“失敗できない”SaaSシステム開発運用に打開策はあるか DevOpsの「最適解」を探るSaaSの強みを最大限に引き出すためにすべきこと

ミッションクリティカルな大規模業務システムにSaaSを採用するケースが増えている。従来型の開発手法では、スピーディーかつ柔軟な開発運用体制を実現するのが困難になったためだ。SaaS利用を前提とした体制に変革するポイントとは。

» 2022年01月21日 10時00分 公開
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 コロナ禍でオンプレミスのシステム構築が一時的に停止したことをきっかけに、大企業や自治体などを中心に業務システムにSaaSを採用するケースが増えつつある。その際に重要になるのが開発運用体制の最適化だ。

 今後はオンプレミスのシステムと同じ考え方では最適なクラウドシフトができず、複雑化と高度化を続ける顧客のニーズにスピーディーに対応できなくなる。開発運用体制もクラウドサービスやSaaSの利用を前提としたものへのアップデートが必要だ。SaaS開発で多数の実績を持つデロイト トーマツ コンサルティング(デロイト トーマツ)の開発運用担当者が知見を語った。

大企業が陥りがちな開発運用体制の課題とは

デロイト トーマツ 外園和嗣氏

 「業務システム」と呼ばれるシステムには、利用者の多い大規模なシステムや稼働を止められないミッションクリティカルなシステムなどさまざまな特性を持つものが含まれる。SaaSを利用したシステムの急増に伴い開発運用体制の多様化が進み、近年は開発と運用が密に連携・協調しながらプロジェクトを進める「DevOps」のような仕組みを採用する企業も増えつつある。

 しかし、現状はこれらの開発運用体制を十分に使いこなせる企業は少ない。デロイト トーマツのアーキテクトである外園和嗣氏(シニアスペシャリストリード)によると、ミッションクリティカルなシステムの開発では以下のような問題が発生しやすい。

 「ミッションクリティカルなシステムは初期リリースや改修リリースの日が厳密に定められ、それらに合わせて開発を進める必要があります。期日までに要件や仕様、品質確保を調整できるかどうかがプロジェクト成功の鍵になりますが、調整しきれずにリリースが延びるケースが散見されます」(外園氏)

デロイト トーマツ 竹野純平氏

 「短期間で導入できる」「拡張が容易」といったSaaSの強みをミッションクリティカルなシステムにおいて生かしたい場合、そのアドバンテージを最大化させるような開発運用の構築が必須となる。その際の課題はアップデートへの対応だ。主要なSaaSは豊富な機能を搭載し、最先端のテクノロジーやユーザーのニーズを基に年に数回のバージョンアップを実施する。それらの情報を全て把握した上で自社のシステムへ落とし込む作業は、現場にとって大きなチャレンジになる。

 大規模なシステムにおける開発運用体制にも課題はある。デロイト トーマツでプロジェクトマネジャー(PM)を務める竹野純平氏(コンサルティング シニアマネジャー)は「一般的に、大規模なシステム開発運用では複数の工程を並行して走らせます。その際は開発チームと運用チーム間の調整が必要不可欠ですが、システムが大規模になると両チームの担当者間でコミュニケーションロスが発生しやすくなり、DevOpsの実現が困難になります」と語る。

SaaS開発運用で発生する“どうしようもない”課題 解決策はあるか

 これらの課題を解消するためにはどうすればいいのか。「Salesforce」を活用したミッションクリティカルなシステム構築プロジェクトを主導したデロイト トーマツのケースを見てみよう。

 デロイト トーマツはSaaSの開発運用経験が豊富で、特にSalesforceの開発パートナーとして高い実績を誇る。専門性の高い人材が提供する業務コンサルティングからシステム開発、運用までのワンストップ支援サービスが強みだ。

 同社は長年の経験から得た知見を体系化し、新規のプロジェクトに適用している。「開発や運用に必要な細かいツールやドキュメントを体系的に蓄積し、過去に使ったものを再利用して開発期間の短縮や運用の効率化を実現しています」(外園氏)

 プロジェクトの粒度を細かく設定して方向性が定まりやすい小さなパートを動かして開発を進める管理能力も強みだ。「ステップを細かく設定するほど全体のスケジュール管理には精度が求められ、高度な調整が必要になります。例えばリリース日から逆算して『いつまでに何を決めるのか』を設定し、各ステップで関係者と確認しあいます。当たり前ではありますが、開発の遅延を予防するためには重要な対応です」(竹野氏)

