「ここが駄目だよ」日本のデータ活用覆面DXコンサルタントが教えてくれたデータ活用組織づくりの「必殺技」

部門担当者レベルのデータ分析は、なぜ全社規模でのデータ活用につながらないのだろうか。全従業員をデータ活用人材に変えると宣言する企業も出てきた中、実現できている組織が増えない理由を覆面DXコンサルタントのマスクド・アナライズ氏に取材した。

» 2022年12月26日 10時00分 公開
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 DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目指して、データ活用人材の育成を急ぐ企業がある。「全従業員をデータ活用人材に」といった目標を掲げる企業も現れたが、実際に自力で全従業員がデータを活用できている組織はそう多くはない。

 各部門の担当者レベルではデータを持っており、それを基にした活動もある程度はできている。だが、そこから新しい価値を作り出すデータの使い方につながらないのはどうしてだろうか。データ活用の現場を知る2人の有識者に話を聞いた。

お話を聞いた方

マスクド・アナライズ氏

DXコンサルタント。

AI系ベンチャーでデータ分析支援などの業務に従事した後に独立。自称「意識低い系DXコンサルタント」として、企業におけるAI活用やDX推進に取り組んでいる。データ活用のアドバイスや従業員向け研修の他、セミナー講師なども手掛ける。プロレスファン。







田崎早瀬氏

ウイングアーク1st Data Empowerment事業部 ビジネスディベロップメント室 室長。

自社の製品やサービスを使って顧客のデータ活用促進を支援する傍ら、顧客課題を基に製品開発などを手掛ける部門であるビジネスディベロップメント室の室長を務める。


ツールはあるのにデータ活用組織になり切れない理由

──DX推進の要となるデータ活用がうまく進まない、という声をよく聞きます。データはあるのに、なぜ活用できないのでしょうか。

マスクド・アナライズ氏(以下、マスクド氏) ツールが進化したことで技術的なハードルは下がりましたね。しかし、人や組織の壁は依然として高いままです。例えば同じ会社内でも製造や物流、販売など、部門ごとに異なるデータベースや分析ツールを採用している事例があります。これでは各部門がバラバラにデータ活用を進めており、まとめる人がいない状況です。それにもかかわらずDXの特徴である全社的なデータ活用やシステム開発体制の内製化を手掛けようとして、突破口を見つけられずに苦しむ企業が増えていると感じます。

田崎早瀬氏(以下、田崎氏) データはあるのに、意思決定に遅れやズレが生じてしまうという相談をよく受けます。部門や業務ごとにデータ資産が縦割り構造になってしまう「サイロ化」になっているために、「今欲しいデータ」にすぐたどり着けないことが原因の一つと考えられます。

 クラウドサービスの浸透により、部門や用途ごとにさまざまなシステムを利用しやすくなりました。一方で各システムのデータを組み合わせて全社で活用したいのにうまくいかない状況が生じています。

 分析ツールがあっても分析に必要なデータが集約されていなければ部門を横断した全社のデータ活用は進みません。

 システムがサイロ化、部門横断でデータを組み合わせる環境がない、環境を構築できる人材も不足――。そんな三重苦にあえいでいると感じます。

マスクド氏 各部門や担当者がバラバラのタイミングでデータの取得や分析を行ったり、元データの正確性の検証が不十分だったりと、分析の基になるデータを適切に扱えない懸念もありますね。また、適切なデータで正確に分析しても、情報共有に時間がかかると現場に反映されるころには陳腐化することもあります。それぞれの部門が使えるデータを持っていながら、活用できずに「宝の持ち腐れ」になる企業が非常に多いと感じます。

データ活用を阻む3つの壁を突破する「必殺技」

──マスクドさんは「DX推進の必殺技」をお持ちだと聞きました。データ活用において、どのように役立つものでしょうか。

マスクド氏 必殺技の「DXトライアングル」です。DXの課題は前述のような「人の壁」「組織の壁」「技術の壁」の3つに大別できます。DXトライアングルでは壁に対して「共有」「共創」「共育」という3つのアプローチで解決を図っていきます。

