6製品を比較 新グループウェアに「Garoonとkintoneの組み合わせ」を選んだ理由「いつでも、どこでも、かんたんに」を実現

ITシステムの刷新時に、選定担当者は何に注意すべきだろうか。サイボウズ主催のイベント「Cybozu Days 2023」のセッション「DX推進担当が語る! Microsoft 365ではなくGaroon・kintoneを選んだワケ」で語られたポイントを紹介する。

» 2023年12月18日 10時00分 公開
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 課題が山積しているITシステムをどう刷新するかに悩む企業は多い。特に、全社で利用されるグループウェアには、「あまりIT知識がない従業員にも分かりやすいこと」「さまざまな働き方をしている従業員が使いやすいこと」といったさまざまな制約がある。

 マナックは、これまで利用していたグループウェア(以下、旧グループウェア)を刷新するに当たって、サイボウズのグループウェア「Garoon」とノーコード開発ツール「kintone」の組み合わせ(通称「ガルキン」と呼ばれている)を選んだ。同社は製品を選ぶに当たって何を重視したのか、また製品選定時に気を付けるべきポイントとは何か。

「情報という血液」を隅々まで届けたい

 1948年に松永化学工業として設立され、1988年に現在の社名に変更したマナックは、従業員数約200人の化学メーカーだ。「『スペシャリティーケミカルをベースに社会の進化・発展に貢献する』〜進化する技術、そして進化する人間をめざして」という企業理念に基づき、電子材料や医薬品原料、難燃剤といった原材料をさまざまな分野の先端技術産業に提供している。

 同社がグループウェアの刷新を検討した理由は次の3つだ。

1.コミュニケーションと情報共有を「いつでも、どこでも、かんたんに」したい

 旧グループウェアでは会議室のスケジュールは共有できたが、従業員のスケジュールは共有できなかった。会議の日程調整をする際は、出席予定者のスケジュールを電話や旧グループウェアのメール機能を利用して確認する必要があったという。旧グループウェアはスマートフォンへの対応が限定的で、メールの確認しかできないのも外出が多い営業担当者などの不満になっていた。旧グループウェアをチェックする際はVPNに接続する必要があるため、オフィス以外からのアクセスに手間がかかっていた。

2.紙とはんこによる申請・承認のペーパーレス化

 申請・承認業務の一部は、旧グループウェア時代にもデジタル化されていた。しかし、稟議(りんぎ)書やシステムの利用申請書、社用車の予約管理など、多くは紙ベースだった。旧グループウェアのアカウント発行にも紙の申請書にはんこを押していた。取引先に化学物質の危険性や暴露した際の応急措置などを伝えるSDS(安全データシート)作成依頼票の承認・管理には最大19個の押印が必要だった。

3.脱・旧グループウェア

マナックの笠原慎一氏 マナックの笠原慎一氏

 旧グループウェアの運用スキルを持つ人材の不足と旧グループウェアを搭載しているハードウェアのサポート終了が迫っていることも検討の理由だった。

 マナックの笠原慎一氏(デジタル推進部 部長)は「社内には『旧グループウェアのままでもいいのではないか』という声がありましたが、コロナ禍で在宅勤務が導入されたことから脱・旧グループウェアの機運が高まりました」と当時の状況を話す。

 結局、マナックはグループウェアの刷新を基幹システムの刷新プロジェクトに組み込んで進めることになった。「こうして進んだ背景には、グループウェアの重要性を経営トップにインプットしていたことがあります。基幹システムの刷新も重要ですが、情報共有も大事です。身体に例えるならば、情報という『血液』を身体の隅々に届ける血管がグループウェアです」(笠原氏)

任意参加の研修会に60人以上が参加

 旧グループウェアの刷新に当たって、マナックは2020年6月から6つのグループウェア製品の比較検討を開始し、3製品に絞り込んだ。2020年11月にJBCCとサイボウズが共催した「Garoonセミナー」に参加し、その後新しいグループウェアに期待する要件をとりまとめるため、社内ヒアリングを実施した。グループウェアの移行について、絞り込んだ3製品のいずれも取り扱いがあり、旧グループウェアからの移行実績のあるJBCCの支援を受けることを決めたマナックは、JBCCから提案を受けGaroonとkintoneの組み合わせとMicrosoft 365を最終候補とした。

JBCCの富来 奈津子氏 JBCCの富来 奈津子氏 

 JBCCの富来 奈津子氏(ハイブリッドクラウド事業部 クラウドDX本部 営業推進部 部長)は製品を選ぶ際に考慮すべきポイントについてこう話す。

 「重要なのは『機能の有無の確認』『価格の試算』『定性部分の評価』の3つです。中でも特に重要なのが定性部分の評価です」

 なぜ定性部分の評価が特に重要なのか。「多くの企業が採用する機能の有無を○×で示して比較する方法だと、『機能が搭載されていても使い勝手が少し悪い』といったケースが評価に反映されません。数値で評価することで、『なぜこの評価にしたか』をベースに議論できます」(富来氏)

