ハイパーオートメーションに必要な「データの民主化」を実現する技術とはサイロ化したデータを集約して適切に活用

RPA(Robotic Process Automation)で各部門の業務を個別に自動化した結果、データがサイロ化して部門横断的な自動化を阻害するケースがある。この解決策となるのがサイロ化したデータの集約と適切な活用だ。

» 2022年12月06日 10時00分 公開
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 DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の機運が高まり、人間の意思決定を含めた一連の業務をAI(人工知能)などで自動化する企業が増えている。機械が最適な意思決定を行うためにはデータが統合されている必要があるが、SaaS(Software as a Service)が普及したことでデータがサイロ化し、それらがひも付く業務プロセスも複雑化している。これによってハイパーオートメーションにまで踏み込めない企業は多い。

 解決の鍵となるのが、エンジニアと事業部門が協力して社内のデータ整備と活用に向き合うアプローチだ。しかし、そのためには現状のエンジニアだけに“閉じた”データ連携の在り方を刷新する必要があるという。スリーシェイクの吉田拓真社長が「ITmedia DX Summit Vol.14 DIGITAL World 2022」に登壇し、「データ民主化から始めるハイパーオートメーションへの第一歩」と題してハイパーオートメーションの現状と実現のために何が必要かを解説した。

ハイパーオートメーションの実現を阻む「データのサイロ化」

 スリーシェイクはSRE(Site Reliability Engineering)コンサルティング事業やデータエンジニアリング事業などを手掛ける企業だ。吉田氏はハイパーオートメーションを「単一業務だけでなく人間の意思決定を含めた一連の業務をAIなどによって自動化し、より高度なオートメーションを実現すること」と定義する。

スリーシェイクの吉田氏 スリーシェイクの吉田氏

 「部門横断的な自動化を前提としたハイパーオートメーションを単一のソリューションだけで実現することは不可能です。実現には、まずアナログ情報をデジタル化するデジタイゼーション、次に業務プロセスをデジタル化するデジタライゼーションを実施する必要があります」

 さらに吉田氏は、デジタイゼーションとデジタライゼーションについて次のように解説した。

 「デジタイゼーションは単一の業務プロセスをデジタル化することです。社内コミュニケーションに『Slack』や『Microsoft Teams』『Zoom』を使ったり、『Microsoft Excel』や『Google スプレッドシート』で行っていた顧客管理を『Salesforce』や『kintone』で実施したり、売り上げや商品の管理に『SAP ERP』や『freee会計』といったERP(Enterprise Resources Planning)や会計システムを使用したりすることを指します。また、デジタライゼーションは業務フロー全体をデジタル化することです。RPAやiPaaS(Integration Platform as a Service)による業務の自動化やBI(Business Intelligence)ツールによる業務プロセスの可視化、『Shopify』などを利用したサービスのデジタル化などがこれに該当します」

 ハイパーオートメーションは、デジタイゼーションとデジタライゼーションを経て初めて実現可能になる。しかし吉田氏によると、第二段階のデジタライゼーションで行き詰まり、先へ進めない企業も多く存在する。その背景には企業が業務フローをデジタル化する過程で多種多様なSaaSを導入し、データがサイロ化しているという現状がある。

 「AIによって最適な意思決定を行うには、多種多様なデータが一元管理されている必要があります。データがサイロ化している状態では、AIを導入しても精度の低い意思決定しかできません。デジタライゼーションをハイパーオートメーションにつなげるためには、業務フローをデジタル化した後にデータを単一のデータベースに集約する必要があります」

「データの民主化」には組織設計とデータ集約プロセスの可視化が必要

 データを集約するにはどうしたらよいのか。吉田氏は「データの整備や一元化にはさまざまな課題がある」と指摘する。業務を自動化する過程で新たなSaaSの契約が必要になったり契約先のSaaSのデータ構造が変化したり、自社のビジネスの状況によって商品自体や商品コード、販売価格が変わったりするなど業務に必要なデータは不確実性が高い。そのため、自社の状況に合わせて一度に整備するのは難しい。

 こうした課題を克服するためにスリーシェイクが提案しているのが、データを集約して整備する活動を「小規模かつ継続的に」実施する方法だ。

 データの継続的な改善はコミュニケーションコストや開発コストが高い点が課題だが、「データの民主化」(DataOps)がこの課題を解決する鍵となる。データの民主化とは、データエンジニアだけでなく企業のセールス部門やマーケティング部門、その他の事業部門が共同でデータの連携や可視化を行い、共通認識の下でプロセスを改善することを指す。データを細かく継続的に集約する作業を会社全体で実施することで、コストが下がるだけでなく会社全体でデータの整備と活用のPDCA(Plan Do Check Act cycle)を回すことが可能になる。

