クラウドの作法が分からなくてもできる「ファイルサーバのハイブリッド化」オンプレミスの利便性とクラウドの拡張性の「いいとこ取り」

企業内のデジタルデータ増加に伴いクラウドの利用を始めたいが、なかなか導入に踏み切れない企業は依然として存在する。課題は「クラウドの運用が既存オンプレミス環境とは異なる」点にある。この問題をシンプルに解消する提案とは。

» 2023年01月10日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

今までのファイルサーバ運用はもう限界に

 オフィス文書のペーパーレス化やテレワーク、IoTや画像データの活用など、企業を取り巻く環境がデジタルに移行している。取引先や顧客とのやりとりも含めて、ビジネスそのものがデジタルで完結するケースも出てきた。

 こうしたデジタル化で大きな変化を迫られているのが社内ITシステムだ。業務の在り方が変化する中で、システム基盤も見直しが必要になってきた。そんな喫緊で対応を迫られているものの一つがファイルサーバだろう。デジタル化に伴い企業が取り扱うデータ量は増加しており、かつてのファイルサーバ管理の常識が通用しなくなっている。

 NECでサーバおよびストレージ製品を担当する柵木秀俊氏(プラットフォーム販売部門/サーバ・エッジ販売推進統括部)は顧客の課題を次のように説明する。

柵木秀俊氏

 「NECが顧客200社に対して行ったIT利用動向に関する調査から、多くの企業がデータ量の増加とファイルサーバの容量逼迫(ひっぱく)に頭を悩ませていることが明らかになった。顧客企業が扱うデータ量は年平均で1.55倍に増えている。ほとんどの企業が、導入時のキャパシティー設計の想定を超えたデータ増加を受けてディスクの増設やストレージ装置の追加購入などの対応を迫られている」

 データ容量増加の原因は、テレワークの普及によって会議の録画データなど大容量のファイルを保管する機会が増えたことや、IoTやAIなどのデジタルの取り組みでセンサーデータや画像データなど新たなデータが増えたこと、電子帳簿保存法によるデジタル保存の義務化、サイバー攻撃や自然災害などに備えたバックアップデータの多重保存など多岐にわたる。また、コロナ禍を機にデジタル化が急速に進み、データ量の増加スピードはますます速まった。

 柵木氏は「今後もデータはさらに増加すると考える。ファイルサーバの容量逼迫は、システム運営において解決すべき問題の1つだ。データが増え続ければ管理コストが増え、日々の業務や事業運営に影響を与えかねない」と警鐘を鳴らす。

オンプレミスとクラウドの「いいとこ取り」ができるファイルサーバ

 ファイルサーバの容量問題を解消する方法として、近年注目を集めるのが「クラウドストレージサービス」だ。データが当初に想定したキャパシティーを超えても、機器の購入や設置といった工数が掛からず設定を変えるだけですぐに容量を拡張できる。

 「オンプレミスのファイルサーバを全廃して、全てのファイルをクラウドストレージサービスで利用できるようにしたという事例も多い」(柵木氏)

 もちろんクラウドストレージもメリットばかりではない。NECでシステムプラットフォームビジネスを手掛ける庄司隆夫氏(システムプラットフォーム事業部門/基盤ソフトウェア統括部)は、「クラウドストレージを利用する場合はメリットとデメリットを見極めることが重要だ」と指摘する。

庄司隆夫氏

 「クラウドストレージのメリットは、データ量の増減に柔軟に対応できる点にある。また、クラウドサービスプロバイダーが独自にデータを冗長化しているため、バックアップデータの置き場所としても有効だ。ランサムウェア対策にも利用できる」(庄司氏)

 クラウドファイルサービスのデメリットは、物理的な距離があるためレイテンシが大きくなり、ファイルの移動やコピーにタイムラグが生じること。オンプレミスのファイルサーバとは異なる操作をしなければならず、ファイル操作に不自由さを感じることなどがある。

 オンプレミスのファイルサーバを使用してきた企業にとってクラウドストレージは利用ハードルが高く、クラウドのメリットを理解していても挑戦が難しかった。こうした状況の中で、クラウドストレージへのファイルサーバ延伸を実現する方法として庄司氏が勧めるのが「オンプレミスとクラウドをいいとこ取りしたファイルサーバの利用」だ。

Windowsファイルサーバのままクラウド延伸 保存ストレージの階層化も

 オンプレミスとクラウドを「いいとこ取り」したファイルサーバとしてNECが提供しているのが、「クラウド連携ファイルサーバ」(ハイブリッドNAS)だ。ハイブリッドNASはオンプレミスのWindowsファイルサーバをクラウドストレージに延伸させて、クラウドとオンプレミスのメリットを最大限に活用できるようにしたソリューションだ。

ハイブリッドNASの概要(資料提供:NEC)

