三菱自動車とデロイト トーマツ コンサルティングとの共創に学ぶ、これからの「コンサル」との付き合い方成長を約束するDX構想は一貫した思想と実装がものをいう

企業の成長を支えるにはDXの企画構想だけでなく一貫した思想に基づいた実装こそが重要――。コンサルティング企業でありながらアドバイザリーだけでなく、新規サービス立ち上げに必要な仕様詳細の設計から最新クラウドテクノロジーを生かしたサービス基盤の選定、エコシステムの具体化といった「出口」までを一貫して伴走し、成功を支える体制を整えるのがデロイト トーマツ コンサルティングだ。実際に同社とタッグを組んだ三菱自動車は短期間でその成果を出し始めている。構想の立ち上げから現在までの軌跡を取材した。

» 2023年06月13日 10時00分 公開
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 あらゆる産業がデータを生かした価値創出の検討を本格化させている。中でもいち早く取り組んできたのが自動車業界だ。ソフトウェア制御領域が多い電気自動車(EV)の登場以降、この傾向は強まっている。今後、高速通信技術の普及や地理データの整備が進めば、さらに可能性は広がるだろう。こうした中、「当社は業界では後発」と語る三菱自動車工業株式会社(以降、三菱自動車)が、業界をリードする立ち位置に躍り出ようとしている。同社はなぜ短期間でデータプラットフォーマーとして必要な準備を整えられたのだろうか。

 三菱自動車は、1917年に発表した「三菱A型」をルーツに、「パジェロ」「デリカ」などの新ジャンルのモデルを展開してきた。2009年には量産EV「i-MiEV」を発表。カーボンニュートラルに注目が集まった2021年、2022年には新型「アウトランダー」(PHEVモデル)や「ekクロスEV」の販売、「ミニキャブ・ミーブ」の再販など、コネクティッド技術やEVにも力を入れる。

 同社が掲げるコーポレートビジョンは「モビリティの可能性を追求し、活力ある社会をつくります」だ。あらゆるものがつながる時代にあって「モビリティの可能性で社会をより良く変える」ために必要な要素の一つが、つながるクルマのデータ基盤だ。

社会の潮目の変化にメーカーは何を提供できるか

三菱自動車工業株式会社 モビリティビジネス本部 コネクティッド部 部長 井上英昭氏 三菱自動車工業株式会社 モビリティビジネス本部 コネクティッド部 部長 井上英昭氏

 三菱自動車 井上氏は、クルマが提供する顧客体験が大きく変わってきたと指摘する。

 「“つながるクルマ”が実現したことで安心・安全、快適を届けるサービスを提供できるようになってきました。例えば遠隔でのドアの開閉、車内空調の操作、事故発生時の保険会社との連携、盗難車両の追跡がそうです。コネクティッド技術とEVを組み合わせればエネルギーコストや二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガス(GHG)排出量の削減にも貢献できます。三菱自動車は社会課題解決を視野に入れたモビリティ像を構想しています」(三菱自動車 井上氏)

 そこで重要になるのがデータだ。車両データをリアルタイムに共有したり運行管理を行ったりすることで、これまでにない取り組みが可能になる。

 「B2Bビジネスも変わると考えています。クルマを売って終わりではなく、データを媒介にサプライヤーや販売会社はもちろん、他業種の企業とも連携して利用者一人一人に安心や安全、快適を届けたい。そのためのデータも、お客さまに同意をいただいた上で積極的に開示する考えです」(三菱自動車 井上氏)

 データを媒介としたビジネス変革では、まず足元のデータを使える形で蓄積し、安全に流通させる仕組みをどう設計するかが鍵を握る。「出口」のイメージをある程度明確にした上でデータ基盤のアーキテクチャを設計しなければならない。同様に、車両からどのようなデータをどのように取り込むかについても「出口」を想定した調整が必要だ。

 これらの施策は、業種を横断したビジネスモデル開発に加えて車載機器や制御ソフトウェア技術、通信やデータ基盤の技術動向の深い知見がなければ実施できない。

 三菱自動車がわずか数年でデータ基盤を構築できた背景には、井上氏らと共に構想を具体化させ、実装まで支えたデロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下、DTC)のスペシャルチームの存在があった。

