「いつでも、どこでも、どんな仕事でも」を実現する仮想GPUを用いたこれからの作業環境GPUやPCのスペック不足で「ハイブリッドワーク」を諦めない

Windows 10以降では、一般的なユーザーが利用する業務環境のPCでも標準的にグラフィックスのGPU使用率が高まり、GPU性能が業務生産性を左右する重要な要素の一つとなった。会社内や会社拠点、現場や研究室、外出先や自宅など、どこでも働ける働き方「ハイブリッドワーク」でPCのスペック(CPU、メモリ、ディスク、GPUなど)に依存することなく、快適な業務環境を実現する方法はあるのか。

» 2022年09月05日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

 多くの企業がハイブリッドワークなどの新たな働き方を採用する中で、課題となるのが業務用PCの性能だ。リモートで働く機会が増えてデジタルデータの活用や動画、Saas(Software as a Service)などのクラウドサービスの導入、会議のオンライン化が急速に進んだ。そこで利用するアプリケーションもGPUの使用率が高いものが多く、CPUに加えてGPUの性能も従業員の業務生産性を左右する重要な要素の一つとなった。

 また、業務やプロジェクトをかけ持つ場合、PCやワークステーションを使い分けるため、常に複数の端末を持ち歩くのは負荷が大きい。高性能PCなどのワークステーションは固定の席でしか使用できないといった課題も目立つ。

 そこでグラフィックスカードで知られるエヌビディアが推進しているのが「DX推進仮想基盤」だ。同社はこれを「今後の働き方で生産性向上に寄与するデジタルワークスペースの実現に不可欠なものだ」と説明する。

「GPUが重要なのは特定の企業だけ」という誤解

 エヌビディアの後藤 祐一郎氏(エンタープライズ事業本部 vGPUビジネス開発マネージャー)は「テレワークを採用する多くの企業はVDI(仮想デスクトップ基盤)を用意し、従業員は社内ネットワーク経由、もしくは自宅や外出先からVPN経由で接続しています。しかし、接続先の仮想デスクトップにGPUが具備しておらず、CPUがGPUの処理を肩代わりすることでCPUが高負荷となってしまうことが理由で全体的にパフォーマンスや体感が劣化する場合があります」と言う。

 後藤氏は、多くの業界で起こるGPUスペック不足の現状について以下のように続けた。

 「こうしたグラフィックスパワーに関する不満の声は製造業や建築業、メディア&エンターテインメント業界や医療業界、インフラやエネルギー業界だけでなく、近ごろは教育機関や自治体、金融業界など多様な業種からも聞こえてきます。グラフィックスパワーを必要とするデジタル設計開発や映像制作、AI(人工知能)や計算パワーを必要とする解析や研究などの特定業務の専門ソフトウェアだけでなく、オンライン会議ツールやWebブラウザ、動画やオフィスソフトの利用など、多岐にわたります」(後藤氏)

 また、業務でCADやCAE(Computer Aided Engineering)、BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)、デザインやレンダリングなどのDCC(Digital Content Creation)ツールを使う企業からは「テレワークを諦めていた」といった声が多く聞かれるという。こうした背景から、後藤氏は「グラフィックスパワーを柔軟に割り当て可能な、セキュアなバーチャルワークスペースが求められています」と主張する。

 「会社から貸与されるPCでは、各種性能やディスクサイズ、拡張性など、限界が出てきており、ノートPCのスペックに依存しない作業環境が必要な時代になってきました。しかし、場所を選ばずにどこでも作業するために複数台のPCやワークステーションを持ち運ぶのは大変です。そのため、情報システム部から貸与される軽量な一般業務用のノートPC1台だけで済むような作業環境が求められます」(後藤氏)

 これまでPCのスペックはコンピュータ全体の処理を担当するCPUを基に計られることが多かった。しかし昨今は、CPUにプラスして、グラフィックスと計算処理を担当するGPUを加味してスペックを計ることの重要性が高まっている。後藤氏は「CPUは多くても数十コアですが、GPUは数千から数万コアのものがあります。大量の処理を一斉に瞬時に実行できるGPUに注目が集まっています」とコメントする。

 グラフィックスパワーを必要とするのは特定業務を担当する一部の従業員に限られるように思えるが、後藤氏は「GPU性能を必要とするのは一般業務でも同じです」と言う。

 「『Windows 10』や『Windows 11』はOS層でGPUを多用します。作業効率を向上させるため複数ディスプレイを組み合わせるマルチディスプレイでも描画に多くのグラフィックスパワーが必要です。また、ネットワーク帯域ばかりに注目が集まるWeb会議ツールでもGPU性能が応答性を左右します。Lakeside Softwareが2020年10月に発表した調査結果によると、2020年におけるオフィスツールのGPU使用時間は2015年の2倍に増加、99%以上の作業時間でGPUが使用されているデータがあります」(後藤氏)

 こうした理由から、テレワーク時代にはCPUとGPU共に相応のスペックが求められる。しかし、従業員全てにGPU性能が高いPCを貸与するのはコストの増大に直結するため、パフォーマンスが良く、コスト効率が良い「利用PCのスペックに依存しない作業環境」を実現する解決策が必要だ。そこでエヌビディアが提唱するのがDX推進仮想基盤だ。

物理PCであたり前に搭載されているGPUは、仮想環境でも当たり前に搭載する時代になっている(出典:エヌビディア提供資料)

