持ち込めない業態でも使えるように、DojoウェブマニュアルはPCの管理コンソールでマニュアルをPDF化して印刷できるようにしている。
Dojoウェブマニュアルは2021年11月30日に公開済みだ。
テンダは、Dojoウェブマニュアルの導入を検討する企業に30日間限定の無償体験版を提供している。有償版のライセンス体系は年間契約で月額の使用料金を支払うサブスクリプション制で、料金はユーザー数の規模によって異なる。
同社はツールだけでなく、マニュアル作成の代行サービスも提供する。より使いやすいマニュアルの作成やその活用を進めたい企業に知見やノウハウを提供することで、ツールの提供から実際のマニュアル作成、管理、活用といった場面までサポートする。
Dojoウェブマニュアルについては、早くも次期バージョンに向けた機能強化ポイントも固まりつつあるという。Dojoで作成したマニュアルをDojoウェブマニュアルに取り込んで共有できる機能や顧客認証基盤とSSO(シングルサインオン)できる機能などの実装を予定している。
「今後はAIのレコメンドエンジンを搭載し、ユーザーによって役立ちそうなマニュアルの候補を自動的に割り出して提示できる機能も実現したいと考えています」と、森本氏は話す。同社は、マニュアルにAR(拡張現実)を取り込んでユーザーがマニュアルの作業を疑似体験できる機能も構想しているという
「マニュアルの作成や情報の共有に役立つ技術を柔軟かつ積極的に活用しながら、お客さまの業務効率化により貢献できるソリューションを提供し、新たな価値を届けたいと考えています」(森本氏)
詳細資料はこちらから:https://tepss.com/dojo-wm/download/
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提供:株式会社テンダ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2021年12月18日