「2024年問題」だけではない 山積みのEDI運用課題をどう乗り越える?EDI運用の教科書

EDIを必要とする企業において「2024年問題」は大きなハードルとなったが、考えるべきことはそれ以外にもある。EDIの導入や運用において担当者が押さえておくべきポイントをEDI有識者に聞いた。

» 2024年03月15日 10時00分 公開
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 アナログ回線やISDN回線などの固定電話回線網のIP化によって固定電話回線を利用したEDI取引に影響が生じることから、多くの企業がレガシーEDIからインターネットEDIへの移行などの対応に追われたことだろう。いわゆる「2024年問題」だ。

 だが、対処すべきは「2024年問題」だけではない。インターネットEDI運用における証明書の更新管理などの既知の課題を事前に把握し、備える必要がある。もちろん、法令や業界標準への対応も忘れてはいけない。さらに、今後はSaaSとの連携や、データドリブン経営への転換がより一層求められ、EDIのデータをビジネスに生かすための仕組みづくりも重要な課題となる。

 本稿ではEDIの有識者へのインタビューを基に、EDIを必要とする企業が押さえておくべきこれらの課題を解説するとともに、課題解決に有効なアウトソーシングサービスを紹介する。

インターネットEDI運用で盲点になりやすい「証明書更新問題」と「データ伝送の高速化の弊害」

 ISDNなど固定電話回線網がIP化されてもNTTが提供する「デジタル通信モード」、いわゆる補完策を利用することで2027年までは現在の運用を継続することは可能だ。だが、補完策のデータ伝送では従来よりも通信時間が長くかかり、データ伝送に遅延が生じる恐れがある。また補完策は期間限定の処置であることから、2023年までに多くの企業がインターネットEDIへの移行に踏み切った。

JSOL 香坂真人氏

 だが、「2024年問題」を乗り切ればそれで終わりではない。インターネットEDIの運用において、事前に押さえておくべき既知の問題がある。JSOLの香坂真人氏(ソーシャルトランスフォーメーション事業本部 JSOL認定プロフェッショナル ITアーキテクト)は、「インターネットEDIの導入後の運用で問題となりがちなのが、電子証明書の管理です」と語り、次のように続けた。

 「インターネットEDIでは、通信する相手が間違いなく自社の取引先であることを証明するために電子証明書を用います。これは認証局で発行されるもので、同局が『正しい送信元であること』を保証するものです。電子証明書は一定期間が経過すると更新が必要となるのですが、更新を忘れたことでトラブルに発展したケースもよく耳にします」

 電子証明書はインストールできたかどうかが非常に分かりにくく、作業に手慣れた担当者でなければ失敗する可能性がある。電子証明書には期限があり、接続元もしくは接続先のどちらかが更新を忘れると通信が不可能な状態になる。更新したはずの電子証明書が正常にインストールされておらず、通信できない状態に陥ったケースも多々あるという。

 また、電子証明書の用途は、サーバ認証やクライアント認証、デジタル署名など多岐にわたる。電子証明書の更新不備で通信が不可能な状況に陥ると、ビジネスの機会損失につながる恐れがある。この証明書更新問題がインターネットEDI導入後の盲点になりやすいため、必ず押さえておきたい。

 インターネットEDIの運用で見落としがちなポイントがもう一つある。それは、データ伝送の高速化による弊害だ。インターネットEDIの特徴として、大容量のデータをリアルタイムで送信できる点がある。一見良いことのように思えるが、その点について香坂氏は次のように語る。

 「レガシーEDIはバッチ処理でデータを転送するため、取引先にデータが到着するまでに数十分かかることも珍しくありません。一方、インターネットEDIはリアルタイムでデータを転送するため、予定時刻から数分経過してもデータが受信されなければ、すぐさま情報システム部門に問い合わせが入ります。運用者の視点で考えると、この『リアルタイム性』が運用負荷となるケースもあります」

忘れてはならない「法令や業界標準対応」

 そして、忘れてはならないのが「法令や業界標準への対応」だ。改正電子帳簿保存法やインボイス制度など、EDIと関連する法令改正に対してスピーディーに対応しなければならない。EDIに関連する業界標準への対応として、国際標準規格ISO 20022が挙げられる。SWIFT(国際銀行間通信協会)は外国送金のデータフォーマットを既存のMTフォーマットからISO 20022に準拠した新フォーマットに移行することを発表した。そのため、外国送金を行う金融機関や金融サービスを提供する企業は、2025年11月までにISO 20022への移行が求められている。ファームバンキングの利用企業が外国送金を行う場合、取引銀行とやりとりするEDIデータのフォーマットや通信プロトコルを変更する必要が出てくるかもしれない。

既知の問題だけではない、これからのEDIに求められる2つのポイント

 証明書更新問題やデータ伝送の高速化による弊害といった既知の問題以外にも、考慮すべきポイントがある。香坂氏は「クラウドシフトやデータドリブンが叫ばれる現在、今後『SaaS連携』と『データ活用』を考慮した仕組みづくりがより重要になるでしょう」と語り、以下の2つのポイントも押さえておくべきだと念を押す。