 マナックでは、ユーザー部門も含めた移行プロジェクトに携わる8人のメンバーがトライアルに参加し、一人一人が各ソリューションを評価した。「定性部分の評価」では「使い勝手」「教育」「コスト」「運用管理」「サポート」の5項目を数値化した。各項目には2〜3個の小分類を設定し、1〜3の3段階で評価する。グループウェア刷新のテーマである「いつでも、どこでも、かんたんに」に基づいて項目によって2〜3倍の「重み付け」をし、合計点数を算出した。「評価項目を増やしすぎないよう注意しました」(笠原氏)

図表1 定性部分の評価方法(出典:マナックの講演資料) 図表1 定性部分の評価方法(出典:マナックの講演資料)

 笠原氏は検討の際に注意した点について「点数付け自体は目的ではなく、評価を基にプロジェクトメンバーで議論することが大事だと考えました。実際の業務やプロジェクトメンバー以外のユーザー部門の従業員が利用しやすいかどうかを考慮しつつ検討を進めました」と振り返る。

 こうして検討を進めたマナックは、2021年6月の判定会議でGaroonとkintoneの採用を決定した。

 決め手について、笠原氏は「Garoonのポータルとスケジュールが使いやすいことが決め手になりました。Garoonを立ち上げたら、Garoonとkintoneからの通知やスケジュールなどを一目で確認できるので、『今日やること』が明確になります」と語る。 

図表2 Garoonの表示イメージ(出典:マナックの講演資料) 図表2 Garoonの表示イメージ(出典:マナックの講演資料)

 ユーザー部門がkintoneを使って業務アプリを作ることで、現場主導の業務効率化に取り組めると考えたことや、サンプルアプリによって移行後のイメージがつかめたことも Garoonとkintone を選んだ理由だ。

 「Microsoft 365の『SharePoint』でもワークフローなどは組めますが、非エンジニアである当社の現場担当者が取り組むにはハードルが高過ぎるとトライアルで感じました。kintoneは直感的に利用できることが分かったため、導入を決めました。JBCCが作成したサンプルアプリによって、旧グループウェアで利用していたデータベースをkintoneで作成したアプリに移すとどうなるかをイメージできたことで安心感もありました」(笠原氏)

 kintoneの導入前研修は、任意参加にもかかわらずユーザー部門の従業員を含めて60人以上が参加した。「kintoneへの期待の高さを感じました」(笠原氏)

「いつでも、どこでも、簡単に」を実現したGaroonとkintoneの使い分け

 マナックではGaroonとkintoneを次のように使い分けている。

  • Garoon:スケジュール、ポータル、掲示板、メッセージ、スペースなど、コミュニケーション基盤として
  • kintone:ワークフロー、資料管理、案件情報、タスク管理など、業務アプリを自分たちで作成するためのセルフサービス基盤として

 Garoonとkintone を採用したことで課題だったスケジュールの共有が可能になり、日程調整にかかる手間が減った。Web会議システムとの連携も可能になった。旧グループウェア時代は限定的だったスマートフォンでの利用は、Garoon、kintoneともサイボウズから提供されているモバイルアプリによって可能になった。VPN接続が手間だった外出先からのアクセスはIDaaS(IDentity as a Service)を利用したシングルサインオン(SSO)で安全かつ簡単にできるようになった。

 紙とはんこによる申請・承認のペーパーレス化はkintoneアプリの作成・利用ができる部署から進んでおり、一番進んでいる研究開発部門ではペーパーレスがほぼ実現した。「Microsoft Excel」や紙を利用していた回覧はkintoneアプリで、紙で管理していた社用車管理はGaroonの施設予約機能で運用している。印刷して押印していた稟議やSDS作成依頼などはkintoneを使ったアプリでデジタル化する予定だ。笠原氏は、「『いつでも、どこでも、かんたんに』コミュニケーションと情報共有できるようになりました」と改善点を語る。

 脱・旧グループウェアに関しては旧グループウェア時代のスキル不足・人手不足を解消し、業務改善意識も向上しているという。「旧グループウェアは、スキルを持つ人材が少なく新たな開発が難しい状況でした。kintoneアプリを詳しく理解し、作成できる従業員は約10人に増え、70個以上の業務アプリを運用しています。Garoonのコラボレーション機能『スペース』を使ってkintone活用のためのコミュニティーを運営しています」(笠原氏)

マナックのグループウェア移行後の効果(出典:マナックの講演資料) 図表3 マナックのグループウェア移行後の効果(出典:マナックの講演資料)

業務改善できる人材の育成を目指す

 笠原氏は、Garoonとkintoneの導入を検討すべき企業について次のように語る。「導入したツールが社内で広く使われるようになることを重視したい企業にお薦めです。本日は社内ポータルやスケジュールの改善について話しましたが、Garoonは他の機能も直感的で使いやすいので、問い合わせが少なく済むようになりました。業務を改善する仕組みを社内につくりたい企業にも、kintoneアプリをユーザー部門の従業員が作成できるという点でお薦めしたいと思います」

 今後、マナックはGaroonとkintoneを利用して何をするのか。「Garoonに関しては『テンプレート』機能を利用することで各種申請や経費精算、各種窓口、制度などを簡単に利用するための『行き先案内版』を作り、“迷子”にならない入り口を整備したいと思います。kintoneに関しては業務アプリの作成を通じて、ユーザー部門主導で業務改善を実施できる人材の育成を目指しています」(笠原氏)

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2024年1月6日