データマネタイゼーション成功の鍵はユースケースの創出にあり未知のニーズを“価値”に変えるには

データを使った価値創出に本腰を入れる企業が急増していることがPwCコンサルティングの調査で明らかになった。一方、どの自社データが価値を生むか判別できず、具体的な検討に着手できない企業も多い。解決の糸口を見つけるにはユースケースの創出が重要だ。

» 2023年06月07日 10時00分 公開
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データ利活用の目的は「効率化」から「新たな価値創出」へ

 「データ活用」がビジネス成長の鍵を握るといわれるようになって久しい。事実、あらゆる業界でデータを活用して大きな成果を出す企業が続出している。そのような中で、近年は企業がデータを活用する目的に変化が起きている。

 「かつて日本企業は欧米企業と比べてデータ活用で遅れていましたが、最近ではその差も縮まり、先行してデータ活用に取り組んできた企業の多くは業務効率化やコスト削減などの効果を着実に得ています。こうした企業がさらなる価値創出を目指して『データマネタイゼーション』に取り組む例が増えています」

PwCコンサルティングの河野美香氏(データ&アナリティクスチーム ディレクター)

 こう語るのはPwCコンサルティングの河野美香氏(データ&アナリティクスチーム ディレクター)だ。データマネタイゼーションとはその名の通り、データ活用による収益化や価値創出(マネタイゼーション)に向けた活動を指す。従来のデータ活用は自社データを集計、分析することで業務の可視化やボトルネックの洗い出し、コスト削減などに生かす取り組みが中心だった。

 データマネタイゼーションは、自社データに加えて外部データも活用して分析を行い、それらのインサイトを自社の収益向上に役立てる。こうした施策が注目を集める背景には、参加企業がデータを提供し合う「データ流通プラットフォーム」の登場がある。

 データマネタイゼーションが注目され始めた頃は、データ流通プラットフォームなどを介した「データ販売」のビジネスモデルが注目されたが、河野氏は「データマネタイゼーションについて、企業の関心の先は変化してきています」と指摘する。

 「データマネタイゼーションに対する理解や活動が進むにつれ、単純に自社データを販売するだけでは、大きな価値創出や収益化につながりにくいということに企業が気付き始めています。実際にPwCコンサルティングの調査でも、データマネタイゼーションで取り組みたいことや検討中の内容として、データそのものを販売することよりも既存の製品やサービスに対する付加価値を創出したり、新たなビジネスを検討したりするために外部データを活用し、データマネタイゼーションにつなげることを考える企業が増えています」(河野氏)

PwCコンサルティングの宿院 享氏(データ&アナリティクスチーム マネージャー)

 PwCコンサルティングはデータマネタイゼーションの方向性を「既存事業の強化・新たな収益源の創出」「実現速度・創出価値」という2つの切り口でマトリクス化している。同社の宿院 享氏(データ&アナリティクスチーム マネージャー)はこれについて「従来のデータ活用の中心であった『データの見える化による現状の把握』や『データの高度分析によるインサイト発見』といった施策も既存事業の強化を実現するデータマネタイゼーションの一環ですが、近年は新たな収益源を創出する『データの外部提供』『データ利活用による新規ビジネスの開発』といった方向性に多くの企業が注目しています」と語る。

図1 データマネタイゼーションの4つの方向性(出典:PwCコンサルティング提供資料)

関心層が増えてもデータマネタイゼーションが具体化しない理由

 PwCコンサルティングは、日本企業におけるデータマネタイゼーションやデータ流通の認知、検討、実行状況、課題を把握することを目的とした調査を2021年から実施している。2022年12月に実施した第2回調査では、データマネタイゼーションに対する企業の認知が広がっていることが明らかになった。

 「回答者の半数以上が既にデータマネタイゼーションを事業化しているか、もしくは検討に着手しています。そのうちの約57%が『外部企業からデータを購入し、業務に活用している』と回答しており、データ流通に対する企業の関心が高まっています」(宿院氏)

 データ流通プラットフォームについては8割近い回答者がその必要性を認識している。しかし実際に利用しているのは20%であり、広く普及しているとはいえない。

 約半数の回答者がデータ活用のための業界団体、コンソーシアムなどに「参加している」と回答したが、実際にその効果を実感できているのは34%で、理想と現実には大きなギャップがある。そのギャップについて宿院氏は「データマネタイズを意識して業界団体やコンソーシアムに参加する企業が増えていますが、多くの場合は参加そのものが目的で、漠然とした情報収集しかできていません。『何をするか』が明確ではない状態で参加しても、新たなサービスの創出や他社との協業は困難です」と指摘する。

 同調査では、データマネタイゼーションに取り組む企業の課題として「スキル・知見がない」「どのデータがマネタイズに適しているのか分からない」「アイデア・ユースケースがない」という回答が上位を占めており、多くの企業が初期の企画立ち上げや具体化に苦慮していると分かる。

