最短6カ月で現場の従業員をデータ活用人材に その“効果的な”育成法とは現場主導のデータ活用組織のつくりかた

データ活用に取り組む中で「データ活用人材の不足」という悩みを持つ企業は多い。NECはこの悩みを効率的に解消するサービスを提供するというが、どのようなサービスなのだろうか。

» 2023年09月04日 10時00分 公開
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 VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)時代といわれる昨今、組織内で蓄積されたデータに基づいて、過去や現在を正確に理解し、さらには未来をスピーディーに見通す力が問われている。そのためには、データを基に経営層が判断を下す「データドリブン経営」と併せて、現場の従業員がデータ活用を進める「データ活用組織」としての仕組みが欠かせない。

 だが、それらの実現には多くの課題が存在する。経営層から従業員まで、組織全体でデータ活用への理解を深め、データ活用を前向きに考える文化が必要だ。また、データを蓄積、分析するための分析環境の整備に加えて、データ分析業務の遂行能力をもつデータサイエンティストも欠かせない。しかし、データサイエンティストの獲得競争は激しく、雇用するにしても苦戦を強いられるだろう。

 本稿は、これらの課題を解消し、組織をデータ活用組織に短期間で変革する方法を解説する。

データ活用組織になるには「三位一体」の考え方が必要

NECの梅津圭介氏

 「データサイエンティストを雇いさえすれば、データ活用組織を実現できる」という考え方は間違いだ。NECの梅津圭介氏(データドリブンDX統括部 ディレクター)は、データ活用組織の実現には「3つの課題が存在する」と話し、「組織文化の醸成と浸透」「分析環境の整備」「データ活用人材の育成」を挙げた。同氏は、1つ目の課題を次のように説明する。

 「データ分析は、試行錯誤しながら実験的に取り組みを積み重ねなければなりません。失敗から学ぶことも重要で、その取り組みは遠回りに見えることもあります。その事実を経営層やマネジメント層が理解し支援しなければ、取り組みを継続し大きな成果を出すことは不可能です。このような組織文化が浸透しなければ、仮にデータサイエンティストを確保しても、データ活用組織への転換は難しいでしょう。経営層のデータ分析に対する理解は、データ活用組織への変革のための大きなポイントの一つです」

 2つ目の「分析環境の整備」のポイントとして、梅津氏は「優先順位をつけて、DWH(データウェアハウス)へのデータの蓄積をはじめること」を挙げる。

 「データの蓄積なしにデータ分析を進めることはできません。一方、最初からありとあらゆるデータの蓄積を施行し、その対応にかかる人的リソースとコストが肥大化することでプロジェクトが頓挫するというケースは後を絶ちません」(梅津氏)

 データ分析基盤やDWHの構築にかかるコストは安くない。蓄積すべきデータを見極め、データ蓄積の戦略やロードマップを作ることが重要だ。また、成果が得られるまでには相応の時間を要するため、ここでも経営層の理解が求められる。データ活用に対する経営層の明確な意思決定は、分析環境の整備にかかる期間を大幅に短縮する。

 そして、何より重要なのが3つ目の「データ活用人材の育成」だ。

 梅津氏は「データ分析に必要な能力は、統計学や機械学習の知識、プログラミングスキルなど多岐にわたります。これらの知識とスキルは、どれも習得の難易度が高く、習得には数年単位の時間を要します。また、ビジネスで成果を出すにはこれらのスキルだけでは足りません。ビジネスの現場に存在する業務課題への深い理解やデータ分析の結果に基づいて業務のやりかたを変革する能力も重要です。ビジネスを理解し、かつデータを扱える人材の育成が必要なのです」と説明する。

 ビジネス現場の業務課題を理解している人材でなければ、データ活用をビジネス成果につなげることが難しい。「業務の内容や課題を深く理解している現場の従業員が、データ分析を進める」という状態が、成果を出す近道になる。一方、現場の従業員に対して、1年以上にわたるデータサイエンティスト育成プログラムに専念させることは現実的ではない。この問題はどのように解決すべきなのか。

最短6カ月で現場の従業員をデータ人材に変えるには

 これら3つの課題を解消し、データを活用できる組織への転換を目指す企業に向けて、NECは現場の従業員を最短6カ月でデータ人材にする「DX人材育成サービス」と、データ活用を支えるAI自動化ソリューション「dotData」を提供する。これらによって「データ活用組織」への転換を最短で実現する。

NECの前田陽一氏

 NECの前田陽一氏(データドリブンDX統括部 主任)は「データ活用と言うと、業務に携わる従業員とデータサイエンティストがコンビを組んで取り組むのが比較的多く見られるケースです。当社のDX人材育成サービスは『業務の理解度が高い現場の従業員がデータ分析能力を身に付ける』という発想から生まれたサービスです」と説明する。