位置情報と連携したリアルタイムなデータの活用を目指し、データ活用基盤を構築

 同社のコネクティッドにおける取り組みは3つのフェーズに分けられる。

  • フェーズ1:テレマティクス(注1)データの取得に関する取り組み
  • フェーズ2:そのデータを蓄積して分析し、どのようなビジネスニーズに応えられるかを検討する段階
  • フェーズ3:ビジネスニーズに応えるための基盤作り

(注1)「テレコミュニケーション」(通信)と「インフォマティクス」(情報科学)を合体させた造語。自動車に移動体通信システムを組み合わせてリアルタイムに情報サービスを提供する仕組みづくりを指す。

三菱自動車工業株式会社 モビリティビジネス本部 コネクティッド部 担当部長 石黒 稚加恵氏 三菱自動車工業株式会社 モビリティビジネス本部 コネクティッド部 担当部長 石黒 稚加恵氏

 「フェーズ1は『まずデータを取ってみる』のが目的です。データの仕様を検討し、サプライヤー各社の技術者と議論を重ね、収集データを整えることに注力しました」(三菱自動車 石黒氏)

 出口サービスの可能性を考えながら仕様を決定するプロセスを支えたのが、DTC 松山氏らだ。

 「もともとデータ自体はあったものの、個別サービスのために実装されたものだったのでビジネスに生かしやすい形に整える必要がありました。車載ソフトウェアに詳しい技術者を交えて、膝を突き合わせて議論しました」(DTC 松山氏)

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud & Engineering シニアマネジャー 松山敬之氏 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud & Engineering シニアマネジャー 松山敬之氏

 DTCにはコンサルティング中心の企業というイメージがあるが、実は技術者やアーキテクトらがビジネス課題解決の検討からシステム実装までを手掛けている。

 この体制についてDTC 根岸氏は「デジタルトランスフォーメーション(DX)推進にはアジリティーが必要。コンサルティングだけ、ITの実装だけではスピード的にもアウトプット的にも十分なものを提供できません。ビジネス課題をITでどう解決するかについてグローバルなナレッジを蓄積しているわれわれが自ら手掛け、結果を検証することが重要です」と説明する。「ヒアリングして設計図を書いたら終わり」ではなく、結果が出るまで伴走する人材を供給できる点がDTCの強みだという。

事業の根幹から協議し、「ゴール」を目指す

 2021年までにデータ収集のめどがついた三菱自動車は、2022年から具体的な基盤構築やサービス開発に取り組んだ。

 「フェーズ1では、ミニマムに立ち上げるため、外部のデータプロバイダーの仕組みに依存していました。フェーズ2では、『位置情報などをリアルタイムに活用するために自社で基盤を保有する』という要件をどう実装するかが課題となりました。車両から集まる膨大なデータをサービスごとにどう振り分けるか、システムの可用性や信頼性、セキュリティをどう維持するかも重要です」(三菱自動車 石黒氏)

 データ活用ではよく「とにかくためてから何に使うかを考えればよい」といわれる。しかし、松山氏によれば、車両データは膨大な量になるため、設計段階で出口をイメージしなければ実用に堪えるデータ基盤の構築は難しいという。

 「クルマを一つのIoT(モノのインターネット)デバイスとして見ると、他では考えられないほど大量かつ多様なデータが収集されています。それらをリアルタイムで活用するには、利用シーンを想定した正規化が重要です。データの使い道や可能性を考慮したデータベース設計が必要になります」(DTC 松山氏)

 併せて、データ基盤に何を選ぶかも重要だ。テレマティクスデータは膨大でありオンプレミスでの格納は困難なため、クラウドが第一の選択肢となる。昨今のメガクラウドは機能面で大きな差はない。ただし、既存の仕組みや技術リソース、リアルタイム性や将来的な開発容易性などを考慮して最適なサービスを選択するには、既存の環境やサプライヤーの環境など企業独自の事情を理解した上で判断しなければならない。この点でもDTCの支援は有効だったと石黒氏は振り返る。