 このように開発で得た知見の体系化や厳密なスケジュール管理などの強みを生かせば一定の開発スピードの向上は見込めるが、SaaS開発ならではの課題もある。アプリケーションやプラットフォーム、インフラなどがパッケージングされている点だ。

 外園氏は「SaaSはサービスとして完成している、一種のブラックボックスです。そのためプラットフォームの中身を把握できません。“失敗が許されない”ミッションクリティカルなシステムを構築する以上、SaaSベンダーからの情報提供とサポートは不可欠です」と語る。

専任担当者+24時間監視で、システム運用を手厚くサポート

 SaaS特有の「細かな特徴や挙動が分からない」という問題を解消する手段としてデロイト トーマツが導入したのが、開発運用支援サービス「Signature Success」だ。Salesforceサポートプランの最上位モデルで、手厚く高度な支援体制によって開発者や運用担当者をサポートする。

Signature Successのサポート概要(出典:セールスフォース提供資料)

 Signature Successが提供するサポートの中で、特に開発運用に有効なのが「Technical Account Manager」(TAM)だ。契約した顧客に専属の担当者が配属され、文字通り伴走しながら開発運用をサポートする。

 一般的に、ソフトウェアのサポートは「顧客が知りたいことをサポートデスクに投げ、それにベンダーが答える」という形式を採る。一方でTAMは顧客システムの状況に合わせて、ソリューションのパフォーマンスと最適化のガイダンス、リリースに伴う影響調査、本番稼働前のサポートなどを積極的に提供する。

セールスフォース 児島弘幸氏

 デロイト トーマツのプロジェクトでTAMを務めたセールスフォース・ドットコム(セールスフォース)の児島弘幸氏は「デロイト トーマツさまは、Salesforceの開発から運用までできるプロフェッショナル集団です。外園さんのような高度な技術をお持ちのエンジニアとそれをまとめる竹野さんのようなPMの存在によって、私たちの支援も非常に内容の濃いものになりました」と話す。

 外園氏はプロジェクトを振り返って「特にプラットフォームの特性について、TAMと密な連携をしました。データの件数や処理件数によるマルチテナントの最適解を知った上で堅固なシステムを構築できたと考えています」と語る。

 TAMとの連携で開発スピードも上がった。竹野氏は「現場の担当から『プロジェクトの内容を把握する専任担当者がいることで、サポートが必要な際はすぐに本題に入れた』と聞きました。私もマネジメントの中で『Salesforceについては、まずTAMに相談する』というフローを組み込み、現場のリーダーがすぐに相談できる環境づくりに努めました。当社にはSalesforce開発に長く携わるメンバーが多数いますが、プラットフォームに深く踏み込んだサポートを得たことで、より迅速かつ確実にプロジェクトを進められました」と語り、セールスフォースによる支援の重要性を強調する。

本プロジェクトにおけるデロイト トーマツの開発運用体制図(出典:セールスフォース提供資料)

 TAMは、前述したSaaSの課題である新バージョンのリリース対応もサポートする。事前情報を基に顧客のシステムにどのような影響が出るか分析し、顧客と共に対策を実施する。「設計や開発に関する技術には自信があります。しかしバージョンアップの対象機能は広く、追加や変更の種類も多種多様です。影響についての情報をセールスフォースさんから提供いただくことでリリースノートから自社ビジネスへの影響を把握する工数が大幅に削減できており、非常にありがたいと思っています」(外園氏)

「本当に必要なサポート」のニーズに応え、安定運用を支援

 Signature SuccessはTAMの他、緊急対応向け窓口「Signature Support」やモニタリングに特化した「Proactive Service」といったサービスも提供する。例えばProactive Serviceは、顧客環境を把握したエンジニアがシステムの利用状況を24時間365日体制で監視し、それを基に改善策を提案してシステムの安定稼働とビジネスの継続を支援する。

 外園氏は「システムのうち見える部分はデロイト トーマツが監視できます。一方、ブラックボックスの『中身』を把握するベンダーがプラットフォームへのアクセスを監視してくれる点や、リスクの検知や報告、対策の提案までいただける点は非常に助かりました」と話す。

 児島氏は「失敗できないシステム構築や運用維持のために先を見据えた提案ができるのがSignature Successの強みです。今後もデロイト トーマツさまのような優れた知見を持つ開発運用パートナーと共に、企業の支援を進めたいと考えています」と語る。

 クラウドは企業の根幹を支える基盤となっている。SaaSを利用した業務システムの安定運用にはSignature Successのような、顧客の期待に深いレベルで応えるサポートが重要だ。

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