中堅・中小企業のSAP製品導入を阻む“3つの壁” どうクリアすべきか?2カ月以上の工期短縮に成功した導入事例に学ぶ

全社的なデジタル変革の基盤や海外拠点も含めた経営ガバナンス強化の基盤として、SAP ERPに魅力を感じる経営者は多い。「大企業向け」のイメージが強い同製品は中堅・中小企業にとって高根の花なのだろうか。導入に当たって越えるべき「3つの壁」を紹介する。

» 2022年09月02日 10時00分 公開
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 今やERPは大企業だけのものではない。事業に関する情報を一元的に扱いながら経営資源の最適配分や迅速な意思決定を支援するERPは、DX(デジタルトランスフォーメーション)にまい進する企業にとって不可欠な経営基盤だ。

 昨今、グローバルに事業を展開する製造業の中堅・中小企業は多い。海外拠点も含めたグループ全体の経営ガバナンスを強化する目的でERPの導入や刷新を検討する企業も増えている。ビジネス環境の変化が激しい今日、将来的な事業の多角化などに迅速に対応できる経営基盤として、売り上げや生産、在庫、キャッシュフローなどの状況をリアルタイムに把握できるERPを使いたいと考える経営者も多いはずだ。

 これらの要求に応えるERPとして広く支持されているのが「SAP ERP」だ。近年は「SAP S/4HANA Cloud」が登場し、魅力的な選択肢となっている。

 だが、ここで新たな悩みが浮上する。SAP製品を導入したい中堅・中小企業の前に立ちはだかるのがカネ・ヒト・ノウハウという3つの壁だ。

中堅・中小企業のSAP製品導入を阻む“カネ・ヒト・ノウハウの壁”

 カネの問題とは、すなわちコストだ。一般的に、中堅・中小企業がERPの導入や運用に回せる予算は大企業ほど多くなく、導入後はより高いROI(投資対効果)も求められる。

 ヒトの問題とは人材である。中堅・中小企業では、改革のためのキーパーソンを専任担当者として据える余裕はないだろう。あるいは、SAP製品導入を機に業務改革やDXを進めたくても、そもそもプロジェクトをけん引できる人材がいない企業も多いのではないか。

 ノウハウの問題も深刻だ。ビジネスの根幹を支えるERPの導入に際しては、事業の将来像(To-Be)を明確にし、現状(As-Is)からTo-Beに向けた課題を整理する必要がある。その課題を解消する仕組みをERPに組み込むに当たって、中堅・中小企業では経営層にも情報システム部門にもノウハウがなく、どのように検討したらよいか分からないというケースもある。

 「3つの壁をどう乗り越えるか、自社単独で難しい場合は誰と乗り越えるか?」──これこそが、中堅・中小企業がSAP製品の導入を考える際にまず決めるべきことだ。

独自ノウハウを生かした“フィット・ツー・スタンダード”で適正価格を実現

 これら3つの壁を乗り越えるための解決策を携え、日本全国で中堅・中小企業のSAP製品活用を支援しているのが日立システムズだ。

日立システムズの石橋 政一郎氏 日立システムズの石橋 政一郎氏

 同社は20年以上にわたり製造業や商社、ITサービス業をはじめとする各業界の中堅・中小企業にSAPソリューションを提供してきた。その経験と、自らもSAP製品を活用する中で蓄えた技術力や知見を基に、カネ・ヒト・ノウハウの壁を越えるための計画策定から導入、マイグレーション、保守運用まで同社ならではのサービスを展開している。

 まず、カネの問題を解決するのが「適正価格での提供」だ。それを可能にするのは「余計なものを作らないこと」だと日立システムズの石橋 政一郎氏(産業・流通情報サービス事業部 第一システム本部 主管)は説明する。

 「フィット&ギャップで現状業務(As-Is)に合わせてSAP製品を導入しようとすれば、作り込みが必要となりコストが膨らみます。そこで当社は、SAP製品の標準機能や当社が開発した独自のテンプレートに極力業務を合わせて導入する“フィット・ツー・スタンダード”のアプローチを採用し、コストを適正に抑えます」

