RPAのリーディングカンパニーがWebブラウザでの開発環境を提供 市民開発を促進するカギとなるかRPAは全社的なプロセス改革ツールに進化

「RPAツールを社内で配布したが、使われていない」「自動化に取り組みたいが、環境の整備に時間がかかるため、踏み出せない」という悩みを抱える企業は多い。こうした中、Webブラウザでの開発・実行を可能にすることで、自動化のハードルを低くし、全社展開をスピーディーに進める製品がリリースされた。

» 2023年07月27日 10時00分 公開
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 UiPathはクラウドベースで自動化プロセスを開発・実行できるRPA(Robotic Process Automation)ツール「UiPath Studio Web」の一般提供を開始した。これまでも同社は「UiPath Studio」「UiPath StudioX」と、ノーコードで自動化シナリオを作成するRPA開発ツールを提供してきた。Studio Webは自動化のハードルをさらに下げるだけでなく、「全社的なプロセス改革ツール」として「UiPath Business Automation Platform」の中で重要な役割を担う。

 新製品のポイントや使い方、さらにUiPathが目指す方向性について、同社の夏目 健氏(プロダクトマーケティング部 部長)に話を聞いた。

RPAから自動化Platformへ 変化する自動化のスコープ

 日本では2016年ごろからRPAのブームが始まり、着実に普及してきた。先進的な企業は小規模にRPAを導入した後、適応範囲を徐々に拡大して大きな成果を創出している。こうした事例を背景に、RPAを個人作業の効率化用ツールとしてだけでなく、全社的なプロセス改革のためのツールに位置付ける動きもある。

 RPAの位置付けが変化する中、世界のRPA市場をリードするUiPathも進化を続けてきた。UiPathは2017年2月に日本法人を立ち上げた際には、「開発」「管理」「実行」をつかさどるRPAのコア機能を提供していた。

 その後、顧客のニーズに応えて業務フローの可視化や整理に役立つプロセスマイニングツール「UiPath Process Mining」や自動化アイデアの収集・管理支援ツール「UiPath Automation Hub」、API連携を実現するコネクター群「UiPath Integration Service」、テスト工程に焦点を合わせた自動化ツール「UiPath Test Suite」、ロボットの稼働状況を評価・分析するツール「UiPath Insights」といった周辺機能を次々と追加し、RPAの利用拡大を後押ししてきた。

UiPath 夏目 健氏 UiPath 夏目 健氏

 「RPAを全社的なプロセス改革のツールとして位置付けて活用するためには、IT部門などの開発者はもちろん、現場の業務を担当しているビジネスユーザーを巻き込む必要があります。RPAは業務に直結するツールなので、開発には現場の業務への深い理解が欠かせないからです」とUiPathの夏目氏は説明する。

 その上で、「プロ開発者から現場担当者まで、あらゆるステークホルダーが自分たちで作れる、使える、そして業務自動化を理解して価値を創出できる――。そういった世界をUiPathは目指しています」と語る。

 製品スイートの最新版「UiPath Platform 2023.4」では、生成AIを活用したアドオン機能やガバナンスと制御を実現するエンタープライズツールが追加され、より多くのCoE(Center of Excellence:部門横断型のエキスパート集団)や開発者、そしてビジネスユーザーに自動化を実行する機会を提供している。

UiPath Platformが実現する世界(出典:UiPathの提供資料) UiPath Platformが実現する世界(出典:UiPathの提供資料)

インストール不要ですぐに使える、自動化のハードルを下げるStudio Web

 現場の業務を自動化するツールであるRPAの利用を促進して成果を出すためには、業務を知る事業部門の従業員がプロジェクトに参画することが重要だ――。UiPathはこのメッセージを繰り返し打ち出してきた。そして、特別なITスキルを持たない現場担当者が手軽に使えるように操作性の向上に取り組んできた。

 その一例が、幅広いユーザーのための開発環境の提供だ。2016年にはローコード開発ツールのStudioをリリース。自動化プロセスをすぐに作れるテンプレートを用意するなど、より効率的に開発できる環境を提供した。2019年には、Studioにおける変数などの難しい概念を簡略化し、コード不要、ドラッグ&ドロップでRPAを開発できるStudioXの提供を開始した。現場担当者が中心となる市民開発によって自動化の裾野を広げている。

 このStudioファミリーに新たに加わった製品がStudio Webだ。これはオートメーションプロセスの開発から実行に至る工程をブラウザ(「Google Chrome」または「Microsoft Edge」)で実現するクラウド型開発ツールだ。「『StudioやStudioXよりも易しく』というよりも、『よりハードルを低く』というベクトルで開発した」と夏目氏は説明する。

 Studio Webの大きな特徴は、ブラウザベースのツールであるためインストール不要ですぐに使い始められることだ。PCのスペックやOSを気にする必要がなく、クロスプラットフォームで開発・実行が可能だ。Salesforceのデータをダウンロードして、Excel Onlineに転記するような自動化プロセスを、「アクティビティ」のカードをつなげるだけですぐに作成できる。

 RPAの導入・利用促進を担うIT部門にとっては、ソフトウェアの準備やPCのスペックの確認、インストール作業、ソフトウェアの更新管理といった手間が不要になるというメリットがある。複数のテンプレートが用意されているため、プログラミング知識がない人でもすぐに自動化シナリオの作成に取りかかれる。

