Red HatとMicrosoftが本音で語る「挑戦し続ける開発現場を作るには」エグゼクティブ対談

企業のビジネスを下支えする開発部門が挑戦し続ける体制でなければ、新たな価値は生まれない。今の開発現場に足りないものは、一体何か。開発のエキスパートが語り合った。

» 2022年07月11日 10時00分 公開
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 ビジネスを取り巻く環境が著しく変化する中、開発現場にも俊敏性と即応性が求められている。開発サイクルの期間を短縮し、DevOpsを可能にする要素としてコンテナ技術が期待を集めている。

 「クラウドシフトが進む北米ではコンテナ技術の利用が浸透している。一方のアジア圏、特に日本は、北米と比較して2〜3年は遅れている」。こう語るのはレッドハットの三木雄平氏(エコシステムアライアンス統括本部 本部長)と日本マイクロソフトの平野和順氏(Azureアプリケーション開発技術営業 本部長)だ。両者は、日本の開発現場が突破すべき課題と具体策を本音で語り合った。

「挑戦」から逃げる日本の開発部門、なぜそうなった?

──グローバルから見て、日本企業における開発部門の課題はどこにあると思われますか。

三木氏: このところ、北米で当社のコンテナ管理プラットフォーム「Red Hat OpenShift」の利用が爆発的に進んでいます。これは、グローバルで“クラウドファースト”が進んでいるためだと考えています。一方、日本を含むアジア圏ではまだそのような状況にはありません。グローバル化が進む中で、ライバルとなるグローバル企業が現在のビジネスニーズにマッチしたクラウドをうまく活用しているにもかかわらず、日本企業がいまだクラウドのメリットを享受できていないといえます。

レッドハット 三木雄平氏

平野氏: コロナ禍の2年間でクラウドシフトした企業とそうでない企業の差が大きく開いたと感じます。オフィスに出社できない状況になってもクラウドサービスを適材適所で利用しながら開発を進めてきた企業は、ビジネスでもその結果が表れていると思います。

三木氏: ビジネスにおけるITのポジションも大きく変わりましたよね。今までは、「人の業務を手助けするためのIT」という考え方でした。人が主で、ITが従という位置付けでしたが、今はビジネスを進めているのはITで、判断をするのは人という認識になりつつあります。また、ITのビジネスに対する責任の重さも変わってきました。開発現場でこの点を実感できているかどうかは大きいと思います。

平野氏: これはよく言われていることですが、日本企業は開発をパートナー企業任せにしすぎているという問題があります。成果に対する責任はベンダーが負い、ユーザー企業は「自分たちが責任を持つ」という意識が薄いのです。発注企業は“やらせる”立場で、パートナー企業は“やらされる”立場という関係になるため、ユーザー企業の開発現場から新たな発想が生まれないのです。こうした意識を改め、自分たちで開発体制を構築することで「作って試す、失敗なら作り直す」というアジャイル的な発想が生まれやすくなります。成果物に対する責任意識も生まれるでしょう。

三木氏: 自分たちで責任を持って判断できる開発現場をつくることは、日本企業が目指すべき「To-Be」でしょうね。

──では、どうマインドシフトすればいいのでしょうか。

三木氏: 企業のトップや開発現場の方々には、気軽に「挑戦」していただきたいですね。気軽に挑戦する、つまり初期投資を抑えて、スピーディーにアジャイル開発の環境とセキュアなアプリケーション実行のプラットフォームを手にしていただくために、当社はMicrosoftさんと手を組み、フルマネージドサービス「Azure Red Hat OpenShift」を提供しているのです。

平野氏: 私も同感です。まずは自分たちの力で最初の一歩を踏み出して、難しいとなれば引き返せばいいのです。

なぜRed HatとMicrosoftの協業が実現できたのか?

──Red HatとMicrosoftが協業するという図式はひと昔前では想像もつかなかったことですが、その経緯をお聞かせください。

三木氏: 2015年にパートナー契約を結んだことがきっかけです。私たちにとってもビッグニュースでした。そこから、急速に距離が縮まりましたね。

 米国で開催するRed Hatの年次カンファレンス「Red Hat Summit」にMicrosoftの経営層の方が来て下さいました。2019年には同社CEOのサティア・ナデラ氏もお越しになりました。私はそのことを事前に知らされていなかったので、とても興奮したことを覚えています。

平野氏: サティア・ナデラはオープンソースが大好きなのです。彼がMicrosoftのCEOになってから、社内の意識が大きく変わりました。Red Hatさんとパートナー契約を結ぶという判断も、彼がトップになったからこそできたことです。

