「忙しい中小企業ほど PC の入れ替えを最優先に」多忙を極める情シスの業務改革について考える

ハイブリッドワークが急速に浸透し、多様な働き方への対応は、もはや企業課題といえる。働き方改革の中核となるのが、あらゆる仕事のハブとして活用される「PC」だ。だが、導入にかかる初期費用を優先し、現場のニーズと異なる PC を導入するケースもあるのではないだろうか。情報システム部門はどうすれば従業員満足度の高い PC を選択できるのか。PC の最適なリプレースの検討方法や、PC 買い替えによる費用対効果を社内稟議に盛り込む方法など、多忙を極める現代の情報システム部門が知っておくべき情報を紹介する。日本マイクロソフトと、国内大手の IT 専門商社であるダイワボウ情報システムの担当者に聞いた。

» 2023年06月30日 10時00分 公開
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 現在主流の「Windows 10」のサポート終了は約2年後の2025年10月だ。一般的な PC リプレースサイクルを4〜5年とすると、感染症対策で急激に広がったテレワークへの対応のために導入した PC がちょうど買い替えのタイミングを迎える時期でもある。

 日本マイクロソフトは、ハイブリッドワークのためにデザインされた「Windows 11 Pro」搭載 PC への早期リプレースを推奨している。2年後は「まだまだ先の話」と判断している企業もあるだろうが「本当に後回しにしてよいかどうか」は今から検証しておくべきだろう。

「Windows 11搭載 PC へのリプレースは先の話」で本当によいのかを検証する

 日本マイクロソフトが提供する「Windows 11 Devices Calculator」は、Windows 10 Pro 搭載 PC を Windows 11 Pro 搭載 PC にリプレースすることによる費用対効果を、個々の企業のデータを入力することで金額ベースで算出することができるシミュレーションツールだ。

 「従業員数」「パワーユーザー率(開発など PC のパフォーマンスが問われるような仕事をする従業員)「3年後までのリプレース計画」「情シスへのヘルプデスクのチケット発行数」「従業員の平均給与」などの情報をインプットすると、リプレースに要するコストを差し引いた予測経済効果と「予測 ROI」(予測経済効果÷リプレースの投資:100%以上であれば「元が取れた」と判断できる)を算出する。「セキュリティ強化」「デバイスおよびセキュリティの管理性向上」「デバイス導入とプロビジョニングの時間短縮」「従業員の生産性向上」「ソフトウェアのコスト削減」の5領域に分けて算出する。

Windows 11 Devices Calculator。画像は米国版。本記事執筆の2023年6月時点では米国企業を想定したもののみだが、間もなく日本市場に合わせた日本語対応の簡易版を初夏にリリースする予定だ(出典: Microsoft の Web サイト)

 このシミュレーションは、調査会社Forrester Researchが Windows 11 Pro 搭載 PC へのリプレースを経験した米国の複数の企業にヒアリング調査した結果を基に、「従業員2000人、年間売り上げ10億ドル」の仮想企業でその費用対効果をモデル化したものだ。予測経済効果の算出には PC の処理性能向上の他、ハイブリッドワークの利便性やセキュリティ対応コスト、PC 管理者の業務負荷なども加味されている。

生産性、セキュリティ、管理効率……隠れたコストの削減効果を見逃すな

 筆者が実際に Windows 11 Devices Calculator を利用してみた。仮にリプレース率を1年目40%、2年目70%、3年目90%、パワーユーザーの割合を30%とした場合、従業員300人の企業の純予測経済効果は26万6410ドル(約3700万円 2023年6月の為替レートで試算)、予測 ROI は180%となる。従業員が1000人に増えると、それぞれ97万1272ドル (約1億3700万円 2023年6月中旬の為替レートで試算)、237%に拡大する。人数のパターンを幾つか試してみると、米国版の場合は110人で予測 ROI が100%になった。つまり110人以上の企業は、移行を今スタートすればメリットが出ることになる。システム開発や設計などに携わるパワーユーザーを多く抱える企業であれば数十人規模でも高い ROI が算出されるだろう。

 シミュレーションの結果を見ると「従業員の生産性向上」「セキュリティ強化」「デバイスおよびセキュリティの管理性向上」の3つがリプレースの経済効果に占める割合が大きいことが分かる。なぜ新しい OS を搭載した PC に入れ替えるだけでそれほどの大きな効果が見込めるのだろうか。

 日本マイクロソフトの仲西和彦氏(デバイスパートナーソリューション事業本部 マーケティング戦略本部 Windowsコマーシャルカテゴリー部 部長)は次のように説明する。

 「Windows 11 は生産性を高めることを重要なテーマとしてデザインしていて、よく使うアプリケーションはより少ない操作で扱えるように動線を計算するといった工夫をしています。細かなことの積み上げですが、多くの従業員が一日中操作するものなので数秒、数分の違いでも生産性が大きく向上します」

日本マイクロソフト 仲西和彦氏

 情報システム部門からすると「セキュリティ強化」や「デバイスおよびセキュリティの管理性向上」も気になることだろう。

 近年話題になっている「Secured-core PC」は OS よりも下のレイヤーのファームウェアや BIOS の保護、OS 認証のセキュリティ強化を要件としている。BIOS の改ざんなどの攻撃を防御する仕組みを PC 自体が持つため、近年増加しているファームウェア層を狙ったサイバー攻撃にも対処できる。セキュリティ機能は工場出荷時から有効になっているため、箱から出してすぐに安全な Windows PC として運用できる。このシンプルさは、情シスにとっても魅力的だろう。

