DX推進に不可欠な企業間の相互接続を活性化してビジネスを成長させる戦略とは「クラウドファースト」から「デジタルファースト」へ

DXを推進する企業にとって高品質なデジタルインフラ構築は喫緊の課題だ。グローバルでデジタルインフラを提供するエクイニクスは企業インフラの動向を分析し、課題に対して何を提供できるのか。オンラインセミナーで同社がビジョンを紹介した。

» 2022年01月14日 10時00分 公開
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 データセンター(DC)や各種インターコネクションサービスをグローバル展開するEquinixの日本法人であるエクイニクス・ジャパン(エクイニクス)は、2021年11月29〜30日にオンラインイベント「Equinix Japan Forum 2021」を開催した。本稿は同月30日に講演された、企業が実践すべき「デジタルファースト戦略」とこれを支援する各種ソリューション紹介の様子をレポートする。

企業には「デジタルファースト戦略」が求められている

 エクイニクス社長の小川 久仁子氏は登壇のあいさつで、「今回のイベントのメインテーマは『デジタルファーストはここからはじまる。』です。当社が実施した調査『グローバルインターコネクションインデックス』(GXI)によると、デジタルで成功する企業は『クラウドファースト』をすでに実現しており、その次の取り組みとして、ITをビジネス成長に直接結び付ける『デジタルファースト戦略』を推進しています」と語る。

エクイニクス社長の小川 久仁子氏

 小川氏はまた、2021年におけるエクイニクスのトピックとして、大阪に新設したIBX(International Business Exchange) DC「OS3」や、アジア太平洋地域初となるハイパースケーラー向け「xScaleデータセンター TY12x」(TY12x)の東京での開設、ベアメタルサービス「Equinix Metal」やソフトウェア定義型のNFVサービス「Network Edge」の提供を挙げた。

「OS1」に隣接したIBX DCである「OS3」が大阪に新設された(出典:エクイニクス発表資料)

 続く2つの基調講演ではDCとデジタルインフラサービスの方向性と課題、実践方法についてのヒントが明かされた。

 1つ目の基調講演では経済産業省 商務情報政策局の中野浩二氏が、「日本のデジタル化推進に向けたデジタルインフラの活性化について」と題して日本におけるデジタルインフラの在り方を解説した。2つ目の基調講演では、IDC Japanの伊藤未明氏が、「デジタルエコノミーにおけるITインフラストラクチャーの課題」と題してデジタル時代の大企業向けインフラの要件とシステムワークロード配備の問題点を明らかにした。

グローバル調査「GXI Vol.5」から読み解くグローバルデジタルインフラの要件

 注目セッションの1つ目は「GXI Vol.5から読み解くグローバルデジタルインフラ」だ。エクイニクス APACセグメントマーケティング デジタル戦略日本地域担当の村上愼一氏が「GXI Vol.5」の調査結果の解説とともに、デジタルファースト戦略の実現方法について解説した。

 GXI Vol.5によると、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業は「クラウドファースト」というIT戦略に基づいてクラウド利用を進めてきた。だがコロナ禍でデジタル化の重要性が増し、現在は「クラウドをデジタル化に生かす戦略」や「ビジネスのデジタル化を進める戦略」、すなわち「デジタルファースト」戦略に注目が集まっている。

 デジタルファースト戦略を推進するためには、従来のクラウド活用モデルから一歩進み、ネットワーク事業者やクラウド事業者、それらのサービスを活用する企業が相互接続できるネットワーク環境の構築やエッジコンピューティングの実装が必要になる。GXI Vol.5の調査結果によると、2024年のインターコネクション(相互接続)帯域はインターネット帯域の15倍以上になると予測が出ている。