日本マイクロソフト 平野和順氏

──Azureを基盤としたマネージドサービス「Azure Red Hat OpenShift」の提供はどのような経緯で決まったのでしょうか。

平野氏: Microsoftからのオファーです。Azure Red Hat OpenShiftを提供する以前からRed Hatさんとの協業は進んでいました。2015年のパートナー契約を契機に、協業が初めて形になったのが「Red Hat Enterprise Linux」(以下、RHEL)をAzureでサポートした「Red Hat on Azure」です。お客さまにより快適にAzureを使っていただくためには、RHELは欠かせない構成要素でした。それが足掛かりとなって、2019年にAzure Red Hat OpenShiftの提供に至りました。

──協業と同時に、Red Hatは独自の取り組みとしてOpenShiftをベースにしたオープン・ハイブリッドクラウド戦略を進めてこられましたよね。

三木氏: そうですね。オープン・ハイブリッドクラウド戦略というのは、アプリケーション開発をオンプレミスとクラウドで分けて考えるのではなく、Red Hat OpenShiftをベースにそれぞれを同じ考え方で開発しましょうというグローバルメッセージです。そうすることで、ビジネス変革に必要なスピードと安定性、柔軟性が得られると考えたのです。

 Azureのようなハイバースケールのパブリッククラウド環境でRed Hat OpenShiftがマネージドサービスとして利用できる「Azure Red Hat OpenShift」は当社の戦略の鍵を握っています。

「挑戦」できる開発現場に変えるAzure Red Hat OpenShiftの真価とは

──Azure Red Hat OpenShiftが開発現場に提供できる価値とは一体何でしょうか。

三木氏: 「アジリティ」だと思います。Azure Red Hat OpenShiftは、RHELからコンテナ管理ツールまで、開発と運用に必要な全てをバンドルした統合プラットフォームです。これをマネージドサービスとして提供することで、お客さまは新たな創造にフォーカスできます。IT人材不足が叫ばれている今日、貴重な人材をインフラに集中させるよりも、アプリケーションレイヤーで力を発揮してもらうことが得策だと考えています。インフラの構築や運用は、Azure Red Hat OpenShiftを通じて当社とMicrosoftのSREエンジニアにお任せください。

平野氏: Azure Red Hat OpenShiftがRed Hat on Azureと異なる点は、Microsoftがフロントに立って責任を持つMicrosoftブランドのサービスだということです。これは、MicrosoftのマネージドサービスにRed Hat OpenShiftを採用したということです。決して「on Azure」ではないのです。

 お客さまはRed Hatと個別に契約する必要はありませんし、別途支払いも生じません。Microsoftのファーストパーティー製品としてサポートも一元化されています。Azure Red Hat OpenShiftの価値は、お客さまが最初の一歩を簡単に踏み出せるようサポートすることで、新たなビジネスに“挑戦”しやすくなることだと考えています。

 サポートにおいても、MicrosoftとRed Hatのエンジニアが協働しています。「これはRed Hat側の問題です、私たちには関係ありません」と切り捨てるのではなく、何かあれば全てMicrosoftの問題として、当社がフロントに立って対処します。

図1 Azure Red Hat OpenShiftとは(出典:レッドハット提供資料)

──Azure Red Hat OpenShiftは、まさにRed HatとMicrosoftが一体となって提供するサービスだということを実感します。

平野氏: まさにそうですね。個人的にAzure Red Hat OpenShiftはエンジニアのステップアップにも貢献できると考えています。コンテナ管理ツールやAPIなど開発に必要なものは全てAzure Red Hat OpenShiftに内包されているので、これらを扱ううちにエンジニアも自然と成長できます。

三木氏: エンジニアの成長が、結果的にはアプリケーションの品質向上にもつながる、ということですね。

──最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

平野氏: Azure Red Hat OpenShiftは、DevOpsのプロセスからアプリケーション運用までを包括してサポートできるプラットフォームだと自負しています。今後、構成管理ツール「Ansible」のマネージドサービスも提供する予定です。Azure Red Hat OpenShift環境の自動化が促進されれば、アプリケーション開発はますます迅速化し、運用管理の効率化も進みます。うまく活用いただき、エンジニアの方には幸せになっていただきたいですね。それが、われわれの仕事だと考えています。

図2 Red HatがOpenShiftを推奨する理由(出典:レッドハット提供資料)

三木氏: 開発に必要なツールやサービスをワンストップで提供するAzure Red Hat OpenShiftは、開発現場に俊敏性を与えるサービスとして今後も改善を続け、お客さまにさらなる価値を提供できるよう努めたいと考えています。

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提供:レッドハット株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年7月25日