キンドリルジャパンはなぜハイブリッドクラウド時代にHPEと組むのか攻めのITインフラ 「ありたい姿」をどう描くか

ベンダーニュートラルな立場からあるべきITインフラ像を追求したとき、一体どのような姿になるのか。キンドリルジャパンとHPEのキーパーソンに、今構築すべきITインフラ像と両社の協業について聞いた。

» 2022年05月09日 10時00分 公開
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 2021年に日本IBMのマネージド・インフラストラクチャー・サービス部門が独立して発足したキンドリルジャパン(以降、キンドリル)。IBMの製品/サービスを使ったITインフラを構築・運用してきた経験と実績を生かしつつ、独立後は特定のITベンダーにとらわれないニュートラルな立場からさまざまな製品/サービスを組み合わせてインフラソリューションを展開している。

 中でも注目を集めるのが、IBM時代は競合となることの多かったHewlett Packard Enterprise(以降、HPE)との協業だ。特に近年多くの企業が次世代のITインフラの主流として着目する「ハイブリッドクラウド」「マルチクラウド」の領域において、両社は急速に関係を深めている。

 そこで本稿では、キンドリルの専務執行役員兼チーフ・ストラテジー・オフィサーの工藤 晶氏と、HPEの日本法人である日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の常務執行役員 小川光由氏に、両社の協業の背景や将来の展望などを聞いた。

ITインフラはハイブリッドクラウドがもはや標準

──まずはキンドリル発足の背景について教えてください。

工藤氏 IBMのマネージド・インフラストラクチャー・サービス部門だった頃は、当然のことながらIBMのハードウェア製品を使ってITインフラを提供していました。しかし、クラウド時代になりハードウェアに依存しない利用形態が一般化するに従い、ハードウェアとサービスが互いに依存したままではお客さまのニーズに十分に応えられなくなりました。そこでハードウェアベンダーから分離して、特定のベンダーにとらわれずにお客さまのニーズに最適なハードウェア製品を選べる「真の意味でのサービスプロフェッショナルカンパニー」となるべく、IBMから独立することになりました。

キンドリル 工藤 晶氏 キンドリル 工藤 晶氏

──IBM時代から社会基盤を支える企業のミッションクリティカルシステムのITインフラ構築・運用を得意とされてきましたが、近年はそうしたシステム領域でもクラウドの利用が活発化しつつあります。

工藤氏 海外では基幹系システムなどミッションクリティカルな領域でも積極的にクラウドを採用するケースが増えています。ただ、日本は海外と比べてクラウドへの取り組みが遅く、二の足を踏む企業が多いという印象があります。

小川氏 HPEの海外のお客さまの動向を見ると、クラウド移行の流れは確かに加速しているものの、セキュリティや可用性、コストなどの観点からオンプレミスの需要も相変わらず手堅いですね。そのため、クラウドとオンプレミスが混在する「ハイブリッドクラウド」が今後のITインフラの主流を占めるだろうと考えています。

工藤氏 ハイブリッドクラウドや複数のクラウドサービスが混在するマルチクラウドの環境になると、ITインフラ構築・運用のために多様なスキルセットが必要になります。クラウドは気軽に使える分、システムが乱立して環境が複雑になり、管理も煩雑になりがちです。そこでキンドリルにITインフラの構築・運用を任せていただければ、お客さまは限られた人的リソースを戦略立案やサービス開発といった、より付加価値の高い業務に多く投入できるようになります。

ハイブリッドクラウド時代にマッチした新たなas a Serviceモデル「HPE GreenLake」

小川氏 ちなみにHPEはオンプレミスとクラウドが適材適所で混在する環境を「ライトミックス」と呼んでいます。こうした環境をより効率的に構築・運用できるよう「HPE GreenLake」というソリューションを用意しています。これはハードウェア製品のみならず、必要なソフトウェアやサービスを含んだ上で、クラウドサービスと同じく伸縮性に応じた課金をサブスクリプションモデルで提供するものです。

HPE 小川光由氏 HPE 小川光由氏

工藤氏 HPE GreenLakeでオンプレミス環境を構築・運用することで、クラウドのように伸縮性に応じた課金が可能になり、コストを抑えつつ拡張性にも優れたITインフラをオンプレミスで実現できます。ちなみにキンドリルのCTO(最高技術責任者)も、HPE GreenLakeのこうした特徴を絶賛しています。

小川氏 ありがとうございます。必要な分からスタートすればいいので、当面不要なリソースを最初からそろえる必要はなく、コストを抑えたスモールスタートがやりやすくなります。後になってリソースを増強する必要が出てきても、同じ契約の中で対応できるため面倒な稟議(りんぎ)手続きは不要になったり簡素化されたりします。多くのお客さまから、契約面におけるメリットを高く評価いただいています。

工藤氏 ハイブリッドクラウドにおける構築・運用スキルの多様化という課題に対しても、HPE GreenLakeはオンプレミス環境とクラウド環境を一元的に管理できるツールを提供していますから、キンドリルの技術者がこうしたツールをうまく活用することでお客さまのハイブリッドクラウド、マルチクラウド環境をより効率的に管理できるようになります。