 共有には課題の共有や人材の共有、ノウハウの共有、活動の共有などが含まれます。次の共創にはIT部門と事業部門の共創や外注先ベンダーとの協業などによる社内と社外の共創、データ活用やDXを推進するリーダーの招請、スタートアップなどとの技術協力が含まれます。そして共育は現場の従業員がデジタルに強くなってもらう取り組みや、コミュニティー活動などを通して顧客と一緒に人材を育てていく取り組みです。

DX推進の必殺技「DXのトライアングル」

田崎氏 DXを阻む壁が生まれる原因の一つには、データ取得や加工プロセスの複雑さに原因があると考えています。マスクドさんがおっしゃる必殺技を実現するには、データの収集や事前加工、蓄積、集計をエンドユーザーの近くで実現する当社のデータ基盤ソリューション「Dr.Sum Cloud」が役立つでしょう。Dr.Sum Cloudは取得したデータを誰でもプログラミングをせずに、バラバラのデータを一つにまとめて簡単にアクセスできる「データマート化」して一元管理できることから、データ活用における人や組織、技術の壁が生じにくい仕組みだと言えます。Dr.Sum Cloudとご利用中のBIツールを組み合わせることで、共有や共創につながります。

Dr.Sum Cloudの概要

 これらを使ってデータドリブンな組織を構築するには、データ分析体制や活用人材の育成体制が重要です。私たちは必殺技の共育に当たる部分を伴走型で支援しており、ユーザーコミュニティーで情報交換の場所作りにも注力しています。

――データ活用における技術の壁についてはどのような解決策があるのでしょうか。

マスクド氏 データの可視化や分析を行うBIツールは、幅広い方々が使いこなしています。しかし、可視化や分析に必要なデータベースの管理には専門知識が必要です。このギャップがデータを活用したい事業部門と、データを厳密に管理したいIT部門を隔てる壁になり得ます。この点においてDr.Sum Cloudはプログラミングが不要なので直感的ですし、試行錯誤がしやすいと感じました。こうしたデータを気軽に活用したい現場に優しい配慮があるのは良いですね。

田崎氏 Dr.Sum Cloudは操作のしやすさの他に、データ量が増えても処理が遅くならず、メンテナンス不要で高速に動作することも高く評価していただいています。

マスクド氏 高性能であっても操作が難しいエンジニア向けの製品はよくありますが、性能と使い勝手を両立した製品は少ないですね。こうした強みもユーザーが増えている理由でしょう。

課題解決のアプローチで重要なのは、目的の明確化と二人三脚での取り組み推進

――壁を解消したとしても、すぐにデータを活用できるわけではなさそうです。

マスクド氏 「宝の持ち腐れ」や「意思決定の遅れ」を解消するには、データ活用の目的や活用における具体的な場面を想定することが重要です。

 現在はセンサーや映像、音声などのさまざまなデータを活用できる環境が整っています。工場の生産ラインや倉庫、商業施設、オフィス空間における人の動き、顧客や同僚と交わされる会話やオンラインチャットのやり取りも分析対象になるでしょう。ただし、データによってどんな成果を出せるかのアイデアがなければ始まりません。まずはデータによってどんなメリットを創出できるかを考えてほしいですね。

田崎氏 私の会社はまさにそうしたアイデアをお客さまに提案しています。単にツールを提供するのではなく、数千社への導入実績から得たノウハウを基に類似の業界、業種、業務での活用事例を通じてお客さまに合った「オススメの活用方法」を提供できるのがウイングアーク1stです。

 海外製が多いデータ活用支援ツールの中にあって、われわれは国産ベンダーとして日本企業が抱える悩みや課題についての理解の解像度が高いことを強みとしています。開発責任者が直接お客さまの声を聞く場を設けるなどして、ニーズに合わせた製品――「手触りのいい」製品作りを進めています。

