Microsoft 365と複数ツールの併用 事例から探る成功の秘訣「本当に」必要なサービスをどう見極めるか

日常業務に必要な機能を網羅していることから、ツールは「Microsoft 365だけで十分」と考える企業は非常に多いはずだ。しかし他のツールとの併用を検討した方がいいケースもある。

» 2022年12月07日 10時00分 公開
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 「Microsoft 365」は文書作成や表計算、Web会議、チャットなど豊富な機能を備えるツールであり「日常業務はこれだけで十分だ」と考えるユーザーも多いはずだ。だが、スケジュール管理や社内ポータル運用、ワークフローなどには別のツールを併用した方がうまくいくケースもある。

 2022年11月10〜11日、サイボウズが主催するイベント「Cybozu Days 2022」が開催された。同イベントではJBCCの富来 奈津子氏(ソリューション事業 SaaSソリューション事業部 コラボレーション推進部 グループウェアデザイナー)とクロス・ヘッドの髙畑有香氏(ビジネス基盤アプリ営業部)が登壇し、「Microsoft 365利用者にGaroonは必要? パートナーに聞く併用する人/しない人」というテーマで講演した。

 講演ではMicrosoft 365とサイボウズのグループウェア「Garoon」を併用するメリットの他、「自社に本当に必要なツールをどのように見極めるべきか」「自社にとってより良い業務環境を実現するポイント」などのユーザーが抱えがちな「困り事」に対する答えも明らかになった。

Microsoft 365ユーザーがGaroonを採用するメリットとは?

 JBCCとクロス・ヘッドはサイボウズのオフィシャルパートナーだ。JBCCは500社以上にサイボウズの製品やサービスを導入してきた。グループウェアの豊富な提案経験から、これに関して相談を受ける「グループウェアワークショップ」も開催している。

 クロス・ヘッドは中堅・中小企業から大企業まで事業規模を問わずサイボウズの製品やサービスの導入や他製品/サービスからの移行、「Microsoft Teams」(以下、Teams)とGaroonのWeb会議連携サービス「CROSSLink 365 Teams連携」の提供をしている。

 髙畑氏は始めに「Microsoft 365の使い勝手に満足しているのであれば、これだけを引き続き利用するのがいいと思う」と断った上で、「グループウェアの使い勝手の良さやコストを重視するユーザーはGaroonを併用するのがお勧めだ」と語り、同ツールのメリットを説明した。

クロス・ヘッドの髙畑有香氏

 日本企業はこれまで、予定表などの共有情報をホワイトボードや紙に記入して管理してきた。髙畑氏によれば、Garoonの「見てすぐ分かるUI」は、これまでの情報共有の在り方に慣れ親しんできた日本企業の顧客に高く評価されている。

Garoonの画面(出典:JBCCとクロス・ヘッドの講演資料)

 Garoonのスケジュール機能は、縦列に従業員名、横列に日付を表示するという、多くの日本企業で使われてきた“レイアウト”を採用している。ポータル機能は掲示板に「お知らせ」を貼ったり、それをチェックしたりする感覚で利用できる。

 日本製ツールならではのきめ細かい配慮もGaroonを併用するメリットだ。海外製ツールは頻繁にアップデートされるものが多く、大規模なアップデートによって使い勝手が大きく変わることもある。対してGaroonはメンテナンスやアップデートの際には事前に内容が通知され、新機能を搭載するときはユーザーがオンオフを設定できるように配慮されていることが多い。

JBCCの富来 奈津子氏

 Garoonや「kintone」などのサイボウズ製品を自社で利用しているJBCCの富来氏は、「サイボウズは利用部門が混乱しないように配慮されており、安心してサービスを利用できると思う」と語る。Garoonは日本企業における昔からの仕事の進め方をうまくデジタルに落とし込んだツールだと言える。

“ツールの一本化は安上がり”は間違いの可能性も

 ただし、複数のツールを併用することはメリットばかりではない。富来氏は「さまざまなツールを導入した結果、情報共有の手段がバラバラになっている企業も見受けられる」と指摘する。

 この課題を解決するためにツールの「一本化」を検討する企業もある。髙畑氏は「当社はkintoneを利用したアプリ開発を手掛けているため、『さまざまな機能をkintoneで一本化したい』と問い合わせを受けることも多い。しかし一つにまとめたツールがレガシー化したり、一つにまとめたことでメンテナンスが難しくなったりするケースもある」と話す。

 同様にコスト面からツールの一本化を考える企業もある。髙畑氏は「一つのツールを自社に合う形にするためにアドオンなどの開発が増えれば開発費用が膨れ上がり、メンテナンス費用も増加する」と指摘する。複数のツールの利用にかかるコストは高いと思われがちだが、一つにまとめれば安くなるとは限らない。

 富来氏によれば、複数のツールの併用を検討する際には「本当に全従業員分のライセンスが必要かどうか」を考え、ツールが必要な従業員のみにライセンスを付与すればコストを最適化できる。バランスを見て検討するのが重要だ。