 「オンプレミスのファイルサーバは安定したアクセス性能があり、使い慣れたファイル操作が可能なことがメリットだ。ハイブリッドNASは『ディスク増設に手間がかかる』というデメリットをクラウドのメリットである『拡張性の高さ』で補う。クラウドストレージのデメリットである操作性やレイテンシの問題は、クラウドと連携するオンプレミスのファイルサーバを使うことで解消する。オンプレミスのアクセス性能と使い勝手を維持したまま、クラウドの拡張性と柔軟性を活用できる」(柵木氏)

 ハイブリッドNASは、Windowsベースのファイルサーバにエージェントをインストールして「Microsoft Azure」(以下、Azure)のクラウドストレージと自動連携することでハイブリッド環境を実現する。ユーザーから見ると、従来のWindowsファイルサーバと変わらずに運用できる。オンプレミスのファイルサーバにファイルが格納されると、ファイル単位でクラウドに全データが自動的に複製される。その一方で、空き容量が減少すると利用頻度の低いデータをポインター化し、容量を確保する。

 「ポインターにアクセスすると自動的にオンプレミスのファイルサーバにデータがダウンロードされるため、利用者はオンプレミスのファイルサーバをいつも通りに操作できる。クラウドのデータは維持されるため、手元で操作したファイルのバックアップとしても利用可能だ」(柵木氏)

 ハイブリッドNASのメリットは他にもある。ファイルサーバのリプレースや拡張する際にクラウドのファイルサーバのデータと自動的に同期するので、新しいファイルサーバとしてすぐに利用開始できる。

 「クラウドのファイルサーバは『Microsoft Azure』のファイル共有機能である『Azure Files』を利用する。Azure Filesはデータを三重で保存するなど高い冗長性を確保しているため、『BCP』(事業継続計画)や『DR』(災害復旧)の施策としても有効だ」(庄司氏)

オンプレミスのハードウェアもクラウドサービスの構築や支払いもNECに一本化可能

 ハイブリッドNASは、Windows Serverのファイルサーバ機能やMicrosoft Azureのファイル共有機能を活用することで実現したソリューションだ。この仕組みを構築する際に、オンプレミスに設置するファイルサーバのハードウェア調達からWindows Serverの設定や運用保守などを行う必要がある。また、オンプレミスだけでなく、ファイル同期をするためのAzure File Syncの設定、利用するサービスの運用保守も必要だ。

 「NECであれば、ハードウェア製品の提供からシステム構築、運用保守までをワンストップで提供できる。すでにNECのWindowsファイルサーバを利用している場合は、既存のシステム構成を維持したままAzure Filesと連携したハイブリッドNASを構成してクラウド/オンプレミスともに利用できる」(庄司氏)

オンプレミスの機器調達もクラウドのリソース調達や構築もNECが一括して受け持つ(資料提供:NEC)

 NECが提供するハードウェアは、サーバ製品「Express5800シリーズ」の派生モデルであるネットワーク接続型ストレージ(NAS)製品の「iStorage NSシリーズ」だ。これにNECの技術支援が受けられる保守サービス「PP・サポートサービス」をはじめとした保守サービスが付く。

 「一般的なファイルサーバとして利用できる他、ハイブリッド構成を生かしたユースケースもある。例えば、複数拠点に点在するファイルサーバの全データをクラウドに集約統合して各拠点の情報の一元管理を実現する『マルチサイトアクセス』や、AzureのバックアップサービスであるAzure Backupと連携してAzureでバックアップの世代管理を行うことによる『ランサムウェア対策』を実現することもできる」(庄司氏)

iStorage NSシリーズのラインアップ(資料提供:NEC)

 こうしたメリットをうまく活用した企業の一例が杏林堂薬局だ。杏林堂薬局はクラウド導入経験が少なかったが、構築から運用までをNECがワンストップでサポートすることでハイブリッドファイルサーバをスムーズに構築できた。顧客側は手順書に沿ってエージェントのインストールや設定作業を行うだけでよく、システム導入後は機器管理工数を削減できたという。

 ファイルサーバ管理はあらゆる企業が避けて通れない課題だ。ハイブリッドNASを活用すれば、効率的で生産性が高い環境が実現する。オンプレミスから脱却し、クラウドに移行する足掛かりになるだろう。

本記事に関するアンケート実施中 <本アンケートは終了しました>

現在、本記事に関するアンケートを実施中です。

アンケートにご回答いただいた方から、抽選で10名様にAmazonギフトカード3000円分をプレゼントいたします。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2023年2月2日

本記事に関するアンケート実施中

<本アンケートは終了しました> 本記事に関するアンケートを実施中です。アンケートにご回答いただいた方の中から、抽選で10名様にAmazonギフトカード券(3000円分)をプレゼントいたします。ぜひご回答ください。