利用PCのスペックに依存しない作業環境を必要とする時代に求められる「vGPU」

 同社はデータセンターで高性能なGPUのメモリを分割し、「仮想GPU」として複数台の仮想マシンで高いコア性能を共有して効率的に利用が可能な独自技術「NVIDIA vGPU」(以下、vGPU)を開発した。その歴史は10年以上を数える。vGPUをVDIと組合わせて利用することで、今まで実現することができなかった、テレワークのパフォーマンス改善やハイブリッドワーク、そして戦略的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を可能にすることがDX推進仮想基盤の主な目的だ。

 GPUを載せた物理サーバに仮想化のためにインストールされたハイパーバイザーに対して、さらに「NVIDIA vGPU Manager」をインストールすることによって、仮想マシンに仮想GPU(vGPU)を割り当てられるようになり、「vGPU-VDI」を構築できる。後藤氏はvGPU-VDIの利点として「物理的なGPUを仮想GPUにすることで複数台の仮想マシン(VM)にグラフィックスや計算のパワーを割り当てることが可能になり、効率的に従業員の生産性向上が図れます」と説明する。

vGPUを仮想環境に付加することで多様な働き方が可能に(出典:エヌビディア提供資料)

 一般業務用途のvGPU-VDIはvGPUリソースを1〜2GBずつ、プロフェッショナル用途は1〜48GBずつに分割できる。1つの物理GPUに対して1種類のvGPUプロファイル設定、分割ができる。3000VMの場合、CPUのみではVDIサーバ1台で70VMの集約でVDIサーバ43台必要だが、NVIDIAのサーバ向けGPU「NVIDIA A16」を2枚搭載すればVDIサーバ1台で128VMの集約でVDIサーバ24台と大幅に台数を削減できる。

 vGPU-VDIでは仮想マシン1台辺りCPU負荷を約10〜60%削減し、動画の滑らかさを表すフレームレートも5〜25fps向上させる。画面表示や操作もよりスムーズになり、従業員が利用するPCの性能を問わず全てをサーバ側リソースで実施することで、データを外に出さずに大規模なデータ活用も可能になり、セキュアで効率的な作業環境を実現できる。

 このようにVDIのパフォーマンス改善と性能向上、仮想マシンの集約率アップを同時に実現するvGPUは、エヌビディアのパートナー企業が算出した結果によれば5年間で約1億円のコスト削減につながるという。

 後藤氏は「vGPU-VDIは、リモートの共有仮想デスクトップ環境として、スタンダード、ミドルレンジ、ハイレンジなどのスペックを用意することもできるため、ユーザーが業務によって接続先を変更してリモートの仮想デスクトップを使い分けるのに適しています。仮想マシンなので、導入後もCPUやメモリ、ディスク、GPUなどの性能変更も可能で、3台同時に使うことも可能です。利用していたユーザーがログオフすれば、別のユーザーが接続して仮想マシンが利用可能になります。会社から貸与されている1台のノートPCから作業や業務内容に応じて必要なリモート作業環境を柔軟に使い分けられます」と語る。

 見落としがちなのがファイルアクセスの高速化だ。vGPU-VDIはデータセンターに設置したファイルサーバやレンダリングサーバ、設計・開発系サーバとデータセンターのネットワーク内でファイルアクセスを完結できる。また、ハイブリッドワークのPC管理における利点もあり、システム管理者がユーザーにひもづけたvGPU-VDI環境を公開するだけで、組織変更やプロジェクト変更、保守や複数の作業環境準備などの際にノートPCをIT部門が直接設定する必要がなくなり、ユーザーの再ログインのみで新しいリモート作業環境を反映できる。後藤氏は「PCの新規調達や設定準備に時間がかかり、対面のPC管理や保守がしづらくなった今、これこそがハイブリッドワークに適したシステム環境です」と強調する。

 vGPU-VDIの利用は専門領域にとどまらず、大きく広がりつつある。後藤氏によれば、議会中継の視聴が必要な自治体や、eラーニングで動画を視聴する企業・教育機関による利用も増えているという。オフィススイートやオンライン会議ツールのパフォーマンス改善や性能向上を目的とした導入事例では、岐阜県庁や名古屋市、NTTデータやハーゲンダッツジャパンなどの企業が並ぶ。プロフェッショナル用途ではトヨタ自動車や日立製作所といった製造業だけでなく、東京工業大学や工学院大学でも活用されているという。ゲーム開発やアニメーション作成、映像制作をするメディア&エンターテインメント業界、エックス線画像を遠隔読影する医療業界にも利用が拡大しているようだ。

 「VDIのパフォーマンスの改善というと『CPU性能の向上やVDIサーバを追加して1サーバ辺りの仮想マシンの集約率を下げるしかない』と考えがちで、グラフィックスパワーを出す上で基本的に必要になるGPUの性能にはあまり目を向けられていませんでした。お客さまに対して具体的にメリットを説明することでGPUの必要性を再認識いただき、vGPUを導入するケースが増えています。当社でもさらなる情報発信に努めたいと考えています」と利用の拡大背景を語った。

 さらに産業用メタバースの文脈でもニーズが増加中だという。デジタルツインによる産業シミュレーションを目的としたコラボレーションやシミュレーションプラットフォーム「NVIDIA Omniverse(オムニバース)」やAIプラットフォームの統合「NVIDIA AI Enterprise」への問い合わせも増えている。ワークステーションやノートPCに高性能GPUを搭載するのではなく、サーバにGPUを積みvGPU-VDIでさまざまなスペックのリモート作業環境を使い分けて利用することは今後も加速するだろう。

 エヌビディアは2022年9月19〜22日にグローバルで開催するオンラインカンファレンス「GTC 2022 Fall」を予定している。AIやメタバース、仮想化やグラフィックス、ロボットなど多岐にわたる。本稿を機にエヌビディアの取り組みに関心を持った方は視聴してみてはいかがだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:エヌビディア合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年9月21日