「よく寄せられる困り事」の解消方法を紹介

 その他、講演ではツール利用時にユーザーから寄せられる「困り事」に対して髙畑氏と富来氏が解決策を提案した。

自社に必要なツールをどう見極めるべきか

 さまざまなツールの中から自社が本当に必要とするものを選ぶにはどうすればいいか。

 髙畑氏は「ツール選定の際には複数の製品の機能を比較した『マルバツ表』を作ることも多いが、『マル』が多くそろうツールが本当に優れたものとは限らない」と警鐘を鳴らす。「たくさん『マル』が付いている機能豊富な製品は何でもできそうに見える。しかし『マル』が付いている機能が本当に貴社の求めているものかどうか、まずはきちんと見極める必要がある。製品やサービスへの評価が変わる場合があるので、一つ一つ冷静に見極めるべきだ」(髙畑氏)

 本当に必要なツールを見極める方法として、髙畑氏は購入前のトライアルを推奨する。ただし検討する全てのサービスをトライアルするのは現実的ではなく、使い方に慣れていないなどの理由で評価したい機能を十分に使いこなせないケースもある。そのようなときはどうすべきか。富来氏は「製品やサービスに詳しい会社をうまく活用し、トライアルで正しい判断ができるよう支援してもらうとよい」とアドバイスする。

複数ツールの利用はデータ入力の二度手間が心配

 複数サービスを利用する際のデータの二重登録やシステムごとにログインする手間を懸念するユーザーは多い。髙畑氏はこの困り事について、建設機械レンタル事業を手掛けるエスアールエスでクロス・ヘッドが開発支援した事例を紹介した。

 エスアールエスはGaroonとTeamsを併用しており、Garoonに登録した情報を、会議用URLを発行するためにTeamsにも登録し、発行された会議用URLをGaroonに登録するという二重登録が発生していた。

 クロス・ヘッドはこの問題を解決するため、Garoonに登録した情報をCROSSLink 365 Teams連携機能で直接Teamsに反映させた。「全ての操作がGaroonのスケジュールで完結するようになった」(髙畑氏)

 これによって、エスアールエスは登録し忘れなどのヒューマンエラーも防げるようになった。連携機能の使用料は1ユーザーにつき1800円(年額)だ。連携が必要な人だけに導入できるのでコストも最適化でき、プラグインとして提供されるので開発コストが積み上がる心配もない。

複数のツールを利用する際のユーザー管理が煩雑

 情報システム部門の担当者にとって、複数ツールを利用する際のユーザー管理の煩雑さは大きな課題だ。クロス・ヘッドはこの解消に向けて「Azure Active Directory」(以下、Azure AD)とサイボウズのクラウドグループウェア「cybozu.com」でシングルサインオン(以下、SSO)を実現する「CROSSLink Single Sign On」を提供している。

CROSSLink Single Sign Onを利用する場合のログイン方法(出典:クロス・ヘッドとJBCCの講演資料)

 これを利用すれば、Azure ADのユーザー情報が更新されるとcybozu.comに自動で同期されるため、情報システム部門の管理負担が低減される。ユーザー側も、一度Microsoft 365にログインすればサイボウズのサービスを利用できるようになる。

 他のSaaS(Software as a Service)を利用している場合は、IDaaS(Identity as a Service)「Okta」との連携でSSOが実現する。

 SaaSをOktaと連携させて、多要素認証でOktaに入れば他のサービスにも安全にログインできる。その他、JBCCはOktaを利用したユーザー情報のプロビジョニングサービスを提供しており、これを利用すればユーザーの作成や更新、削除を一元管理できる。

 富来氏は「このサービスを利用することで、情報システム部門はユーザー管理のような“守りの業務”の手間を削減して“攻めの業務”に取り組む時間を創出できる」と話す。実際にOktaを使って、Microsoft 365やGaroon、kintoneなど複数のツールのユーザー連携およびSSOを構築した事例も紹介した。

Oktaを使ってMicrosoft 365やGaroon、kintoneなど複数ツールのユーザー連携およびSSOを構築したA社の事例(出典:クロス・ヘッドとJBCCの講演資料)

 髙畑氏は、セッションの終盤「冒頭でも話したように『Microsoft 365が使い慣れていて何の問題も感じない』という企業は、そのままMicrosoft 365を使えばいいと思う。ただし日本企業にとって使い勝手の良いUIやきめ細かく配慮されたメンテナンスの方法、情報システム部に大きな負担をかけずに使いやすい環境を構築できること、コスト面などを重視してグループウェアを選ぶのであれば、Garoonの検討をお勧めする」と語った。

 富来氏は「GaroonとMicrosoft 365は得意なところが違う。『マルバツ表』のマルが本当に自社の環境に合っているかどうかを考え、この2つを組み合わせることで新たな価値を見いだせると思う」と語り、セッションを締めくくった。

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提供:サイボウズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年12月13日