データ分析の方法を“半日”で身に付けるプログラムとは「経験ゼロ」から社内でDXを実践するキーパーソンになるために

データをビジネスに生かしたい企業の中には「データをどのように活用すればいいのか」「スキルはどこで身に付けられるのか」などの課題を抱えるところも多い。デルは、こうした課題を抱える企業にデータ分析の実践的な手法を半日で学習・体験できる人材育成プログラムを提供している。

» 2023年07月20日 10時00分 公開
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 データ活用のスキルを持った人材を十分に抱えている企業はごく一部だ。スキルや経験がない状態でBI(Business Intelligence)ツールを全社的に導入しても、「結局使っていない」という状態に陥る。デル・テクノロジーズ(以下、デル)は、データ分析の未経験者や初心者のための人材育成プログラム「DX Learning Community」を提供している。

知見を持ち寄り、データ分析に取り組む

 デルは、中堅企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的とした「中堅企業DXアクセラレーションプログラム」を2020年から実施している。DX Learning Communityはこの一環だ。

 DX Learning Communityはデータ分析の専門家による指導の下、半日でデータ分析の実践的な手法を学習し、コンテスト形式で成果を発表する。開催に当たっては奈良先端科学技術大学院大学とdToshが協力している。

 DX Learning Communityは東京の他、大阪や愛知でも開催されている。2023年6月23日に東京で開催された第2回DX Learning Communityには26社から33人の参加者が集まった。データ分析経験の有無は問われず、気軽に参加できる。

 DX Learning Communityは他社の参加者とチームで作業する。さまざまな知見を持ち寄って共創することで新たな気付きが得られる場所になっている。

 参加者は、まずデータ分析の目的や具体的な手法を講義とハンズオンで学ぶ。その後、提供されるデータを使ってチームごとに分析し、分析から得られた知見をまとめる。最後にアウトプットを発表し、特に優れた分析を行ったチームが表彰される。参加者はプログラムで学んだ手法を自社に持ち帰って展開していく。

データ分析で最も重要な「KGI設定」を学ぶ

 データ分析は図1のプロセスで行われた。

図1 データ分析の流れ(出典:dToshの提供資料) 図1 データ分析の流れ(出典:dToshの提供資料)

 データ分析で最初に取り組まなければならないのが「経営戦略を達成するためのKGI(重要目標達成指標)の設定」だ。次に、KGIを達成するためのKPI(重要業績評価指標)を設定して必要なデータを準備する。そのデータを加工して分析・考察する。分析結果を基にKGI達成のための戦略を策定するまでが一連の流れだ。

dToshの平尾俊貴氏 dToshの平尾俊貴氏

 講師を務めたdToshの代表取締役 平尾俊貴氏(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学領域 助教)は「KGI設定が明確であれば、その後大きな迷いが生じることはありません。逆に言うと、KGIが明確でなければその後の取り組みに支障が出ます」とKGIの重要性を語った。

 今回のDX Learning Communityではデータ分析のテーマとして「在庫最適化」が設定された。分析対象のデータはメキシコの玩具チェーン「Maven Toys」の実際の販売データや在庫データが提供された。分析ツールは「Microsoft Power BI」(以下、Power BI)を利用。データ利用に慣れていない参加者が悩まないように、Power BIの起動からデータの読み込み、初期データにはなかった売り上げデータの追加、データをPower BIでグラフ化して見るといった基本作業がハンズオンで行われた。

チームでデータの加工や分析、洞察、戦略を策定

 各チームはKGIに沿って「在庫が少ない商品はあるか」「どの時期に入庫が遅れそうか」「適正な在庫量はどの程度か」などを検討する。データをPower BIで季節ごとの在庫量を示す棒グラフや入庫のリードタイムを示す時系列グラフ、安全在庫予測の表などに加工して考察し、それを基に新たな戦略を練っていく。

dToshの奥野敬太氏 dToshの奥野敬太氏

 平尾氏と共に講師を務めたdToshの奥野敬太氏(研究開発エンジニア)は「間違いを気にする必要はありません。まずは会話を重ねてさまざまな意見を集めることが重要です」と参加者に声を掛けた。

 奥野氏によると、在庫最適化がテーマのデータ分析では「安全在庫」「安全在庫日数」「発注点」「リードタイム」を明確にすることを意識すべきだという。安全在庫とは、不確実な需要変動に対して欠品を起こさないように持つ最低限の在庫数を指す。安全在庫は「平均販売数量×安全在庫日数」、発注点は「安全在庫+平均販売数量×リードタイム」の計算式で導ける。1日当たりの平均販売数量が200個で平均リードタイムが30日の場合に30日分の安全在庫を持ちたいとすると、「200×30」で安全在庫は6000個となる。