 これを実現するのが、エクイニクスが提唱するデジタルインフラの中の「デジタルエッジ」「デジタルコア」「デジタルエコシステム」という3つの要素だ。

 「デジタルエッジは端末やIoT機器から近い地点でレスポンス性能を維持しながらデータを処理する考え方です。グローバルに分散するデジタルエッジを集約してクラウドとの接続を確立するには、これらのゲートウェイであるデジタルコアが必要です。デジタルコアは地域ごとの法令を守ったデータの利活用や保存、地域ごとの通信ハブといった機能を備えます。最終的には各地域のデジタルコアを相互接続してデジタルエコシステムを構築すれば、グローバル規模のDX推進が可能です」(村上氏)

大阪に新設したIBX DC「OS3」とは

 エクイニクスは企業のデジタルインフラ構築をどのように支援するのか。それに対する回答が2つ目の注目セッション「エクイニクスのサービスアップデート」だ。エクイニクスはデジタルファースト戦略を実現するため多様なサービスポートフォリオを展開しており、各領域のスペシャリストである同社IBXオペレーションズ IBXマネージャーの松田 健氏、グローバルソリューションズアーキテクト シニアマネージャーの内田武志氏、マネージド&テクノロジー・サービス本部 執行役員の有本 一氏らが同社サービスの最新情報を紹介した。

 松田氏はIBX DCの最新情報を解説した。

 「日本でのIBX DC開設は2001年の『TY1』からスタートし、2019年の『TY11』開設まで拡張してきました。2021年には東京にTY12xを、大阪にOS3を開設し、今後『OS2x』を開設予定です。同年10月にオープンしたOS3は最新設備を備え、第1フェーズで900ラック、最終フェーズでは2500ラックを提供する予定です。電源は三相400ボルト30アンペアに対応し、環境にも配慮しており、空調には省エネ効果が見込める水冷式を組み合わせています。OS3はOS1と併せて大阪キャンパスを構成しており、これらを組み合わせればエクイニクスの全てのサービスを利用できます。大阪城が近くにあることから歴史的にも災害に強い地域で、津波や河川の氾濫にも耐えられます」(松田氏)

OS3の概要

Equinix Fabricによるレイヤ2接続サービスも開始

 内田氏はインターコネクションサービスに関する最新情報を紹介した。

 「Equinix Internet Exchange」は、インターネットトラフィックを交換するエクイニクスを象徴するサービスの一つで、世界最大級のピアリングソリューションだ。全世界42都市において、1600社以上で2000を超えるネットワークを構成し、ピークトラフィックは19.5Tbpsに達する。「Equinix Connect」は、同社DCでマルチホームのインターネットアクセスを提供するサービスだ。

 「Equinix Internet Exchangeはポータル機能を拡充し、トラフィックの統計やグラフ表示を強化しました。パートナーとの接続のしやすさを重視してユーザーインタフェースもアップデートしています。デフォルトで上流ISPが冗長化されるEquinix Connectも大幅に機能追加しました。2021年からEquinix Internet ExchangeとEquinix Connectの装置間をバックエンドで直接接続して、エクイニクスのDCがある各都市で、より直接的かつ安定してインターネットの各種サービスに接続できるようになりました」(内田氏)

 内田氏によると、これらの製品アップデートによってクラウド型のオフィスツールやデータ交換用のクラウドストレージ、ユニファイドコミュニケーションサービス、セキュアサービスエッジ(SASE)などの接続環境で、インターネットにまつわるボトルネックや遅延を解消してUXの向上が見込める。

 同氏は「Equinix Fabric」のアップデートも紹介した。Equinix Fabricは日本での提供から7年が経過し、クラウドサービスへの直接接続だけでなく、エクイニクスが提供するあらゆるサービスを相互接続できるプラットフォームへと進化している。Equinix Fabricには多くのユーザーやプロバイダーが集結し、現在では全世界で3万5000以上の仮想接続が構成されており、多くの企業が相互接続によるデジタルインフラの最適化とビジネス成長を実現している。今回の発表では、ポートベースでポイント・ツー・ポイントのレイヤー2接続を可能にするEthernet Private Line(EPL)機能が新たに紹介された。