 「車両データのインタフェース実装などにおいて、サプライヤーをコントロールするような、技術的に踏み込んだ支援をしていただきました。データ蓄積のノウハウをクラウドでのシステム実装に生かせたことも、フェーズ1を短期間で実現できた理由だと感じています」(三菱自動車 石黒氏)

 うわべのデータ活用ではなく事業の根幹に近い部分から整備する体制は、後半フェーズをスムーズに進めてビジネスの成長を促進するために必須だ。DTCは、クライアント企業の変革を支援するため構想策定から要件定義、導入展開、運用保守までEnd-to-Endでのサービス提供が可能なため、実は DTC側もこの体制を望んでいた。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud & Engineering シニアマネジャー 宮越弘樹氏 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud & Engineering シニアマネジャー 宮越弘樹氏

 松山氏とともにプロジェクトを支援したDTC 宮越氏は「フェーズ1から協力する体制を構築できたことで、われわれも理解を深められました。われわれがシステム開発や運用まで手掛けるのは、サービスに十分な責任を持つためでもあります」と語る。

 プロジェクトのデータ蓄積基盤は、三菱自動車が以前から利用してきたデータ基盤との連携を考慮してパブリッククラウドを採用した。

 「クラウドサービスを活用したシステム構築は、シンプルなようで各サービスの相性や実装特性によって『つなげてみるとうまく動かない』といった事態が起こり得ます。グローバルで知見を持つ当社メンバーをプロジェクトに招聘(しょうへい)して、そうした問題が起こらないようにし、本プロジェクトに最適な構成をスピーディーに実現しました」(DTC 宮越氏)

データ基盤を軸としたエコシステムを構築 協業や連携もスピード立ち上げが可能に

 データ基盤はわずか4カ月ほどで稼働にこぎ着けた。データをリアルタイムに取得して、サードパーティーが提供するサービスと車両データを連携させる仕組みも構築した。現在はフェーズ3の継続的な改善に取り組んでいる。

 この取り組みは、社外だけでなく社内のバリューチェーン高度化にも寄与する。

 「セールスやマーケティング、企画開発など社内のバリューチェーンでもデータをスムーズに連携させられるようになりました。より良い顧客体験の創出にも役立っています」(三菱自動車 石黒氏)

 データ基盤構築と併せて、データを使ってサービスを提供するサービス提供パートナーとの連携用ゲートウェイとAPIも整備した。システム連携やサービス開発を低コストで迅速に実施できる。

 充電時間を制御する英Kaluzaのプラットフォームと連携してEVの充電最適化を実現したのも、この一例だ。

 「データ基盤を軸に他社とスピーディーに協業できる体制が整いました。二人三脚で取り組んだ結果、双方に知見が蓄積されて良い関係が築けました。今後も、共にビジネスのニーズに素早く対応して新しいサービスを開発、提供したいと考えています」(三菱自動車 井上氏)

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud Division リーダー 執行役員 根岸弘光氏 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud Division リーダー 執行役員 根岸弘光氏

 DTC 根岸氏は、アドバイザリーから運用までを手掛ける狙いをこう話す。

 「ビジネスのゴールを考えながら、スタート地点からご一緒することでスピード感を持って新しい挑戦を検討できる部分は多いと感じます。われわれの知見を活用することで短縮できる検討フェーズもあるでしょう。三菱自動車さまの新しい取り組みが他社にも広がり、多様なコラボレーションによって新しい価値を作るお手伝いをしたいと考えています。いち早く実装してより良いサービスに昇華させるプロセスまでお手伝いできるのがわれわれの強みです。『今までにないものを作りたい』――。そう考える企業をこれからも支援していきます」

 DXの進展とともに企業の価値創出がデータと密接に関わるようになった今、事業成長の種まきにもデータに関する知見が必要になってきた。企業が目指すゴールが価値創出であるならば、ビジネスと技術の両方について知見を持つパートナーの存在感はますます高まるだろう。

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提供:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2023年6月27日