お客さまの課題を言語化し、解決につなげる

――課題理解の解像度というお話について疑問があります。データ分析やデータベースの専門家ではない方のニーズからどのように解像度を高めるのでしょうか。

マスクド氏 課題に対する理解を深めるには、現場へのヒアリングは重要ですね。しかし現場が抱えている課題を言語化することは難しいですし、現場の要望であっても課題解決につながらない場合もあります。

田崎氏 その通りです。顧客が「この機能が欲しい」と言った場合も、よくよくヒアリングしてみると悩みの元は別の場所にあり、解決策も実は機能追加ではなかったということもあり得ます。だからこそ開発者を交えて詳しくヒアリングする必要があるのです。製品開発担当が想定していない使い方が原因の場合もあります。この場合も、該当機能の設計意図や想定していた利用方法を直接説明すると、解決することがあります。

マスクド氏 サービスは提供元の会社だけでなく、顧客と二人三脚で作るものです。私も企業向けのデータ活用やDX支援において、開発する企業が利用する現場とのコミュニケーションを重ねる点を重視しています。

田崎氏 私たちはそれを「お客さまのシェルパになる」と表現しています。シェルパは登山の案内人のことです。難度の高い山を踏破するには道具だけでは駄目で、伴走する案内人が欠かせません。私たちもデータ活用のシェルパとしてコミュニケーションを取りながら伴走する専任部隊を置いています。

マスクド氏 伴走と言っても、データ活用は専門家だけのものではありません。企業においてはデータや数字に強い方もいれば、逆にアレルギーや苦手意識を持つ方もいるので、相手に合わせた対応が求められます。

 「いい感じにデータ活用したい」という大まかな要望を具体的な形に落とし込むためにも、伴走型の支援は重要です。目的と実装を明確にするのが難しいので、実は準備段階が大切で難易度が高いとも言えます。

田崎氏 データ活用の第一歩をうまく踏み出すには、まず情報量をなるべく削ること、「ここだけやればいい」というポイントを見つけることですね。一度こなしてから次のステップに誘導するように、少しずつ成功体験を積み上げながら経験値を高めます。

マスクド氏 まさに山登りですね。低いところから慣らしつつ高みを目指す。

田崎氏 生産性や収益力向上という目的を実現する手段として、データ活用があります。私の経験上、データ活用が目的になると、ご指摘にあった「デジタルに対するアレルギー反応」が出やすくなります。意識の持ち方や変え方も社内に周知していくことが重要です。

マスクド氏 「外注先にお任せ」ではなく、自主的に社内で勉強会を開催したり、旗振り役を担ったりする人材も大切です。

田崎氏 おっしゃる通りです。企画段階で関係者を巻き込んでいくことがポイントですね。「私とあなた」という関係の中で作ったものを渡すのではなく、「私たち」という関係を構築して一緒に作り上げます。自分の意見が反映されていると感じてもらうことで、当事者として積極的に利用してもらうためです。顧客の中には、必要な情報を一覧で表示できるダッシュボード機能に「○○さんボード」と担当従業員の名前を付けて、愛着が湧くように工夫して成功しているケースもあります。

マスクド氏 反対派の説得に労力を割くよりも、まず賛成派を巻き込みましょう。まずは小規模に始めながら徐々に味方を増やすことも、登山のスタート時点で重要です。

田崎氏 賛成派をどう増やすか、トップを口説くにはどんな情報が必要か、反対派とどう対話するかといったことも私たちが支援できるポイントです。登山の準備段階で言語化できない場合にも、まずは声をかけていただければと思います。ウイングアーク1stは日本企業のデータ活用の課題を知り尽くした製品開発と併せて、データ活用ベンダーとの協業も積極的に推進してエコシステムを拡大する計画です。私たちだけでは解決し切れない課題も、このエコシステムによって全方向で対応できるシェルパを目指しています。

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