EPL機能は現在、自社間の接続のみに利用を限定しているが、2022年にはエクイニクスのデジタルインフラサービスやクラウドプロバイダーへの接続にも対応する予定だ(出典:エクイニクス発表資料)

ソフトウェア実行の速度でデジタルインフラを実現

 内田氏は、2021年に開始したデジタルインフラサービスであるNetwork EdgeとEquinix Metalについても解説した。Network Edgeは主要ネットワークベンダーが提供するルーターやファイアウォールなどの仮想アプライアンスを任意に組み合わせて必要な場所で瞬時に開始できる。Equinix Metalはベアメタルサーバをサービスとして提供する。どちらのサービスもEquinix Fabricと接続されており、豊富なインターコネクションサービスを活用できる。

 「Network Edgeは、クラウド接続時に仮想ルーターでファイアウォールを瞬時に利用できるようにしたり、リモート環境のユーザー向けにVPNアクセスをオンデマンドで提供したりできます。Equinix Metalは、自社で構築するコロケーションとクラウドの間にあるギャップを埋めるものです。コロケーションならではの制御とクラウドの柔軟な消費モデルを両立させて、グローバルで迅速に標準化した運用モデルを実現できます」(内田氏)

顧客の要望とインテグレーターの技術をつなぐイネーブラー

 有本氏はマネージド&テクノロジーサービス(MTS)のポイントを紹介した。

 「デジタルインフラは昨今、ブラックボックス化しつつあります。ハイブリッド/マルチクラウドが複雑化する中で、デジタルインフラには運用者視点が重要になっています」(有本氏)

 MTSは「Hybrid Multi Cloud Enabler」というコンセプトを掲げ、顧客の要望やインテグレーターの技術とエクイニクスが提供するサービスをつなぐイネーブラーとして活用支援を提供する。

 「ハイブリッド/マルチクラウドの構築や、カスタマイズされたデジタルインフラの提供、運用業務のアウトソースなどの分野においてアラカルトメニューでサービスを選択可能です。Equinix Fabricの接続設定やNetwork Edgeのサポート、マネージドレンタルなどを個別に選択したり、組み合わせて利用したりできます。最近は特にパブリッククラウドを含めた環境構築のニーズが高くなっています」(有本氏)

 有本氏は同サービスを活用した具体的な事例を紹介した。まずはマルチクラウドの導入、運用サポートの例だ。顧客環境のアセスメントを実施した上でNetwork EdgeやEquinix Fabricを利用し、ネットワーク設計から監視運用サービスまでを一貫して支援する。顧客がNetwork Edgeで提供されていない機能を希望した場合は、マネージドレンタルで仕様に合致したハードウェアを用意するなど柔軟な対応が可能だ。

 プライベートクラウドの構築と運用のフルアウトソーシングにも対応できる。IBX DCの移設や障害対応、ストレージのバックアップ運用、デジタルインフラ全体のデータ分析、キャパシティー予測をベースとした将来のインフラ構想の提案など全体的な支援を提供する。

 オンプレミスやプライベートクラウドからパブリッククラウドにシステムマイグレーションを実施する事例も多い。このケースでは、各種サービスの環境アップデートやマイグレーションの全体スケジュール、今後を見据えたネットワークおよびインフラ設計など多くの課題があるが、MTSは24時間体制の監視運用チームや30人以上のクラウドのスペシャリストによる移行サービスチームでインフラ構築を支援する。

全てのデジタルリーダーにとって必要不可欠なパートナーになる

 顧客のサービス活用事例としては、ノキアソリューションズ&ネットワークス シニア事業開発マネジャー の岡崎真大氏が「ノキアの5Gを含む次世代クラウドサービスとプラットフォームエクイニクス」と題して発表した。

 小川氏は最後に「デジタルインフラで必要なものに必要な投資を継続しながら顧客を支援します。共にデジタルファーストを目指しましょう」と力強いメッセージで締めくくった。

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提供:エクイニクス・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年2月2日