図2 在庫管理を行う上での基準値の出し方(出典:dToshの提供資料) 図2 在庫管理を行う上での基準値の出し方(出典:dToshの提供資料)

 奥野氏は「データ分析ができたら、次は戦略策定です。特定の製品の在庫が減る時期が明確になったら、事前に安全在庫を確保します。モデルチェンジの多い製品は不良在庫を抱えすぎないように意識することも必要でしょう。確固たる根拠をデータと一緒に提示できれば、『費用対効果の見える化』『事業体制の整理や確認』『社内承認方法の確認』などを経営層に伝えやすくなります」と話す。

会場の様子 会場の様子

“5チーム5様”の在庫最適化戦略が誕生

 DX Learning Communityの特徴は、データ分析を実践して発表という形で他チームと気付きを共有して学びを深められる点にある。分析を進める中で出てきた不明点は、講師にすぐに相談できる。

 今回、参加者はA〜Eの5チームに分けられた。チームAは、Maven Toysの中で最も売り上げが低い店舗「ラパス1号店」の売り上げ向上をKGIに設定した。売り上げが最も高い店舗「メキシコシティー1号店」と比較し、欠品をなくすことをKPIに設定した。データを見る中で「Lego Bricks」(レゴブロック)の在庫が足りなくなる時期があることに気付き、早めに発注するという戦略を採った。

 チームBは過剰在庫と無駄な仕入れを減らすことをKGIとして設定した。データ分析の過程で安全在庫の考え方を無視して仕入れが行われていることに気付き、安全在庫の考え方に沿って在庫数を適正化することをKPIとした。在庫スペースの有効活用やキャッシュフローの改善を目指す戦略を採用した。

 チームCはArt & Craftsという商品カテゴリーの売り上げ向上をKGIにした。KPIには、販売数が多い主力商品や利益率の高い新商品の売り上げ向上を掲げた。Art & Craftsの商品は季節性が高く、製品のライフサイクルが短いことにデータを分析して気付いた。そこで売り上げが落ちた製品は販売終了とし、新規商品を積極的に展開する戦略を採った。

 チームDは、Maven Toysにおけるレゴブロックの売り上げ向上をKGIにした。KPIには在庫の回転数の向上を掲げた。データを分析する中で、レゴブロックの販売数が増える時期が店舗によって分散しているため他店舗と在庫を共有できると判断した。戦略は在庫をエリアで持ち合い、在庫の最適化を目指すことにした。

 チームEは、Maven Toys メキシコシティー1号店の利益を1600ドル改善することをKGIとした。1000個の在庫を200個に減らすことをKPIに設定した。データを分析する中で、単価が高い製品であるスライムの在庫を適正化すれば仕入れ原価を抑制できることに気付き、スライムの在庫を減らすことを戦略に掲げた。

 これらの発表を審査した結果、チームCが表彰された。

図3 チームCのデータ分析レポートの一部(出典:dToshの提供資料) 図3 チームCのデータ分析レポートの一部(出典:dToshの提供資料)

 チームCのリーダーはDX Learning Communityについて「さまざまな企業のチームメンバーと協力してデータを分析することで多様な意見を学べました」と述べた。

 平尾氏は「全チームがそれぞれのKGIに向かって素晴らしいデータ分析ができました。チーム間にあまり差はありませんでした」と前置きして、チームCを選んだ理由について「データ分析は戦略を練ることが重要です。チームCは、営業戦略から在庫戦略に落とし込むロジックでデータを分析しました。データ分析の結果を受けて戦略を策定するまでのストーリーもきれいに作られていました」と評価した。

 奥野氏も「評価ポイントはプレゼンテーション力やロジカル性、実現可能性、洞察力の4点で、チームCは総合的に高い評価を受けました。データをどのように読み解いたかについても論理的に発表していました。東京での開催は2回目で、前回に引き続き参加された方もいます。継続した取り組みが分析レベルの向上として現れたのだと思います」と語った。

 DX Learning Communityでは、データ分析のスキルがない参加者がデータを加工して分析し、その結果を基に戦略まで策定する。半日という限られた時間で実践的に取り組めることを評価する企業の参加要望が増えている。

 「DX Learning Communityを通じて、『どのようにKGIやKPIを定めるか』『どのように売り上げを上げるか』を考える姿勢が最も大事だと理解し、それを自社に持ち帰ってほしいと考えています。データ分析ツールの使い方やデータ分析の細かな手法も重要ですが、まずは考えて挑戦する姿勢が何よりも重要です」(平尾氏)

DX Learning Communityの概要紹介動画

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2023年7月31日