テンプレートと周辺システムでコストの適正化を実現(出典:日立システムズ提供資料) テンプレートと周辺システムでコストの適正化を実現(出典:日立システムズ提供資料)

 日立システムズが開発した独自テンプレートは業種に特化しており、「製造業」「商社」「会計」の3つがある。サービス業には日立システムズが自社で導入したノウハウを基に提案する。これらを実機で動かして業務で活用できるかどうかを確認しながらプロジェクトを進めることによって、早い段階で新たなシステムでの業務イメージをつかみ、仕様策定をスムーズに進められる。

 「これらのテンプレートは、現場DXの要となるタブレットの活用もサポートしています。倉庫や工場で働く従業員がタブレットでSAP製品のデータを可視化し、リアルタイムで入出庫管理をしたり、営業員が外出先からタブレットで実績の確認ができるようしています」(石橋氏)

 これにSAP製品の導入効果を最大限に高めるための周辺ソリューションもセットで提案し、ROIを最大化する(後述)。これらのソリューションとの連携機能もテンプレート化されているため、この部分のコストも最小限に抑えられる。

構想策定から支援し、現場も巻き込んだ無理のないスケジュールで推進

 ヒトの問題を解決するのが、日立システムズの豊富な実績と人材を生かした導入・活用支援だ。

 同社は日立グループへの導入からSAPソリューション事業を開始し、グループ内外600以上のプロジェクトの実績がある。その経験を生かしたグループ外の中堅・中小向企業向けのライセンス(サブスクリプション)販売実績は2019〜2022年の4年連続で国内トップ級の成績を収めており、SAP社主催のアワードを多数受賞している。

 人材育成にも注力している。現在は日立システムズだけで300人以上、エコシステム全体では500人以上のSAPエキスパートを抱えている。かつてSAP製品を第三者保守に移行した企業が、「SAP S/4HANA」など最新のSAP製品環境にアップグレードするために同社を頼るケースもあるという。

 日立システムズはこれらの実績と人材を生かし、「検討の進め方が分からない」という企業を対象に「構想策定サービス」を提供している。

 「当社のコンサルタントがヒアリングした顧客の業務内容を基に、発生し得る課題を抽出します。『SAPソリューションを導入することでどのように課題が解消され、お客さまの経営や業務改革にどう寄与するのか、それを実現するシステム構成や導入スケジュール、コスト規模はどれくらいか』といった構想作りを支援します」(石橋氏)

 同社は、検討段階からBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツールなどで業務プロセスを可視化する。既存業務の問題点を具体的に洗い出し、それを解消したTo-Beを策定するサービスも提供している。

 「プロジェクトを推進する人材が不足している」問題については、現場の業務負荷や人的リソースを考慮したスケジュールで対応している。いきなり要件定義から始めるのではなく、「計画/準備」フェーズからスタートする。まずお客さまにSAPを理解いただくセッションを設け、当社はお客さまの業務をより深く知るためのセッションを行い、相互理解を深めたうえで、お互いにどのような作業をいつ行うのかを把握し、業務負荷などを考慮したスケジュールや役割分担を決定します。

 「顧客が抱える本来の業務の負荷も考慮して、無理のないスケジュールを策定して導入を進めます。これによって情報システム部門だけでなくユーザー部門も巻き込んだ三位一体のプロジェクト推進が可能になります」(石橋氏)

DXを広範に展開するための周辺ソリューションとノウハウも提供

 日立システムズならではのノウハウとは何か。同社の小野寺 和則氏(産業・流通営業統括本部 第六営業本部 担当本部長)は、前述のSAP製品導入支援に加えて「SAPソリューションを軸に社内に広くDXを展開するためのソリューションやノウハウを提供している点です」と説明する。