図1 データの民主化の全体像(出典:スリーシェイクの提供資料) 図1 データの民主化の全体像(出典:スリーシェイクの提供資料)

 吉田氏はこうしたデータの民主化を実現するためには、ワーキンググループ的な組織設計とデータを集約するプロセスの可視化が重要だと強調する。

 「データの民主化には、会社全体でデータに向き合うための組織設計が必要です。社内にエンジニアやデザイナー、営業担当者、マーケティング担当者、カスタマーサポート担当者、法務担当者、セキュリティ担当者、広報担当者で構成されるグループを作り、グループを支援する外部のデータサイエンティストを配置して、データ連携の在り方を継続的に改善します。データを集約するプロセスがブラックボックス化されていないことも重要です。どのようなデータがどのような形で連携しているのか、ノーコード で表現されている必要があります。その点でプログラムを書かずにデータを集約、加工、統合できるETL(Extract、Transform、Load)ツールが有用です」

 ノーコード型のETLツールを使うことで、非エンジニアでもデータの集約や加工、統合が可能になり、エンジニアに依存せずにデータに向き合う柔軟な体制を構築できると吉田氏は話した。

データの民主化を実現するクラウド型ETLサービス「Reckoner」

 柔軟なデータシステムの構築を可能にする手段として、クラウド型ETLサービス「Reckoner」がある。

図2 Reckonerの特徴(出典:スリーシェイクの提供資料) 図2 Reckonerの特徴(出典:スリーシェイクの提供資料)

 データを統合、加工して連携させるETLサービスは多くの国内外ベンダーが提供しているが、Reckonerは情報システムに明るくないユーザーでも操作できるUI(User Interface)、UX(User Experience)を追求していることで一線を画しているという。

 「Reckonerはバッチプログラム の作成といった煩雑な作業を必要とせず、ノーコードでデータ連携プロセスを開発できることが大きなメリットです。プログラミングの知識がない非エンジニアでも抵抗なく操作できます」

 直感的なUIによって情報システム部門やエンジニアだけでなく、さまざまなバックグラウンドを持つユーザーがデータの流れを見て議論できる。「複数のExcelやスプレッドシートに蓄積されている顧客データや、基幹システムに保存されている販売データを取得して加工し、Salesforceに入力する」といったデータ集約のプロセスを誰でも直感的に理解できるので、事業部門の担当者が「kintoneのデータも一緒にSalesforceに入力できないか」といった提案をすることが可能だ。これがデータの民主化につながると吉田氏は述べる。

 プレビュー機能があることも特筆すべき特徴だ。通常のデータ解析では、想定通りのデータが得られたかどうかを確認するためにデータ処理のステップをエンジニアが一つ一つ確認する作業が必要だ。Reckonerは画面に処理結果のプレビューを表示できるので、常に結果を確かめながら操作できる。

 データの連携先が豊富なこともReckonerを利用するメリットだ。SaaSや、Excelなどのアプリケーション、データベースなどのソフトウェアなどとのコネクターを用意しており、SNSやGoogle、Yahoo!などの広告の計測データを取り込むことも可能だ。今後は「Microsoft Dynamics 365」といったエンタープライズ向けのサービスとの連携を強化する予定だという。

 Reckonerは、セキュアなデータ連携基盤を用意していること、柔軟な料金体系を展開していることも特徴だという。

 「Reckonerはフルマネージドのサービスで、ETL基盤を別に準備する必要がありません。当社のセキュリティエンジニアが監視するセキュアな環境下でデータを処理します。大量のデータも短期間のうちに連携させられるので、大企業での利用にも適しています。柔軟な価格体系を用意しており、ミニマムユースからヘビーユースまで幅広くカバーしています」

 吉田氏は最後に次のように語り、セッションを終えた。

 「データの集約や活用に関する悩みを抱える企業は多く存在します。データの利用ケースが分からない、Salesforceやkintoneをマーケティングオートメーションツールとどう連携して活用すればよいか分からない、といった悩みをよく耳にします。当社には豊富な知識を持つコンサルタントが在籍しており、悩みの内容に応じてサポートを実施し、ハイパーオートメーションの実現に向けて伴走することが可能です。ぜひお問い合わせいただき、私たちと一緒にデータの自動化、高度化に向けて一歩踏み出していただけたらと思います」

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提供:株式会社スリーシェイク
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年12月14日