図2 データマネタイゼーションの課題(出典:PwCコンサルティング「データマネタイゼーション実態調査2023」)

必要なのは異業種連携の視点 第3の視点でデータの価値を測る

 PwCコンサルティングは企業がデータマネタイゼーションの取り組みを具体化するための支援を行っている。クライアント企業のデータ活用を支援する「データアナリティクスチーム」を中心に、データマネタイゼーションの分野で実績を挙げている。データアナリティクスチームが持つ最大の特長は「データ活用のユースケースを豊富に保有し、部門横断で構成されるチームが伴走型でクライアントのユースケース、ビジネスアイデア検討を支援できる」点であると宿院氏は語る。

 「データアナリティクスチームは日米を中心とした2041件に及ぶユースケースを持っています(2023年5月時点)。この中からクライアントの課題やニーズに活用できそうなユースケースをご紹介しながら、ワークショップを通じてアイデア創出をご支援します」(河野氏)

 支援の中で鍵となるのが「他業界の課題・ニーズ」に関する情報の活用だ。外部データを活用する際は、同じ業界の企業が提供するデータだけでなく、他業界のデータを自社データと掛け合わせることで、これまでにない斬新なサービスを生み出すことができる。特定の企業で長く働いていると他業界の事情には疎くなり、「自社のデータが他業界でどのような価値を持つのか」「他業界のデータで自社がどのような価値を生み出すことができるのか」という発想を得にくい。

 さまざまな業界にパートナーを持っているPwCコンサルティングを通じて普段はなかなか知ることができない他業界のデータ価値やニーズを知ることで、自社データと組み合わせた新たな価値創造の可能性を探ることができる。

「異業種はどんなデータを求めているか」を業界横断で議論

 PwCコンサルティングはさまざまな業界のクライアント企業に対し、各業界のニーズや課題を適宜ヒアリングしている。ここで得られた情報はワークショップ等を通じてデータマネタイゼーションのアイデア創出に生かされる。

 このような過程を経て新たなビジネスアイデアが創出され、次にそれらの実現可能性や費用対効果などを評価し、具体的な施策に落とし込んでいく。場合によってはシステムのプロトタイプ作成や営業・マーケティング戦略検討なども支援する。

 こうしたPwCコンサルティングの一連の支援を通じて、多くのクライアント企業がデータマネタイゼーションの価値を認識して検討を進めており、実際にワークショップを通じてアイデアを出し、自社が保有するデータを活用した新たなビジネスモデルの開発に取り組んでいる企業もある。

図3 PwCコンサルティングは自社が持つユースケースや業界別のプロフェッショナルの知見を組み合わせて新たなユースケースを作り、伴走型で支援する体制を持つ(出典:PwCコンサルティング「データマネタイゼーション実態調査2023」)

 「こうした支援を提供するクライアントの数も年々増えており、特に先ほど紹介したアンケート調査のレポートを発表してからご相談頂くことがさらに増えました。『レポートの内容について詳しく知りたい』『自社の課題について一緒に検討してほしい』という相談が増えており、やはりデータマネタイゼーションに関する潜在的なニーズは高いようです」(宿院氏)

 PwCコンサルティングはクライアント企業に加え、さまざまな企業が集まる一般社団法人 AIデータ活用コンソーシアム(AIDC)でもユースケース創出のためのワークショップを提供している。ここでも多種多様なユースケースを紹介し、参加企業が自社に適したアイデアを創出できるように支援している。

 同社は、こうした活動を通じてデータマネタイゼーションの価値を広めていきたいと考えている。

 「PwCコンサルティングは国内外の先進事例に関する知見を豊富に持っています。こうした強みを生かして日本企業のデータマネタイゼーションの取り組みをさらに活性化させ、ひいては現在停滞している日本経済全体の活性化に貢献できればと考えています」(宿院氏)

河野美香(PwCコンサルティング データ&アナリティクスチーム ディレクター)

大手情報通信サービス会社やシステム開発会社でデジタルトランスフォーメーションやデータマネタイゼーションのコンサルティングサービスなどに従事し現職に至る。PwCコンサルティングではアナリティクストランスフォーメーションソリューションのリードを担当し、デジタルトランスフォーメーションやデータマネタイゼーション、データ利活用戦略策定、情報システム中長期計画策定支援などのプロジェクトを指揮。

宿院 享(PwCコンサルティング データ&アナリティクスチーム マネージャー)

デジタルマーケティング企業を経て現職。PwCコンサルティングでは全社データ基盤やKPIダッシュボードの構築、アナリティクスPoC・業務導入検討の支援など、データ利活用全般のプロジェクトに従事。企業のデータ利活用を支援するためのデータマネタイゼーションや産業間データ流通ソリューションの開発を担当。



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提供:PwCコンサルティング合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2023年6月25日