エキスパートが徹底議論「業務自動化を拡大する企業がRPA製品に求めること」ハイパーオートメーションに進化するためのRPAツール活用のススメ

RPAの導入においてはロボットの安定稼働や統制の難しさに直面するケースが後を絶たない。RPAと他のツールを連携させて自動化の範囲を広げたいという要求も高まる。全てをかなえて「ハイパーオートメーション」を実践するには何が必要か。

» 2022年01月28日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
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 RPAはエンタープライズITの世界において市民権を得たが、業務改善によってDXの取り組みにつなげた企業がある一方で、期待したほどの効果を得られないというケースを耳にする。背景には、ロボットの安定運用と自動化業務の拡大に課題を抱えやすいという実態があるようだ。

 RPAで「エラーが発生して安定稼働しない」という問題は珍しくない。近年は小規模な自動化を成功させた企業がRPAを他の技術と連携させて業務自動化の範囲を拡大する動きが盛んだが、仕組みの構築にコストや時間がかかり過ぎるという声も上がる。こうした課題が顕在化する中で、使用している製品に限界を感じた企業がRPA製品をリプレースする動きも活発化してきた。

 どうすればロボットを安定稼働させながら適用範囲を拡大し、業務を一気通貫で自動化する「ハイパーオートメーション」実現への道が開けるのか。4人のRPAエキスパートが議論を繰り広げたパネルディスカッションの模様をお届けする。

業務自動化の中心機能になるRPAに求められる安定性と管理性

 2021年12月13日から16日にかけて、アイティメディア主催のデジタルイベント「DIGITAL World 2021 winter」が開催された。3日目のセッション「ハイパーオートメーション時代を見据えたUiPath導入最新トレンド」では、国内大手SI企業のRPAエキスパート3人とUiPathの担当者によるパネルディスカッションが実施された。

 多くの企業にRPAソリューションを提供してきたエキスパートたちの議論の中で、RPAの導入効果を最大化し、ハイパーオートメーションの実現に向けて進むべき方向が浮き彫りとなった。

パネリスト

八木田 哲也氏(電通国際情報サービス コミュニケーションIT事業部 RPAビジネス部 RPAエンジニアリンググループ プロジェクトマネージャー)

福永裕司氏(伊藤忠テクノソリューションズ エンタープライズビジネス企画室 プロダクトビジネス推進部 主任)

梅木康信氏(TIS 経営管理サービスユニット アプリケーションテクノロジー部 エキスパート)

モデレーター

原田英典氏(UiPath プロダクト&イベントマーケティング部 部長)


UiPath 原田英典氏

原田氏: RPAのコア機能には、自動化を「実行」するロボットの機能、ロボットを「開発」する機能、ロボットを「管理」する機能などが挙げられます。本日お集まりの皆さまは、UiPath製品が備えるこれらの機能を使ってお客さまにRPAのソリューションを提供されていますが、近年どのような要件が多いのでしょうか。

福永氏: RPAロボットは、PCの画面上のパーツを「オブジェクト」として認識して自動化します。お客さまの中にはオブジェクト認識の精度の高さを理由に、他社製品からUiPath製品への移行を検討する方が増えてきました。実行速度と安定性の面で他社製品に不満を持つ方も多く、この点においても以前から定評があるUiPath製品に興味を持たれるお客さまが多いという印象です。

伊藤忠テクノソリューションズ 福永裕司氏

八木田氏: 福永さんがおっしゃったように、UiPath製品はオブジェクトを認識できる能力がとても高いと感じています。ロボットの実行端末とは別のPCにリモートデスクトップ接続して作業を自動化する場合、他社製品の中にはリモートPCの画面オブジェクトを認識できずエラーを起こすものもあります。しかし「UiPath リモートランタイム」を使えば、リモート接続したPCの画面オブジェクトもきちんと認識して動作するので、さまざまなシーンで活用できます。

梅木氏: RPA運用におけるITガバナンスの問題も顕在化してきましたね。あるお客さまは、SOX法の対象となる業務をUiPathのロボットで自動化しようとしましたが、「UiPath Unattended Robot(無人で動作するロボット)」をスタンドアロン環境で動作させていたために実行制御や証跡管理の要件を満たせませんでした。そこで複数のロボットを一元管理する「UiPath Orchestrator」を新たに導入し、適切な権限を持ったユーザーがロボットを実行すること、ログをサーバに集約して一元管理することを保証した結果、監査要件を満たせました。

RPAやAI-OCR製品は実績や支援サービスの充実性が重要な要件に

原田氏: 今日のRPAは、コア機能を使って業務を局所的に自動化するツールではなく、広範囲な自動化を実現する基盤としての性格を強めています。そのためにはAI-OCRをはじめとするAI技術との連携が鍵を握るといわれています。

電通国際情報サービス 八木田 哲也氏

八木田氏: 文字認識精度が飛躍的に向上してきたAI-OCRでドキュメントの内容を読み取ってデータ化し、RPAに渡して自動処理することでより広範な業務の自動化が可能になりました。

 UiPath製品は「キュー」という待ち行列処理の機能を使って複数のロボットを効率的に稼働させながら、ファイルサーバなどからドキュメントファイルを自動的に取り出してAI-OCRの読み取り処理を実行できます。キューにひも付くロボットは簡単に増減できるので、処理が大量に発生した場合、逆に処理の規模を縮小したい場合にすぐに対応できます。多くのお客さまから「利用してみたい」というお問い合わせが寄せられます。

福永氏: 当社でもAI-OCRに関する問い合わせが増えていますね。ただAI-OCRをRPAと連携させて自動化を実現するには専門的なノウハウが必要です。伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)はAI-OCRとUiPath製品を連携させて業務プロセス全体の自動化を実現する「すぐAIロボ」を提供しています。高度なノウハウや多くの手間が不要で、ペーパーレス化による業務自動化の仕組みを短期間で構築できます。