 API連携をベースにしたアクティビティも多数用意されている。「Microsoft 365」(「Outlook」「OneDrive」「Excel Online」など)、「Google Workspace」(「Gmail」「Googleドライブ」など)、「Slack」、Salesforce、Amazon Web Services」(AWS)といった30種類以上のクラウドサービスと連携可能で、各サービスを利用するための多数の自動化フローがアクティビティ化されている。

 アクティビティは「ブラウザーを使用」「テキストを取得」のように実際の操作に沿った名称が付けられているため、見つけやすくて使いやすい。

Studio Webの操作画面のイメージ(出典:UiPathの提供資料) Studio Webの操作画面のイメージ(出典:UiPathの提供資料)

 Studio Webで開発したシナリオはクラウドですぐに実行できる。開発開始から簡単なものであれば数十分で自動化プロセスを実行し、成果を出せるスピード感が魅力だ。RPAに興味はあるものの、環境整備や開発工数がハードルとなって二の足を踏んでいるユーザーでも、Studio Webであれば「試してみよう」と思えるのではないだろうか。

 UiPathは「Studio Webによって WebブラウザやクラウドサービスのWebベースの自動化が可能になった」と表現する。これまでStudio、StudioXはAPI連携による自動化やUI操作の自動化に注力してきた。新製品のStudio Webによって、Webブラウザベースの自動化も簡単にできるようになった。

 「2022年にStudio Webの開発を発表したときには、“API連携とブラウザベースの自動化だけでは、できることは限定的では?”といった懐疑的な見方があったのは事実です。実は私もその一人でした。しかし実際に使ってみると、Studio Webにより日常業務の中にある多くのタスクの自動化が行えるという印象が持てました」(夏目氏)

 Studio Webで作ったシナリオはStudioやStudioXに簡単に移行して利用できる。現場担当者がStudio Webでモックアップ的にスピーディーに作ったものを、CoEがStudioを使って高度化することもできる。Studio Webでまず現場担当者による市民開発を進め、自動化の裾野を広げた上でStudioXやStudioでさらに広範囲の自動化に挑戦するといったやり方も考えられる。

RPAを適切に管理し、ガバナンスを効かせる仕組みでスケールをサポート

 社内でRPAをスケールさせる際、重要になるのが管理・運用機能だ。UiPathはこの点をサポートする仕組みも備えている。その一つが「UiPath Orchestrator」だ。Orchestratorは自動化シナリオを一元的に管理するツールで、RPAのセットアップや展開、監視、測定、追跡などに必要な機能を備えている。RPAの適用範囲を拡大するためには管理・運用の効率化は欠かせない。

 「現場によるRPAの開発では、『ユーザーにライセンスを渡したのに活用されていない』とか、『自動化シナリオを作ってみたが、エラーが頻繁に起こるので利用をやめてしまった』とかいった課題を聞くこともあります。Orchestratorに組み込まれている分析ソリューションのInsightsを使うと全社単位、部門単位で稼働状況が可視化されます。それを基にRPAの展開状況を最適化することでそのような問題を解消できます」と夏目氏は説明する。

 Insightsは、Orchestratorが取得したログをベースに自動化プログラム全体のパフォーマンスを追跡、測定、管理する。製品やライセンスをユーザーへ渡しっぱなしにするのではなく、CoEがサポートする体制があることで、現場は安心して積極的にRPAを活用できるようになる。

 RPAを全社展開する上で適切に管理・運用し、ガバナンスを効かせるための仕組みは必要だ。しかし、全社展開してから仕組みを構築するのでは遅い。一部門でパイロット的にスタートして成果を得て、「これから全社展開しよう」という段階で管理・運用の仕組みを整えることが大切だ。UiPathなら、それぞれの段階で必要なソリューションを利用できる。

クラウド対応でよりスピーディーな展開が可能に

 Studio Webは、UiPath Platformのクラウド対応という意味でも重要な意味を持つ。UiPathは、これまでRPAの実行、管理基盤のクラウド化を進め、大規模かつ大量の業務を自動化するための拡張性を提供してきた。さらにStudio Webで開発環境のクラウド化を実現したことで、よりスピーディーな全社展開が可能になった。

 「RPAは、現場担当者が自分たちの手で素早く業務を改善できるツールです。クラウドの俊敏性ととても相性が良いと言えます。素早く導入し、小さな規模で使い、すぐに成果を出す。それを今度は全社に広げていく。UiPath Platformはクラウドという選択肢を提供することで、スピーディーなRPAの社内展開を後押しします」(夏目氏)

 Studio Webは、SaaS(Software as a Service)として利用できる機能をまとめたUiPath Automation Cloudの一機能として提供される。60日間の無料トライアル期間が用意されているので、まずは現場担当者と一緒にRPAに触れて自動化への一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。

 RPAは「デスクトップ作業の効率化のためのツール」という枠組みを超えて、「全社的なプロセス変革のためのインフラツールの一つ」になりつつある。RPAのメリットを最大限に発揮するためにはIT部門やCoE、そして現場担当者など、社内のあらゆるステークホルダーが自動化プロジェクトに関わることが重要だ。UiPathはそのハードルを下げ、さらに全社展開のスピードを上げる仕組みを提供している。

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提供:UiPath株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2023年8月18日