 DX人材育成サービスで使う研修材料は、ユーザー企業の“実務課題”で構成される。dotDataで得られた分析結果を基に、ビジネスに活用できるデータを見定めながら分析能力を高める。dotDataと研修サービスを掛け合わせることで、ツール操作の習得と分析スキルが同時に身に付き、データ人材の早期育成を可能にする。

 「最短距離でデータ活用組織を目指すなら、業務課題を把握している現場の人材を教育するのが近道です。データ分析の知見がない従業員でもデータ人材として育成できます」(前田氏)

 DX人材育成サービスは、集合研修とOJT(伴走型支援)の2つの研修から成る。

DX人材育成サービスの研修内容(出典:NECの提供資料)

 集合研修のカリキュラムは約1時間の「DX最新事例の理解」と、1時間半の講習を4回実施する「データサイエンスの基礎」に加え、3時間のハンズオンと約11時間のセルフトレーニングで構成される。データサイエンスの基礎とdotDataの研修は一般従業員とマネジメント層が受講対象だ。実践編となるOJT研修では「ユースケースの定義」「分析と結果の読み解き」「施策定義」を学ぶ。

NECの松本 健氏

 NECの松本 健氏(データドリブンDX統括部)は「研修では部門ごとに分かれて、データサイエンティストの講師がそれぞれのチームを支援します。OJT研修では実データを使うので、スピーディーなビジネス成果の創出も期待できます」と述べる。

 同サービスを利用した企業の一つが三菱電機ビルソリューションズだ。同社はデータ活用による企業力の強化を目指していたが、ROI(投資利益率)の回収が見込めず、データ活用の障壁になっていた。そこでdotDataを活用してデータ加工や特徴量の設計、機械学習などを自動化し、DX人材育成サービスによってデータ活用スキルの習得やデータ活用文化の醸成に成功した。同社は「研修の際は多様な疑問や要望をNECに出したが、迅速に改善案を提案してくれた」と対応を評価した。

dotDataで、熟練のデータサイエンティストでも時間を要する特徴量設計を自動化

 dotDataは、NECから戦略的カーブアウトして、シリコンバレーで創業したdotData,IncのAI自動化ソリューションだ。

 一般的なAIデータ分析では、対象データを収集し、それらを加工して予測に役立つ変数(特徴量)を数値化する特徴量設計、機械学習によるデータ可視化といったプロセスを踏む。一連の作業に数カ月を要することも珍しくない。dotDataはビジネス課題に応じたデータの収集から加工、特徴量設計などを自動化できる。

数カ月を要していたデータ分析を数日に短縮可能(出典:NEC提供資料)

 梅津氏は「データの前処理段階で、特に難易度が高く専門家の知見が必要とされていた特徴量設計が自動化されることで、データ分析の難易度は劇的に低減され、データ分析にかかる期間も圧倒的に短縮できます」とdotDataのメリットを説明する。

 特徴量設計は、取得した業務データをAIに入力可能なデータ形式に変換する作業だ。例えば「明日の野球場でのフライドポテトの売り上げを予測し、欠品と売れ残りを減らしたい」という課題があるとする。この場合、購入者の特徴や当日の天候、気温などのデータを収集し、「フライドポテトの売り上げに影響する要因は何か?」といった仮説を立てながらデータを変換する。この工程には統計学や機械学習の知識、データ群を結合・変換するための高度なプログラミングスキルが必要となるが、dotDataはこの工程を自動化し、データを自動変換する。

 全国で約1万5000店舗のコンビニエンスストアを運営するローソンもdotDataを利用する一社だ。数週間を要していたデータ分析を短縮し、マーケティングにおいて迅速なPDCAの展開が可能になった。dotDataで購買者の特徴分析や対象者リストの作成を実施し、そのID-POS(顧客購買行動)データを基に商品の割引クーポンを発行するなどの施策も生まれた。その結果、類似商品を購入した人が新商品を購入する割合が約12倍に拡大した。

 新型コロナウイルス感染症の発生や国際情勢の変化など、社会や経済は不安定さを増している。それまで競合関係になかった企業が、データとテクノロジーを活用することで新たなビジネスの領域に参入し、競業化するケースも増えている。VUCAの時代は、OODA(Observe:観察、Orient:状況判断、Decide:意思決定、Act:行動)のアプローチが適している。過去や現在を正しく理解して未来を見通すために、データを経営の中心に据えるという流れは今後も加速するだろう。

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2023年9月24日