小川氏 HPE GreenLakeは「HPE GreenLake Central」と呼ぶ、オンプレミスとクラウド、あるいは複数の異なるクラウド環境を一元的に管理する管理コンソールサービスを無償で提供しています。また「HPE InfoSight」と呼ぶツールを使えば、さまざまな製品/サービスから収集したログをAI(人工知能)で分析して自律型の高度な運用を実現できます。ハイブリッドクラウドの運用を強力に支援するツールを用意している点もHPEの強みだと自負しています。

HPEとキンドリルの協業で実現するハイブリッドクラウド環境の提供イメージ(出典:HPE、キンドリル共同作成資料) HPEとキンドリルの協業で実現するハイブリッドクラウド環境の提供イメージ(出典:HPE、キンドリル共同作成資料)

キンドリルの高度な専門人材とHPE GreenLakeの組み合わせが生む相乗効果

──両社は具体的にどのような役割分担で協業されているのでしょうか。

小川氏 HPE GreenLakeを通じてさまざまなソリューションを提供していますが、実際にお客さまのインフラを運用する場面では私たちだけではカバーし切れない部分が出てきます。ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの構築・運用には多様なスキルセットが要求されますから、一社で全てを賄うのは困難です。その点キンドリルさんはインフラのマネージド・インフラストラクチャー・サービスに関してトップクラスの実績と知見をお持ちですから、運用の部分を補っていただくことで価値の高いハイブリッドクラウドソリューションをお届けできると考えています。

工藤氏 キンドリルにはコンサルタントやアーキテクトなど高度な専門人材が数多く在籍しており、特にアーキテクトに関しては国内屈指です。個々のスキルレベルも非常に高く、クラウドベンダー各社さんからも「キンドリルのアーキテクトはスキルが高く、仕事も速い」と高く評価していただいています。そういった人材がHPE GreenLakeのソリューションをうまく使いこなすことで、より効率的にハイブリッドクラウド環境を運用できるソリューションを実現できます。

小川氏 実は「HPE Pointnext Services」というITインフラのコンサル、構築、運用、保守のサービスを提供しており、国内だけで1500人ほどの要員がいます。また「HP-UX」や無停止型サーバの「HPE NonStop」「HPE Superdome Flex」など高可用性・ビジネス継続性を追求した製品で長年インフラを提供しており、ミッションクリティカル領域における経験値やスキル、ノウハウも豊富に有しています。これがあることによって、同等のバックグラウンドをお持ちのキンドリルさんとの協業においてお互いに話が通じやすくなり、より密接な連携が可能になっています。

工藤氏 ここはとても重要なポイントですね。お互いのビジネスモデルに重なっている部分が何もないと意思疎通がなかなかうまくいきませんから。その点HPEさんと私たちの間には「のりしろ」があるので、互いの連携がとてもスムーズに運んでいるのだと思います。

HPEとキンドリルの協業領域はミッションクリティカルシステムからエッジ―クラウドまで広範にわたる(出典:HPE、キンドリル共同作成) HPEとキンドリルの協業領域はミッションクリティカルシステムからエッジ―クラウドまで広範にわたる(出典:HPE、キンドリル共同作成)

既に国内でも「キンドリル×HPE GreenLake」のソリューション事例あり

──こうした両社の協業ソリューションは、どの程度の実績があるのでしょうか。

小川氏 詳細は公表できないのですが、既に日本国内の複数のお客さまにキンドリルさんとの協業を通じてHPE GreenLakeを採用いただいています。引き合いも多く頂いています。HPEとキンドリルさんが取り組む技術/ソリューション領域はかなり重なっていますから、技術面での連携やソリューション面での協業はとてもスムーズに進められますし、お互いの既存ユーザーに対してソリューションを共同提案するなどビジネス面でのシナジー効果も生まれています。

HPE本社オフィスで HPE本社オフィスで

──今後さらに新たな領域で協業する計画はありますか。

小川氏 これからは「ゼロエミッション」「脱炭素」といった環境面に配慮した取り組みもインフラベンダーとして強く意識する必要があると考えています。社会貢献という観点からも、現在こうした取り組みに力を入れているところです。HPEは利用後のIT製品の残存価値を最大限有効利用するためのアセットアップサイクリングサービスも提供しており、2020年にHPEが世界で買い取った製品約300万ユニットのうち87%をリハビリして再販しました。故障などのために再販できなかった残り13%強は、ほぼ全てリサイクル致しました。このサービスを含むITライフサイクル全体を通じたサステナブルITにより、IT業界の循環型経済(サーキュラーエコノミー)の拡大に取り組んでいます。

工藤氏 私たちもお客さまと普段お話しする中で、サステナビリティーのトピックはよく話題に上りますね。キンドリルは長年のメインフレーム運用経験を通じてサーバルームの温度管理や電源管理のノウハウを豊富に蓄積しています。例えば、データセンターの温度を細かくコントロールして消費電力を20〜30%削減するソリューションを提供しています。

小川氏 そういう意味ではHPE GreenLakeの従量課金モデルも、余分なITリソースのオーバープロビジョニングを抑制して電力消費量を抑え、無駄のないサステナブルなIT運用を実現します。HPE GreenLakeを利用することで、TCOの30%削減に加え、30%のエネルギーコスト削減効果が実例で報告されています。今後はこうした分野でもキンドリルさんとの協業を通じて、お客さまにより高い価値を提供していければと考えています。

──ありがとうございました。

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提供:日本ヒューレット・パッカード合同会社(協力:キンドリルジャパン合同会社)
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年5月31日