日立システムズの小野寺 和則氏 日立システムズの小野寺 和則氏

 「さまざまな業務データを一元管理するSAP製品は、DX推進における中核的な基盤となります。これを補う周辺ソリューションを提供し、SAP製品の導入効果を最大限に高めるノウハウを有することも当社の強みだと自負しています」(小野寺氏)

 同社がSAP製品を導入する企業に活用を勧める周辺ソリューションが、リアルタイムデータ活用サービス「SAP Analytics Cloud」だ。SAP ERPの最新版であるSAP S/4HANAは高速なインメモリデータベースを利用し、別途データウェアハウスを用意することなくSAP製品内のデータをリアルタイムに可視化する。

 「この特徴を生かして、売上高や目標達成率など業績に関する情報を日次・月次で可視化して経営者や管理者にレポーティングするためのテンプレートを用意しています。海外拠点や子会社のデータも可視化してガバナンス強化をはかるため、グローバル拠点を持つお客さまが興味を持つことも多いですね」(小野寺氏)

SAP Analytics Cloudのダッシュボードイメージ(出典:日立システムズ提供資料) SAP Analytics Cloudのダッシュボードイメージ(出典:日立システムズ提供資料)

 商社向けの周辺ソリューションとしては、SAP製品と連携した受注サイトや購買サイトをスピーディーに構築できる「Web受注」や「Web購買」のテンプレート、EDI(Electronic Data Interchange)サービス「REDISuite」(レディスイート)などを提供する。

 製造業向けには、OT(Operational Technology)領域まで踏み込んだ周辺ソリューションを幅広く提供する。中堅・中小企業で広く使われているMES(製造実行システム)の「実績班長」や生産スケジューラーの他、設備管理・予知保全やデジタル資材管理、点検・日報デジタル化、AI画像検査といったスマートファクトリーソリューションを取りそろえ、SAP製品と組み合わせた活用構想の策定から導入、運用まで日立システムズがワンストップで支援する。

 「あるお客さまに、『製造業向けにSAP製品などIT領域からOT領域までワンストップで対応できるベンダーは日立システムズだけだ』と評価していただきました。当社ならではの価値として、より多くのお客さまに届けたいと考えています」(小野寺氏)

SAP製品を核にOT領域まで幅広くDXソリューションを提供できるのも日立システムズの強みだ(出典:日立システムズ提供資料) SAP製品を核にOT領域まで幅広くDXソリューションを提供できるのも日立システムズの強みだ(出典:日立システムズ提供資料)

 日立システムズはデジタルを活用して製造や流通などの業務を変革するためのビジョンを顧客と共有し、具体化に向けた構想を練るためのショールームとして「DX Smart Lounge Osaka」を開設した。

小木曽工業は生産管理システムをSAP製品で刷新 わずか10カ月でスピード導入

 このような特徴を備える日立システムズのSAPソリューションを活用し、短期間でSAP製品導入を果たしたのが小木曽工業だ。

 みがき棒鋼の製造で国内トップクラスのシェアを誇る同社は、老朽化した生産管理システムをSAP製品でリプレースすると決断した

 同社はベンダー数社を比較検討した末、導入コストをはじめ最も現実的なSAP製品導入・運用を提案した日立システムズを選定した。日立システムズの提案に従ってフィット・ツー・スタンダードのアプローチで臨んだ小木曽工業は、通常は1年以上かかる工期を10カ月に短縮し、導入コストの削減を実現した。

 SAP製品の導入によって工場ごとに異なるマスターの統合を果たした同社は、属人的な業務プロセスの標準化を推進する他、SAP製品導入を機にMRP(資材所要量計画)も開始した。生産業務の改善によって一部製品で不安定だった納期達成率が大きく向上した。

 石橋氏は「SAPソリューションは大企業のためだけのものではありません。多くの中堅・中小企業さまに採用いただいております。是非当社にご相談ください」と語った。

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提供:株式会社日立システムズ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年9月21日