Amazon Roboticsの幹部が移籍 狙うはロジスティクスDX：Supply Chain Dive

Amazonのロボティクス・AI部門の元幹部であるシッダールタ・スリニバサ氏は、GMの子会社Cruiseに入社した。店舗から顧客の注文を配送する機能を持つ自律走行車両「Cruise Origin」の開発に加わる。

[Max Garland，Supply Chain Dive]

　レストランで注文した料理を運ぶロボットは日本でもよく見かけるようになったが、あの仕組みを公道で展開したらどうなるだろうか。倉庫内で人とロボットの協調作業をいち早く実現したAmazon Roboticsをリードした幹部が、あらたなチャレンジに参加する。

　Amazonのロボティクス・AI部門の元幹部シッダールタ・スリニバサ氏が、自律走行車の開発企業Cruiseのエンジニアリングリーダーシップチームに加わった。

　同氏は、乗客が車両を呼び出すライドヘイリングサービスとデリバリーサービスを提供するGMの子会社Cruiseで、特別エンジニアを務めることになった。入社前、スリニバサ氏はAmazonでロボティクスAI組織を立ち上げ、世界中でフルフィルメントにロボティクスとAI（人工知能）を展開する組織を率いていたと、Cruiseエンジニアリング担当上級副社長のモハマッド・エルシェナウィ氏は、2023年1月第4週目にLinkedInへの投稿で述べている（注1）。

Amazon元幹部の参加で高まるいCruise Origin」開発への期待

　エルシェナウィ氏は、「ロボティクスとAIの分野におけるスリニバサ氏の高い経験値は、私たちがCruiseのビジネスを拡大する上で非常に重要だ」と述べ、スリニバサ氏がモーションプランニング、制御、機械学習（ML）に関して受賞歴のある論文を複数執筆していることを明らかにした。

　LinkedInの投稿で、スリニバサ氏は「活気があり、企業としての能力が高く、かつ大胆な会社」に加わることに対する前向きな気持ちを示した（注2）。

　「Amazonでフルフィルメント用ロボットAIを構築し、スケールしていく素晴らしい4年間を過ごした。再び始まる新たな船出に興奮している。それは、アルゴリズムを発明し、オペレーションと連携することで自律モビリティを指数関数的に拡大することだ」とスリニバサ氏は述べた。

　LinkedInのプロフィールによると、同氏は2022年11月にCruiseでの業務を開始した。受け入れるCruiseのエルシェナウィ氏は、ロボティクスやAIを含む自律走行車のあらゆる側面を担当する約2000人のエンジニアを監督する人物だ（注3）。

　Cruiseは今年（2023年）中に自動運転対応の電気自動車「Cruise Origin」の生産を開始する準備を進めている。Amazonの元幹部であるスリニバサ氏が参加したことでマネジメントを強化した形だ。同社のWebサイトによると、Cruise Originの配送能力は、1回の配送で最大5件の注文に対応できるという。輸送中の安全を確保するために、鍵付きの保管庫と顧客認証手段も備えている（注4）。

　Cruiseは、Amazonの上位にいるライバルのWalmartと強い結び付きがある。両社は2020年、アリゾナ州でCruiseの車を使い、地元のWalmartの店舗から顧客の注文を届ける、非接触配送を試験的に実施することを明らかにした（注5）。翌年Walmartは、金額は非公開だがCruiseに投資した事実を発表している。その際、重要な投資理由として、自社フリート（配送）車両の完全なEV化を挙げた（注6）。

　Walmartの社長兼CEOのジョン・ファーナー氏は、「この投資は、素早くかつ低コストで拡張性のあるラストワンマイルデリバリーシステムの開発に向けた、われわれの活動を支援するものだ」と述べた（注7）。

（注1）Mohamed (Mo) Elshenawy（LinkedIn）
（注2）Siddhartha Srinivasa（LinkedIn）
（注3）Driving cities forward（curise）
（注4）How we’re wired（curise）
（注5）Walmart taps self-driving vehicle startup Cruise for autonomous deliveries（Supply Chain Dive）
（注6）Walmart invests in autonomous vehicle startup Cruise（Supply Chain Dive）
（注7）Walmart Invests in Cruise, the All-Electric Self-Driving Company（Walmart）

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