原田氏: お客さまからの反応はいかがですか。

福永氏: リモートワークが進んだことを背景に、ペーパーレス化に取り組んでいるお客さまから多くの問い合わせを頂いています。このソリューションはCTC内で経費精算業務や請求書業務などの業務に適用して成果を出していますから、お客さまにも安心して利用いただけます。

 UiPath製品の導入支援サービス「ろぼサポ」やUiPathスタートアップ支援サービス「すぐロボ」も提供していますので、RPAに関するあらゆるニーズにお応えできると自負しています。CTCは、AI-OCRだけでなくさまざまな製品とRPAとの連携を積極的に打ち出していきたいと考えています。

AI-OCRやRPA、知見に基づいた支援サービスがハイパーオートメーションの鍵

原田氏: AI-OCRとRPAの連携によって高度な自動化が実現すると、自ずと業務全体を自動化するハイパーオートメーションへの期待が膨らんできます。実際には、どの程度実現できているものなのでしょうか。

TIS 梅木康信氏

梅木氏: TISは、経理部門における請求書の読み取りから内容の確認までを自動化する「請求書支払業務自動化サービス」を提供しています。UiPath製品とファーストアカウンティングさんのAI-OCRサービス「Robota」、当社の「HA(ハイパーオートメーション)サービス」を組み合わせたものです。これまでのOCRは、帳票を読み取る前に「どこにどの情報が記載されているか」のフォーマットを定義する必要がありました。Robotaは請求書に特化した独自のAIエンジンで請求書の内容を前準備なしに読み取れます。

原田氏: 経理の業務、特に請求書関連の作業は、紙の原本を扱わなくてはならないという事情があり、担当者がコロナ禍でも出社を余儀なくされるケースが多かったと聞きます。繁忙期に合わせて人員を確保しておくと人件費がかさむため、期末に長時間残業を余儀なくされるといった課題もありました。経理の分野は、自動化ソリューションが最も生きる領域の一つだと言えますね。

梅木氏: そうですね。TISの「請求書支払業務自動化サービス」はAI-OCRで認識した内容を人間が確認する作業を含みますが、UiPathの「Action Center」を利用してロボットの自動処理と人間の確認処理をシームレスに連携できます。HAサービスを組み合わせれば、処理対象の帳票を自動的に見つけ出してAI-OCRでデータ化した後、請求書とシステム入力内容に不一致がある場合などは担当者に内容確認処理を依頼し、承認者に承認依頼を出す作業を完全に自動化します。

 近年は、エンド・ツー・エンドの完全な自動化とまではいかないものの、かなり広範囲な業務の自動化を実現しています。

自動化を拡大、高度化するためにはRPAの管理性と保守性が重要

原田氏: AI以外には、現在どのような自動化ソリューションが注目を集めていますか。

八木田氏: 「UiPath Orchestrator」の機能をクラウドサービス化した「UiPath Automation Cloud」も注目されています。以前はユーザーが自社のオンプレミス環境に「UiPath Orchestrator」を導入する必要がありましたが、クラウドサービスとして利用できるようになったことで「UiPath Orchestrator」や「UiPath Unattended Robot」がより多くのお客さまにとって身近なものになりました。その他、ロボットの実行環境にログインせずにクラウドですぐに自動化の処理を実行できる「Processes」という機能も便利だと定評があります。

福永氏: ロボットが増えるにつれて「UiPath Orchestrator」を導入したいというニーズは必ずと言ってよいほど出てくるものですが、クラウドサービスとして簡単に利用できるようになったことでUiPath製品への問い合わせがさらに増えました。

原田氏: どんなに優れた機能を持つRPA製品でも、ロボットの運用や管理がしっかりできなければその良さを生かせませんからね。

八木田氏: はい。電通国際情報サービスは、RPAのソリューションを扱い始めた当初からRPAを使いこなすためには「保守が極めて重要です」と言い続けてきました。PC環境やシステム仕様がほんの少し変わっただけでもRPAのロボットは動かなくなってしまいます。そうした事態を防ぐには、保守プロセスをきちんと確立しておくことが重要です。

 RPAの開発時に従うべき「開発標準」「開発ルール」をきちんと定めるとともに、それに従って開発プロセスがしっかり回せているかどうかを可視化して評価できる仕組みを確立することが大事です。開発プロセスのPDCAサイクルを継続的に回すことでRPAの導入効果をさらに高められます。当社はRPAの運用保守の重要性をまとめたドキュメントを公開していますので、興味をお持ちの方は一読されることをお勧めします。

原田氏: UiPathは製品ベンダーではありますが、製品導入後の運用保守の重要さも皆さまと一緒にお客さまにお伝えしていければと考えています。

RPAの安定性と多彩な連携機能で、次世代のハイパーオートメーションへ

原田氏: 本日お話したロボット開発ツール「UiPath Studio」や「UiPath Unattended Robot」、クラウドで動作する「UiPath Automation Cloud」、AI-OCRと連携する「UiPath AI Center」や「UiPath Action Center」といったUiPathの製品群は全て連携して動作するように設計しています。

 UiPathのコア技術であるRPAの安定性、そしてAI-OCRをはじめとする連携ソリューションの広がり、自動化のメリットを広く安全に活用するための管理性や保守性を通じて、次世代の自動化ソリューションであるハイパーオートメーションの価値をパートナーの皆さまと共に、より多くのお客さまにお届けできればと考えています。本日はどうもありがとうございました。

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提供:UiPath株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年2月27日