 デバイス管理については「Windows Autopilot」(以下 Autopilot)と「Microsoft Intune」(以下 Intune)を利用することで、導入時のキッティングをクラウドベースで実施できる。情報システム部門が PC を開封する必要がないゼロタッチ導入、導入後の端末の管理、アップデートなどもクラウドで管理できるため、情報システム部門が必ずオフィスにいなくてはならないという状況を回避できる。Windows 11 Pro 搭載 PC であればほぼ全て Autopilot や Intune に対応しているため情報システム部門の作業量を大幅に低減できる。

 「Windows 11 Devices Calculator の算出モデルでは、トラブルチケットが最大80%減少するとされています。UI 改善による操作関連の問い合わせの減少やセキュリティ強化に起因していると考えられます。Windows 11 Pro、Windows 10 Pro よりも、セキュリティインシデントの発生が58%減少するというデータがあります(2022年 Forrester TEI レポート)」(仲西氏)

多忙な情シスほど「先に PC リプレース」が鉄則

 シミュレーションで PC リプレースの説得材料が得られたとしても、少ない人数でさまざまな要望に対応している情報システム部門からすれば「ギリギリまで現状維持で運用したい」と思うかもしれない。だが「逆に多忙な情報システム部門こそ、率先して Windows 11 Pro 搭載 PC を導入して時間をつくった方がいい」というのが「Do more with less」(より少ない時間や資源で、より多くの効果を生み出す)を提唱するマイクロソフトの提案だ。

 「先のシミュレーションでは、経済効果が出る要因として『セキュリティ強化』が占める割合が大きいと説明しました。セキュリティ機能が強化された Windows 11 Pro 搭載 PC を先に導入してエンドポイントのセキュリティレベルを上げておけば、ハイブリッドワークへの移行といった、環境の変化に対応するために導入するセキュリティソリューションを減らすことができます。これにより情報システム部門の皆さんの検討、管理工数も削減できるでしょう」(仲西氏)

仕事を楽にする PC 選定のポイントは3つ

 Windows 11 Pro 搭載 PC は既に多数出回っているが、予測経済効果を最大化させるにはどのような PC を選ぶべきだろうか。

 仲西氏はハイブリッドワークの生産性に関わる機能を重視すべきとして、「カメラ/オーディオ性能」「Secured-core PC、指紋/顔など生体認証などを筆頭にしたセキュリティ機能」「AI の業務活用を見越した基本性能」の3点を挙げる。

 主流になりつつあるハイブリッドワークで快適に業務をこなすためには、Web 会議で利用するカメラやマイク、スピーカーの品質にはこだわるべきだ。「カメラ/オーディオ性能」は従業員満足度に直結するポイントなので、コスト削減よりも品質を優先すべきポイントだと仲西氏も話す。

 セキュリティ強化においては、サイバー攻撃の巧妙化に対処するため、ファームウェアや BIOS を狙った攻撃をブロックする Secured-core PC の必要性が日本では年々高まっている。ID/パスワードに依存せずに生体認証が可能な製品であればさらに安全性を高められる。

 Windows 11 には今後、AI アシスタント「Windows Copilot」が統合される。プレビューの公開前で詳細は発表されていないが、この AI 機能の一部はローカル PC のリソースも一部利用すると考えられる。現況の業務が「ぎりぎり」でこなせるという要件で PC のスペックを見積もった場合、AI をフル活用した業務には対応できなくなる可能性もある。急速に発展する AI 市場を想像すると、はたして今日検討している PC が3年後のビジネスで十分に活用できるのかは、検討すべき重要な企業戦略であると考えられる。

 この他、前述の Autopilot や Intune による PC 運用管理の効率化を目指すならば「Microsoft 365 Business Premium」の導入は必須だ。

年間300万台を供給する法人 PC のプロが手掛ける「手間を掛けない PC 管理」

 Secured-core PC については、ダイワボウ情報システム(DIS)も「戦略モデル」として推奨する。

 DISの竹渕正治氏(販売推進本部 副本部長)は「当社は、国内大手ディストリビューターとして年間約300万台の PC を全国の法人に提供しています。全国1万9000社の販売パートナーと共に、中小企業や SOHO の事業主のリクエストにも柔軟に対応できる点が私たちの強みです」と語る。

DIS 竹渕正治氏

 同社は、コロナ禍とサプライチェーンの混乱が原因で PC の調達が困難だった時期でも豊富な在庫で、PC 需要にも対応してきた実績を持つ。

 「お客さまの声にすぐに応えるため、当社の在庫販売 PC の約半数を占めるDISオリジナルモデルについては、メーカー各社と早い段階で需要調整を行い、商品の確保に努めました」(竹渕氏)

 同社の顧客は中小企業が多く、中には情報システム部門のリソースが十分ではない企業もある。同社はそうした企業の PC 管理を支援するサービスも展開している。

 Autopilot を利用する際の手間として、PC のデバイス ID を個別に登録して設定する作業がある。同社のデバイス ID 登録代行サービスを利用すれば、Autopilot を設定した状態の PC が届く。国内外15メーカー以上と連携しており対象製品のラインアップが豊富なため、利用者の要望や業務内容に応じてデバイスを選べる点も魅力だ。同社パートナーに依頼すれば製品購入からセットアップまでを丸ごと任せられる。情報システム部門が手を掛けずに「ゼロタッチで」PC を調達できるのが特徴だ。

Autopilot に登録済みで各種セットアップが済んだ PC が届く(出典:DIS提供資料)

 以上で見たように、Windows 11 PC の導入は、情報システム部門の負担を軽減し、従業員の生産性向上につながる。リプレースによる経済効果を最大化するために、早期の対応をおすすめしたい。

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提供:ダイワボウ情報システム株式会社、日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2023年8月9日