 これら2つのポイントについて解説していく。

 1つ目は「SaaS連携」だ。これまでは、EDIと言えばオンプレミスで運用するシステムが主流であったが、企業システムのSaaSシフトが急速に進んだことから、今後は接続先のEDIがSaaSであることも考えられる。香坂氏は「今後はEDIでもSaaSとの連携性がさらに重要となるでしょう」と語る。

 2つ目は「データ活用」だ。特に流通業では土日や祝日にも受発注業務が発生するため、これまでは業務の負荷軽減がEDIに求められる一番のニーズだった。現在は運用負荷の軽減だけでなく、データドリブンやDX(デジタルトランスフォーメーション)の機運が高まっており、EDIデータを含む組織全体に散在した情報資産をビジネスに生かしたいというニーズが増えたことから、EDIからのデータの抽出や加工ができるデータ活用基盤の構築も併せて検討したい。

図1 EDI運用で押さえておくべきポイント(提供:JSOL)

EDIの運用課題をJSOLの技術力と経験でカバーする「JSOL-EDIサービス」

 EDIの運用においてこれらの課題がある中で、自社の担当者だけで対応するのは荷が重い。EDIの運用担当者の手助けとなるのが「JSOL-EDIサービス」だ。

 SaaS型のEDIアプリケーションと24時間365日体制でユーザーを支援する運用サービスを組み合わせた、「SaaS+BPO(Business Process Outsourcing)」型のアウトソーシングサービスだ。証明書の更新管理などのシステム運用はJSOLが実施するため、ユーザーは意識する必要がない。また、法令や業界標準への対応など考慮すべきポイントを熟知したJSOLの経験豊富な担当者がEDIの運用を強力にサポートする。

 ファイル交換型EDIからWeb-EDI、API型EDIまで幅広いタイプをカバーし、モジュール化された部品を組み合わせることでユーザーのニーズに合わせてEDIをカスタマイズすることも可能だ。業種や業界を問わず、企業の多様なニーズに応えられる柔軟性を備える。

図2 JSOL-EDIサービスの全体像(提供:JSOL)

 香坂氏は、運用サービスの中でも顧客に喜ばれているものとして「0件アラート対応」を挙げる。例えば、定期的に受注がある取引先に注文データを取りに行き注文数が0件だった場合、本当に受注がなかったのか、それとも発注者側のシステムに障害が発生して受注データを確認できなかったのかが判断しにくい。「JSOL-EDIサービス」ではEDIの接続先からの受注データが0件だった場合、発注元に照会して本当に受注がなかったのか、システム障害が発生していたのかを確認することで受注の機会ロスを未然に防ぐ。

 こういったきめ細かな運用サービスを提供できるのも、歴史に裏打ちされた数多くの実績があるからだ。

 JSOLは、日本情報サービス時代にデータ通信回線の他人使用制限の緩和を受けて、1983年に「中小企業VANサービス」の提供を開始した。以来40年以上にわたってVANサービスおよびEDIサービス企業として日本の電子商取引に大きく貢献してきた。JSOL-EDIサービスにはNTTデータと日本総合研究所のグループ企業の一員として多くの顧客をサポートしてきた実績と経験値が反映されている。

トラブルが許されないからこそ「JSOL-EDIサービス」を選ぶ 2社の導入事例を紹介

 こうした点が評価され、JSOL-EDIサービスは多くの企業で利用されている。導入事例の一部を紹介しよう。

 量販店や食品スーパーマーケット、ドラッグストアなどを取引先とするある食品系メーカーでは、EDIの接続数が500〜1000以上に上る。午前4時から午後11時までの時間帯で受注と出荷、受領、請求、支払処理を実行している。JSOL-EDIサービスの利用に際して、JX手順やebMS手順など接続先に合わせたプロトコルでデータを授受し、スケジュールに沿ってデータを送受信できるようにした。0件アラート対応を利用することで、定期発注の確認漏れも防ぐことができた。月1回の計画停止を除き、24時間365日体制で安定して稼働を続けているという。

 また、ある大手製造業のメーカーは量販店や物流業者などが主な取引先で、接続数は100に上る。以前はオンプレミスのEDIを自社で運用していたが、運用負荷の軽減と属人化を解消する目的でJSOL-EDIサービスの利用に踏み切った。新規接続先の追加や変更もスピーディーに対応できるようになったと同社から感謝の声が届いたという。

 「2024年問題」以外にも、EDIの運用で考慮すべきポイントはこれだけある。特に証明書の更新管理の問題については経験者でなければ気付きにくい点だろう。人手やノウハウ不足によって自社の担当者だけでのEDI運用に限界を感じているのならば、JSOLが持つ技術力と経験値を詰め込んだJSOL-EDIサービスを利用してみるのも一つの手だ。

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提供:株式会社JSOL
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2024年3月28日